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第四章 ノースの街作り
第110話 世界樹の街⑩
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(えっ? なんでエルフのいる収容所に連れてきたの??)
僕、大丈夫って言わなかったけ?
<まあまあ、いいではありませんか。見せたいのはエルフではなく収容所です。さあ中に入りましょう>
(う、うん……)
マッシュルーム兵の案内で収容所の中に通される。
収容所の中は清潔で生活する上で必要な設備が整っていた。
中を進んでいくと、部屋の中に案内される。
『ここがエルフが住む予定の調整部屋です』
どうやらここが、エルフの躾をする調整部屋のようだ。
椅子やテーブル、ベッドにトイレと生活する上で必要な設備がすべて整っている。
「収容所と聞いておりましたが、これは凄いですね……」
「た、確かに、そうですね……」
収容所のはずなのに窓まである。
これじゃあ、この部屋に収容された瞬間、窓を割って逃げてしまうのではないだろうか?
試しに窓ガラスを軽く叩いてみる。
すると、ガラスとは思えない触感がした。
「な、なにこれっ!?」
まるで岩を叩いているかのような触感だ。
全然壊れるような気がしない。
<これはただのガラスではありません。鍛冶を得意とする小人達に作ってもらった『ミスリル製のガラス』です>
「ミ、ミスリル製のガラスっ!?」
驚きのあまり声が出てしまう。
僕の声を聞いたアメリアさんが、唖然とした表情を浮かべた。
ガラスがミスリル製と聞いて驚いているようだ。
「ミ、ミスリル製のガラスですって!?」
「ど、どうやらそうみたいです」
そう言うと、アメリアさんが貴重品を扱うかのようにミスリル製のガラスに触れる。
そして「鑑定」と呟くと、呆然とした表情を浮かべた。
「た、確かにミスリルです。このような希少金属を収容所の窓ガラスとしてはめ込むなんて……」
それについては僕も驚きだ。
というより、さっき、ナビさんはミスリルよりも気になることを言っていた気がする。
(鍛冶を得意とする小人達ってなにっ!? この街、小人が住んでいるの??)
<はい。この街には現在、鍛冶を得意とする小人、妖精、精霊、そしてノース様達、人間、エルフとハーフエルフの六種族が住んでいます>
(いや、聞いてないよ!?)
<はい。いま初めて言いましたから。世界樹は、すべての世界を支えるトネリコの大樹です。現在、世界樹を通じて様々な種族がこの街に移住を始めている最中。安心して下さい。その際、この街は世界樹を含めノース様のものだといい含めております>
(ええっ!? そうなの!?)
僕の知らない所で、話がどんどん進んでいくこの感じ、とても心配だ。
<まあまあ、いいじゃありませんか。いまはそんなことに気を取られることなく、街の視察に全力を尽くしましょう>
(そ、そうだね……)
ナビさんに、そんなことを言われるとは思いもしなかった。
しかし、いまは街の視察を優先すべきだ。
気を切り替えて、次の部屋に案内向かうと、そこには捕えられたエルフ達が二人一組となり、部屋の中で寛いでいた。
「ええっと、こちらからエルフ達の姿が見えているけど、大丈夫なのでしょうか?」
最もな質問だ。
ガラス越しにエルフに視線を向けるも、ガラスの外側にいるエルフがなにかを気にする素振りは見えない。
と、いうよりも、まるで僕達の姿が見えていないかのように振る舞っている。
<ああ、あれはマジックミラー加工をしていますので、こちらからエルフの様子を見ることはできますが、あちら側からこちらを見ることはできません>
(へ、へえ~そうなんだ……)
「どうやら、このガラスにマジックミラーという加工が施されているみたい。こちら側から向こう側を確認することができるけど、向こう側からはそれができないみたいだよ」
「そうなんですか……。それは素晴らしい技術ですね」
「うん。そうだね……」
僕もいま、初めて知ったけど……。
「それにしても、エルフを初めて見ましたが、こうも美しく若々しい外見を持つ種族なんですね……」
「えっ? クロユリさんもハーフエルフなんだけど……」
エルフとハーフエルフはなにか違いがあるのあろうか?
「もちろん、それは存じ上げておりますが、ハーフエルフとエルフでは、まったく種族が異なります。ハーフエルフには、人間の血が混じっていますから、純血のエルフと比べると寿命も異なりますし、耳の形もほとんど人間と変わりません」
「そ、そうなんだ……」
初めて知った。
確かに、なんだか耳が尖っていて、肌も白い。
しかし、あれがエルフか……。
見た目からは湧泉を潰すような一族には見えないな。
そんなことを考えていると、エルフの一人が床にしゃがみ込む。
「えっ? あれはなにをやろうと……」
すると、エルフが急に気張り出した。。
その瞬間、マジックミラーがブラックアウトする。
<失礼致しました。まだ教育の途中のようです>
き、教育?
一体なんの教育だろうか??
あのエルフは急に床に座り込んでなにを……。
すると、なにかを察したかのようにクロユリさんが少し慌てながら呟いた。
「え、ええっと、ノース様? 私はあのような真似、森の中でしていませんからね?」
「あ、あのような真似?」
そう呟くと、アメリアさんはなぜか僕から視線を逸らしこう言った。
「ノ、ノース様? 女性に対して、そんなことを聞くべきではありません」
「う、うん。そうだね?」
なんだか分からないけど、エルフの人達はクロユリさんやアメリアさんを慌てさせるなにかをしたみたいだ。そんな行動を起こさせないように気を付けないと……。
そんなことを思っていると、マッシュルーム兵が『次の場所に案内致します』と看板を上げた。
僕、大丈夫って言わなかったけ?
