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第九章 商人連合国アキンド編
第340話 奴隷の首輪②
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「全く、仕方がありませんね」
気絶してしまったバルト達に万能薬を飲ませると、手っ取り早く起こす為にバルト達の頬を叩いていく。
「……っ! す、すいませんっ! すいません!! 起きました! 起きましたからっ!」
「も、もう勘弁して下せえ!」
「ち、ちょっとしたジョーク! ちょっとしたジョークじゃないですか!」
数度頬を叩くと、何やら喚きながらバルト達が飛び起きた。起きるや否や、首に嵌められた奴隷の首輪を外そうと、首に手を回している。
「そうですか、それは失礼致しました。しかし、これでよく分かったでしょう? 私や悠斗様の命令は絶対です。もし私や悠斗様の意向に背けば、百体の影精霊があなた方を問答無用に殴打致します」
私がそう言うと、バルト達は絶望的な表情を浮かべる。
「こ、この奴隷の首輪を取る為には、どうすればよろしいのでしょうか!?」
「そうだ、そうだっ! 俺達は、お、お前の奴隷じゃねえ! と、とはいえ、これ以上酷い事をしないと言うのであれば、奴隷の首輪を着けていてもいいけどな! 勘違いするんじゃないぞっ! お前……いや、あなた様の事が怖いなんて、そんな事思ってなんかいないんだからなっ!」
「ま、全くだ! 奴隷の首輪を外せっ! と言いたい所だが、酷い事をしないと言うなら言う事を聞いてあげなくもないんだからな! う、嘘じゃないぞ!」
訳の分からない事を喚き散らかす人間の思考が理解できず、思わず頭を抱える。
「一体、何を言っているのです? あなた達は……当然の事ながら首輪は外しません。首輪が外れる時、それはあなた方が死ぬか人形になった時のみとなります。しかし、あなた方にとって、その首輪を付けている事はメリットにもなり得るのですよ?」
「メ、メリット?」
バルト達は奴隷の首輪をしきりに触りながら私の話に耳を傾けている。
「はい。私や悠斗様の命令や意向から外れた行動、発言をした場合、首が閉まり、百体の影精霊に殴打される事となりますが、それ以外……例えば、迷宮散策時や敵やモンスターからの攻撃は全て影精霊が防ぎ撃退してくれます。つまり、その奴隷の首輪は、あなた方の行動を監視する役割の他、ボディーガードも兼ね備えた特別製なのです」
「「「えっ!?」」」
私がそう言うと、バルト達は驚きの表情を浮かべた。
「つ、つまりそれは、商人である私でも、この奴隷の首輪を付けていれば迷宮のモンスターを簡単に倒す事ができるという事ですか?」
「はい。その通りです」
まあ商人であるバルトが驚くのは分かる。
悠斗様が例外なだけで、商人と冒険者を兼業している方は殆どいない。
「そ、そいつはスゲェ! あんた達にさえ逆らわなければ、あの黒い奴が俺達を守ってくれるのかよ!」
「あ、あれならボスモンスターも軽く倒す事ができるんじゃねーか? 今度、迷宮に行って見ようぜ!」
「何を勝手な事を言っているのです?」
私がそう言うと、その場の空気が固まる。
そもそも、あなた方に休みなんてある訳がないでしょう?
あなた方は二十四時間三百六十五日、毎日万能薬を飲み続けながら昼夜問わず働くのですよ……いえ、人間は精神が病むだけで動く事のできなくなる繊細な生き物と聞きます。
ユートピア商会で働いてもらう以上、死んだ目をしながら働かれても困りますね。
やはり睡眠時間と稀に、本当にごく稀に休暇を与えるくらいの事はした方がいいでしょうか?
顎に手を当て、そんな事を考えていると、バルトが不安そうな表情を浮かべながら話しかけてくる。
「そ、それで私達に一体何をさせようというのでしょうか?」
「そうでしたね。あなた方の名前を仮に、アルファ、ベーダ、オメガと名付けます。アルファはあなたと同じくユートピア商会を陥れる為に行動している商会を探し、私に報告を、ベーダとオメガはあなた方と同じく、偽足場を交換しに回っている同業者を捕えに向かいなさい。護衛として人形数体を付けます」
「わ、私にできますでしょうか?」
私がそう言うと、バルト改めアルファがそう呟いた。
「あなたの気持ちなど、どうでもいい事です。私や悠斗様が『やれ』と言ったら『やる』、あなた方にそれ以外の選択肢はありません。わかりましたね?」
「「「は、はいっ!!」」」
最初からそう言えばいい。
悠斗様の配下となった以上、失敗は許されない。というより、私が許さない。
しかし、強面脳筋をそのまま行かせるのも不安がある。少しだけ脅しておきますか……。
「最後に……先程の事で裏切れば、あなた方の身にどの様な事が起こるのか、お分かり頂けたかと存じます。万が一、もし万が一、ここで起こった事や悠斗様が不利な状況に置かれるような事柄を他言した場合、奴隷の首輪は絞まり、その都度、影精霊に殴打されてしまう事をお忘れなきようお願い申し上げます。また常時、影精霊の見張りが付いている事をお忘れなく……それでは、各員散開」
「「「は、はいっ!!」」」
私が眼光を鋭くしてそう言うと、彼等は勢いよくこの場から去って行った。
どの道、悠斗様と敵対した時点で、彼等に選択肢はない。
商人連合国アキンドを統べる八人の評議員の内の一人が今回の黒幕。
折角なので、残りの財の全てを悠斗様の為に献上して貰おう。ついでに、トゥルクやフィンと繋がりの深い評議員や人間にも破滅して貰う。
