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第十一章 オーランド王国動乱編
第459話 その頃の悠斗③
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「さて、グングニルと王座フリズスキャールヴを手にした今、このワシに怖いものはない。ああ、青年よ。一つだけ忠告しておこう。フェロー王国は一月以内に戦場となる」
「えっ、でも……」
「案ずるな、それだけの力を青年に授けた。そのドラウプニルを持つ限り、大丈夫だ。このワシを信じなさい」
お爺さんは手を上げると、空中に亀裂を走らせる。
「願わくば、青年には元主神オーディンの信仰者になって欲しいものだ。このワシが主神の座を取り戻した暁には、青年よ。君の願いを一つ叶えてやろう」
「ま、まさか、本当にっ?」
「ああ、本当の事だとも、その時を楽しみにしているがいい。それでは、さらばだ!」
そういうと、お爺さんは亀裂の中に消えていった。
ま、まさかとは思うけど、本当に本物?
本当に北欧神話の最高神オーディンだったのだろうか?
そうだとしたら、なんであんな所で怪我をしていたんだろうか。謎は深まるばかりだ。
「あのお爺さん、ここが戦場になると言っていたけど……」
もし本当に戦場になるとしたら大変だ。
屋敷神がいるから大丈夫だとは思うけど、最高神オーディンが戦場になると危惧している程である。
「も、もしかして、あのお爺さん……いや、オーディンは……」
フェロー王国に困難が迫っている。与えた力を持って、それを撃退せよと……そして、それを成した時、どんな願いも一つだけ叶えてやろうと、そう言っていたのではないだろうか?
そうだとすれば、全ての事に説明が付く。
オーディンはオーランド王国がフェロー王国に戦争を仕掛けてくる事を伝えたかったのだろう。
俺にそれを伝えたのも、ユートピア商会であればルーン文字を刻んだ武器を量産できると見込んでの事。
流石は最高神オーディン。
何故、フェロー王国に味方してくれるかはわからないが、偉大な北欧神話の最高神である。
どこぞの狡知神とはえらい違いだ。
早速、ルーン文字を刻んだ武器の量産に入らなければ……オーディンが折角教えてくれた神託が無為になってしまう。
「ありがとう。オーディン様。変なお爺さんと疑ってごめんなさい」
今まで特定の神に信仰を捧げた事はなかった。
しかし、今はオーディン様に向かって信仰を捧げたい気分だ。
「オーディン様から頂いたルーン文字で、必ずフェロー王国を守って見せます」
この時、俺は初めて特定の神に祈りを捧げた。
一頻り祈りを捧げると、俺は立ち上がる。
そして、ルーン文字が刻まれた黄金の腕輪を手にすると屋敷神のいる邸宅に向かって駆け出した。
「屋敷神、大変だよ!」
「おや、悠斗様。いかが致しましたかな?」
「実はさっき、北欧神話の最高神オーディンに会ったんだ!」
「オーディンとですか?」
「う、うん」
オーディンと口にした瞬間、屋敷神は警戒を帯びた表情を浮かべる。
「ふむ。オーディンがフェロー王国内に入った事は捕捉しておりましたが、まさか、悠斗様と遭遇しているとは……悠斗様。オーディンとどの様な話を?」
「えっ? いや、ただ怪我をしている様だったから、万能薬でそれを治してあげただけだよ。随分と落ち込んでいた様だったし、黄金の腕輪を貰ったから、そのお礼にユートピア商会製のグングニルと王座をプレゼントしてしまったけど、まずかったかな?」
ルーン文字が刻まれた黄金の腕輪を渡すと、屋敷神は目を見開いた。
「悠斗様、まさかこれは……」
「うん。オーディンから貰ったんだけど」
屋敷神は黄金の腕輪に刻まれたルーン文字をなぞると笑みを浮かべる。
「ユートピア商会製のグングニルと王座をオーディンに渡し、それでいて尚、オーディンしか知り得ないルーン文字の秘密まで手に入れてくるとは……悠斗様。流石でございます」
「えっ? そう?」
屋敷神の言い方が何やら引っ掛かるが、まあいいか。
「そんな事より、屋敷神。オーディンが言うには一月以内にオーランド王国がフェロー王国を攻めてくる様なんだ!」
「なるほど……よくオーランド王国側に立つオーディンからその様な情報を……」
んん?
オーディンがオーランド王国側?
一体、何を言っているんだ?
「この黄金の腕輪には、ルーン文字が刻まれているみたい。持っているだけで、ルーン文字の知識が頭に浮かんでくるでしょ? オーランド王国が攻めてくるまでの間に、ルーン文字を刻んだ武具を作り出す事はできないかな?」
「武具にルーン文字をですか……それは何とも……いえ、すぐに準備致しましょう。ルーン文字を刻んだ武具は戦争の役に立ちます。それにルーン文字の中には、毒や疫病から身を守るルーン文字があった筈、そのルーン文字を刻んだ物を他国に行き渡らせれば、疫病を封じる事ができます」
おお、ルーン文字にそんな効果が、流石はオーディン。偉大な北欧神話の最高神だ。
「それじゃあ、早速、作成に移ろう!」
「はい。すぐに作成に移ります。丁度良かったですね。これはシェトランド陛下とのいい土産話になりそうです」
そういえば、シェトランドとの話し合い明日だった。
「う、うん。そうだね。明日の話し合いが楽しみだ。それじゃあ、明日に備えて、献上用の武具を作ろうか」
「はい」
そう言うと、俺達は、ユートピア商会で販売している武具にルーン文字を刻む事にした。
「えっ、でも……」
「案ずるな、それだけの力を青年に授けた。そのドラウプニルを持つ限り、大丈夫だ。このワシを信じなさい」
お爺さんは手を上げると、空中に亀裂を走らせる。
「願わくば、青年には元主神オーディンの信仰者になって欲しいものだ。このワシが主神の座を取り戻した暁には、青年よ。君の願いを一つ叶えてやろう」
「ま、まさか、本当にっ?」
「ああ、本当の事だとも、その時を楽しみにしているがいい。それでは、さらばだ!」
そういうと、お爺さんは亀裂の中に消えていった。
ま、まさかとは思うけど、本当に本物?
