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第四章 ノースの街作り
第109話 世界樹の街⑨
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<おや、どうやら街を襲撃してきたエルフを捕らえることに成功した見たいですよ?>
マッシュルーム兵がエルフを捕らえに行ってから十数分。
ナビさんが視界に文字を浮かべてくる。
(えっ? もう捕まえたの??)
<はい。いま、マッシュルーム兵が新築の牢屋にエルフを収容中です>
(そ、そうなんだ……)
それにしてもナビさんはエルフを捕らえてなにをさせようというのだろうか?
なんだか凄く気になる。
(それで、ナビさんはエルフを捕まえてどうする気なの?)
<そうですね……。この街に世界樹がある限り、エルフをこのまま放逐するのは危険です。かといって、逃すには労働力が惜しいですし……>
(ろ、労働力!?)
<はい。労働力です。エルフを飼っているというだけで、他国への牽制にもなりますし、あの者達も人族の一種。ですので、エルフにはまず収容所で衛生的な生活を送らせ、同時に躾をすることで徐々にこの街を護るための労働力として働いて貰いたいと思っています>
(し、躾をするの? エルフに対して??)
エルフに対して躾とは、ナビさんは一体、なにを考えているのだろうか?
<ええ、その通りです。エルフは常識がなっていませんからね。まずは、決められたルールを守らせ、それを習慣化させることから始めようと思っています>
(ど、どういうこと?)
いや、本当にどういうこと!?
<どういうこともなにも、躾けられていないエルフは、街で魔法をぶっ放したり、物事が思い通りに進まないと癇癪を起こす厄介な存在です。それだけならまだいいのですが、野生のエルフは決められた場所で排泄する習慣のない小神族ですから……。この街で生活する以上、あちこちで排泄されても困ります。エルフにはまず、トイレとシャワーという衛生面から躾をしないと……>
(な、なるほど……)
どうやらエルフは衛生観念が低いらしい。
<ただ、見栄えだけはいいですからね。いざという時の戦力にもなりますし、悪いようには致しません。躾が終わり次第、エルフ達にもこの街の中で生活を送って貰いたいと思います>
(う、うん。そうだね……)
ナビさんがエルフ達になにをさせるのか気になる所だけど、いま質問するのは止めておこう。
<エルフを見に行きますか?>
(い、いや、大丈夫……)
衛生観念が合わない状態で会いたくはない。
「そ、そんなことより、街を見てまわることにしようかな?」
そうポツリと呟くとアメリアさんが反応する。
「街をですか? そうですね……。オーダー様に報告を上げるにしても、街がどのようになっているか確認しないことには報告一つ上げることができませんし、よろしいのではないでしょうか? 私も着いていきます。それより、エルフの件はよろしいのですか? それに、フォーリッシュ様への報告をすると先程言っていたような……」
「う、うん。エルフについては、マッシュルーム兵が捕らえていま収容所に送ったみたいだから問題ないよ。フォーリッシュ兄様への報告も街の現状が分からないとしようがないでしょ?」
僕の言葉を聞き、アメリアさんがなにやら考え込む。
「……それもそうですね」
結構、考え込んでいたみたいだけど、一体なにを考え込んでいたのだろうか。
……まあいいか。
この街はナビさん監修の下、作られた街。
アメリアさんが考え込んでしまうのもわからないでもない。
アメリアさんにつられて、少しだけ考え込んでいると、クロユリさんが話しかけてくる。
「ノース様! 私もご一緒してもよろしいでしょうか?」
「うん。もちろんだよ。みんなで街を回ろう」
クロユリさんはこの街に世界樹を生やしてくれた張本人だ。
のけ者にするはずがない。
「それじゃあ、まずどこから向かおうか……」
そう呟くと、ナビさんが視界に文字を浮かべてくる。
<街の案内でしたらマッシュルーム兵にさせますよ。ちょっと待っていて下さい>
ナビさんがそう文字を浮かべると、看板を持ったマッシュルーム・ソルジャーが現れた。
看板には、『着いてきて下さい』とただ一言、そう書いてある。
どうやらナビさんが手配してくれたマッシュルーム兵のようだ。
「えっと、マッシュルーム兵が街を案内してくれるみたい。とりあえず、着いていこうか……」
「はい。そうですね……」
「どんな街なのか楽しみです!」
クロユリさんは、街の案内を楽しみにしているようだ。
一方、アメリアさんは不安そうな表情を浮かべている。
どちらかといえば、僕もアメリアさんよりだ。
『それでは、参りましょう』
そう看板に文字を書き直すと、マッシュルーム兵は街の外に向かって歩き出す。
一体、どこに案内する気なのだろうか?
マッシュルーム兵についていくと、大きな白い建物が見えてきた。
この建物は一体なんだろうか?
