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第一章 キノコマスター

第14話 『攻撃』のステータスポイントをMAXにすると普通の生活が送れなくなるそうです

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 <改めて、ノース様のステータスがこの世界最弱と名高いスライムにも劣っているということをわかって頂けたでしょうか?>

 僕は複雑な心境を抱えたまま、頷いた。

「う、うん。なんだか釈然としないけど、事実は事実だからね……現状、僕はスライムにも劣る存在みたいだ……」

 普通にショックである。
 賢さはゴブリン以下だし、ステータス全体に至ってはスライムにも劣っている。
 僕を育ててくれた孤児院の院長先生に申し訳がない。

「はぁ……穴があったら入りたい……」

 僕がそう呟くと、ナビさんが嬉々とした絵文字を視界の端に浮かべてくる。

 <いやいや、穴に入ったところでノース様のステータスが最弱である点に変わりはありませんよ~v(≧∇≦)v それより、それより! そのステータスを上げる方法があるといったらどうしますか?>

 ナビさんは、僕のことを一度、ディスらなきゃ気が済まないのだろうか?
 ナビさん本体がここにいたら、ゴブリンにもスライムにも劣る攻撃力でブッ飛ばしているところだ。

 <まあまあ、例えナビのことをブッ飛ばすことができたとして、いまのノース様の攻撃力じゃ、爪楊枝一本折ることもできませんよ>

 いや、失礼すぎるだろう。
 試したことはないけど、流石の僕でも爪楊枝の一本くらい折れる気がする。
 爪楊枝くらい折れるよね?

「……まあ、その話は置いておこうか。それで? ステータスを上げるにはどうしたらいいの?」

 そう質問すると、ナビさんは僕の視界の端に文字を浮かべた。

 <それはね~あのキノコを食べるのさ!>

「あのキノコを?」

 ナビさんが僕の視界に映るキノコを(↓)で指し示すと、文字を浮かべていく。

 <そうだよ~パワーアップタケには、一本食べる毎に、『攻撃』のステータスポイントを10上昇させる効果が、ディフェンスアップタケには、一本食べる毎に、『防御』のステータスポイントを10上昇させる効果が、スピードアップタケには、一本食べる毎に、『素早さ』のステータスポイントを10上昇させる効果が、インテリアップタケには、『賢さ』のステータスポイントを10上昇させる効果が、そして、マジックパワーアップタケには、『魔力』のステータスポイントを10上昇させる効果があるんだよ~すごいでしょ、すごいでしょ♪>

 確かに、食べるだけでそれだけステータスポイントを上昇させることができるのはすごい。

「パワーアップタケとかに、ステータスポイントを上昇させる効果があるのはわかったけど、そのステータスポイント、どこまで上昇させることができるの?」

 興味本位で質問すると、ナビさんはウキウキとした顔文字を僕の視界の隅に浮かべた。

 <おお、いいね~気分が乗ってきたね~(*≧▽≦)bb ステータスポイントをどこまで上昇できるのかについてだけど、どこまでも上昇させることができるよ~というのは冗談で、実際には9999がステータスの上限になるんだ!>

「そ、そうなんだ……例えば『攻撃』のステータスポイントを上限値一杯まで上昇させた場合、普通に生活を送ることができるの?」

 そう呟くと、ナビさんは僕の視界の端に文字を浮かべる。

 <そうですね~『攻撃』のステータスポイントが私生活に影響を及ぼすのは、大体、2000を超えた辺りでしょうか?>

「2000を超えたらどうなるの?」

 <う~んと、確か、2000を超えるとコップのフチや、木製の箸が握れなくなります。ビスケットを割るのと同じくらいの力を加えただけで、簡単に壊れてしまうから当たり前ですよね~>

「へ、へえ、そうなんだっ……」

 街に住む一般の人達はどうやって生活を送っているのだろうか……?

 <ちなみに3000を超えたら、ドアノブを回すことができなくなります。多分、ドアノブを回した瞬間、バキリと音を立てて壊れると思います。5000を超えたら人と触れ合うのは諦めた方がいいかもしれません。軽めのデコピン一発で頭蓋骨を陥没させることもできますし、ちょっと、石を蹴っただけでバズーカ並の力で跳んでいきますから、ここまできたら存在そのものが兵器みたいなものですよね~>

 いや、全然、笑えないんだけど……。

 <そして上限一杯までステータスポイントを上昇させた場合、もうなにも触ることができなくなります。もう存在そのものが核兵器みたいなものですからしかたがないですよね~。軽く指先を動かすだけでソニックブームが発生し、砂埃を立てれば、散弾銃のように砂埃が飛んでいきます。いや~ここまで来れば、はた迷惑な存在ですよね♪>

「そ、そうなんだ……」

 <でも、2000くらいであれば問題ないと思いますよ? 金属製のコップや箸などを代わりに使えばいいんですから>

「そ、そうだね……」

 確かに、ゴブリンのステータスが、僕のステータスの二千倍であることを考えれば、ここで生活を送る以上、最低限、そのくらいのステータスポイントを持っていないと不安だ。
 ナビさんが言いたいのは、節度を持ってステータスポイントアップ系のキノコを食べるようにと、そういうことだろう。

 とはいえ、いまの話を聞いた以上、『攻撃』以外のステータスポイントの振り方についても考察した方が良さそうだ。

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