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第一章 キノコマスター
第8話 これは何ですか?これは城です
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「えっと、キノコ・キャッスルってなに? なんだか、ヤバそうな名前の施設だと思うんだけど……」
使用するギフトポイントが100と、これまでの中でも断トツで高い。
<使用して見ることをお薦めします>
「そ、そう? 本当に大丈夫なんだよね?」
<はい。まったく問題ありません。それでは、どの辺りにキノコ・キャッスルを作成しますか?>
僕はナビさんを信じ、キノコ・キャッスルの作成をお願いした。
すると、大まかな場所の指定を要求される。
「それじゃあ、キノコ・ハウスの隣りにお願い……」
<わかりました。それでは、キノコ・キャッスルの作成を行います>
視界の端にナビさんがそう文字を表示させると、視界の端に次々と文字が並んでいく。
<ギフトポイントを100消費し、キノコ・キャッスルを作成しました>
<ギフトポイントを30消費し、マッシュルーム・バトラーを三体作成しました>
「ええっ! ち、ちょっと、なにしてくれてるのー!」
いきなり130ポイント使うなんて聞いてないよ?
<いえいえ、これは必要なことです。いま建てたのはキノコ・キャッスル。キノコ・キャッスルにバトラーはつきものです。バトラーなくしてキノコ・キャッスルの管理なんてできる訳がありません>
「いや、キノコ・キャッスルの作成を薦めてきたのナビさんなんだけどー!」
<いえ、決定したのは、ノース様です>
「そうだけれども、すべてのポイントを使うなんて聞いていないよ!?」
<何度も申し上げますが、キノコ・キャッスルを維持するためには、バトラーの力が必要なのです。それとも、ノース様がキノコ・キャッスルの管理をすると、そう仰るのですか?>
「い、いや……それは……」
そう弁解するナビさんに対して、じと目を浮かべると、ナビさんに問いかける。
「……これ、本当に僕のためなんだよね? まさか、早くレベルを上げたいからなんてことはないよね? ねえ??」
僕がそういうと、ナビさんは<…………>とだけ返事をしてきた。
「……ねえ、返事は?」
<返事>
「…………」
「返事は?」と聞いたら<返事>と言葉が返ってきた。
よもやよもやである。
やはり大人は汚い。ナビさんが大人かどうかわからないけど、とんでもない人?である。
<……まあ、よろしいではありませんか。これでノース様も宮殿暮らし。ナビの中の常識では、庶民は皆、宮殿に住んでおります。キノコ・キャッスルを作成したことでようやく、庶民一般の暮らしができるようになったのです>
視界の端にナビさんがそう文字を表示させると、僕は宮殿を見上げた。
キノコの形をしているが、間違いなく宮殿だ。
こんなの孤児院に寄贈された絵本の中でしか見たことがない。
というより……。
「えっ? 街の皆って宮殿に住んでいるの??」
<はい。その通りです。ノース様は孤児院出身でしたので知らないかもしれませんが、街に住む人々は普段、宮殿で怠惰な日常を過ごしています>
「ほ、本当にっ!? 嘘じゃないよね?」
<……ナビの知る常識ではそうなっております>
「し、知らなかった……」
それじゃあ、優遇ギフトを手に入れたウエスト達は、宮殿に住みながら怠惰な日常を送っているわけか……。
<それでは、ノース様。宮殿に参りましょう>
「えっ、まさか、これからここに住むの?」
<はい。当然です。そのためにキノコ・キャッスルを作成したのですから>
「いや、それを薦めたのはナビさんだよねっ!?」
<しかし、作成を決断したのはノース様です>
「ま、まあ、そうなんだけど……」
しかし、孤児院で過ごしてきた僕に宮殿なんて……。
「普段は宮殿の中にいるとしても、寝る時くらい、キノコ・ハウスに戻ってきてもいいでしょ?」
<はい。とはいえ、仕切りのない真隣に、キノコ・キャッスルを建てられては……キノコ・ハウスも数日中に栄養を吸い取られ萎んでしまいます。できるだけ早く、キノコ・キャッスルでの生活に慣れるようにして下さいね?>
「えっ? どういうこと!? もしかして、キノコ・ハウスの隣にキノコ・キャッスルを建てちゃ駄目だったの!?」
<はい。仕切りのない場合、最低でも百メートルは離して頂けませんと……同じ建物同士養分の取り合いをしてしまいますので……>
そういうことは早く言って欲しい。
そうであれば、もっと離したのに……。
「わ、わかったよ……全然、落ち着かないけど、できるだけ善処するよ」
僕がそう呟くと、ガックリ肩を落とした。
折角、キノコ・ハウスでの生活に慣れてきたところだったのに、もうキノコ・ハウスとお別れか……。
一瞬、もう一ハウス、作ればいいのではないかとも思ったが、マッシュルーム・ソルジャーは既に、キノコ・キャッスルの警備を始めている。
今更、これまで消費したギフトポイントを投げ捨てるような真似は、勿体なさすぎてできない。
僕は諦めた表情を浮かべると、森の中にそびえ立つキノコ・キャッスルを見上げた。
「あれ? よく考えてみれば、キノコ・キャッスルの最上階からなら街が見えるんじゃ……」
<はい。キノコ・キャッスルの最上階からであれば、両国を見下ろすことも可能です>
「やっぱりっ!」
それは嬉しい誤算である。
僕はそう声を上げると、早速、キノコ・キャッスルの最上階まで向かうことにした。
使用するギフトポイントが100と、これまでの中でも断トツで高い。
<使用して見ることをお薦めします>
「そ、そう? 本当に大丈夫なんだよね?」
<はい。まったく問題ありません。それでは、どの辺りにキノコ・キャッスルを作成しますか?>
僕はナビさんを信じ、キノコ・キャッスルの作成をお願いした。
すると、大まかな場所の指定を要求される。
「それじゃあ、キノコ・ハウスの隣りにお願い……」
<わかりました。それでは、キノコ・キャッスルの作成を行います>
視界の端にナビさんがそう文字を表示させると、視界の端に次々と文字が並んでいく。
<ギフトポイントを100消費し、キノコ・キャッスルを作成しました>
<ギフトポイントを30消費し、マッシュルーム・バトラーを三体作成しました>
「ええっ! ち、ちょっと、なにしてくれてるのー!」
いきなり130ポイント使うなんて聞いてないよ?