<まあまあ、いいではありませんか。見せたいのはエルフではなく収容所です。さあ中に入りましょう>
(う、うん……)
マッシュルーム兵の案内で収容所の中に通される。
収容所の中は清潔で生活する上で必要な設備が整っていた。
中を進んでいくと、部屋の中に案内される。
『ここがエルフが住む予定の調整部屋です』
どうやらここが、エルフの躾をする調整部屋のようだ。
椅子やテーブル、ベッドにトイレと生活する上で必要な設備がすべて整っている。
「収容所と聞いておりましたが、これは凄いですね……」
「た、確かに、そうですね……」
収容所のはずなのに窓まである。
これじゃあ、この部屋に収容された瞬間、窓を割って逃げてしまうのではないだろうか?
試しに窓ガラスを軽く叩いてみる。
すると、ガラスとは思えない触感がした。
「な、なにこれっ!?」
まるで岩を叩いているかのような触感だ。
全然壊れるような気がしない。
<これはただのガラスではありません。鍛冶を得意とする小人達に作ってもらった『ミスリル製のガラス』です>
「ミ、ミスリル製のガラスっ!?」
驚きのあまり声が出てしまう。
僕の声を聞いたアメリアさんが、唖然とした表情を浮かべた。
ガラスがミスリル製と聞いて驚いているようだ。
「ミ、ミスリル製のガラスですって!?」
「ど、どうやらそうみたいです」
そう言うと、アメリアさんが貴重品を扱うかのようにミスリル製のガラスに触れる。
そして「鑑定」と呟くと、呆然とした表情を浮かべた。
「た、確かにミスリルです。このような希少金属を収容所の窓ガラスとしてはめ込むなんて……」
それについては僕も驚きだ。
というより、さっき、ナビさんはミスリルよりも気になることを言っていた気がする。
(鍛冶を得意とする小人達ってなにっ!? この街、小人が住んでいるの??)
<はい。この街には現在、鍛冶を得意とする小人、妖精、精霊、そしてノース様達、人間、エルフとハーフエルフの六種族が住んでいます>
(いや、聞いてないよ!?)
<はい。いま初めて言いましたから。世界樹は、すべての世界を支えるトネリコの大樹です。現在、世界樹を通じて様々な種族がこの街に移住を始めている最中。安心して下さい。その際、この街は世界樹を含めノース様のものだといい含めております>
(ええっ!? そうなの!?)
僕の知らない所で、話がどんどん進んでいくこの感じ、とても心配だ。
<まあまあ、いいじゃありませんか。いまはそんなことに気を取られることなく、街の視察に全力を尽くしましょう>
(そ、そうだね……)
ナビさんに、そんなことを言われるとは思いもしなかった。
しかし、いまは街の視察を優先すべきだ。
気を切り替えて、次の部屋に案内向かうと、そこには捕えられたエルフ達が二人一組となり、部屋の中で寛いでいた。
「ええっと、こちらからエルフ達の姿が見えているけど、大丈夫なのでしょうか?」
最もな質問だ。
ガラス越しにエルフに視線を向けるも、ガラスの外側にいるエルフがなにかを気にする素振りは見えない。
と、いうよりも、まるで僕達の姿が見えていないかのように振る舞っている。
<ああ、あれはマジックミラー加工をしていますので、こちらからエルフの様子を見ることはできますが、あちら側からこちらを見ることはできません>
(へ、へえ~そうなんだ……)
「どうやら、このガラスにマジックミラーという加工が施されているみたい。こちら側から向こう側を確認することができるけど、向こう側からはそれができないみたいだよ」
「そうなんですか……。それは素晴らしい技術ですね」
「うん。そうだね……」
僕もいま、初めて知ったけど……。
「それにしても、エルフを初めて見ましたが、こうも美しく若々しい外見を持つ種族なんですね……」
「えっ? クロユリさんもハーフエルフなんだけど……」
エルフとハーフエルフはなにか違いがあるのあろうか?
「もちろん、それは存じ上げておりますが、ハーフエルフとエルフでは、まったく種族が異なります。ハーフエルフには、人間の血が混じっていますから、純血のエルフと比べると寿命も異なりますし、耳の形もほとんど人間と変わりません」
「そ、そうなんだ……」
初めて知った。
確かに、なんだか耳が尖っていて、肌も白い。
しかし、あれがエルフか……。
見た目からは湧泉を潰すような一族には見えないな。
そんなことを考えていると、エルフの一人が床にしゃがみ込む。
「えっ? あれはなにをやろうと……」
すると、エルフが急に気張り出した。。
その瞬間、マジックミラーがブラックアウトする。
<失礼致しました。まだ教育の途中のようです>
き、教育?
一体なんの教育だろうか??
あのエルフは急に床に座り込んでなにを……。
すると、なにかを察したかのようにクロユリさんが少し慌てながら呟いた。
「え、ええっと、ノース様? 私はあのような真似、森の中でしていませんからね?」
「あ、あのような真似?」
そう呟くと、アメリアさんはなぜか僕から視線を逸らしこう言った。
「ノ、ノース様? 女性に対して、そんなことを聞くべきではありません」
「う、うん。そうだね?」
なんだか分からないけど、エルフの人達はクロユリさんやアメリアさんを慌てさせるなにかをしたみたいだ。そんな行動を起こさせないように気を付けないと……。
そんなことを思っていると、マッシュルーム兵が『次の場所に案内致します』と看板を上げた。
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