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第二章 アベコベの街
第51話 攫われてやってきたハーフエルフの少女④
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「往復生活は混迷を極めました。私達の愛を阻むためモンスターが立ち塞がってきたのです。しかし、モンスター如きにノース様への愛は阻めません。私はお父様の形見である『精霊石』に森の精霊を宿すと、それを撃退し、雨の日も風の日もノース様のご尊顔を拝見するために毎日毎日、通い詰めました……」
「へ、へえ、そうなんだ……」
なんだか怖い話になってきた。
っていうか、そんな暮らしを五年間も送ってきたのっ!?
「そして十歳になる頃、森の精霊から『ギフト』を頂きました。そのギフトの名は『フォレストマスター』。いまいち、よく分かりませんが、この森を操ることのできるギフトのようです。十歳になった私はノース様に褒めて頂きたい一心で十数日間住処に籠り、ギフトを使いこなすための練習を致しました。そして、いざノース様に会うため、ノース様の住む家に赴くと、すでにノース様の姿がありません。私は悲しみに暮れました……すると私の悲しみを察した森の精霊が、ノース様を探すため、森に住むモンスターを動員してくれるというではありませんか!」
<どうやらこのハーフエルフがスタンピードを引き起こした張本人のようですね。森の精霊もこのハーフエルフには激甘のようです>
ほ、本当にね……。
しかも、僕を探すためだけに森のモンスターを動員するとは……。
そんなことを考えている最中もクロユリさんの話は進んでいく。
「しかし……それでもノース様を見つけるには至りません。しかし、悲壮に暮れる私のことを哀れに思った森の精霊が『精霊石』の力を解放し、ノース様の場所を探してくれました……そして、街に向かうその道中、奴隷商人に騙され捕まり、ノース様に助けられて、いまに至るという訳です」
「そ、そうなんだ……随分と頑張ったんだね……」
「はい! ノース様と結ばれるために、怠惰ではいられません♪」
「そ、そう……でも、それだけの力があるならなんで奴隷商人に捕まっちゃったの?」
「それは……お恥ずかしい話ではありますが、『精霊石』が力を失ってしまったためです。私のギフトは強力過ぎるあまり、森の精霊の手助けなしでは使うことができません。それに、精霊の力は現在、ノース様の位置を特定するために使われております……モンスターの制御も『精霊石』なくしてはできません」
「そ、そうなんだ……」
そう相槌を打つと、ナビさんが視界に文字を浮かべてくる。
<えっ? いまこのハーフエルフなんて言いました? モンスターの制御がどうとか言っていませんでしたか?>
そ、そういえば、そんなことを言っていた気が……。
「ね、ねえ、クロユリさん? 森に住むモンスターは、森の精霊が制御していたんだよね?」
「はい。その通りです。森の精霊が私のギフトを制御し、モンスターを操ってくれました。ああ、でもいま外に出るのは危険かもしれません。ノース様を探すためとはいえ、無理矢理、モンスターを制御していましたから……反動で怒り狂っているかも……」
「へ、へえ……そうなんだ……」
そ、それって、かなり不味いんじゃ……。
そんなことを考えていると、地面が揺れ出し外が慌ただしくなってきた。
マッシュルーム・バトラーも僕達にお辞儀をすると、ゆったりとした動作で部屋から出て行ってしまう。
<このハーフエルフ、やってくれましたね。外を見て下さい>
キノコ・キャッスルの外を見るとドラゴンやオーク、ゴブリンといったモンスターがキノコ・キャッスル目掛けて侵攻してくる様子が目に映る。
「ナ、ナビさん! 多くのモンスターがキノコ・キャッスルに向かって……ど、どうしよう!?」
クロユリさんの前ではあるが、いまは緊急事態。
声を出してそう言うと、ナビさんは少し沈黙した後、ギフトポイント100を消費し、キノコマスターの力を開放した。
<これは目立つのであまり使いたくなかったのですが仕方がありません。ギフトポイント100を消費し、キノコマスター、レベル10の力を開放します>
ナビさんがそう文字を浮かべると、キノコ・キャッスルに激震が走る。
「えっ! い、一体なにが起こっていますの!?」
「クロユリさんも、なにかに掴まっていて下さい!」
「は、はい! わかりましたわ。ノース様!」
クロユリさんはそう言うと、なぜか僕の腕に掴まった。
「えっ、ちょっと!」
僕がそう叫ぶと、そのことに対し、ナビさんが視界に怒りの文字を浮かべてくる。
<イチャイチャしてるんじゃねーぞ、コラッ! いまはそんな場合じゃねーんだよ! なにをスタンピードの元凶であるハーフエルフ如きがノース様に触っとるんじゃい! 時と場合を考えろやコラッ!>
ナビさんがそう視界に文字を表示させると、謎の威圧感が伝わったのか、クロユリさんが俺の腕を放した。
<さあ、ノース様! キノコマスターの力で進化したキノコ・キャッスル……通称マキシマム・マッシュルーム・カイザーがいればもう安心です。いまの内に精霊石をっ!>
「精霊石をって、どうすればいいの!? その前に、マキシマム・マッシュルーム・カイザーってなにっ!?」
僕がそう叫ぶと、ナビさんが視界に文字を浮かべてくる。
<マキシマム・マッシュルーム・カイザーは、キノコマスターレベル10の力により、キノコ・キャッスル自体が巨大化し人型となったキノコ界の決戦兵器です。マッシュルーム・エクスカリバーとイージスを持って戦います>
「滅茶苦茶物騒な兵器じゃないかぁぁぁぁ!」
僕がそう呟くと、足元に更なる激震が走った。
「へ、へえ、そうなんだ……」
なんだか怖い話になってきた。
っていうか、そんな暮らしを五年間も送ってきたのっ!?
