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第二章 アベコベの街
第44話 ぼったくられるキノコマスター①
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「百万コル……」
拳一つ分のブルースライム一個を買い取って貰っただけで、もう数年働かなくても生きていけるだけの大金を手にしてしまった。
通帳を手にしてそう呟くやくと、ナビさんが視界に文字を浮かべてくる。
<いや、それはノース様だけですよ? 普通、そんな金額で数年間も生きてられませんからね?>
そんなはずがないだろうと言いたい。
百コルあれば、黒パンと少量の塩が買える。
山菜は森から取ってくればいいし楽勝だ。
<ノース様はもう少し贅沢をしていいと思います。なんだか聞いているだけで悲しい気分になってきました……>
えっ?
僕、そんな悲しくなるようなこと言っただろうか?
まあ、ナビさんのことは放っておこう。
協会証と通帳をポケットにしまう振りをして『次元収納』に収めると、受付員のユノさんに再度お礼を言う。
「それでは、ありがとうございました!」
「はい。またのお越しをお待ちしております」
受付員のユノさんに手を振ると、冒険者協会を後にする。
やはり、百万コルを現金で持っているのと、そうでないのとでは気分が違う。
<それで、これからどうするんですか? もうキノコ・キャッスルに帰ります?>
「うーん。どうしようかな?」
いまの時間は午後二時。
キノコ・キャッスルに帰るにはまだ早い。
<それでは街で食事なんていかがでしょうか。ノース様はこの街に来てからというものの、この街の食べ物を一度も食べていないですよね?>
「食事か……」
そういえばそうだ。
丁度、お腹も空いてきた。
いつもキノコしか食べてないし、折角なので、この街の食を楽しむことにしよう。
『次元収納』から『冒険者協会のしおり』を取り出すと、この辺りにある食事処を探していく。
すると、『食事処ぼったくり』という食事処を見つけた。なんだかよく分からないけど、チェックマークが付いている。
<ノース様? まさかとは思いますが、『食事処ぼったくり』に行こうとか考えていませんよね?>
えっ、なにかまずいだろうか?
『冒険者協会のしおり』に載ってるし、チェックマークが付いているということは、多分、冒険者協会お薦めの食事処的な意味合いだと思うんだけど……。
そんなことを思っていると、ナビさんが視界に文字を浮かべてくる。
<(*´Д`)=3ハァ…… ノース様は常識を知らないようですね……まあ、これも経験です。一度、この『食事処ぼったくり』で食事をして身をもって常識を知るのもいいでしょう>
なんだか酷い言われようだ。
まあいいか。お腹も減ったし、この『食事処ぼったくり』に行ってみよう。
『冒険者協会のしおり』を頼りに『食事処ぼったくり』に向かうと、そこには『名ばかり平民が経営する食事処ぼったくり』と書かれた板が外に飾られていた。
「お邪魔します……」
そう言って中に入ると腰の低そうな店主さんが出迎えてくれた。
「おおっ、これはこれは、どうぞお好きな席に座って下さい!」
「あ、はい。それじゃあここに……」
そういって、近くの席に座ると、店主さんが水の入ったコップをテーブルに置いた。
「こちらはお通しとなります。メニュー表をお持ちしましたので、メニュー表からお好きな料理をお選び下さい」
「はい。ありがとうございます」
店主さんからメニュー表を受け取ると、お通しという名のスープが目の前に置かれる。
「このお通しってなんですか?」
「これは料理を出すまでの間の繋ぎです。サービスですので、どうぞ遠慮なく」
「サービスですか、ありがとうございます」
流石は街の食事処。
利用するのは初めてだけど、サービスがとてもいい。
メニュー表を見ると、そこには様々な料理の絵が書かれていた。
どれも美味しそうだ。
<ノース様……ちゃんとメニューを見ていますか? 料理すべてに時価って書かれていますよ>
「えっ?」
メニュー表を見てみると、小さい文字で時価と書かれている。
時価ってなんだろうか?
「すいません。時価ってなんですか? すべての料理に書かれているみたいなんですが……」
「ああ、時価って書かれると怖いですよね。でも安心して下さい。リーズナブルな料金設定になっていますから」
「そうなんですか……、それじゃあこのサンドイッチをください」
「はい。サンドイッチですね。少々、お待ち下さい!」
僕がサンドイッチを注文すると、ナビさんが視界に文字を浮かべてくる。
<えっ? いいんですかノース様!? あんな質問の回答にもなってないようなことで納得して!? 全然、説明になっていませんでしたよ!?>
「う、うん。でも、もう注文しちゃったし……」
<(*´Д`)=3ハァ…… ノース様のことが心配になってきましたよ……>
ナビさんと雑談をしていると、「お待たせしました」と店主さんが、先程注文したサンドイッチと共にやってくる。
「こちらが当店自慢のサンドイッチ、ぼったくりサンドです」
「ぼったくりサンドですか、とても美味しそうですね!」
これがサンドイッチか……初めて食べるけど、どんな味がするんだろう?
