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第九章 商人連合国アキンド編
第331話 黒幕への手掛かり①
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「ここが商人連合国アキンドですか!」
人災の危険性のある脆い足場材と正規品を交換しに回っている強面の男達の乗る馬車に揺られる事数時間。商人連合国アキンドに到着した俺達は、強面の男達と共に馬車を降り、偽足場の受け取り先へと向かっていた。
「坊主、アキンドに来るのは初めてか?」
「はい。これまでフェロー王国の王都ストレイモイを拠点にしていましたので……」
「そうか、そうか! ここは凄いだろう!」
「確かに、凄い所ですね」
商人連合国アキンド、そこは石畳の道の両側に様々な商会が建ち並んでいる。
それに商人の集まる国と聞いていたが、国の中には、意外にも冒険者の様な風貌の人や、観光客で訪れたであろう人が多く見られた。
もしかして、ここにも迷宮があるのだろうか?
「当たりめぇよ! アキンドには、様々な種類の素材が豊富に採れる四つの迷宮があるからな! そこで採れる素材目当てに商人が集まり出来上がった国、それが商人連合国アキンドだ! それに、ここの迷宮には、希少なアイテムを入手する事のできる宝箱がよく見つかるらしい。商人連合国アキンドは、一獲千金を目指す冒険者達の集まる国でもあるのさ!」
「へえ~、そうなんですか」
商人連合国アキンドに迷宮があるとは知らなかった。
迷宮があるならマスカットさんも教えてくれればいいのに……。
とはいえ、これ以上迷宮を攻略しても手に余る。
まずは目の前の事にだけ集中しよう。
どうやらお目当ての場所に着いたらしい。
そこはまるで寂びれた町工場の様な風貌の建物だった。急に裏路地に入った時には、どこに向かっているのか不安に思ったが、ちゃんと目的地に着いてよかった。
「おっ、ここだ、ここだ! おう! 邪魔するぜっ! ああっ?」
「どうした? ああっ!? 誰もいねぇ? おかしいな、確かにこの場所で合ってる筈なんだが?」
「確かに、誰もいませんね?」
扉を開けるも誰もいない。
もぬけの殻となった建物の中には、偽足場が積み上がっている。
「おかしいなっ? おーい! 誰もいねぇのか?」
強面の男がそう声を出すも、誰も出てくる気配がない。
まるで夜逃げされてしまったかのように、もぬけの殻となっている。
「えーっと、大丈夫なんですか?」
「あっ? 何がだっ?」
「いえ、何と言いますか、馬車の中で白金貨十枚は堅いとか言っていたじゃないですか? ここにいた人が払ってくれるんじゃないんですか?」
俺がそう言うと、強面の男達の顔が青褪める。
「あ、あいつ、まさか夜逃げしやがったのかっ!?」
「俺達を使うだけ使って夜逃げかよっ! 許せねぇ!」
怒り狂う強面の男達を尻目に、何か手掛かりはないか建物の中を探していると、机の上に、紙が置いてある事に気付く。
「これは……請求先?」
そこには、閉店のお知らせと請求先の住所が書かれていた。
請求は足場の作成と交換依頼をしたバルト氏に直接どうぞとも書かれている。
なるほど、やはりこのバルトという人が、ユートピア商会の評判を落とそうとしている元凶の様だ。
請求先の住所が書かれているし、折角になので行ってみよう。
俺は机に置いてあるチラシを手に取ると憤慨している強面の男達に視線を向ける。
すると、男達が声をかけてきた。
「おい、坊主! その手に持っている紙はなんだっ!」
「どうしたっ! 何か手掛かりになる物を見つけたのかっ!」
「は、はい。机にこんな紙が置かれていました。この紙には、バルトさんという方への請求先が書かれています」
俺がそういうと、強面の男達がこちらに寄ってきた。
「おいおい、本当かよっ!」
「そういう事は早く言ってくれよ! よかった、よかった! 坊主、お手柄だ。よくやった!」
「いえいえ……」
強面の男達は俺から紙を奪うと笑みを浮かべた。
まあ白金貨十枚が貰えるか、そうでないかの瀬戸際だ。手掛かりを見つけ喜ぶ気持ちはよく分かる。
しかし、この男達は金と引き換えに、足場を使う人達を故意に危険に晒そうとした実行犯。
ここまで連れてきてくれた事には感謝しているが、黒幕が判明した以上、放置しておくわけにはいかない。
「よし、早速この場所に行こう!」
「ああっ! 金が貰えるから仕事したのに、仕事が終わってみればバックれているなんてあんまりだ! 早速、ここに行こうぜっ!」
強面の男達がチラシを持ったまま、出ていこうとする。しかし、そうはいかない。
『影縛』
俺がそう呟くと、男達の足元の影が男達の身体を縛り上げた。
男達は急な事に驚きの表情を浮かべている。
「な、何だっ! 急に身体が……」
「う、動けねぇ! な、何で?」
男達はジタバタと身体を動かし、懸命に影縛から逃れようとしている。
しかし、影縛から逃れる事はできない。逃す筈もない。
「ここまで案内ご苦労様でした。お陰様で、首謀者を特定する事ができました」
俺が笑顔を浮かべながらそう言うと、強面の男達は激昂する。
「坊主! どういうつもりだっ!」
「これはお前の仕業かっ! なんで俺達にこんな事をするっ!」
「なんでって、お兄さん達はユートピア商会の販売する足場をお金の為に、不良品である事を知りながら、交換しに回っていたんですよね?」
俺がそう質問すると、強面の男達は激昂しながら答える。
「それがどうしたっ! 坊主にそんな事関係ないだろっ!」
「そうだっ! さっさと俺達を解放しろっ!」
「えっ? 関係ならありますよ? だって俺、これでもユートピア商会の会頭ですから」
人災の危険性のある脆い足場材と正規品を交換しに回っている強面の男達の乗る馬車に揺られる事数時間。商人連合国アキンドに到着した俺達は、強面の男達と共に馬車を降り、偽足場の受け取り先へと向かっていた。
「坊主、アキンドに来るのは初めてか?」
「はい。これまでフェロー王国の王都ストレイモイを拠点にしていましたので……」
「そうか、そうか! ここは凄いだろう!」
「確かに、凄い所ですね」
商人連合国アキンド、そこは石畳の道の両側に様々な商会が建ち並んでいる。
それに商人の集まる国と聞いていたが、国の中には、意外にも冒険者の様な風貌の人や、観光客で訪れたであろう人が多く見られた。
もしかして、ここにも迷宮があるのだろうか?
