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第二章 アベコベの街
第57話 『勇者』ブレイブ①
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翌日、キノコ・キャッスルにクロユリさんを残し、アベコベの街にある拠点に転移した僕は、冒険者協会に向かっていた。
「ううっ……。それにしても昨日は酷い目にあったよ……」
<たしかに、アベコベの街に来てからというものの、トラブル続き……。ノース様は一体どのような星の下産まれてきたのでしょうね?>
「本当にね……」
アベコベの街に着いてからというものの、怪しげな薬品を持たされ実験台にされたり、奴隷商人に騙され奴隷に落とされそうになったり、ぼったくられたりとあまりいいことがない。
<あっ、冒険者協会が見えてきましたよ>
ナビさんがそう視界に文字を浮かべると、冒険者協会の建物が視界に映る。
冒険者協会の中に入り、とりあえず依頼ボードを眺めていると、とんでもない依頼が視界に飛び込んできた。
ランク:A
依頼名:森に突然出現した建築物の調査
報酬額:五千万コル
注意点:超巨大なモンスターであるとの報告もあり
「ねえ、ナビさん。これって……」
<ええ、間違いなくキノコ・キャッスルのことですね。キノコ・キャッスルはこの街から視認できる位、大きな建物ですからね。やはりマキシマム・マッシュルーム・カイザーに変態させたのがまずかったでしょうか?>
「うん。多分ね……」
<しかし、安心して下さい。キノコ・キャッスルは無敵の要塞です。どんな冒険者が調査に来ても容易に追い返すことができます。それにキノコ・キャッスルには、マッシュルーム兵やハーフエルフも住んでいます。戦力的に問題ないでしょう>
「いや、それはそれで問題ある気がするんだけど……」
しかも、この依頼はAランク冒険者に対する依頼のようだ。
Aランク冒険者といえば、超一流といっても過言ではない準人外に与えられるランクである。
そんな冒険者がキノコ・キャッスルを調査しにやってくるのか……。
<まあ問題ないでしょう……あっ>
ナビさんがそう視界に文字を浮かべると、依頼ボードから依頼票が剥がされた。
その依頼票を剥がしたのは、左右で瞳の色が異なるオッドアイの青年。腰に、まるでマッシュルーム・エクスカリバーのように白い剣を差している。
青年は笑みを浮かべると依頼票を持っていってしまった。
<あの人間がキノコ・キャッスルの調査を行うようですね。しかし、Aランク冒険者だかなんだか知りませんが、所詮は人間。マッシュルーム兵相手に人間如きが勝てるはずありません>
ナビさんのその自信はどこから湧いてくるのだろうか。
一応相手は準人外なんだけど……。
まあいいか。
キノコ・キャッスルはマキシマム・マッシュルーム・カイザーに変態可能だし、ナビさんが視界に文字を浮かべた通りあの場所には多くのマッシュルーム兵が埋まっている。
戦力的には問題ないはずだ。
「そうだね……まあAランク冒険者のことはマッシュルーム兵に任せようか……」
そう言って依頼ボードの前から離れると、ポーター志望の冒険者達が並ぶ列に加わる。
<えっ? ノース様、またポーターの仕事をするんですか?>
「うん。依頼ボードに張り出されていた依頼より報酬が高いし、僕が一人でなにかするよりかはいいかなって思ってさ」
<ふむ。確かにそうですね>
依頼ボードに張り出されていたGランク冒険者への依頼には碌なものがなかった。
Gランク冒険者への依頼といえば、汲み取り式便所の掃除や、危険な高所作業、その他雑用がメインとなる。
しかも、依頼料は一律五百コル。
これなら他の冒険者のポーターをやった方がいい。
それに、ポーターの仕事を十回こなせばFランクに昇格することができる。
フラナガン院長に立派な冒険者になると約束した手前、ランク昇格は重要だ。
ポーターの列に並んでいると一人の冒険者が声をかけてきた。
「やあ、そこの君。私のポーターをやらないかい?」
「えっ?」
そう言って顔を上げると、腰に白い剣を差したオッドアイの青年が立っていた。
<げっ……こいつ、キノコ・キャッスルの調査依頼を受けた奴ですよ>
ほ、本当だ。
ど、どうしよう……断った方がいいかな?
