おねしょ癖のせいで恋人のお泊まりを避け続けて不信感持たれて喧嘩しちゃう話

こじらせた処女

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「おかえり、こっちこっち」
隣の部屋に通されると、2つシーツが並んでいる。恐る恐る入った時の、シーツが肌に纏わる気持ち良さが今は辛い。
「電気はどうする?真っ暗派?明かりちょっと欲しい派?」
「明かり、欲しいかもです、」
「オッケー、じゃあおやすみ」
「おやすみなさい…」

 由希さんの匂いのするちょっと大きめのシャツ、布団。最近の多忙な生活。目が何度も閉じようとする。でも、「おねしょ」が頭をよぎる度に、心臓がドクッと高鳴って、踏みとどまれるのが救い。

「凛くん、寝れない?」
何度寝返りを打った頃だろうか。少し掠れた由希さんの声。
「すみません、起こしちゃいましたか…?」
「ううん、まだ寝てない。そっち行ってもいい?」

(うわわわわ…)
俺の布団に、由希さんがいる。大の男二人だから、それなりに密着度が高い。
「凄い心臓早いね」
「聞こえてるの、ですか…?」
「うん。でもほら」
俺の手の平を由希さんの胸板に押し付けられる。
「どくどくいってる…」
「でしょ?俺もさ、隣に凛くんいるの、何か落ち着かなくって。お揃いだ」
「そう、ですね」

「凛くんは朝はご飯派?パン派?」
「ご飯派です、かね…」
「じゃあ明日はご飯と卵でも焼こうかな」
由希さんの息が俺の髪の毛にかかる。それがなんだかゾクゾクして、でも気持ちよくて。会話という一つの動作をしているはずなのに、また、眠くなってしまう。
「凛くんの髪サラサラだぁ。俺癖毛だから羨ましい」
「俺はそのふわふわの、好きでしゅ…」
「ほんと?うれしい」
人に頭を撫でられるのって、何でこんなに気持ちが良いんだろう。うるさかった心臓も落ち着いて、慌ててあの4文字のワードを思い浮かべるけど、それもだんだん効果がなくなって、どんどん目が閉じていく。寝ちゃダメだってば、俺の体。本当に、お願いだから、、、




 目を開けるといつもの風景とは違う。
あれ、俺、そうだ、由希さんの家で…
「っ!!!!」
寝ぼけた頭が覚醒する。震える手で自分の股間をなぞらえるが、運良く濡れていなかった。
(よかった…まじで…)
全身が気持ち悪い汗が纏わりついている。時計を見ると12時半。まだ、1時間も経ってない。由希さんの寝息で髪の毛が揺れる。撫でてくれた手は俺の頭の上のまま。
(とりあえずトイレ…)
そっと布団から抜け出し、部屋を出た。

  3分もかからない用を足し、することが無くなる。布団に入るのが怖くて、リビングの床に座り、スマホを弄る。いつも見ている動画も、SNSも、全く面白くない。
「おねしょ、治し方」
小さく呟きながら、何度調べたか分からない検索をかける。
『寝る前にトイレに行く』
(やってるし…)
『カフェインを摂らない』
(ちゃんとやってるし…)
全部、試したのに。何で治らないんだろう。これが無かったら、もっと早くお泊まりしてたし、ご飯だっていっぱいおかわりしたのに。もっともっと楽しい気分でいられたのに。
(なんで、俺だけ)
なんだか急に虚しくなって、涙が浮かぶ。恋人の家に来てるのに、1人でこんなところにいる自分が、情けない。
(さんぽ、しよう)
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