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第四章 ノースの街作り
第116話 マスターギフトホルダーの真実②
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(で、でも、冷遇されているってどんな風に?)
本当に冷遇されているなら、もっと不当に低い待遇でもおかしくないような気がする。
しかし、僕が教会でギフトを授かった時の神父様の反応は、マスターギフトについて知らないように感じた。
<そうですね。本来、マスターギフトの方が優遇されるべきギフトなのですが、あの者達はマスターギフトを過度に恐れ『剣聖』や『魔法士』『鍛冶士』などのギフトホルダーを優遇ギフトと呼ぶくらいには冷遇されている感じでしょうか?>
(えっ? それって冷遇っていうの?)
『剣聖』『魔法士』『鍛冶士』。
どのギフトも優遇されて当たり前のギフトだ。
それらのギフトより優先度が下というだけで冷遇されているというのはなんだか違うような気がする。
<もちろんです。授かったギフトがどのようなギフトなのかも教えて貰えず、マスターギフトを授かった者の多くは冒険者協会に登録し、冒険者として活動を続けていく中で死んでいきます。冷遇ですね~不遇とも言います。教会が授け、権力者が欲しい人材、それはマスターギフトではなく。自分達の手足となって働いてくれる優遇ギフトのみです。むしろ自分の権力を脅かす存在を優遇する訳がないじゃありませんか>
い、言われてみればその通りだ。
しかし、マスターギフトはそこまで警戒するようなギフトなのだろうか?
<まあ、冷遇は言い過ぎかもしれません。しかし、マスターギフトはそれほど強力なギフトなのです。例えば、ハーフエルフの『フォレストマスター』は森全体を意のままに操ることができますし、森で採れるものならなんでも作成することができます。それこそ、やろうと思えば森にいるモンスターや人を操ることだって可能です>
(そ、そういえばそうだったね……)
た、確かに強力だ……。
森にいる限り最強じゃあないか……。
<当然、ノース様の『キノコマスター』も同様です。すべてのキノコを操り生やすことのできるこのギフトは『フォレストマスター』を圧倒することができるほど強力です。ノース様は、なぜ、『キノコマスター』が『フォレストマスター』を圧倒できるほど強力なのだと思いますか?>
(ええっ? それは……)
<ふふふっ、わからないのも無理はありません。『キノコマスター』が他のマスターギフトよりも強力なのは、キノコの胞子が全世界のいたる所に撒かれているからです。つまり、全世界に菌糸によるキノコネットワークが張られているからに他なりません>
驚愕の事実である。
どうやら世界はいつの間にかキノコに支配されていたらしい。
っていうか、キノコネットワークってなに!?
<キノコネットワークとは、キノコの菌糸によるキノコマスターのためのキノコネットワークです。まだ意味はよくわからないでしょうが、キノコマスターが世界を支配するための巨大ネットワークとだけ覚えておいて下さい>
(う、うん……)
とんでもない世界の秘密を知ってしまった気分である。
<しかし、よく考えて見れば、冷遇されていたのではなく本当に知らなかった可能性も僅かにありますね。マスターギフトの使用には条件があります。条件を満たすことができないことには、例えどれほど強力なマスターギフトを持っていようと使うことはできません>
(えっ? 条件なんてあったの?)
初耳なんですけど……。
<ええ、例えばキノコマスターの使用条件は、『夕暮れ時の森に単身で入り自生している毒キノコの前まで向かうこと』です。その条件が満たされない限り、ナビはノース様に文字を浮かべることすらできませんでした>
(ええっ! そうだったの!?)
驚愕の事実再びである。
それって、森に迷わずアベコベの街に到着してれば、下手したら一生ギフトが使用できなかったってこと!?
<はい。その通りです。もしノース様が森で迷い、お腹をすかせて毒キノコの前に立たなければ、下手したら一生発現しなかったかもしれません>
そ、そうだったんだ……。
こんなことはあまり言いたくないけど、迷ってよかった。
<ちなみに強力なマスターギフトほど使用条件が厳しい傾向にあります。例えば、ハーフエルフの持つ『フォレストマスター』の使用条件は、『森の精霊との交流』。普通の人間であれば到底達成不能な条件です>
(そ、そうなんだ……)
そう考えると、まだキノコマスターの条件はまだマシな方なのかもしれない。
まあ、夕暮れ時の森に単身で入り自生している毒キノコの前まで向かうことなんて、殆どあり得ない状況だけど……。
<とまあ、これまでの話を聞いておわかりの通り、国側の人間にマスターギフトホルダーはおりません。まあ、冒険者協会に所属している者や我々のように未開拓の地で細々と暮らしている者は少数ながら存在しますが……>
(な、なるほど……)
確かに、ナビさんの言う通りだ。
それならなんとかなるかもしれない。
(で、でも、少しの間、様子を見ない? 国を興すのはもう少し先でもいいかなと思うんだけど、どうかな?)
