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あーあ、嫌なものを見た。朝、忘れ物を取りに帰ろうと家に帰った時。俺の衣服に顔を埋め、下をいじっている叔母さんを。あんなことをしてしまう人だから薄々察してはいたけれど、実際に見てしまうとダメージが大きい。もう、あの人の作ったご飯も、あの人が歩いた触ったもの全てが気持ち悪い。
それが引き金になったと言えば言い訳がましいだろうか。あの保健室での一件以来一度もしていなかった失敗をまた、家でするようになってしまった。
ぐしょぐしょの下も、シーツも。どうやって片付けたらいいか分からなくて困惑した。でも、あの人に片づけてもらうのは嫌だったから必死に調べて、防水シーツまで買って。
今まで任せていた洗濯も汚れたシーツと一緒に洗うことにして、一切俺の部屋に入る用事を作らないようにして。最近、家に帰ってきてから食事とトイレと風呂以外はずっと部屋に篭っている。あの人の顔、見たくない。早く1人になりたい、ずっとそればっかり考えている。
「…やば、ちこく…」
朝目が覚めるととっくに家を出る時間はすぎている。今から準備ってなるとギリギリ間に合うかってとこだろう。
いつものように濡れた布団。この時間じゃ回して干すだなんて到底無理。汚いかもしれないけど、家に帰ってきてから何とかしよう。
「あ、おはよう、ございます…」
「遅かったのね。ご飯は?」
「あ、今日はいいです、ごめんなさい、いってきます、」
「洗濯は?今日もどうせおしっこ漏らしたんでしょ?」
「ぁ、…そうだけど…」
「はぁ~ぁ…いきなり反抗期みたいなことするから…恥ずかしいねぇ…小っちゃい子みたいに寝ながらしちゃうなんて…」
頬がカッと熱い。確かに間違ってはいないけど、そんなにはっきり言わなくても良いじゃん。
「家、かえってからするので…おいといてください、」
震える声を絞り出して家を出た瞬間、みっともなく泣いてしまいそうで唇を噛む。俺だって気にしてるのに。別に自分で片づけているんだから、そっとしておいてほしい。口出ししないでほしい、そう思ってしまう俺はやっぱり酷い反抗期なのだろうか。こっちが悪いのだろうか。
「なんで俺のへや、はいったんですか、?」
学校が終わって家に帰ると、リビングの隙間の窓からシーツが揺れているのが見えた。慌てて部屋に戻ると、汚れた服も布団もない。そっとシーツを捲るとキャラクターものの防水シーツが見える。
「何でって…あなたねぇ…おしっこまみれでそのままにしてシミになったらどーすんの。もう一回買うの?それともシミだらけのシーツで寝るの?」
「入ってくんなって、気持ちわりぃんだよ…」
もう何か、全部が嫌だ。言葉が通じない。腹の中がぐちゃぐちゃで、このシーツ、無茶苦茶にしてしまいたい。
「なに、まずはありがとうでしょ!?こっちはあなたの汚れ物を洗ってあげたのよ!?」
「そんなの頼んでねぇし、自分でするって言いましたよね!?」
「あーもぉ…恥ずかしいからって当たらないの…そうやって都合の良い時だけ反抗して…ご飯も、あなたが使ってるシャーペンも、今着てる制服も。1人では揃えられないでしょう」
「そういうことじゃねえって、」
「はいはい。そうやって叫んでるけど結局はおねしょしちゃう下半身なのよね。そんなお子様には、ほら。かわいい飛行機くまさんのおねしょシーツ買ってきてあげたわよ」
「っ゛、~~、」
「あとこれ。もう今日からオムツ履きなさい。おしっこすら我慢できない、未発達なおちんちんに似合うんじゃない?」
「っ、~、もう出てけよ!!」
目の前にある枕を投げつけると、さっきまで饒舌だった口が止まる。そのまま肩を押すと、力の差があるからか、簡単に部屋の外に追い出すことができその瞬間、ドアを閉め鍵もかけた。
(むかつく…)
枕を投げつけたぐらいで怯むなら最初っから放っておいてくれよ。俺の汚れ物も触ったのだろうか。そんで、あの時みたいに、オカズにされたのだろうか。
そう考えてしまうともうダメだった。この家に居たくなくって鞄を持って外に出る。後ろから叔母の声が聞こえたが無視した。
ずっと心臓がどくどくして、変に体が緊張している。ご飯を食べてないからお腹が空いて、でもコンビニで食べ物を見ると気持ち悪くなって結局何も買えなくて。ネカフェもホテルも未成年だから泊まれない。補導されるのも嫌だから、人気のない海辺に腰掛ける。何かもう全部がしんどい。もうここで死んでも何も思わないくらいに。寒くて、ずっとお腹がキリキリと痛い。
(ほけんしつ、いきたい…)
