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ひとつのギルドができるまで
不安と高揚
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(……あれ、)
黙り込んでしまったラテに、ヒュウガは少しがっかりしてしまった。きっと褒めて貰える筈だと、無意識にそう思っていた故だ。
自己評価があまりにも低いヒュウガが唯一誇れるもの、それが絵だった。小学校の頃は図工の時間になるとクラス中の視線を集めていたし、何度も賞を貰っている。だから、自分の絵が優れているのだと、そうヒュウガ自身認めている。
しかし、ヒュウガのマイナス思考は時間が経つごとに加速していく。
思えば、妹以外に最後に絵を褒められたのはいつだっただろうか。“あの事件”が起きる前、つまりは6年以上も前ではなかろうか。
(……なにこれ、なんて言われてしまった)
狂った人間は自らが狂っていることを理解できない。もしや自分も、そうなのでは。
どこまでも沈んでいく気持ちが、ヒュウガの瞳に涙を滲ませる。
そんな時。
「……ね、これ……僕の“日記”に載せてもいいかな」
ひどく静かな声で、ラテがそう問いかけた。
「……へ、あ、……どうぞ……?」
意味もわからぬまま、ヒュウガはそれを承諾する。
それが、どんな結果になるとも知らずに。
「すごく、……すごく、綺麗。これは……沢山の人に、見てもらうべき。……だと、思うんだ」
ラテらしくもない、固い声で、探り探りに絞り出すかのような言葉だった。
ラテは短い手でメニューを操作し、空中に浮かんでいるであろう仮想キーボードで何らかの文章をタカタカと打ち込んでいる。そうしてヒュウガから受け取った絵に、何らかの操作を加える。
「……ふぅ。これで、よし」
「あの、……一体……?」
「あ、ああ! ごめんね? つい夢中になっちゃって……びっくりしちゃったー?」
“日記”とやらへの投稿が終わったのか、ラテはいつの間にやらいつも通りのゆるやかな雰囲気を取り戻していた。
それに安堵のため息を零したヒュウガは、知らず強ばっていた体から力を抜いて、ラテを見やる。
「すごいねー、ヒューガくん。ボクもびっくりしちゃったよー」
ラテはにこにこと、笑っていた。
黙り込んでしまったラテに、ヒュウガは少しがっかりしてしまった。きっと褒めて貰える筈だと、無意識にそう思っていた故だ。
自己評価があまりにも低いヒュウガが唯一誇れるもの、それが絵だった。小学校の頃は図工の時間になるとクラス中の視線を集めていたし、何度も賞を貰っている。だから、自分の絵が優れているのだと、そうヒュウガ自身認めている。
しかし、ヒュウガのマイナス思考は時間が経つごとに加速していく。
思えば、妹以外に最後に絵を褒められたのはいつだっただろうか。“あの事件”が起きる前、つまりは6年以上も前ではなかろうか。
(……なにこれ、なんて言われてしまった)
狂った人間は自らが狂っていることを理解できない。もしや自分も、そうなのでは。
どこまでも沈んでいく気持ちが、ヒュウガの瞳に涙を滲ませる。
そんな時。
「……ね、これ……僕の“日記”に載せてもいいかな」
ひどく静かな声で、ラテがそう問いかけた。
「……へ、あ、……どうぞ……?」
意味もわからぬまま、ヒュウガはそれを承諾する。
それが、どんな結果になるとも知らずに。
「すごく、……すごく、綺麗。これは……沢山の人に、見てもらうべき。……だと、思うんだ」
ラテらしくもない、固い声で、探り探りに絞り出すかのような言葉だった。
ラテは短い手でメニューを操作し、空中に浮かんでいるであろう仮想キーボードで何らかの文章をタカタカと打ち込んでいる。そうしてヒュウガから受け取った絵に、何らかの操作を加える。
「……ふぅ。これで、よし」
「あの、……一体……?」
「あ、ああ! ごめんね? つい夢中になっちゃって……びっくりしちゃったー?」
“日記”とやらへの投稿が終わったのか、ラテはいつの間にやらいつも通りのゆるやかな雰囲気を取り戻していた。
それに安堵のため息を零したヒュウガは、知らず強ばっていた体から力を抜いて、ラテを見やる。
「すごいねー、ヒューガくん。ボクもびっくりしちゃったよー」
ラテはにこにこと、笑っていた。
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