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第一章 キノコマスター
第5話 これはキノコですよね?いえ、それはメインディッシュです
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「ふう~、気持ちよかった……」
ユニットバスから出た僕は、クロウズ・マッシュルームに着替えると、気伸びをしながらそう呟いた。
身体のスッキリ感が半端ではない。
なにもかも、心まで洗われたかのような気分だ。
<それでは、身体も綺麗になったことですし、食事にしましょう>
すると、視界の端にそう表示された。
お腹を擦ると、心なしかクーッという音が聞こえた気がする。
流石はナビさんだ。
僕の体調管理もバッチリである。
「うん。それじゃあ、そうしようかな」
そう呟きながらテーブルの置いてある部屋に向かうと、ナビさんがテーブルに置かれたキノコの説明を始めた。
<本日のお食事は、ミートキノコ一本に、フィッシュキノコ一本、サラダキノコ一本にお口直しのメイプルキノコが一本です。それぞれ、赤、青、緑、黄色のキノコがそれにあたります。では、どうぞ。生でお召し上がり下さい>
「ああ、やっぱりそこは生なんだっ……」
まあ、食べることができるだけ、ありがたい話である。
それぞれのキノコを口に運んでいくと、おおよそ、キノコとは思えない食感と味に僕は驚きの表情を浮かべた。
「こ、これは……もしかして、肉っ!?」
<はい。いま食べたのはミートキノコ。特上ランクの肉に匹敵するキノコ界の霜降りキノコです>
「じ、じゃあ、このフィッシュキノコはっ!?」
<はい。そのフィッシュキノコは、まるで魚のような味をしたキノコです>
「これが魚……」
まるで塩焼きにしたかのような味が口の中一杯に広がってくる。
「じ、じゃあ、このキノコは?」
<はい。そのサラダキノコは、シャキシャキした食感と、サッパリとした口当たりが特徴のキノコで、ビタミンAやビタミンC、ビタミンEを美味しく摂取することができます>
たしかに、おおよそ、キノコとは思えないシャキシャキ感。
ハッキリ言って意味が解らない。でも、とても美味しい。
最後に……。
「あ、甘~い!!」
<はい。それはメイプルキノコです。まるで砂糖や蜂蜜を濃縮したかのような甘味が特徴となっております。噛めば噛むほど、甘い味が口の中に広がるキノコ界の甘味料です>
こんなに甘いものを食べたのは初めてだ。
世間一般の人達はこんなにも美味しいものを毎日食べているのだろうか?
「そ、そういえば、なんでこの家は……」
<キノコ・ハウスです>
「……このキノコ・ハウスは、なんでこんなに明るいの? 蝋燭とかないみたいだけど?」
僕がそういうと、またしてもナビさんは呆れたかのような文字を浮かべた。
<(*´Д`)=3ハァ…… ノース様は世間を知らないようですね……これが世間一般の普通。照明器具というものです。ナビの知る世間一般的な家庭では、蝋燭や灯篭なんて前時代的な物、照明として使っているところはありません>
「そ、そうなんだ……」
それは知らなかった。
孤児院では、蝋燭を光源としていたし、教会でもそうしているみたいだった。
孤児院と世間一般との一般常識の乖離が激しい。
知らないことは、ナビさんに確認するようにしよう。
「そういえば、ナビさんは、僕がいまどこにいるかわかる?」
<キノコ・ハウスの中です。それがどうか致しましたか?>
「い、いや、そういうんじゃなくて……僕、街に向かって森の中を歩いていたんだけど道に迷ってしまったようでね? 僕は早く冒険者になって自立した生活を送りたいんだ」
<なるほど、しかし、冒険者になることと、自立した生活を送ることがどう繋がるのですか? いまも自立した生活を送っているように見えますが……>
脱帽である。
言われてみれば、その通りだ
森の中に家を建て、ナビさんのいう世間一般の人達と同じような生活を送っている。
「で、でも、働かないと……無職っていうのも外聞が悪いし……」
<いまの時代、『働くこと=外聞が良い』という式は成立しません。ノース様は、働くことをどのように考えているのですか? もしかして、働いていない人は社会不適合者であると、そんな見当違いなことを考えていたりしませんか?>
「い、いや、そこまで言ってないけど……」
<では、どのように考えているのかお聞かせ下さい。世間一般で働くことの意味は、生活費を稼ぐことにあります。つまり、働く対価として給料を貰い生活をするのです。もちろん、中には、ギフトを磨いたり、ギフトを用いて社会貢献をすることに働く意味を見出している人もいます。そういった人達がいることを理解した上で、なぜ冒険者協会に加盟し、安い日当を貰って命懸けの仕事をするのか、教えて頂けますか?>
「い、いや、別に命を懸けて仕事をしたい訳じゃ……」
<では、いまのままでも問題ないではありませんか? いま、ノース様がいる場所は、正確には辺境と呼ばれる国の境目にいます。ここに住んで生活を送ることは、国を守ることにも繋がります。もし、ノース様が『働くこと=社会貢献』と思うのであれば、これ以上の社会貢献はないと思うのですが、いかがでしょうか?>
今日のナビさんはよく、文字を浮かべてくる……。
「っていうか、ここ国の境目なのっ!? それに、なんでここに住み生活を送ることが国を守ることに繋がるのさっ?」
<そんなことは決まっています。ノース様のギフト『キノコマスター』にはそれだけの力があるからです。なんでしたら、明日。その力の一端をお見せしましょうか?>
「えっ? 力の一端??」
<はい。ノース様の知らない『キノコマスター』の力、明日の正午、ギフトポイントが貯まり次第、お見せ致します>
