おしっこ8分目を守りましょう

こじらせた処女

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「ただいまー、あー、もーやべぇぇぇ!!!」
夜の7時半、玄関のドアが激しく開いたかと思うと、どたどたと忙しない足音が部屋に響く。
「おいあらた!!うっせーよ!!」
靴を乱雑に脱ぎ散らかし、一目散に1番奥のトイレに駆け込んだ同居人に海里かいりはおたまを持ったまま怒る。そんな怒声もお構いなしに、怒られた当の本人は、前を鷲掴みにして、便器の前で腰をクネクネ。謝罪の言葉を返せるほど彼には余裕がない。なかなか外れないベルト、布の中にあるにも関わらずジュワジュワと溢れ出すものと戦っているのだ。
「んっ、んんんんっ、でるでるでるっ…ふ…ふぁああ…」
ぶるんと音を立てそうなほどに勢いよく出した性器からは、あらかじめ付着していた雫とともに、狭めたホースのように勢いよく噴出する。
「っはぁぁぁ…やばかったー…せぇーふー…」
「セーフじゃねーよ」
緩んだ尿道と声を締め上げるが如く、冷たい声が個室に響く。
「うわっ海里!!勝手に入ってくんなよ」
「ドア開けっ放しにして小便してるのは誰だよ。っはー…また我慢して帰ってきたのか?いつも言ってんだろ。駅でして来いって」
「だって駅いっぱいいるんだもん。いいじゃねえか、間に合ったんだし」
「じゃあこのシミはなんだよ」
出すものも出し終え、元に戻そうと引っ張り上げようとするズボンをずり下げ、汚れた下着を指さした。
「これは…」
「オモラシ寸前の証拠だろ」
「ちがっ、わないけど…でも、間に合ったんだからいいじゃん‼︎」
「っはぁ…お前さぁ…24にもなってみっともないと思わないのかよ…前押さえてモジモジモジモジ…」
「っ、家なんだしいいだろ!!…」
「そんなこと言ってこの前の買い物ん時もギリッギリでトイレ駆け込んでたんじゃねーか。我慢癖がついてんの!!」
「そんなこと…ねーし…」
顔がどんどん真っ赤になり、声のトーンが落ちていく新。そう、彼にも自覚があるのだ。幼い頃からズボラだった彼は、こまめにトイレに行くという習慣がなく、ギリギリまで溜めてしまう。授業中に漏れそうになることなんて日常茶飯事だったし、今の会社でもパンツを濡らすことはしょっちゅうだ。それでも膀胱は大きい方だから、大きな失敗はしない。だから、どうしても生理的欲求を後回しにしてしまうのである。
「もしこれがバスん中とか、大事な会議中だったらどーすんだよ。それにそんな我慢して体にも悪いだろ…膀胱炎とか、お前も20超えたんだから結石も怖いし」
「あーもー!!分かったから!!今度から気をつけるから!!」
いつものように長々と続く海里のお説教。大の大人が同い年の同居人におしっこのことで説教されている、その事実が恥ずかしくて思わず投げやりになってしまう。
「今度からって…っはぁ…分かった。じゃあこれからは一つルールを作ります」

「帰宅後20分はトイレ禁止。ちゃんと間に合わなそうなんだったら会社なり駅なりでしてくること」
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