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電車事故に巻き込まれている最中におしっこしたくなった元大学生は…?

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「っは、っは、」
 あれから1時間がすぎた。本来なら駅どころか家に着いている。でも今は電車の中。
(おなか、いたい…)
 ずく、ずく…酒を飲んだ日ほど危険な状態ではないけど、不快感は治らない。
(せんぱ…)
いや、先輩に言ってどうするんだよ。閉じ込められた車内でそんなことを言われても、先輩は神様じゃない。先輩だって疲れているだろうし、どうしようもないことを言って迷惑をかけるのだけは嫌だ。幸い俺は今先輩の胸に顔を埋めてる状態。そしてしたい、けど漏れそうなわけではない。
(だいじょうぶ、がまん、がまん…)


『大変お待たせいたしました。ただいまより運転を再開いたします…』
「お、良かったな。うわ、もう8時半じゃん。お前一人暮しだったよな?次で降りて飯食って帰ろーぜ。…高野?ってどうした!?」
驚いたような先輩の顔。あ、ばれたかな。俺が、
「顔真っ青…酔っちゃった?」
「…へ?」
幸いあれからも股間を押さえるほどひっ迫することはなく、パンパンに膨れすぎて痛い下腹を抱えるだけにとどまっている。
「いや…あの…」
「ん?」
「おしっこ…」
「…ああ。もうヤバい、よな」
「いえ、めちゃくちゃ漏れそうではなくて…」
「顔がやべーんだよ。次で降りるぞ」

ノロノロと進んだ電車は止まり、大量の人間がなだれ出る。
「押さえてなくて大丈夫、か?」
「いや、そんなんじゃ、なくて…下腹、いたい…」
腹筋はないのに、そこだけが固まっている。
「っ、とりあえずトイレ…混んでるな…高野、5分くらい歩けるか?この前この辺歩いた時に確か、近くに公園があった気がする。」
「だいじょうぶ、です」
「じゃあ行くか。歩けるか?」
「っはい、」

「よかった、あった…ほら、行ってこい。荷物持っててやるから」
階段を降りて交差点を渡ったら、すぐに見えるカラフルな遊具。といっても街頭に照らされているだけで実際の色はあまりみえないのだけど。
「ありがとう、ございます、」
少し早足気味にそこに入る。便器を見た瞬間、今まで抑えられていたむずむずが急上昇して、慌ててベルトを外し、前をかかげる。
「あれ…」
じょぼぼぼ…そんな音が聞こえると思ったのに、一向に出口からは何も出てこない。
「あれ、ん、ふ…」
 いつものように力を入れても、下腹に負荷がかかって、苦しくなるだけ。
「なんで…」
こんなこと、初めてだ。どうしよう、出ない。
「高野ー?大丈夫かー?」
きっと先輩は間に合ったかどうかを聞いている。でも、それ以前の問題なのだ。
「せんぱい、でないっ、」
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