そう言うと、ナビさんは珍しく考え込む。
本当に冷遇されているなら、もっと不当に低い待遇でもおかしくないような気がする。
しかし、僕が教会でギフトを授かった時の神父様の反応は、マスターギフトについて知らないように感じた。
<そうですね。本来、マスターギフトの方が優遇されるべきギフトなのですが、あの者達はマスターギフトを過度に恐れ『剣聖』や『魔法士』『鍛冶士』などのギフトホルダーを優遇ギフトと呼ぶくらいには冷遇されている感じでしょうか?>
(えっ? それって冷遇っていうの?)
『剣聖』『魔法士』『鍛冶士』。
どのギフトも優遇されて当たり前のギフトだ。
それらのギフトより優先度が下というだけで冷遇されているというのはなんだか違うような気がする。
<もちろんです。授かったギフトがどのようなギフトなのかも教えて貰えず、マスターギフトを授かった者の多くは冒険者協会に登録し、冒険者として活動を続けていく中で死んでいきます。冷遇ですね~不遇とも言います。教会が授け、権力者が欲しい人材、それはマスターギフトではなく。自分達の手足となって働いてくれる優遇ギフトのみです。むしろ自分の権力を脅かす存在を優遇する訳がないじゃありませんか>
い、言われてみればその通りだ。
しかし、マスターギフトはそこまで警戒するようなギフトなのだろうか?
<まあ、冷遇は言い過ぎかもしれません。しかし、マスターギフトはそれほど強力なギフトなのです。例えば、ハーフエルフの『フォレストマスター』は森全体を意のままに操ることができますし、森で採れるものならなんでも作成することができます。それこそ、やろうと思えば森にいるモンスターや人を操ることだって可能です>
(そ、そういえばそうだったね……)
た、確かに強力だ……。
森にいる限り最強じゃあないか……。
<当然、ノース様の『キノコマスター』も同様です。すべてのキノコを操り生やすことのできるこのギフトは『フォレストマスター』を圧倒することができるほど強力です。ノース様は、なぜ、『キノコマスター』が『フォレストマスター』を圧倒できるほど強力なのだと思いますか?>
(ええっ? それは……)
<ふふふっ、わからないのも無理はありません。『キノコマスター』が他のマスターギフトよりも強力なのは、キノコの胞子が全世界のいたる所に撒かれているからです。つまり、全世界に菌糸によるキノコネットワークが張られているからに他なりません>
驚愕の事実である。
どうやら世界はいつの間にかキノコに支配されていたらしい。
っていうか、キノコネットワークってなに!?
<キノコネットワークとは、キノコの菌糸によるキノコマスターのためのキノコネットワークです。まだ意味はよくわからないでしょうが、キノコマスターが世界を支配するための巨大ネットワークとだけ覚えておいて下さい>
(う、うん……)
とんでもない世界の秘密を知ってしまった気分である。
<しかし、よく考えて見れば、冷遇されていたのではなく本当に知らなかった可能性も僅かにありますね。マスターギフトの使用には条件があります。条件を満たすことができないことには、例えどれほど強力なマスターギフトを持っていようと使うことはできません>
(えっ? 条件なんてあったの?)
初耳なんですけど……。
<ええ、例えばキノコマスターの使用条件は、『夕暮れ時の森に単身で入り自生している毒キノコの前まで向かうこと』です。その条件が満たされない限り、ナビはノース様に文字を浮かべることすらできませんでした>
(ええっ! そうだったの!?)
驚愕の事実再びである。
それって、森に迷わずアベコベの街に到着してれば、下手したら一生ギフトが使用できなかったってこと!?
<はい。その通りです。もしノース様が森で迷い、お腹をすかせて毒キノコの前に立たなければ、下手したら一生発現しなかったかもしれません>
そ、そうだったんだ……。
こんなことはあまり言いたくないけど、迷ってよかった。
<ちなみに強力なマスターギフトほど使用条件が厳しい傾向にあります。例えば、ハーフエルフの持つ『フォレストマスター』の使用条件は、『森の精霊との交流』。普通の人間であれば到底達成不能な条件です>
(そ、そうなんだ……)
そう考えると、まだキノコマスターの条件はまだマシな方なのかもしれない。
まあ、夕暮れ時の森に単身で入り自生している毒キノコの前まで向かうことなんて、殆どあり得ない状況だけど……。
<とまあ、これまでの話を聞いておわかりの通り、国側の人間にマスターギフトホルダーはおりません。まあ、冒険者協会に所属している者や我々のように未開拓の地で細々と暮らしている者は少数ながら存在しますが……>
(な、なるほど……)
確かに、ナビさんの言う通りだ。
それならなんとかなるかもしれない。
(で、でも、少しの間、様子を見ない? 国を興すのはもう少し先でもいいかなと思うんだけど、どうかな?)
そう言うと、ナビさんは珍しく考え込む。
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