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第九章 商人連合国アキンド編

第312話 ヴォーアル迷宮攻略⑦

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 魔法の絨毯に乗っていると、ロキさんが話しかけてくる。

「悠斗様~♪ あそこにいるワイバーンやドラゴンは狩っていかないの?」
「ワイバーンやドラゴンを?」

 魔法の絨毯から顔を覗かせると、雲の隙間からワイバーンとドラゴンの姿が見える。

「うん。あっちが襲ってこない限り狩る気はないかな?」

 モンスターを見かける度に倒していてはキリがない。
 というより、早い所、このヴォーアル迷宮を攻略して邸宅に戻りたい。

「しかし、あちらさんはこちらとやり合う気の様だぞ?」
「えっ?」

 するとカマエルさんが後ろを見ながらそう呟いた。
 後ろを振り向くと、複数のドラゴンがこちらに向かってくる姿が見える。

「あまり乗り気じゃないんだけどな……でもドラゴンが向かってくるんじゃ仕方がないか」

 俺は掌をドラゴンに向けると、影魔法〔影縛〕で動きを封じ、〔影収納〕に収めていく。

「あはははっ♪ アンデッドモンスターが相手の時とは大違いだねぇ♪」
「うむ。まるで別人の様だ。何故、アンデッドモンスターが相手だとああも無様な姿を……」

 今、なんだかカマエルさんに貶された様な気がする。
 というより、アンデッドモンスターが相手の時は、ちょっと動揺していただけだ。
 周りが墓地フィールドで、相手がアンデッドモンスターでなければ、この通り簡単にモンスターを倒す事ができる。

「まあ、その話は置いておくとして……えっ?」

 ドラゴンを〔影収納〕に収めた俺が視線を前に戻すと、今度はワイバーンが正面から迫ってくる。
 魔法の絨毯から顔を覗かせると、下からもワイバーンが迫ってきていた。
 どうやら完全に目を付けられてしまったらしい。

「悠斗様~♪ 手伝おうか?」
「いや、大丈夫だよ」

 俺はそう呟くと、ワイバーンとドラゴン達を〔影縛〕で縛り上げ、次々と〔影収納〕に放り込んでいく。飛んでいるワイバーンやドラゴンが相手ならこんなものだ。
 相手がアンデッドモンスター以外であれば、俺に数の暴力は通用しない。
 纏めて〔影収納〕に収める事ができる。

「いや~♪ 悠斗様も順調にレベルが上がってきたねぇ♪」
「そろそろレベル上限が近いんじゃないか?」
「えっ? レベル上限?」

 そういえば、マデイラ王国に召喚された頃、ベーリング宰相が人族のレベル上限は100までと言っていた気がする。しかし、レベル上限を迎えると一体どうなるのだろうか?

「ちなみにレベル上限を迎えるとどうなるの?」
「レベル上限を迎えただけじゃどうもならないよ♪ ただレベル上限を超えた場合はその限りじゃないけどね?」
「そうそう、レベル上限を超えない限りは何も起こりはしないさ」

 なんだか、その言い方だと、レベル上限を超える方法がある様に聞こえる。
 レベル上限を超えたら一体どうなるのだろうか?

「じゃあ、レベル上限を超えたら?」

 そう俺が質問すると、ロキさんが笑みを浮かべる。

「レベル上限を超えるとね、人じゃなくなるんだよ♪」
「人じゃなくなる?」
「そうだよ~♪ レベル上限を超えると、レベルという概念から解放されて人が人じゃなくなるのさ♪」

 えっ!? 何それ、滅茶苦茶怖いんだけど……。
 人が人じゃなくなるって、どうなるのっ!?

「えっ? それってどういう……」
「これ以上は教える事はできないかな~? それはレベル上限を超えてからのお楽しみだよっ♪」

 す、凄く気になる……。
 というよりレベル上限を超え人が人で無くなるなら、レベルを上げたく無くなってきた。

「でも安心して♪ もしレベル上限を超えても、悠斗様が悠斗様で無くなる訳じゃないからさっ♪」
「そうだぞ。それにレベル上限を超える事など、レベル上限を超えたくてもできる事ではない」
「そ、そう?」

 な、なら安心か?
 〔鑑定〕でステータスを確認すると、次のように表示された。

 --------------------------------------
 佐藤悠斗 Lv:94
 年齢:15歳
 性別:男
 種族:人族
 STR(物理):3000  DEX(器用):9999
 ATK(攻撃):3000  AGI(素早):5000
 VIT(生命):7501  RES(抵抗):9999
 DEF(防御):8000  LUK(幸運):100(MAX)
 MAG(魔力):9999  INT(知力):9999
 ???(????):2000

 ユニークスキル:言語理解Lv:-・影魔法Lv:-・召喚Lv:-
 スキル:鑑定Lv:-、属性魔法Lv:-、生活魔法Lv:8
 --------------------------------------

 今、俺のレベルは94。レベル上限まであと6レベル……。
 ま、まあ考え様によっては、レベル上限までまだ6レベルもある。
 それに、これだけワイバーンとドラゴンを倒しても全然レベルが上がる様子はない。
 まだ余裕があるし、レベル上限についてはこれから考える事にしよう。

 それにしても……前々から思っていたけど随分と凄いステータスになったものだ……。
 物理や攻撃以外はロキさんやカマエルさんのステータスを遥かに凌駕しているような気がする。

「あっ、悠斗様♪ 第72階層へ続く階段が見えてきたよ~♪」
「ホントだ!」

 今はヴォーアル迷宮攻略に集中しよう。
 俺は頭を振ると、魔法の絨毯を第72階層へと続く階段の前につける。

「それじゃあ、第72階層に向かおうか」

 そう呟くと、ロキさん達と共に第72階層に続く階段を降りるのだった。
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