カフェインを舐めていておしっこ我慢できなくなる大人

こじらせた処女

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 後悔した。カフェから出て北風に吹かれた瞬間、やっぱりしたいと自覚する。紅茶をしっかりと3杯分飲んだ液体が着実に下に降りてきていてじっとりと膨らんでいる。
 でもカフェのトイレ、中々開かなかったし。まあ自分はトイレは遠い方。駅のトイレ使えば良いか、そう思ってそのまま店を出た。
(ぅう~っさっぶ…トイレいきてぇ~!!)
森下さんの話、集中できない。どうしよう、コンビニとか寄ってもらおうかな。でももし無かったら気まずいし。
「大河くん?どした?足疲れた?」
「っいえ、寒いなーって」
「んね、昨日までは暖かかったのにね」
トイレいきたい。トイレトイレトイレトイレ。駅まではそんなにかからない。5分もしないうちに見えたビルに安心した。
「あ、電車来てるや。走ろっ」
「えっ、」
促されるまま階段を駆け上がり、発車直前の電車に飛び込む。
「外で待つの寒いしね。ナイスタイミング」
「はは、ですね、」
森下さんの笑顔可愛い。でもおしっこ。おしっこしたい。流石に漏らしはしないけど、この不快感がずっと続くのは落ち着かなくて、思わず足をクロスさせてしまう。




「森下さん、トイレ行ってもいいっすか?紅茶飲みすぎた…」
普通に、あくまでも普通に。
「僕も行きたいや。一緒に行こー」
ああやっと。こんなに我慢したの、いつぶりだろう。見えたピクトグラムに思わず尻が震えてしまう。
「あー混んでるねー」
休日だからか、女子トイレの半分くらいではあるが、そこそこに混んでいる。
「どうする?僕の家まで10分くらいだし、帰っちゃおうか。我慢できそう?」
我慢できそう?って聞いてるけど我慢できるよねって聞いてるようなものじゃん。
「できますよーそれくらい…」
俺が小さい子だったら話は違ったのだろう。きっと済ませてスッキリさせてから帰っていた。でも俺は大人だから。膀胱もしっかりして余裕を持って済ませるのが当たり前な大人だから。



「っは、ぁ、~っ、ぅ」
足が冷たい。コートの隙間に流れる冷気が辛い。お腹疲れた。
「寒いねぇ~」
「っは、はは、」
寒くてよかった。足をトントンと踏み鳴らしても違和感がない。すっごくすっごく辛いけれど。お腹、はち切れそう。しゃがみたい。
 丁度赤になった信号。足を止めた瞬間、苦しくて苦しくて仕方がなくて、少し背を丸める。
「っ、ふ、」
苦しい。このムズムズ感しんどい。我慢しんどい。
「大河くん?青信号なったよ?」
「ぁ、ああっ、はい、」
歩き始めたら始めたらズキズキと膀胱が揺れて、大きく足を出せない。
「っは、っはぅ、」
我慢する筋肉が疲れた。早くおしっこしたい。無理、歩くの無理。
「大河くん?」
どうしようもなくてお腹を抑えてうずくまってしまう。ここにはトイレはないのに。小さい子じゃないのに。
「っ、ぅ、」
そうか。これが「漏れそう」か。久しく限界まで我慢したことが無かったから、分からなかった。
いつもどれだけしたくても我慢できた。こんなに切羽詰まることなんて無かった。おちびりもしていないし、子供みたいに前を押さえていない。なのに、歩けない。動けない。
立とうとして中腰で固まる。しんどい。力抜きたい。我慢辛い。
「どした?お腹痛い?」
「っぁ、」
じわり、じわり。下着が少しずつ温かくなる。コートの裾を握るけど、止まることはない。
「っ、ぅ、」
ありえないだろこんなの。この歳で、こんな道端で。
「おしっこ…したいです…」
顔熱い。恥ずかしすぎて死にそう。まだお漏らしはバレていない。長いコートに隠されて、黒いズボンに吸収されてるから。
「あと少し頑張れそう?」
「っ、できる、」
無理。もう出ちゃってるのに。弱い弱い水流は、足を伝い、スニーカーの中に染み込んでいく。
「ん、頑張れ。駅で行っとけばよかったね」
背中を撫でられて、中腰のまま無理やり進まされている。
 駅で我慢できないって見栄を張らずに言っておけば。いやそもそもカフェで済ませておけば。その前に家出る前に済ませておけば。いっぱいチャンスはあったのに。そのうちのどこかで行っておけばこんなことにはならなかったのに。
「着いた。早く行っておいで」
おしっこは止まった。でも。
「ん?早く行っといで?」
靴下はびしょびしょ。ズボンだってぐじゅぐじゅ。上品な玄関マットに埃一つない廊下。それになんかいい匂いがする。
「…かえる、」
こんな汚い足で入っていいわけない。ぶわりと涙が滲んだ。
「え!?、なんで、」
「かえる、きたない、から、」
折角悩んで選んだズボンも、この日のために下ろしたコートも。全部が台無し。初めてのデートだったのに。馬鹿みたい。紅茶を飲んで大人みたいって喜んだばっかりだったのに。
「初めてさんにはカフェインキツかったかな?」
バレた。察された。気にしないで入っておいでと促され、マットを踏まないように爪先立ちで入る。
「お風呂入ろっか」
コートを丁寧に脱がされて、泣かないの、と頬を撫でられて。
「おしっこまだある?」
お腹をトントンと押された途端、さっきの尿意がぶり返してじわぁとまた、出口が緩む。
「ぁ、っ、あああっ、」
さっきの比ではない、太い太い水流。慌てて前を押さえるけど、押さえたら押さえたで余計に催して。
「ごめ、ごめ、な、さ、」
まるでこれが本番かのように、止まらない。クラクラしてしゃがみ込んで、その間もずっと止まんなくて。
「止まったかな?立てそう?」
「っ、゛、っひ、」
「ごめんね。僕が急かさなければトイレ行けたのにね」
「おれが、わるい、」
森下さんの綺麗な綺麗な膝が俺の小便に浸かっている。オシャレな玄関マットの端が汚れている。
「ほらほら冷えちゃうから。早く行こ。ね?」
息が引き攣って喋れない。びしょびしょになった手を握った森下さんの手は、細くてすべすべしてて、でも大きかった。


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