ナビさんは、視界の端にそう言葉を表示すると、言葉をきった。
ユニットバスから出た僕は、クロウズ・マッシュルームに着替えると、気伸びをしながらそう呟いた。
身体のスッキリ感が半端ではない。
なにもかも、心まで洗われたかのような気分だ。
<それでは、身体も綺麗になったことですし、食事にしましょう>
すると、視界の端にそう表示された。
お腹を擦ると、心なしかクーッという音が聞こえた気がする。
流石はナビさんだ。
僕の体調管理もバッチリである。
「うん。それじゃあ、そうしようかな」
そう呟きながらテーブルの置いてある部屋に向かうと、ナビさんがテーブルに置かれたキノコの説明を始めた。
<本日のお食事は、ミートキノコ一本に、フィッシュキノコ一本、サラダキノコ一本にお口直しのメイプルキノコが一本です。それぞれ、赤、青、緑、黄色のキノコがそれにあたります。では、どうぞ。生でお召し上がり下さい>
「ああ、やっぱりそこは生なんだっ……」
まあ、食べることができるだけ、ありがたい話である。
それぞれのキノコを口に運んでいくと、おおよそ、キノコとは思えない食感と味に僕は驚きの表情を浮かべた。
「こ、これは……もしかして、肉っ!?」
<はい。いま食べたのはミートキノコ。特上ランクの肉に匹敵するキノコ界の霜降りキノコです>
「じ、じゃあ、このフィッシュキノコはっ!?」
<はい。そのフィッシュキノコは、まるで魚のような味をしたキノコです>
「これが魚……」
まるで塩焼きにしたかのような味が口の中一杯に広がってくる。
「じ、じゃあ、このキノコは?」
<はい。そのサラダキノコは、シャキシャキした食感と、サッパリとした口当たりが特徴のキノコで、ビタミンAやビタミンC、ビタミンEを美味しく摂取することができます>
たしかに、おおよそ、キノコとは思えないシャキシャキ感。
ハッキリ言って意味が解らない。でも、とても美味しい。
最後に……。
「あ、甘~い!!」
<はい。それはメイプルキノコです。まるで砂糖や蜂蜜を濃縮したかのような甘味が特徴となっております。噛めば噛むほど、甘い味が口の中に広がるキノコ界の甘味料です>
こんなに甘いものを食べたのは初めてだ。
世間一般の人達はこんなにも美味しいものを毎日食べているのだろうか?
「そ、そういえば、なんでこの家は……」
<キノコ・ハウスです>
「……このキノコ・ハウスは、なんでこんなに明るいの? 蝋燭とかないみたいだけど?」
僕がそういうと、またしてもナビさんは呆れたかのような文字を浮かべた。
<(*´Д`)=3ハァ…… ノース様は世間を知らないようですね……これが世間一般の普通。照明器具というものです。ナビの知る世間一般的な家庭では、蝋燭や灯篭なんて前時代的な物、照明として使っているところはありません>
「そ、そうなんだ……」
それは知らなかった。
孤児院では、蝋燭を光源としていたし、教会でもそうしているみたいだった。
孤児院と世間一般との一般常識の乖離が激しい。
知らないことは、ナビさんに確認するようにしよう。
「そういえば、ナビさんは、僕がいまどこにいるかわかる?」
<キノコ・ハウスの中です。それがどうか致しましたか?>
「い、いや、そういうんじゃなくて……僕、街に向かって森の中を歩いていたんだけど道に迷ってしまったようでね? 僕は早く冒険者になって自立した生活を送りたいんだ」
<なるほど、しかし、冒険者になることと、自立した生活を送ることがどう繋がるのですか? いまも自立した生活を送っているように見えますが……>
脱帽である。
言われてみれば、その通りだ
森の中に家を建て、ナビさんのいう世間一般の人達と同じような生活を送っている。
「で、でも、働かないと……無職っていうのも外聞が悪いし……」
<いまの時代、『働くこと=外聞が良い』という式は成立しません。ノース様は、働くことをどのように考えているのですか? もしかして、働いていない人は社会不適合者であると、そんな見当違いなことを考えていたりしませんか?>
「い、いや、そこまで言ってないけど……」
<では、どのように考えているのかお聞かせ下さい。世間一般で働くことの意味は、生活費を稼ぐことにあります。つまり、働く対価として給料を貰い生活をするのです。もちろん、中には、ギフトを磨いたり、ギフトを用いて社会貢献をすることに働く意味を見出している人もいます。そういった人達がいることを理解した上で、なぜ冒険者協会に加盟し、安い日当を貰って命懸けの仕事をするのか、教えて頂けますか?>
「い、いや、別に命を懸けて仕事をしたい訳じゃ……」
<では、いまのままでも問題ないではありませんか? いま、ノース様がいる場所は、正確には辺境と呼ばれる国の境目にいます。ここに住んで生活を送ることは、国を守ることにも繋がります。もし、ノース様が『働くこと=社会貢献』と思うのであれば、これ以上の社会貢献はないと思うのですが、いかがでしょうか?>
今日のナビさんはよく、文字を浮かべてくる……。
「っていうか、ここ国の境目なのっ!? それに、なんでここに住み生活を送ることが国を守ることに繋がるのさっ?」
<そんなことは決まっています。ノース様のギフト『キノコマスター』にはそれだけの力があるからです。なんでしたら、明日。その力の一端をお見せしましょうか?>
「えっ? 力の一端??」
<はい。ノース様の知らない『キノコマスター』の力、明日の正午、ギフトポイントが貯まり次第、お見せ致します>
ナビさんは、視界の端にそう言葉を表示すると、言葉をきった。
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