転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!

nineyu

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第4話 社畜、アットホームに口説かれる

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 「君、ここで働かないか?」
 
 部屋に入った俺を対面の席に座らせ、開口一番におそらくギルドマスターであろう男が告げる。
 俺が驚いていると、座っている男の後ろに立っている男が咳払いしながら、「順を追って説明を」と付け足す。
 俺の後ろには先程の受付嬢が立って控えていた。

「彼女、セリル君からの話では、君は冒険者になりたいそうだが、残念ながら冒険者に向いたジョブやスキルは持っていないね。
 魔物は強力で、フィールドでもダンジョンでも、とてもじゃないが無理だろう。こればかりは生まれ持っての才能と、君がその年齢までにスキルを発現できなかったのだから仕方ない」

 やはり、ジョブは生まれ持ってと、十年ほどの修行で開花する場合があるらしい。

「しかし、君には書記という立派なジョブが、レベル5までに到達しているじゃないか。いや5というのは本当に凄い、冒険者ならベテランBクラスだよ!」

 ここでやや、俺には違和感があった。
 『5というのは本当に凄い』というのは確かに間違いなさそうだが、では何が本当は凄くない?
 大きく手を広げながら、こちらを称賛する姿に、何か嫌な感触があった。

「この街は見ての通り、異種族の人種が流れてきていて、対応に追われていたんだ。
 君のジョブレベルなら『翻訳』ができるね?」
  
 「はい」短く答えた。

「そう身構えないでくれ、悪いようにはしないよ。
 私も、副ギルドマスターのメイスも冒険者上がりでね、書類仕事が苦手なんだ。
 けれど、冒険者ギルドってそういう仕事が山積みでね」

 そう、苦笑いしながら続ける。

「私もメイスも対外的な仕事でギルドを空けることも多い。内務を任せられる人を探していたんだ」

 そういうと顔を近づけ、小声で

「受付の女性達は顔で採用しないと冒険者にウケが悪くてね。その分、書類仕事は頼りないので、いずれはみんな、君の部下という形にしようと思ってる。
 見てみてどうだった? 美人揃いだろう?」


 ゴクリと唾を飲む。

 体が若返ってる影響が出ていそうだ。
 しかし、冷静になれ俺。それって、俺が苦労するって意味じゃ、そもそも俺はもう縛られたくなくて冒険者に……


「まあ結論として、今は君に冒険者登録手続はできない。冒険者になるためにはそのために何らかのスキルがいるが、先天的か長い年月の鍛錬以外にも実は方法があってね。
 そのためにも君はここで働くのが近道だ」



 ―この言葉が決定打だった。
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