こんな夜中に空いてるはずないのに馬鹿馬鹿しくて笑ってしまう。口角をぎこちなく上げると、ぶわりと涙が滲んだ。あのあったかい部屋に行きたい。先生と話したい。頭、撫でてほしい。早く、朝になってほしい。
それが引き金になったと言えば言い訳がましいだろうか。あの保健室での一件以来一度もしていなかった失敗をまた、家でするようになってしまった。
ぐしょぐしょの下も、シーツも。どうやって片付けたらいいか分からなくて困惑した。でも、あの人に片づけてもらうのは嫌だったから必死に調べて、防水シーツまで買って。
今まで任せていた洗濯も汚れたシーツと一緒に洗うことにして、一切俺の部屋に入る用事を作らないようにして。最近、家に帰ってきてから食事とトイレと風呂以外はずっと部屋に篭っている。あの人の顔、見たくない。早く1人になりたい、ずっとそればっかり考えている。
「…やば、ちこく…」
朝目が覚めるととっくに家を出る時間はすぎている。今から準備ってなるとギリギリ間に合うかってとこだろう。
いつものように濡れた布団。この時間じゃ回して干すだなんて到底無理。汚いかもしれないけど、家に帰ってきてから何とかしよう。
「あ、おはよう、ございます…」
「遅かったのね。ご飯は?」
「あ、今日はいいです、ごめんなさい、いってきます、」
「洗濯は?今日もどうせおしっこ漏らしたんでしょ?」
「ぁ、…そうだけど…」
「はぁ~ぁ…いきなり反抗期みたいなことするから…恥ずかしいねぇ…小っちゃい子みたいに寝ながらしちゃうなんて…」
頬がカッと熱い。確かに間違ってはいないけど、そんなにはっきり言わなくても良いじゃん。
「家、かえってからするので…おいといてください、」
震える声を絞り出して家を出た瞬間、みっともなく泣いてしまいそうで唇を噛む。俺だって気にしてるのに。別に自分で片づけているんだから、そっとしておいてほしい。口出ししないでほしい、そう思ってしまう俺はやっぱり酷い反抗期なのだろうか。こっちが悪いのだろうか。
「なんで俺のへや、はいったんですか、?」
学校が終わって家に帰ると、リビングの隙間の窓からシーツが揺れているのが見えた。慌てて部屋に戻ると、汚れた服も布団もない。そっとシーツを捲るとキャラクターものの防水シーツが見える。
「何でって…あなたねぇ…おしっこまみれでそのままにしてシミになったらどーすんの。もう一回買うの?それともシミだらけのシーツで寝るの?」
「入ってくんなって、気持ちわりぃんだよ…」
もう何か、全部が嫌だ。言葉が通じない。腹の中がぐちゃぐちゃで、このシーツ、無茶苦茶にしてしまいたい。
「なに、まずはありがとうでしょ!?こっちはあなたの汚れ物を洗ってあげたのよ!?」
「そんなの頼んでねぇし、自分でするって言いましたよね!?」
「あーもぉ…恥ずかしいからって当たらないの…そうやって都合の良い時だけ反抗して…ご飯も、あなたが使ってるシャーペンも、今着てる制服も。1人では揃えられないでしょう」
「そういうことじゃねえって、」
「はいはい。そうやって叫んでるけど結局はおねしょしちゃう下半身なのよね。そんなお子様には、ほら。かわいい飛行機くまさんのおねしょシーツ買ってきてあげたわよ」
「っ゛、~~、」
「あとこれ。もう今日からオムツ履きなさい。おしっこすら我慢できない、未発達なおちんちんに似合うんじゃない?」
「っ、~、もう出てけよ!!」
目の前にある枕を投げつけると、さっきまで饒舌だった口が止まる。そのまま肩を押すと、力の差があるからか、簡単に部屋の外に追い出すことができその瞬間、ドアを閉め鍵もかけた。
(むかつく…)
枕を投げつけたぐらいで怯むなら最初っから放っておいてくれよ。俺の汚れ物も触ったのだろうか。そんで、あの時みたいに、オカズにされたのだろうか。
そう考えてしまうともうダメだった。この家に居たくなくって鞄を持って外に出る。後ろから叔母の声が聞こえたが無視した。
ずっと心臓がどくどくして、変に体が緊張している。ご飯を食べてないからお腹が空いて、でもコンビニで食べ物を見ると気持ち悪くなって結局何も買えなくて。ネカフェもホテルも未成年だから泊まれない。補導されるのも嫌だから、人気のない海辺に腰掛ける。何かもう全部がしんどい。もうここで死んでも何も思わないくらいに。寒くて、ずっとお腹がキリキリと痛い。
(ほけんしつ、いきたい…)
こんな夜中に空いてるはずないのに馬鹿馬鹿しくて笑ってしまう。口角をぎこちなく上げると、ぶわりと涙が滲んだ。あのあったかい部屋に行きたい。先生と話したい。頭、撫でてほしい。早く、朝になってほしい。
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