出されたお手拭きで手を拭うと、サンドイッチを手に取り口に運んでいく。
拳一つ分のブルースライム一個を買い取って貰っただけで、もう数年働かなくても生きていけるだけの大金を手にしてしまった。
通帳を手にしてそう呟くやくと、ナビさんが視界に文字を浮かべてくる。
<いや、それはノース様だけですよ? 普通、そんな金額で数年間も生きてられませんからね?>
そんなはずがないだろうと言いたい。
百コルあれば、黒パンと少量の塩が買える。
山菜は森から取ってくればいいし楽勝だ。
<ノース様はもう少し贅沢をしていいと思います。なんだか聞いているだけで悲しい気分になってきました……>
えっ?
僕、そんな悲しくなるようなこと言っただろうか?
まあ、ナビさんのことは放っておこう。
協会証と通帳をポケットにしまう振りをして『次元収納』に収めると、受付員のユノさんに再度お礼を言う。
「それでは、ありがとうございました!」
「はい。またのお越しをお待ちしております」
受付員のユノさんに手を振ると、冒険者協会を後にする。
やはり、百万コルを現金で持っているのと、そうでないのとでは気分が違う。
<それで、これからどうするんですか? もうキノコ・キャッスルに帰ります?>
「うーん。どうしようかな?」
いまの時間は午後二時。
キノコ・キャッスルに帰るにはまだ早い。
<それでは街で食事なんていかがでしょうか。ノース様はこの街に来てからというものの、この街の食べ物を一度も食べていないですよね?>
「食事か……」
そういえばそうだ。
丁度、お腹も空いてきた。
いつもキノコしか食べてないし、折角なので、この街の食を楽しむことにしよう。
『次元収納』から『冒険者協会のしおり』を取り出すと、この辺りにある食事処を探していく。
すると、『食事処ぼったくり』という食事処を見つけた。なんだかよく分からないけど、チェックマークが付いている。
<ノース様? まさかとは思いますが、『食事処ぼったくり』に行こうとか考えていませんよね?>
えっ、なにかまずいだろうか?
『冒険者協会のしおり』に載ってるし、チェックマークが付いているということは、多分、冒険者協会お薦めの食事処的な意味合いだと思うんだけど……。
そんなことを思っていると、ナビさんが視界に文字を浮かべてくる。
<(*´Д`)=3ハァ…… ノース様は常識を知らないようですね……まあ、これも経験です。一度、この『食事処ぼったくり』で食事をして身をもって常識を知るのもいいでしょう>
なんだか酷い言われようだ。
まあいいか。お腹も減ったし、この『食事処ぼったくり』に行ってみよう。
『冒険者協会のしおり』を頼りに『食事処ぼったくり』に向かうと、そこには『名ばかり平民が経営する食事処ぼったくり』と書かれた板が外に飾られていた。
「お邪魔します……」
そう言って中に入ると腰の低そうな店主さんが出迎えてくれた。
「おおっ、これはこれは、どうぞお好きな席に座って下さい!」
「あ、はい。それじゃあここに……」
そういって、近くの席に座ると、店主さんが水の入ったコップをテーブルに置いた。
「こちらはお通しとなります。メニュー表をお持ちしましたので、メニュー表からお好きな料理をお選び下さい」
「はい。ありがとうございます」
店主さんからメニュー表を受け取ると、お通しという名のスープが目の前に置かれる。
「このお通しってなんですか?」
「これは料理を出すまでの間の繋ぎです。サービスですので、どうぞ遠慮なく」
「サービスですか、ありがとうございます」
流石は街の食事処。
利用するのは初めてだけど、サービスがとてもいい。
メニュー表を見ると、そこには様々な料理の絵が書かれていた。
どれも美味しそうだ。
<ノース様……ちゃんとメニューを見ていますか? 料理すべてに時価って書かれていますよ>
「えっ?」
メニュー表を見てみると、小さい文字で時価と書かれている。
時価ってなんだろうか?
「すいません。時価ってなんですか? すべての料理に書かれているみたいなんですが……」
「ああ、時価って書かれると怖いですよね。でも安心して下さい。リーズナブルな料金設定になっていますから」
「そうなんですか……、それじゃあこのサンドイッチをください」
「はい。サンドイッチですね。少々、お待ち下さい!」
僕がサンドイッチを注文すると、ナビさんが視界に文字を浮かべてくる。
<えっ? いいんですかノース様!? あんな質問の回答にもなってないようなことで納得して!? 全然、説明になっていませんでしたよ!?>
「う、うん。でも、もう注文しちゃったし……」
<(*´Д`)=3ハァ…… ノース様のことが心配になってきましたよ……>
ナビさんと雑談をしていると、「お待たせしました」と店主さんが、先程注文したサンドイッチと共にやってくる。
「こちらが当店自慢のサンドイッチ、ぼったくりサンドです」
「ぼったくりサンドですか、とても美味しそうですね!」
これがサンドイッチか……初めて食べるけど、どんな味がするんだろう?
出されたお手拭きで手を拭うと、サンドイッチを手に取り口に運んでいく。
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