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第一章 キノコマスター
第17話 教えてナビさん①
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「仕方がないでしょ! 孤児院じゃそんなことは教わらなかったし、ギフトを授かったのだって初めてのことだったんだから!」
<あー言われてみればそうでしたね。いやー知りませんでした。まさか、ノース様が常識知らずな上、ギフト知らずだったとは……しかし、ナビがついている以上、安心です>
「えっ? なにが? 今のところ不安しかないんだけど……」
正直、安心できる点が今のところ、なに一つない。
<まあまあ、ノース様の不安もナビにかかればチョチョイのチョイです。ギフトレベルを上げる傍らノース様には常識を学んで頂きましょう>
「じ、常識っ!?」
ナビさんが教えてくれる常識!?
だ、大丈夫だろうか?
それは本当に一般に通じるような常識なのだろうか?
<はい。泥舟に乗った気分でお聞き下さい>
「ど、泥舟?」
聞いたことのない言葉だ。
泥舟とは一体なんなのだろうか?
<はい。泥舟とは、泥で作った、すぐに沈んでしまいそうな船のことをいい、比喩的に、すぐダメになりそうな計画や組織などの例えとして用いられています。ナビによる履修を終えた暁には、『それ沈んじゃうから』といったノリツッコミや、いまの時代に沿った一般常識を身に付けていることでしょう>
い、いや、別にそんなノリツッコミ身に付けたくないんだけど……。
ナビさんによる一般常識の履修……もの凄く心配だ。
<そうですか? まあ、ノース様の所感は置いておいて、早速、一般常識を学びましょう>
「えっ? いまからっ!?」
<はい。いまからです。時間は有限なんですよ? タイムイズマネー。異世界からやってきた人間の残した格言です。ただでさえ、常識に疎いノース様が街に繰り出したらどうなると思うんですか?>
「そ、そんなこと言ったって……僕、これでもちゃんとしてるよ?」
<いいえ、そう思っているのはノース様だけです。考えても見て下さい。普通の人は、標識の矢印が森の中を指していたとしても、矢印通りに進みはしません>
それを言われてしまうとぐうの音もでない。
<わかって頂けたようですね。それでは、これからノース様には一般常識を学んでもらいます。準備はいいですね?>
「えっ、ちょっと待って……」
僕がそう呟くと、ピコンという音が頭の中に鳴り響く。
そして、視界に文字が浮かび上がってきた。
<チュートリアル:ナビの教育学習① ~ナビの知ってる一般常識編~ を開始します>
僕が言いかけた時には、もう遅く。視界がブラックアウトすると、頭の中に謎の音楽と映像が流れ込んできた。
『三、二、一、どっか~ん! わーい♪ 教えてナビさん』
『お~い、みんなあつまれ~。教えてナビさんの時間だよ~! 今日は特別に、ナビの知ってる一般常識について教えてあげちゃいます』
とてもコミカルでテンポのいい音と共に、可愛らしいキノコとナビさんと思わしき金髪の女の子が現れる。
「ねえねえ、これってどういうこと? なんで頭の中に音楽と映像が流れてくるの?」
あっ、普通に喋れた。
『なんのことを言っているか分かんないや、ナビは『キノコマスター』のナビゲートシステムだし~』
「っていうか、ナビさんのその姿、なにっ!?」
『えへへ、これはマスコットのキノコ君だよ~』
「いや、そっちじゃなくてっ!」
キノコ君のことはぶっちゃけどうでもいい。
というより、ナビさん喋れたの?
『まあ、そんなことは置いておいて、さて、みんなは一般常識ってなにか知ってるかい……?』
ナビさんがそう言うと、隣にいるマスコットキャラのキノコ君が飛び跳ねながら喋り出す。
『いっぱんじょうしき?』
『そう、一般常識……』
『えー、よくわからないやー。なにしろボク、キノコだし……』
なるほど、いまのナビさんにはなにを言っても無駄のようだ。
質問に答える気がまるでない。
っていうか、キノコ君まで喋れるのっ!?
『それでは、解りやすく説明しましょう。『一般常識』とは、ある社会において『一般』的とされる『常識』。社会を構成する上で当たり前のものとなっている、社会的な価値観、知識、判断力のことをいい、簡単にいえば、誰もが持つ共通の感覚のこと……。つまり、いまのノース様にとって、一番欠けている感覚のことを指します』
いや、余計なお世話だよっ!