マッシュルーム兵に視線を向けると、マッシュルーム兵は看板に文字を書いている途中だった。看板に文字を書き終わると、それを僕達に提示する。
『ここは収容所です。先程、捕らえたエルフが収容されています』
この建物は収容所のようだ。
どうやら、先程捕らえたエルフが収容されているらしい。
マッシュルーム兵がエルフを捕らえに行ってから十数分。
ナビさんが視界に文字を浮かべてくる。
(えっ? もう捕まえたの??)
<はい。いま、マッシュルーム兵が新築の牢屋にエルフを収容中です>
(そ、そうなんだ……)
それにしてもナビさんはエルフを捕らえてなにをさせようというのだろうか?
なんだか凄く気になる。
(それで、ナビさんはエルフを捕まえてどうする気なの?)
<そうですね……。この街に世界樹がある限り、エルフをこのまま放逐するのは危険です。かといって、逃すには労働力が惜しいですし……>
(ろ、労働力!?)
<はい。労働力です。エルフを飼っているというだけで、他国への牽制にもなりますし、あの者達も人族の一種。ですので、エルフにはまず収容所で衛生的な生活を送らせ、同時に躾をすることで徐々にこの街を護るための労働力として働いて貰いたいと思っています>
(し、躾をするの? エルフに対して??)
エルフに対して躾とは、ナビさんは一体、なにを考えているのだろうか?
<ええ、その通りです。エルフは常識がなっていませんからね。まずは、決められたルールを守らせ、それを習慣化させることから始めようと思っています>
(ど、どういうこと?)
いや、本当にどういうこと!?
<どういうこともなにも、躾けられていないエルフは、街で魔法をぶっ放したり、物事が思い通りに進まないと癇癪を起こす厄介な存在です。それだけならまだいいのですが、野生のエルフは決められた場所で排泄する習慣のない小神族ですから……。この街で生活する以上、あちこちで排泄されても困ります。エルフにはまず、トイレとシャワーという衛生面から躾をしないと……>
(な、なるほど……)
どうやらエルフは衛生観念が低いらしい。
<ただ、見栄えだけはいいですからね。いざという時の戦力にもなりますし、悪いようには致しません。躾が終わり次第、エルフ達にもこの街の中で生活を送って貰いたいと思います>
(う、うん。そうだね……)
ナビさんがエルフ達になにをさせるのか気になる所だけど、いま質問するのは止めておこう。
<エルフを見に行きますか?>
(い、いや、大丈夫……)
衛生観念が合わない状態で会いたくはない。
「そ、そんなことより、街を見てまわることにしようかな?」
そうポツリと呟くとアメリアさんが反応する。
「街をですか? そうですね……。オーダー様に報告を上げるにしても、街がどのようになっているか確認しないことには報告一つ上げることができませんし、よろしいのではないでしょうか? 私も着いていきます。それより、エルフの件はよろしいのですか? それに、フォーリッシュ様への報告をすると先程言っていたような……」
「う、うん。エルフについては、マッシュルーム兵が捕らえていま収容所に送ったみたいだから問題ないよ。フォーリッシュ兄様への報告も街の現状が分からないとしようがないでしょ?」
僕の言葉を聞き、アメリアさんがなにやら考え込む。
「……それもそうですね」
結構、考え込んでいたみたいだけど、一体なにを考え込んでいたのだろうか。
……まあいいか。
この街はナビさん監修の下、作られた街。
アメリアさんが考え込んでしまうのもわからないでもない。
アメリアさんにつられて、少しだけ考え込んでいると、クロユリさんが話しかけてくる。
「ノース様! 私もご一緒してもよろしいでしょうか?」
「うん。もちろんだよ。みんなで街を回ろう」
クロユリさんはこの街に世界樹を生やしてくれた張本人だ。
のけ者にするはずがない。
「それじゃあ、まずどこから向かおうか……」
そう呟くと、ナビさんが視界に文字を浮かべてくる。
<街の案内でしたらマッシュルーム兵にさせますよ。ちょっと待っていて下さい>
ナビさんがそう文字を浮かべると、看板を持ったマッシュルーム・ソルジャーが現れた。
看板には、『着いてきて下さい』とただ一言、そう書いてある。
どうやらナビさんが手配してくれたマッシュルーム兵のようだ。
「えっと、マッシュルーム兵が街を案内してくれるみたい。とりあえず、着いていこうか……」
「はい。そうですね……」
「どんな街なのか楽しみです!」
クロユリさんは、街の案内を楽しみにしているようだ。
一方、アメリアさんは不安そうな表情を浮かべている。
どちらかといえば、僕もアメリアさんよりだ。
『それでは、参りましょう』
そう看板に文字を書き直すと、マッシュルーム兵は街の外に向かって歩き出す。
一体、どこに案内する気なのだろうか?
マッシュルーム兵についていくと、大きな白い建物が見えてきた。
この建物は一体なんだろうか?
マッシュルーム兵に視線を向けると、マッシュルーム兵は看板に文字を書いている途中だった。看板に文字を書き終わると、それを僕達に提示する。
『ここは収容所です。先程、捕らえたエルフが収容されています』
この建物は収容所のようだ。
どうやら、先程捕らえたエルフが収容されているらしい。
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