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第一章 キノコマスター

第25話 ギフトレベルが上がったら、スキルまで手に入れることができました

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「お、終わったぁ~!」

 マッシュルーム・アサシンが街に向かってから数時間。
 ナビさんのチュートリアルが終わり、窓から街のある方向に視線を向けるといつの間にか日が暮れていた。
 夕日が眩しく街と森を照らしている。

 チュートリアル中、心配で心配でしょうがなかったスタンピードも、マッシュルーム・アサシンの活躍によりなんとか収まったようだ。

「ナビさん。街を助けてくれてありがとう」

 俺がそうお礼を言うと、ナビさんは照れたように視界に文字を浮かべた。

 <いえいえ、ナビは当然のことをしたまでです。でも、もっと、褒めてくれてもいいですよ⁄(⁄ ⁄•⁄ω⁄•⁄ ⁄)⁄テレテレ>

「うん。なんていうか……ナビさんは通常運転だね」

 しかし、ナビさんのお陰で街が助かったのは事実。なにかお礼をしたいのだけど……。

 <お礼ですか? それなら、マッシュルーム・アサシンが狩ってきたモンスターでギフトレベルを上げてくれるだけでいいですよ?>

「うわっ、心を読まれた」

 これだからナビさんは油断ならない。
 でも、街一つ助けてくれたお礼がギフトレベルを上げることでいいなら願ったりかなったりだ。

「うん。それじゃあ、マッシュルーム・アサシンが帰ってきたら、ギフトレベルを上げようか」

 スタンピードの脅威から救われた街を窓から眺めながらそういうと、丁度、マッシュルーム・アサシンが戻ってきたのが見える。

 <マッシュルーム・アサシンが戻ってきたようですね。それじゃあ、早速、ギフトレベルを上げましょう>

「え、ええっ、もうギフトレベルを上げるの!?」

 <はい。それでは、外に行きましょう>

「う、うん……」

 まさかこんなに早く、マッシュルーム・アサシンが戻ってくるとは思いもしなかった。
 ナビさんに責付かれるがまま、キノコ・キャッスルの外に出ると、そこには大小様々なモンスターが積み上げられていた。
 その中には見たことのない巨大なモンスターも含まれている。

「こ、これは……」

 積み上げられたモンスターを前に唖然とした表情を浮かべていると、ナビさんが視界に文字を表示する。

 <おおっ、これはドラゴンですね>

「ド、ドラゴン……本当に存在したんだ……」

 ドラゴンとは、主にダンジョンの最下層に存在するとされる有翼で火を噴く巨大なトカゲ型のモンスターだ。
 ドラゴンなんて絵本でしか見たことがない存在。
 そのドラゴンが、屍となった他のモンスターと同じく積み上げられていた。

 <さて、早速、ギフトレベルを上げましょう>

「う、うん」

 そう呟くと、視界の端にナビさんの言葉が表示される。

 <魔石を使用しますか?>

 当然、イエスである。

「それじゃあ、お願い」

 <わかりました。それではモンスターの体内にある魔石を使用します>

 すると、モンスターの胸の辺りが陥没し、モンスターから魔石が消えていく。
 そして、視界の両端から不思議な円錐状の物が姿を表すと、突然爆発し、円錐状の物からなにかが射出された。

 <トゥットゥルー♪ おめでとうございます! ギフトレベルが4から10となりました。次のキノコが一覧に追加されます>

 <ギフト>
 キノコマスター
 レベル:10
 ギフトポイント:1200(1000+20×10)
 ※毎日、正午にレベルに応じてポイントが加算

 <キノコ④>
 マッシュルーム・ブルンツヴィーク(100)
 マッシュルーム・トライデント(100)
 マッシュルーム・フライングカー(100)

 <キノコ⑥>
 マッシュルーム・ナイト(100)
 マッシュルーム・マジシャン(100)
 マッシュルーム・アプレイザー(100)
 マッシュルーム・ドライバー(10)

 <また、ギフトレベルが10になったことにより、次のスキルを取得しました>

 <スキル>
 鑑定
 剣術
 暗殺術
 家事
 魔術
 空間転移
 次元収納

「なんだか、キノコだけじゃなくスキルまで生えてきたんだけど……」

 <はい。レベル10は一つの境目です。これまで召喚したマッシュルーム兵の力をノース様も使えるようになります>

 ま、マジでか……。

 <はい。マジです。『鑑定』は『鑑定士』のギフトを持つ者のスキルで、『剣術』は『剣士』の持つスキル、『暗殺術』は『暗殺者』の持つスキルで、『家事』は『執事』の持つスキルです。その他にも様々なスキルが発現しております>

 前々から思っていたけど、『キノコマスター』って、かなりチートなギフトなんじゃないだろうか……。

 <いまさら気付いたんですか? そうですよ。キノコマスターは『マスターギフト』の内の一つです。チートなギフトですよ。チートなギフト>

「や、やっぱりそうなんだ……」

 我ながら恐ろしいギフトを賜ってしまった。

 <まあ、そんなノース様の心配事は置いておいて、それでは早速、新たなるマッシュルーム兵を召喚しましょう>

 視界の端にナビさんがそう文字を表示させると、視界の端に次々と文字が並んでいく。

 <ギフトポイントを100消費し、マッシュルーム・ブルンツヴィークを作成しました>
 <ギフトポイントを100消費し、マッシュルーム・トライデントを作成しました>
 <ギフトポイントを500消費し、マッシュルーム・ナイトを五体作成しました>
 <ギフトポイントを400消費し、マッシュルーム・マジシャンを四体作成しました>
 <ギフトポイントを100消費し、マッシュルーム・アプレイザーを一体作成しました>
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