『社会に適した常識を欠いている場合、社会生活を送る上で支障をきたすことも多く、いまのノース様が街に赴けば、一般常識の無さから問題を起こしてしまうことは必至、簡単に想像することができます。ですので、まずは、ノース様が知るべき一般的な常識について説明しましょう。ノース様、通貨単位については知っていますね?』
ナビさんがそう言うと、背景がお金の絵柄に変わっていく。
「う、うん。もちろん知っているけど……」
街で使われている通貨単位は『コル』。
一コル、五コル、十コル、五十コル、百コル、五百コルの硬貨と、千コル、五千コル、一万コルの紙幣が通貨として使われている。
『それでは、通貨単位に関する説明は省き、次の説明をすることに致しましょう』
<あー言われてみればそうでしたね。いやー知りませんでした。まさか、ノース様が常識知らずな上、ギフト知らずだったとは……しかし、ナビがついている以上、安心です>
「えっ? なにが? 今のところ不安しかないんだけど……」
正直、安心できる点が今のところ、なに一つない。
<まあまあ、ノース様の不安もナビにかかればチョチョイのチョイです。ギフトレベルを上げる傍らノース様には常識を学んで頂きましょう>
「じ、常識っ!?」
ナビさんが教えてくれる常識!?
だ、大丈夫だろうか?
それは本当に一般に通じるような常識なのだろうか?
<はい。泥舟に乗った気分でお聞き下さい>
「ど、泥舟?」
聞いたことのない言葉だ。
泥舟とは一体なんなのだろうか?
<はい。泥舟とは、泥で作った、すぐに沈んでしまいそうな船のことをいい、比喩的に、すぐダメになりそうな計画や組織などの例えとして用いられています。ナビによる履修を終えた暁には、『それ沈んじゃうから』といったノリツッコミや、いまの時代に沿った一般常識を身に付けていることでしょう>
い、いや、別にそんなノリツッコミ身に付けたくないんだけど……。
ナビさんによる一般常識の履修……もの凄く心配だ。
<そうですか? まあ、ノース様の所感は置いておいて、早速、一般常識を学びましょう>
「えっ? いまからっ!?」
<はい。いまからです。時間は有限なんですよ? タイムイズマネー。異世界からやってきた人間の残した格言です。ただでさえ、常識に疎いノース様が街に繰り出したらどうなると思うんですか?>
「そ、そんなこと言ったって……僕、これでもちゃんとしてるよ?」
<いいえ、そう思っているのはノース様だけです。考えても見て下さい。普通の人は、標識の矢印が森の中を指していたとしても、矢印通りに進みはしません>
それを言われてしまうとぐうの音もでない。
<わかって頂けたようですね。それでは、これからノース様には一般常識を学んでもらいます。準備はいいですね?>
「えっ、ちょっと待って……」
僕がそう呟くと、ピコンという音が頭の中に鳴り響く。
そして、視界に文字が浮かび上がってきた。
<チュートリアル:ナビの教育学習① ~ナビの知ってる一般常識編~ を開始します>
僕が言いかけた時には、もう遅く。視界がブラックアウトすると、頭の中に謎の音楽と映像が流れ込んできた。
『三、二、一、どっか~ん! わーい♪ 教えてナビさん』
『お~い、みんなあつまれ~。教えてナビさんの時間だよ~! 今日は特別に、ナビの知ってる一般常識について教えてあげちゃいます』
とてもコミカルでテンポのいい音と共に、可愛らしいキノコとナビさんと思わしき金髪の女の子が現れる。
「ねえねえ、これってどういうこと? なんで頭の中に音楽と映像が流れてくるの?」
あっ、普通に喋れた。
『なんのことを言っているか分かんないや、ナビは『キノコマスター』のナビゲートシステムだし~』
「っていうか、ナビさんのその姿、なにっ!?」
『えへへ、これはマスコットのキノコ君だよ~』
「いや、そっちじゃなくてっ!」
キノコ君のことはぶっちゃけどうでもいい。
というより、ナビさん喋れたの?
『まあ、そんなことは置いておいて、さて、みんなは一般常識ってなにか知ってるかい……?』
ナビさんがそう言うと、隣にいるマスコットキャラのキノコ君が飛び跳ねながら喋り出す。
『いっぱんじょうしき?』
『そう、一般常識……』
『えー、よくわからないやー。なにしろボク、キノコだし……』
なるほど、いまのナビさんにはなにを言っても無駄のようだ。
質問に答える気がまるでない。
っていうか、キノコ君まで喋れるのっ!?
『それでは、解りやすく説明しましょう。『一般常識』とは、ある社会において『一般』的とされる『常識』。社会を構成する上で当たり前のものとなっている、社会的な価値観、知識、判断力のことをいい、簡単にいえば、誰もが持つ共通の感覚のこと……。つまり、いまのノース様にとって、一番欠けている感覚のことを指します』
いや、余計なお世話だよっ!
『社会に適した常識を欠いている場合、社会生活を送る上で支障をきたすことも多く、いまのノース様が街に赴けば、一般常識の無さから問題を起こしてしまうことは必至、簡単に想像することができます。ですので、まずは、ノース様が知るべき一般的な常識について説明しましょう。ノース様、通貨単位については知っていますね?』
ナビさんがそう言うと、背景がお金の絵柄に変わっていく。
「う、うん。もちろん知っているけど……」
街で使われている通貨単位は『コル』。
一コル、五コル、十コル、五十コル、百コル、五百コルの硬貨と、千コル、五千コル、一万コルの紙幣が通貨として使われている。
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