「当たりめぇよ! アキンドには、様々な種類の素材が豊富に採れる四つの迷宮があるからな! そこで採れる素材目当てに商人が集まり出来上がった国、それが商人連合国アキンドだ! それに、ここの迷宮には、希少なアイテムを入手する事のできる宝箱がよく見つかるらしい。商人連合国アキンドは、一獲千金を目指す冒険者達の集まる国でもあるのさ!」
「へえ~、そうなんですか」
商人連合国アキンドに迷宮があるとは知らなかった。
迷宮があるならマスカットさんも教えてくれればいいのに……。
とはいえ、これ以上迷宮を攻略しても手に余る。
まずは目の前の事にだけ集中しよう。
どうやらお目当ての場所に着いたらしい。
そこはまるで寂びれた町工場の様な風貌の建物だった。急に裏路地に入った時には、どこに向かっているのか不安に思ったが、ちゃんと目的地に着いてよかった。
「おっ、ここだ、ここだ! おう! 邪魔するぜっ! ああっ?」
「どうした? ああっ!? 誰もいねぇ? おかしいな、確かにこの場所で合ってる筈なんだが?」
「確かに、誰もいませんね?」
扉を開けるも誰もいない。
もぬけの殻となった建物の中には、偽足場が積み上がっている。
「おかしいなっ? おーい! 誰もいねぇのか?」
強面の男がそう声を出すも、誰も出てくる気配がない。
まるで夜逃げされてしまったかのように、もぬけの殻となっている。
「えーっと、大丈夫なんですか?」
「あっ? 何がだっ?」
「いえ、何と言いますか、馬車の中で白金貨十枚は堅いとか言っていたじゃないですか? ここにいた人が払ってくれるんじゃないんですか?」
俺がそう言うと、強面の男達の顔が青褪める。
「あ、あいつ、まさか夜逃げしやがったのかっ!?」
「俺達を使うだけ使って夜逃げかよっ! 許せねぇ!」
怒り狂う強面の男達を尻目に、何か手掛かりはないか建物の中を探していると、机の上に、紙が置いてある事に気付く。
「これは……請求先?」
そこには、閉店のお知らせと請求先の住所が書かれていた。
請求は足場の作成と交換依頼をしたバルト氏に直接どうぞとも書かれている。
なるほど、やはりこのバルトという人が、ユートピア商会の評判を落とそうとしている元凶の様だ。
請求先の住所が書かれているし、折角になので行ってみよう。
俺は机に置いてあるチラシを手に取ると憤慨している強面の男達に視線を向ける。
すると、男達が声をかけてきた。
「おい、坊主! その手に持っている紙はなんだっ!」
「どうしたっ! 何か手掛かりになる物を見つけたのかっ!」
「は、はい。机にこんな紙が置かれていました。この紙には、バルトさんという方への請求先が書かれています」
俺がそういうと、強面の男達がこちらに寄ってきた。
「おいおい、本当かよっ!」
「そういう事は早く言ってくれよ! よかった、よかった! 坊主、お手柄だ。よくやった!」
「いえいえ……」
強面の男達は俺から紙を奪うと笑みを浮かべた。
まあ白金貨十枚が貰えるか、そうでないかの瀬戸際だ。手掛かりを見つけ喜ぶ気持ちはよく分かる。
しかし、この男達は金と引き換えに、足場を使う人達を故意に危険に晒そうとした実行犯。
ここまで連れてきてくれた事には感謝しているが、黒幕が判明した以上、放置しておくわけにはいかない。
「よし、早速この場所に行こう!」
「ああっ! 金が貰えるから仕事したのに、仕事が終わってみればバックれているなんてあんまりだ! 早速、ここに行こうぜっ!」
強面の男達がチラシを持ったまま、出ていこうとする。しかし、そうはいかない。
『影縛』
俺がそう呟くと、男達の足元の影が男達の身体を縛り上げた。
男達は急な事に驚きの表情を浮かべている。
「な、何だっ! 急に身体が……」
「う、動けねぇ! な、何で?」
男達はジタバタと身体を動かし、懸命に影縛から逃れようとしている。
しかし、影縛から逃れる事はできない。逃す筈もない。
「ここまで案内ご苦労様でした。お陰様で、首謀者を特定する事ができました」
俺が笑顔を浮かべながらそう言うと、強面の男達は激昂する。
「坊主! どういうつもりだっ!」
「これはお前の仕業かっ! なんで俺達にこんな事をするっ!」
「なんでって、お兄さん達はユートピア商会の販売する足場をお金の為に、不良品である事を知りながら、交換しに回っていたんですよね?」
俺がそう質問すると、強面の男達は激昂しながら答える。
「それがどうしたっ! 坊主にそんな事関係ないだろっ!」
「そうだっ! さっさと俺達を解放しろっ!」
「えっ? 関係ならありますよ? だって俺、これでもユートピア商会の会頭ですから」
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