本当に北欧神話の最高神オーディンだったのだろうか?
そうだとしたら、なんであんな所で怪我をしていたんだろうか。謎は深まるばかりだ。
「あのお爺さん、ここが戦場になると言っていたけど……」
もし本当に戦場になるとしたら大変だ。
屋敷神がいるから大丈夫だとは思うけど、最高神オーディンが戦場になると危惧している程である。
「も、もしかして、あのお爺さん……いや、オーディンは……」
フェロー王国に困難が迫っている。与えた力を持って、それを撃退せよと……そして、それを成した時、どんな願いも一つだけ叶えてやろうと、そう言っていたのではないだろうか?
そうだとすれば、全ての事に説明が付く。
オーディンはオーランド王国がフェロー王国に戦争を仕掛けてくる事を伝えたかったのだろう。
俺にそれを伝えたのも、ユートピア商会であればルーン文字を刻んだ武器を量産できると見込んでの事。
流石は最高神オーディン。
何故、フェロー王国に味方してくれるかはわからないが、偉大な北欧神話の最高神である。
どこぞの狡知神とはえらい違いだ。
早速、ルーン文字を刻んだ武器の量産に入らなければ……オーディンが折角教えてくれた神託が無為になってしまう。
「ありがとう。オーディン様。変なお爺さんと疑ってごめんなさい」
今まで特定の神に信仰を捧げた事はなかった。
しかし、今はオーディン様に向かって信仰を捧げたい気分だ。
「オーディン様から頂いたルーン文字で、必ずフェロー王国を守って見せます」
この時、俺は初めて特定の神に祈りを捧げた。
一頻り祈りを捧げると、俺は立ち上がる。
そして、ルーン文字が刻まれた黄金の腕輪を手にすると屋敷神のいる邸宅に向かって駆け出した。
「屋敷神、大変だよ!」
「おや、悠斗様。いかが致しましたかな?」
「実はさっき、北欧神話の最高神オーディンに会ったんだ!」
「オーディンとですか?」
「う、うん」
オーディンと口にした瞬間、屋敷神は警戒を帯びた表情を浮かべる。
「ふむ。オーディンがフェロー王国内に入った事は捕捉しておりましたが、まさか、悠斗様と遭遇しているとは……悠斗様。オーディンとどの様な話を?」
「えっ? いや、ただ怪我をしている様だったから、万能薬でそれを治してあげただけだよ。随分と落ち込んでいた様だったし、黄金の腕輪を貰ったから、そのお礼にユートピア商会製のグングニルと王座をプレゼントしてしまったけど、まずかったかな?」
ルーン文字が刻まれた黄金の腕輪を渡すと、屋敷神は目を見開いた。
「悠斗様、まさかこれは……」
「うん。オーディンから貰ったんだけど」
屋敷神は黄金の腕輪に刻まれたルーン文字をなぞると笑みを浮かべる。
「ユートピア商会製のグングニルと王座をオーディンに渡し、それでいて尚、オーディンしか知り得ないルーン文字の秘密まで手に入れてくるとは……悠斗様。流石でございます」
「えっ? そう?」
屋敷神の言い方が何やら引っ掛かるが、まあいいか。
「そんな事より、屋敷神。オーディンが言うには一月以内にオーランド王国がフェロー王国を攻めてくる様なんだ!」
「なるほど……よくオーランド王国側に立つオーディンからその様な情報を……」
んん?
オーディンがオーランド王国側?
一体、何を言っているんだ?
「この黄金の腕輪には、ルーン文字が刻まれているみたい。持っているだけで、ルーン文字の知識が頭に浮かんでくるでしょ? オーランド王国が攻めてくるまでの間に、ルーン文字を刻んだ武具を作り出す事はできないかな?」
「武具にルーン文字をですか……それは何とも……いえ、すぐに準備致しましょう。ルーン文字を刻んだ武具は戦争の役に立ちます。それにルーン文字の中には、毒や疫病から身を守るルーン文字があった筈、そのルーン文字を刻んだ物を他国に行き渡らせれば、疫病を封じる事ができます」
おお、ルーン文字にそんな効果が、流石はオーディン。偉大な北欧神話の最高神だ。
「それじゃあ、早速、作成に移ろう!」
「はい。すぐに作成に移ります。丁度良かったですね。これはシェトランド陛下とのいい土産話になりそうです」
そういえば、シェトランドとの話し合い明日だった。
「う、うん。そうだね。明日の話し合いが楽しみだ。それじゃあ、明日に備えて、献上用の武具を作ろうか」
「はい」
そう言うと、俺達は、ユートピア商会で販売している武具にルーン文字を刻む事にした。
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