「そして十歳になる頃、森の精霊から『ギフト』を頂きました。そのギフトの名は『フォレストマスター』。いまいち、よく分かりませんが、この森を操ることのできるギフトのようです。十歳になった私はノース様に褒めて頂きたい一心で十数日間住処に籠り、ギフトを使いこなすための練習を致しました。そして、いざノース様に会うため、ノース様の住む家に赴くと、すでにノース様の姿がありません。私は悲しみに暮れました……すると私の悲しみを察した森の精霊が、ノース様を探すため、森に住むモンスターを動員してくれるというではありませんか!」
<どうやらこのハーフエルフがスタンピードを引き起こした張本人のようですね。森の精霊もこのハーフエルフには激甘のようです>
ほ、本当にね……。
しかも、僕を探すためだけに森のモンスターを動員するとは……。
そんなことを考えている最中もクロユリさんの話は進んでいく。
「しかし……それでもノース様を見つけるには至りません。しかし、悲壮に暮れる私のことを哀れに思った森の精霊が『精霊石』の力を解放し、ノース様の場所を探してくれました……そして、街に向かうその道中、奴隷商人に騙され捕まり、ノース様に助けられて、いまに至るという訳です」
「そ、そうなんだ……随分と頑張ったんだね……」
「はい! ノース様と結ばれるために、怠惰ではいられません♪」
「そ、そう……でも、それだけの力があるならなんで奴隷商人に捕まっちゃったの?」
「それは……お恥ずかしい話ではありますが、『精霊石』が力を失ってしまったためです。私のギフトは強力過ぎるあまり、森の精霊の手助けなしでは使うことができません。それに、精霊の力は現在、ノース様の位置を特定するために使われております……モンスターの制御も『精霊石』なくしてはできません」
「そ、そうなんだ……」
そう相槌を打つと、ナビさんが視界に文字を浮かべてくる。
<えっ? いまこのハーフエルフなんて言いました? モンスターの制御がどうとか言っていませんでしたか?>
そ、そういえば、そんなことを言っていた気が……。
「ね、ねえ、クロユリさん? 森に住むモンスターは、森の精霊が制御していたんだよね?」
「はい。その通りです。森の精霊が私のギフトを制御し、モンスターを操ってくれました。ああ、でもいま外に出るのは危険かもしれません。ノース様を探すためとはいえ、無理矢理、モンスターを制御していましたから……反動で怒り狂っているかも……」
「へ、へえ……そうなんだ……」
そ、それって、かなり不味いんじゃ……。
そんなことを考えていると、地面が揺れ出し外が慌ただしくなってきた。
マッシュルーム・バトラーも僕達にお辞儀をすると、ゆったりとした動作で部屋から出て行ってしまう。
<このハーフエルフ、やってくれましたね。外を見て下さい>
キノコ・キャッスルの外を見るとドラゴンやオーク、ゴブリンといったモンスターがキノコ・キャッスル目掛けて侵攻してくる様子が目に映る。
「ナ、ナビさん! 多くのモンスターがキノコ・キャッスルに向かって……ど、どうしよう!?」
クロユリさんの前ではあるが、いまは緊急事態。
声を出してそう言うと、ナビさんは少し沈黙した後、ギフトポイント100を消費し、キノコマスターの力を開放した。
<これは目立つのであまり使いたくなかったのですが仕方がありません。ギフトポイント100を消費し、キノコマスター、レベル10の力を開放します>
ナビさんがそう文字を浮かべると、キノコ・キャッスルに激震が走る。
「えっ! い、一体なにが起こっていますの!?」
「クロユリさんも、なにかに掴まっていて下さい!」
「は、はい! わかりましたわ。ノース様!」
クロユリさんはそう言うと、なぜか僕の腕に掴まった。
「えっ、ちょっと!」
僕がそう叫ぶと、そのことに対し、ナビさんが視界に怒りの文字を浮かべてくる。
<イチャイチャしてるんじゃねーぞ、コラッ! いまはそんな場合じゃねーんだよ! なにをスタンピードの元凶であるハーフエルフ如きがノース様に触っとるんじゃい! 時と場合を考えろやコラッ!>
ナビさんがそう視界に文字を表示させると、謎の威圧感が伝わったのか、クロユリさんが俺の腕を放した。
<さあ、ノース様! キノコマスターの力で進化したキノコ・キャッスル……通称マキシマム・マッシュルーム・カイザーがいればもう安心です。いまの内に精霊石をっ!>
「精霊石をって、どうすればいいの!? その前に、マキシマム・マッシュルーム・カイザーってなにっ!?」
僕がそう叫ぶと、ナビさんが視界に文字を浮かべてくる。
<マキシマム・マッシュルーム・カイザーは、キノコマスターレベル10の力により、キノコ・キャッスル自体が巨大化し人型となったキノコ界の決戦兵器です。マッシュルーム・エクスカリバーとイージスを持って戦います>
「滅茶苦茶物騒な兵器じゃないかぁぁぁぁ!」
僕がそう呟くと、足元に更なる激震が走った。
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