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ひとつのギルドができるまで
助けはくるものです
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「……ねー、大丈夫ー? ですかー?」
「……え、僕……ですか……?」
外からの刺激から目を逸らすようにひたすら自分の尻尾をモフモフしていたひなたに、背後から声を掛ける者がいた。
肩を跳ねさせ大袈裟にびくつくひなたが振り返るも、そこに人影はない。
「……?」
気のせいだったか、と視線を戻すひなたに再び声が掛けられる。
「あー、ここですここー。目線もーちょい下です、わん」
「……へ……?」
「……いぬ……?」
下げられた目線の先。
そこには、胴の長い垂れ耳の犬──ウェルシュ・コーギー・カーディガンがぱたぱたと尻尾を振っていた。
「へー、初心者さんですか。VR自体お初で? まあモンレジェは割と間口が広いしー、初心者向けだもんねー……ですねー」
「はい……ちょっと、リアルすぎて……びっくりしちゃって」
「獣人はVR酔いしやすいんでー、気を付けてねー、くださいねー」
「VR、酔い……?」
「あー、まあアレです、ゲームやめたあとグラグラしたりするやつですー」
ところかわり、街の裏通りにある小さなベンチ。言葉を話す不思議なコーギーに先導され辿り着いたそこは人気が無く、相手が人間の姿でないこともあって、ひなたの緊張も徐々に解れはじめていた。
「そーいえばお兄さん、おなまえ何ですー? ボクは“ティーラテ狂”といいますー」
「ティーラテ……狂……?」
「あー、ラテでいいですよー。フレは大体そう呼ぶーのでー」
「ラテ、さん……。僕は名前を“ヒュウガ”で登録して、います」
「ヒュウガくんー。……や、ヒューガくんーですねー」
ティーラテ狂──ラテは見た目こそただの犬ではあるが立派なプレイヤーらしく、それも結構なベテランらしい。なぜ外見が犬なのか、その名前は何なのかと気になることもあるが、ゆるりとしたテンションのラテと話すうち、ひなた──否、ヒュウガも落ち着きを取り戻した。
そして、唐突に思い出す。
「あ、……ゆきみ!」
「え? あー美味しいよねー、ですよねー」
「ああいや違、アイスじゃなくて……。えと……妹が、一緒にはじめて……どこかにいる筈なんです」
「あれまー」
ガッと立ち上がって狼狽えはじめるヒュウガに、ラテは尻尾をぷるぷるさせる。
「妹さんもはじめてーですー? なら街の中にいそうですーよねー」
「は、はい多分……」
「じゃーいっしょにさがしましょー」
ぴょいっとベンチから降りたラテは、先程と同じようにヒュウガを先導しようとする。そんな愛らしいコーギーに、ヒュウガはぽかんとした様子で問い掛けた。
「あ、あの……いいんですか?」
「いーんですよー。こういうのも楽しみ方ですよねー。さー行きましょー」
「……え、僕……ですか……?」
外からの刺激から目を逸らすようにひたすら自分の尻尾をモフモフしていたひなたに、背後から声を掛ける者がいた。
肩を跳ねさせ大袈裟にびくつくひなたが振り返るも、そこに人影はない。
「……?」
気のせいだったか、と視線を戻すひなたに再び声が掛けられる。
「あー、ここですここー。目線もーちょい下です、わん」
「……へ……?」
「……いぬ……?」
下げられた目線の先。
そこには、胴の長い垂れ耳の犬──ウェルシュ・コーギー・カーディガンがぱたぱたと尻尾を振っていた。
「へー、初心者さんですか。VR自体お初で? まあモンレジェは割と間口が広いしー、初心者向けだもんねー……ですねー」
「はい……ちょっと、リアルすぎて……びっくりしちゃって」
「獣人はVR酔いしやすいんでー、気を付けてねー、くださいねー」
「VR、酔い……?」
「あー、まあアレです、ゲームやめたあとグラグラしたりするやつですー」
ところかわり、街の裏通りにある小さなベンチ。言葉を話す不思議なコーギーに先導され辿り着いたそこは人気が無く、相手が人間の姿でないこともあって、ひなたの緊張も徐々に解れはじめていた。
「そーいえばお兄さん、おなまえ何ですー? ボクは“ティーラテ狂”といいますー」
「ティーラテ……狂……?」
「あー、ラテでいいですよー。フレは大体そう呼ぶーのでー」
「ラテ、さん……。僕は名前を“ヒュウガ”で登録して、います」
「ヒュウガくんー。……や、ヒューガくんーですねー」
ティーラテ狂──ラテは見た目こそただの犬ではあるが立派なプレイヤーらしく、それも結構なベテランらしい。なぜ外見が犬なのか、その名前は何なのかと気になることもあるが、ゆるりとしたテンションのラテと話すうち、ひなた──否、ヒュウガも落ち着きを取り戻した。
そして、唐突に思い出す。
「あ、……ゆきみ!」
「え? あー美味しいよねー、ですよねー」
「ああいや違、アイスじゃなくて……。えと……妹が、一緒にはじめて……どこかにいる筈なんです」
「あれまー」
ガッと立ち上がって狼狽えはじめるヒュウガに、ラテは尻尾をぷるぷるさせる。
「妹さんもはじめてーですー? なら街の中にいそうですーよねー」
「は、はい多分……」
「じゃーいっしょにさがしましょー」
ぴょいっとベンチから降りたラテは、先程と同じようにヒュウガを先導しようとする。そんな愛らしいコーギーに、ヒュウガはぽかんとした様子で問い掛けた。
「あ、あの……いいんですか?」
「いーんですよー。こういうのも楽しみ方ですよねー。さー行きましょー」
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