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「ぁ、や、まって、まって、」
ハーパンから溢れ出す液体は足を伝い、靴に染み込み、それでも足りずに地面にシミを作る。前を走っている兄貴は気づかない。
ぢゅいっ…ぢゅいいいいっ、
振動が伝わるたび、大きくなっていく水流。
(うそ、こんなの、止まれ止まれ止まれ止まれ…)
「ぁっ、ふぁ、あ、あ…」
手も、足も、靴も。全部全部がびちょびちょ。
見ないで、お願い。こっち、見ないで。
涙が出そう。泣きそう。心臓バクバクして、もぉやだ。
「ぁにき…」
膀胱がゾクゾクして、それを皮切りに、出口が一気に広がった。ぐっしょり濡れたズボンがまた、濡れる。
っしぃいいいいいっ!!!!
とてつもない勢いで出てくるソレを知らんぷりしながら走るなんて、できない。掴まれた手を離し、思わず腹を押さえる。もうこれは中断できない。チンコに力、入んないんだもん。
「いろ君?あ…」
一気に腹が萎む感覚が気持ち良くて、でもクラクラしてしゃがみこむ。
ぢゅいいいいいいいい…
「ぁ…あぁ…」
(おしっこ…でてるぅ…いっぱい…)
自分で作った水たまりの癖に、現実味がない。頭がふわふわして、ボーッとする。
しぃ…しゅいぃ…
ぴちゃん、最後の一滴が落ちる。
「終わった?」
「…ぁ…おれ、」
「立とっか」
「…ん…」
『お漏らし』
絶対しないって言ってたのに。あれだけ我慢したのに。道端で、あとちょっとだったのに。
びちょびちょの手を引かれて、立ち上がるとじゃばぁっと溜まったおしっこが落ちる。
「これ巻いときな」
放心状態の俺の腰元にさっきのカーディガンを巻かれる。
「きたないから、いぃ…」
「洗濯するから。な?おいで」
手を握られて、歩く。ダメだ、泣いたら。もっと惨めになるから。そう思うのに、じわじわと視界がぼやけていく。
「着いた。ちょっと待ってな?タオル取ってくる」
こういう時は、廊下が汚れないように玄関先で体をサッと拭いてから、風呂場に向かう。俺より歳上の兄貴が知らない訳がなくて。
「はい、ここに足乗せて。…あんまり気にすんな?」
顔を上げられない俺と目線が合うようにしてしゃがみ込まれて、腕をさすられたらもう、ダメだった。
「お゛れ、おしっこ済ませるつもり、だったぁ…家出るまえからっ、っふ、」
こんなの言い訳じゃんって思うのに。言葉も涙もポロポロポロポロ。止まんなくて、しゃくり上げてしまう。
「ん、そうだよな。行けなかったんだよな。分かってる分かってる。とりあえずシャワー浴びてきな。風邪ひいちゃうから」
「っ゛、……」
弟達の世話で何度もやってきた、お漏らし後の処置。シャワーで体を流してやって、服も一緒に濯いで。そんで、大丈夫って何度も声かけて、着替えさせてやって。
「おれ、ひとりでするの…?」
無意識だった。キョトンとする兄を見て、とんでもない事言ったって気づいたぐらいに。
「ぁ、っ、ちがう、おれ、こーこーせい、だし、」
じっとりと耳が熱い。汗が背中を伝う。でも、ちょっとだけの、期待。俺も、あんな風に頭を撫でて、体を洗ってもらって、甘えてみたいだなんて、そんなことを考えてしまう。
「ふふっ、いーよ。一緒に入ろう」
手を引かれて、ペタペタと廊下を歩く。
ああ、そうだ。俺も弟だった。
ハーパンから溢れ出す液体は足を伝い、靴に染み込み、それでも足りずに地面にシミを作る。前を走っている兄貴は気づかない。
ぢゅいっ…ぢゅいいいいっ、
振動が伝わるたび、大きくなっていく水流。
(うそ、こんなの、止まれ止まれ止まれ止まれ…)
「ぁっ、ふぁ、あ、あ…」
手も、足も、靴も。全部全部がびちょびちょ。
見ないで、お願い。こっち、見ないで。
涙が出そう。泣きそう。心臓バクバクして、もぉやだ。
「ぁにき…」
膀胱がゾクゾクして、それを皮切りに、出口が一気に広がった。ぐっしょり濡れたズボンがまた、濡れる。
っしぃいいいいいっ!!!!
とてつもない勢いで出てくるソレを知らんぷりしながら走るなんて、できない。掴まれた手を離し、思わず腹を押さえる。もうこれは中断できない。チンコに力、入んないんだもん。
「いろ君?あ…」
一気に腹が萎む感覚が気持ち良くて、でもクラクラしてしゃがみこむ。
ぢゅいいいいいいいい…
「ぁ…あぁ…」
(おしっこ…でてるぅ…いっぱい…)
自分で作った水たまりの癖に、現実味がない。頭がふわふわして、ボーッとする。
しぃ…しゅいぃ…
ぴちゃん、最後の一滴が落ちる。
「終わった?」
「…ぁ…おれ、」
「立とっか」
「…ん…」
『お漏らし』
絶対しないって言ってたのに。あれだけ我慢したのに。道端で、あとちょっとだったのに。
びちょびちょの手を引かれて、立ち上がるとじゃばぁっと溜まったおしっこが落ちる。
「これ巻いときな」
放心状態の俺の腰元にさっきのカーディガンを巻かれる。
「きたないから、いぃ…」
「洗濯するから。な?おいで」
手を握られて、歩く。ダメだ、泣いたら。もっと惨めになるから。そう思うのに、じわじわと視界がぼやけていく。
「着いた。ちょっと待ってな?タオル取ってくる」
こういう時は、廊下が汚れないように玄関先で体をサッと拭いてから、風呂場に向かう。俺より歳上の兄貴が知らない訳がなくて。
「はい、ここに足乗せて。…あんまり気にすんな?」
顔を上げられない俺と目線が合うようにしてしゃがみ込まれて、腕をさすられたらもう、ダメだった。
「お゛れ、おしっこ済ませるつもり、だったぁ…家出るまえからっ、っふ、」
こんなの言い訳じゃんって思うのに。言葉も涙もポロポロポロポロ。止まんなくて、しゃくり上げてしまう。
「ん、そうだよな。行けなかったんだよな。分かってる分かってる。とりあえずシャワー浴びてきな。風邪ひいちゃうから」
「っ゛、……」
弟達の世話で何度もやってきた、お漏らし後の処置。シャワーで体を流してやって、服も一緒に濯いで。そんで、大丈夫って何度も声かけて、着替えさせてやって。
「おれ、ひとりでするの…?」
無意識だった。キョトンとする兄を見て、とんでもない事言ったって気づいたぐらいに。
「ぁ、っ、ちがう、おれ、こーこーせい、だし、」
じっとりと耳が熱い。汗が背中を伝う。でも、ちょっとだけの、期待。俺も、あんな風に頭を撫でて、体を洗ってもらって、甘えてみたいだなんて、そんなことを考えてしまう。
「ふふっ、いーよ。一緒に入ろう」
手を引かれて、ペタペタと廊下を歩く。
ああ、そうだ。俺も弟だった。
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