<いえ、これはチャンスです! キノコ・キャッスルの調査に同行する振りをして思い切り邪魔してやりましょう>
え、ええっ……。
<なにを迷う必要があるのです? この男はキノコ・キャッスルのことを調べようとしているのですよ? つまり敵です! ここは絶対に同行するべきです!>
た、確かに……。
いきなり調査に来られるよりかは、一緒に同行した方がまだマシか……。
「は、はい! よろしくお願いします!」
僕がそう返答すると男は笑顔を浮かべた。
「そうか。それはよかった。私は『勇者』ブレイブ。君の名を教えてくれないかい?」
「Gランク冒険者のノースです」
「ノースだね。それじゃあ、ノース、早速、着いてきてくれ」
「はい!」
そう返事をするとブレイブを追い冒険者協会を後にした。
キノコ・キャッスルに向かう道中、ブレイブが話しかけてくる。
「いや~、それにしても君がポーターを引き受けてくれて助かったよ」
「えっ? どういう意味ですか?」
そう尋ねると、ブレイブは悪い笑みを浮かべる。
「ううっ……。それにしても昨日は酷い目にあったよ……」
<たしかに、アベコベの街に来てからというものの、トラブル続き……。ノース様は一体どのような星の下産まれてきたのでしょうね?>
「本当にね……」
アベコベの街に着いてからというものの、怪しげな薬品を持たされ実験台にされたり、奴隷商人に騙され奴隷に落とされそうになったり、ぼったくられたりとあまりいいことがない。
<あっ、冒険者協会が見えてきましたよ>
ナビさんがそう視界に文字を浮かべると、冒険者協会の建物が視界に映る。
冒険者協会の中に入り、とりあえず依頼ボードを眺めていると、とんでもない依頼が視界に飛び込んできた。
ランク:A
依頼名:森に突然出現した建築物の調査
報酬額:五千万コル
注意点:超巨大なモンスターであるとの報告もあり
「ねえ、ナビさん。これって……」
<ええ、間違いなくキノコ・キャッスルのことですね。キノコ・キャッスルはこの街から視認できる位、大きな建物ですからね。やはりマキシマム・マッシュルーム・カイザーに変態させたのがまずかったでしょうか?>
「うん。多分ね……」
<しかし、安心して下さい。キノコ・キャッスルは無敵の要塞です。どんな冒険者が調査に来ても容易に追い返すことができます。それにキノコ・キャッスルには、マッシュルーム兵やハーフエルフも住んでいます。戦力的に問題ないでしょう>
「いや、それはそれで問題ある気がするんだけど……」
しかも、この依頼はAランク冒険者に対する依頼のようだ。
Aランク冒険者といえば、超一流といっても過言ではない準人外に与えられるランクである。
そんな冒険者がキノコ・キャッスルを調査しにやってくるのか……。
<まあ問題ないでしょう……あっ>
ナビさんがそう視界に文字を浮かべると、依頼ボードから依頼票が剥がされた。
その依頼票を剥がしたのは、左右で瞳の色が異なるオッドアイの青年。腰に、まるでマッシュルーム・エクスカリバーのように白い剣を差している。
青年は笑みを浮かべると依頼票を持っていってしまった。
<あの人間がキノコ・キャッスルの調査を行うようですね。しかし、Aランク冒険者だかなんだか知りませんが、所詮は人間。マッシュルーム兵相手に人間如きが勝てるはずありません>
ナビさんのその自信はどこから湧いてくるのだろうか。
一応相手は準人外なんだけど……。
まあいいか。
キノコ・キャッスルはマキシマム・マッシュルーム・カイザーに変態可能だし、ナビさんが視界に文字を浮かべた通りあの場所には多くのマッシュルーム兵が埋まっている。
戦力的には問題ないはずだ。
「そうだね……まあAランク冒険者のことはマッシュルーム兵に任せようか……」
そう言って依頼ボードの前から離れると、ポーター志望の冒険者達が並ぶ列に加わる。
<えっ? ノース様、またポーターの仕事をするんですか?>
「うん。依頼ボードに張り出されていた依頼より報酬が高いし、僕が一人でなにかするよりかはいいかなって思ってさ」
<ふむ。確かにそうですね>
依頼ボードに張り出されていたGランク冒険者への依頼には碌なものがなかった。
Gランク冒険者への依頼といえば、汲み取り式便所の掃除や、危険な高所作業、その他雑用がメインとなる。
しかも、依頼料は一律五百コル。
これなら他の冒険者のポーターをやった方がいい。
それに、ポーターの仕事を十回こなせばFランクに昇格することができる。
フラナガン院長に立派な冒険者になると約束した手前、ランク昇格は重要だ。
ポーターの列に並んでいると一人の冒険者が声をかけてきた。
「やあ、そこの君。私のポーターをやらないかい?」
「えっ?」
そう言って顔を上げると、腰に白い剣を差したオッドアイの青年が立っていた。
<げっ……こいつ、キノコ・キャッスルの調査依頼を受けた奴ですよ>
ほ、本当だ。
ど、どうしよう……断った方がいいかな?
<いえ、これはチャンスです! キノコ・キャッスルの調査に同行する振りをして思い切り邪魔してやりましょう>
え、ええっ……。
<なにを迷う必要があるのです? この男はキノコ・キャッスルのことを調べようとしているのですよ? つまり敵です! ここは絶対に同行するべきです!>
た、確かに……。
いきなり調査に来られるよりかは、一緒に同行した方がまだマシか……。
「は、はい! よろしくお願いします!」
僕がそう返答すると男は笑顔を浮かべた。
「そうか。それはよかった。私は『勇者』ブレイブ。君の名を教えてくれないかい?」
「Gランク冒険者のノースです」
「ノースだね。それじゃあ、ノース、早速、着いてきてくれ」
「はい!」
そう返事をするとブレイブを追い冒険者協会を後にした。
キノコ・キャッスルに向かう道中、ブレイブが話しかけてくる。
「いや~、それにしても君がポーターを引き受けてくれて助かったよ」
「えっ? どういう意味ですか?」
そう尋ねると、ブレイブは悪い笑みを浮かべる。
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