<いえいえ、これは必要なことです。いま建てたのはキノコ・キャッスル。キノコ・キャッスルにバトラーはつきものです。バトラーなくしてキノコ・キャッスルの管理なんてできる訳がありません>
「いや、キノコ・キャッスルの作成を薦めてきたのナビさんなんだけどー!」
<いえ、決定したのは、ノース様です>
「そうだけれども、すべてのポイントを使うなんて聞いていないよ!?」
<何度も申し上げますが、キノコ・キャッスルを維持するためには、バトラーの力が必要なのです。それとも、ノース様がキノコ・キャッスルの管理をすると、そう仰るのですか?>
「い、いや……それは……」
そう弁解するナビさんに対して、じと目を浮かべると、ナビさんに問いかける。
「……これ、本当に僕のためなんだよね? まさか、早くレベルを上げたいからなんてことはないよね? ねえ??」
僕がそういうと、ナビさんは<…………>とだけ返事をしてきた。
「……ねえ、返事は?」
<返事>
「…………」
「返事は?」と聞いたら<返事>と言葉が返ってきた。
よもやよもやである。
やはり大人は汚い。ナビさんが大人かどうかわからないけど、とんでもない人?である。
<……まあ、よろしいではありませんか。これでノース様も宮殿暮らし。ナビの中の常識では、庶民は皆、宮殿に住んでおります。キノコ・キャッスルを作成したことでようやく、庶民一般の暮らしができるようになったのです>
視界の端にナビさんがそう文字を表示させると、僕は宮殿を見上げた。
キノコの形をしているが、間違いなく宮殿だ。
こんなの孤児院に寄贈された絵本の中でしか見たことがない。
というより……。
「えっ? 街の皆って宮殿に住んでいるの??」
<はい。その通りです。ノース様は孤児院出身でしたので知らないかもしれませんが、街に住む人々は普段、宮殿で怠惰な日常を過ごしています>
「ほ、本当にっ!? 嘘じゃないよね?」
<……ナビの知る常識ではそうなっております>
「し、知らなかった……」
それじゃあ、優遇ギフトを手に入れたウエスト達は、宮殿に住みながら怠惰な日常を送っているわけか……。
<それでは、ノース様。宮殿に参りましょう>
「えっ、まさか、これからここに住むの?」
<はい。当然です。そのためにキノコ・キャッスルを作成したのですから>
「いや、それを薦めたのはナビさんだよねっ!?」
<しかし、作成を決断したのはノース様です>
「ま、まあ、そうなんだけど……」
しかし、孤児院で過ごしてきた僕に宮殿なんて……。
「普段は宮殿の中にいるとしても、寝る時くらい、キノコ・ハウスに戻ってきてもいいでしょ?」
<はい。とはいえ、仕切りのない真隣に、キノコ・キャッスルを建てられては……キノコ・ハウスも数日中に栄養を吸い取られ萎んでしまいます。できるだけ早く、キノコ・キャッスルでの生活に慣れるようにして下さいね?>
「えっ? どういうこと!? もしかして、キノコ・ハウスの隣にキノコ・キャッスルを建てちゃ駄目だったの!?」
<はい。仕切りのない場合、最低でも百メートルは離して頂けませんと……同じ建物同士養分の取り合いをしてしまいますので……>
そういうことは早く言って欲しい。
そうであれば、もっと離したのに……。
「わ、わかったよ……全然、落ち着かないけど、できるだけ善処するよ」
僕がそう呟くと、ガックリ肩を落とした。
折角、キノコ・ハウスでの生活に慣れてきたところだったのに、もうキノコ・ハウスとお別れか……。
一瞬、もう一ハウス、作ればいいのではないかとも思ったが、マッシュルーム・ソルジャーは既に、キノコ・キャッスルの警備を始めている。
今更、これまで消費したギフトポイントを投げ捨てるような真似は、勿体なさすぎてできない。
僕は諦めた表情を浮かべると、森の中にそびえ立つキノコ・キャッスルを見上げた。
「あれ? よく考えてみれば、キノコ・キャッスルの最上階からなら街が見えるんじゃ……」
<はい。キノコ・キャッスルの最上階からであれば、両国を見下ろすことも可能です>
「やっぱりっ!」
それは嬉しい誤算である。
僕はそう声を上げると、早速、キノコ・キャッスルの最上階まで向かうことにした。
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