「さて、私もロキや屋敷神に連絡をしなければいけませんね……」
私はそう呟くと、悠斗様に敵対した愚かな者に相応の罰を与える為、動き出す事にした。
気絶してしまったバルト達に万能薬を飲ませると、手っ取り早く起こす為にバルト達の頬を叩いていく。
「……っ! す、すいませんっ! すいません!! 起きました! 起きましたからっ!」
「も、もう勘弁して下せえ!」
「ち、ちょっとしたジョーク! ちょっとしたジョークじゃないですか!」
数度頬を叩くと、何やら喚きながらバルト達が飛び起きた。起きるや否や、首に嵌められた奴隷の首輪を外そうと、首に手を回している。
「そうですか、それは失礼致しました。しかし、これでよく分かったでしょう? 私や悠斗様の命令は絶対です。もし私や悠斗様の意向に背けば、百体の影精霊があなた方を問答無用に殴打致します」
私がそう言うと、バルト達は絶望的な表情を浮かべる。
「こ、この奴隷の首輪を取る為には、どうすればよろしいのでしょうか!?」
「そうだ、そうだっ! 俺達は、お、お前の奴隷じゃねえ! と、とはいえ、これ以上酷い事をしないと言うのであれば、奴隷の首輪を着けていてもいいけどな! 勘違いするんじゃないぞっ! お前……いや、あなた様の事が怖いなんて、そんな事思ってなんかいないんだからなっ!」
「ま、全くだ! 奴隷の首輪を外せっ! と言いたい所だが、酷い事をしないと言うなら言う事を聞いてあげなくもないんだからな! う、嘘じゃないぞ!」
訳の分からない事を喚き散らかす人間の思考が理解できず、思わず頭を抱える。
「一体、何を言っているのです? あなた達は……当然の事ながら首輪は外しません。首輪が外れる時、それはあなた方が死ぬか人形になった時のみとなります。しかし、あなた方にとって、その首輪を付けている事はメリットにもなり得るのですよ?」
「メ、メリット?」
バルト達は奴隷の首輪をしきりに触りながら私の話に耳を傾けている。
「はい。私や悠斗様の命令や意向から外れた行動、発言をした場合、首が閉まり、百体の影精霊に殴打される事となりますが、それ以外……例えば、迷宮散策時や敵やモンスターからの攻撃は全て影精霊が防ぎ撃退してくれます。つまり、その奴隷の首輪は、あなた方の行動を監視する役割の他、ボディーガードも兼ね備えた特別製なのです」
「「「えっ!?」」」
私がそう言うと、バルト達は驚きの表情を浮かべた。
「つ、つまりそれは、商人である私でも、この奴隷の首輪を付けていれば迷宮のモンスターを簡単に倒す事ができるという事ですか?」
「はい。その通りです」
まあ商人であるバルトが驚くのは分かる。
悠斗様が例外なだけで、商人と冒険者を兼業している方は殆どいない。
「そ、そいつはスゲェ! あんた達にさえ逆らわなければ、あの黒い奴が俺達を守ってくれるのかよ!」
「あ、あれならボスモンスターも軽く倒す事ができるんじゃねーか? 今度、迷宮に行って見ようぜ!」
「何を勝手な事を言っているのです?」
私がそう言うと、その場の空気が固まる。
そもそも、あなた方に休みなんてある訳がないでしょう?
あなた方は二十四時間三百六十五日、毎日万能薬を飲み続けながら昼夜問わず働くのですよ……いえ、人間は精神が病むだけで動く事のできなくなる繊細な生き物と聞きます。
ユートピア商会で働いてもらう以上、死んだ目をしながら働かれても困りますね。
やはり睡眠時間と稀に、本当にごく稀に休暇を与えるくらいの事はした方がいいでしょうか?
顎に手を当て、そんな事を考えていると、バルトが不安そうな表情を浮かべながら話しかけてくる。
「そ、それで私達に一体何をさせようというのでしょうか?」
「そうでしたね。あなた方の名前を仮に、アルファ、ベーダ、オメガと名付けます。アルファはあなたと同じくユートピア商会を陥れる為に行動している商会を探し、私に報告を、ベーダとオメガはあなた方と同じく、偽足場を交換しに回っている同業者を捕えに向かいなさい。護衛として人形数体を付けます」
「わ、私にできますでしょうか?」
私がそう言うと、バルト改めアルファがそう呟いた。
「あなたの気持ちなど、どうでもいい事です。私や悠斗様が『やれ』と言ったら『やる』、あなた方にそれ以外の選択肢はありません。わかりましたね?」
「「「は、はいっ!!」」」
最初からそう言えばいい。
悠斗様の配下となった以上、失敗は許されない。というより、私が許さない。
しかし、強面脳筋をそのまま行かせるのも不安がある。少しだけ脅しておきますか……。
「最後に……先程の事で裏切れば、あなた方の身にどの様な事が起こるのか、お分かり頂けたかと存じます。万が一、もし万が一、ここで起こった事や悠斗様が不利な状況に置かれるような事柄を他言した場合、奴隷の首輪は絞まり、その都度、影精霊に殴打されてしまう事をお忘れなきようお願い申し上げます。また常時、影精霊の見張りが付いている事をお忘れなく……それでは、各員散開」
「「「は、はいっ!!」」」
私が眼光を鋭くしてそう言うと、彼等は勢いよくこの場から去って行った。
どの道、悠斗様と敵対した時点で、彼等に選択肢はない。
商人連合国アキンドを統べる八人の評議員の内の一人が今回の黒幕。
折角なので、残りの財の全てを悠斗様の為に献上して貰おう。ついでに、トゥルクやフィンと繋がりの深い評議員や人間にも破滅して貰う。
「さて、私もロキや屋敷神に連絡をしなければいけませんね……」
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