おねしょ癖のせいで恋人のお泊まりを避け続けて不信感持たれて喧嘩しちゃう話

こじらせた処女

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おむつ

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「あ、これ…」
「ん?どうしたの?」
お風呂に入って歯を磨き、例のものを身につけようと袋から取り出すと、いつもと形が違うことに気がついた。
「テープ…」
いつもはパンツタイプだから履き方が分からない。うっかりしてた。
「履かせたげようか」
説明書と睨めっこをしていたら、そんな事を言われて顔が熱くなる。
「ぇ…それ…は…」
「おいで。1人でやるより手っ取り早いよ、ね?」
布団に敷かれたタオルの上に腰を下ろして寝転がる。
「あ、ズボンは俺が…」
「いいのいいの。俺にやらせて」
スウェットのゴムをほどくのも、ズボンをずり下ろすのも全部由希さん。優しくパッドを当てられ、フカフカのオムツに包まれる。
「できた。眠い?」
「…はい…」
「昨日眠れなかったもんね。ちょっと早いけど電気消そうか」
腹のあたりをポンポンと叩かれ布団をかけられる。
「…由希さん、となり、」
「入っていいの?」
「ん、」
端によってスペースを開けると、由希さんの石鹸の匂いがふわりと近づく。
「…おれ、こんなのでごめん、」
「何で?すっごくかわいい」
お尻のあたりを触られれば、カサカサと紙が擦れる音がする。くすぐったくて恥ずかしいのに不思議と嫌な思いはしない。
「おやすみ。いーっぱいねようね」
ああ。この欲求に任せて瞼を閉じることが出来る、どれほどに贅沢か。ずっとずっと焦がれて、でも諦めてきた幸せ。温かくて柔らかくて優しくて。うとうととまどろむ時間を惜しみながら、いつの間にか意識はとうの向こうに飛んでいた。



 いつもの感覚で目を覚ます。いつもと違うのは、ここが俺の家ではないこと、そして未だ日の明けていない深夜である事。由希さんを起こさないように布団を抜けて、新しいモノを取ってトイレに向かう。
「ぁ…」
テープを全部外して思い出す。いつものやつじゃないってことに。由希さんどうやってたっけ。なんとなくでやってみるけど、テープとテープがくっついて、うまくできない。
なんとか剥がそうとしても、不器用な俺の手先じゃ上手くできなくて。でもこのまま寝ると横漏れしそう。由希さん…そう思うけど、このためだけにわざわざ起こすのも申し訳ない。勿体無いけどもう一枚とろう。

ガサッ…
(あ…やば…)
 オムツを取ろうとした時、思ったよりも大きな音が鳴った。それに促して由希さんの布団が揺れる。
「…りんくん…?」
あ、起こしちゃった。ゆっくりと上半身が上がり、何も履いていない下を真っさらなオムツで隠した。
「ぁ、おこしちゃった、ごめん、」
「んーん、どしたの?」
「ぁ、えーと、」
オムツがうまくつけられない、だからお願いしたい。シンプルな言葉だとこう。でも、恥ずかしさが勝ってうまく言葉にできない。
「おむつ…」
「ん?」
「じょうずにできない…」
「新しいのつけようね」
恥ずかしすぎて死にそう。温かいタオルで尻周りを拭いてもらい、清潔なオムツをあてがわれる。
「足冷たい。今度はすぐ起こしなね」
(ぁ…おしっこ…)
さっき外したときにもしたはずなのに。時計を見ると1時間弱の時間が経っている。綺麗に付けてもらったばっかなのに。
「眠れそう?何か温かいの飲む?」
「、はい、…ぇ?」
俺、何に返事したっけ。置いてけぼりの俺とは裏腹に、由希さんは台所でお湯を沸かしている。
「ホットミルク飲める?」
「あ、はい、」
「先座っときな」
フカフカの毛布が肩にかかっていて、由希さんは2人分のマグカップを持っていていて。
「熱いから気をつけて」
「ありがとう、ございます…」
少し前ならこんな時間の水分なんて断固拒否していた。オムツこれのおかげで凄く過ごしやすい。
(でも…)
おしっこしたい。今の体にこの水分は辛い。オムツこれはあくまで睡眠中のトイレ用のもの。起きている間に、しかも替えてもらったばっかりでしていい訳ではない。
「どした?足冷たい?靴下履く?」
「ぁ、いい、です、」
 無意識のうちのソワソワが恥ずかしい。でも座っているとどうしても。お腹が圧迫されて気になってしまう。

 ホットミルクは何だか少し甘い味がした。じんわりと胃の中が温かくて気持ちがいい。
「落ち着いた?」
「ん…」
コレ、何回分だっけ。今こっそりしてもバレないかな。ずしんと重いお腹がずっと気になってしまう。少しずつ出したらバレないだろうか。
「っ、ぅ、」
じゅう…
少しずつ、少しずつ。
「っふ、」
音が鳴らないように、少しずつ、少しずつ…


「じゃあそろそろ寝よっか。カップは明日で良いや」
「っひ、」
じゅぁああああああ…
やばい。びっくりして力抜けた。
あ、止まんない。途中で止めようと力をこめるけど意味がない。
「ぁ、あ、ぅ、」
 音結構聞こえる。由希さん、気づいたかな。
 オムツの中、あったかい。起きてるのにおしっこしちゃった。
 恥ずかしい。気づいてないといいな、そう思うけど、ぎゅっと抱きしめられたからその希望は打ち砕かれる。
「飲んでから履かせたげたらよかったね。ごめんね?」
「ぁ、ちがっっ、」
由希さんは何も悪くないのに。自分で履けない俺が、おしっこってちゃんと言えない俺が悪いのに。
「力ぜーんぶ抜いて?」
「ぁ、ああ…」
足がガクガク震える。お腹がきゅうきゅうする。恥ずかしいのに、恥ずかしすぎて涙が出るほどなのに。なのに、すっごく気持ちくて。
「おしっこ終わり?」
「…ん…」
「お耳まっか」
「…ごめんなさい、」
「可愛い。ほんっと凛くん可愛い」
頭を掻き回され、痛いくらいに抱きしめられて。
「冷えないうちに替えちゃおうね」
頭がぼーっとする。恥ずかしいのに。なのに、素直にオムツを替えてもらおうとする自分はおかしくなってしまったのだろうか。


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感想 2

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みんなの感想(2件)

めい
2024.11.01 めい

オムツ系のBLの良さに目覚めてしまいました…
最高にかわいい、なにこれ天使すぎる…
さすがに天才です。

こじらせた処女
2024.11.02 こじらせた処女

天才だなんて…照…
扉を開けるきっかけになれて嬉しいです😊
ありがとうございます😊

解除
.
2024.02.26 .

最新話読ませてもらいました 。 めちゃめちゃ可愛かったです 😭😭
小スカ類全て読ませて頂いてます。これからも主様の作品を楽しみにして頑張ります 👊👊

こじらせた処女
2024.02.29 こじらせた処女

ありがとうございます😭全て!?嬉しいけど恥ずかしい…🫣

解除

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