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第九章 商人連合国アキンド編
第305話 働く人形
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「迷宮核の研究がひと段落つきましたか……それは喜ばしい事です」
「ええ、それにしても、迷宮核とは何て素晴らしいものなのでしょうか!? ああ、できる事なら永遠に私の物にしたい位ですわ」
「まあ、迷宮核を差し上げる事はできかねますが……それで、迷宮核について何が分かったのですか?」
私がそうグレナ・ディーン学園長に聞くと、学園長は迷宮核を撫でながら呟いた。
「はい。迷宮核を任意の場所に置き魔力を込める事でその場所を迷宮にする事が可能な事は屋敷神様も知っておいででしょうか?」
「はい。存じております」
グレナ・ディーン学園長は満足そうに頷くと話を続けた。
「それでしたら話は早い。検証を重ねた結果、迷宮核には、その迷宮核に込められている魔力以上の魔力を注ぐ事で、迷宮の支配権を乗っ取る事ができるという事が分かりました」
「ほう。それは素晴らしい研究成果ですね」
もし迷宮核にその様な機能があるのであれば、迷宮核を取らずにして、迷宮を支配下に置く事ができる。しかし、その様な実験いつの間に……。
「学園長一人でその実験を行ったのですか?」
「も、勿論です! お預かりした迷宮核に他の者の魔力を込める為、生徒に目隠しをして迷宮内に誘き寄せ迷宮核に魔力を注いで貰うだなんて事、一切しておりません」
「…………」
これは、自白でしょうか?
全くこれだから人間というのは……。
しかし、この研究成果は悠斗様の為にも、ユートピア商会を大きくする事にも役立ちそうです。
それに丁度、国王陛下からヴォーアル迷宮の攻略許可を貰ったばかり、これは王都を完全に手中に収めるチャンスですね。
「分かりました。ご報告頂きありがとうございます。グレナ・ディーン学園長も根を詰め過ぎない様に、研究は程々にお願いします」
「は、はい!」
「ああ、あと今後は部外者を迷宮内に入れない様お願い致します」
「は、はい……も、勿論です……」
私がそう言うと、グレナ・ディーン学園長は視線を逸らした。
この人は本当に分かっているのでしょうか?
全くもって心配です。
しかし、まあいいでしょう……。
私はグレナ・ディーン学園長の研究報告を受けると、邸宅へと戻る事にした。
◇◆◇
翌朝、目を覚ました俺は窓の外に視線を向けると、大きな建物が建っている事に気付く。
「ショッピングモールだ……ショッピングモールが建ってる……」
着替えを済ませ、急いで外に向かおうとすると、屋敷神が声をかけてきた。
「悠斗様、おはようございます」
「うん。おはよう! 屋敷神見てよ! あれが俺の元いた世界にある大規模な商業施設、ショッピングモールだよ!」
俺がテンションを上げながらそう言うと、屋敷神が笑顔を浮かべる。
「そうでしたか。しかし、悠斗様。まずは落ち着いて、朝食でもいかがですかな?」
屋敷神がそう言うと、タイミング良くお腹が鳴き声をあげる。
言われてみると、なんだかお腹が空いてきた。
「そうだね。まずは朝食を食べてから向かおうかな」
「はい。既に朝食の準備は整っております。ダイニングにお越しください」
「うん。分かった」
俺はそう返事をすると、ダイニングへ向かう。
するとテーブルには屋敷神お手製の朝食が用意されていた。
「それじゃあ、頂きます」
手を合わせながら、そう呟くと、フォークを片手にサラダをつつき口に入れていく。
相変わらず、屋敷神の料理は美味しい。
朝食を食べ終えたタイミングで屋敷神が報告をしてくる。
「悠斗様、グレナ・ディーン学園長より迷宮核について報告がございます」
「うん? 迷宮核について?」
「はい。迷宮核を研究した結果、迷宮核には、迷宮核に蓄積された魔力以上の魔力を注ぐ事で、その迷宮そのものの支配権を獲得する事ができるとの報告が上がってきました」
「えっ? そうなの!?」
もしその話通りだとすれば、ヴォーアル迷宮のラストフロアに赴き、そこにある迷宮核に魔力を注げばヴォーアル迷宮の支配権を楽に手にする事ができるという事になる。
それに迷宮内にある迷宮核に魔力を注ぎ込むなんて考えもしなかった。
「それじゃあ、一度、ショッピングモールを視察してからカマエルさん達と共にヴォーアル迷宮の攻略に行って来ようかな?」
「それはいいですね。カマエル様もお喜びになられます」
俺は屋敷神の淹れてくれたハーブティーを口にすると、一息つく。
「カマエルさん達に迷宮攻略を手伝って貰うのは後にして、まずはショッピングモールの視察に向かおうか」
「はい、お供致します」
昨日はショッピングモールを作る為、迷宮核に魔力を注ぎ込み過ぎてしまい体調を崩してしまった。
イメージ通りに出来ているか不安があるけど、視察するのが楽しみだ。
俺はティーカップをテーブルに置き立ち上がると、ショッピングモールへ向かう事にした。
ショッピングモールに向かうと、モール内が何やらおかしい。
普段、迷宮内にいる筈の人形達がモール内に機材を運び入れている。
「屋敷神……これは?」
「はい、僭越ながら悠斗様がお休みの間に、モール内の整備をさせて頂いております。しかし……些か作業が滞っているみたいですね。悠斗様が目覚める前に作業を終わらせるよう指示をしたのですが、申し訳ございません。人形達には作業が終わり次第、罰を……」
屋敷神が冷めた視線を人形達に向けている。
「い、いや、そんな事しなくて大丈夫だから、モール内を人形達が走り回っている事に驚いただけだから」
「そうですか?」
建てたばかりの建物の視察をしようと思ったら、既に機材の搬入作業がほぼ終わっていた。
屋敷神が指示して人形達を動かしているんだろうけど、俺が目覚める前に作業を終わらせるなんて、なんて無茶な命令を……。
流石に人形達が可哀想過ぎる。
一応、フォローしておこう。
「広いショッピングモール内に機材を搬入してくれているんだから仕方ないよ。人形達にお礼を言っておいてくれないかな?」
「畏まりました。悠斗様からお礼の言葉を賜った事で、人形達も更なるやる気を見せてくれる事でしょう。この作業が終わり次第、早速、迷宮内作業に走らせます」
あ、あれ?
思っていた展開とは違う。
人形達には逆に申し訳ない結果となってしまった。
「ええ、それにしても、迷宮核とは何て素晴らしいものなのでしょうか!? ああ、できる事なら永遠に私の物にしたい位ですわ」
「まあ、迷宮核を差し上げる事はできかねますが……それで、迷宮核について何が分かったのですか?」
私がそうグレナ・ディーン学園長に聞くと、学園長は迷宮核を撫でながら呟いた。
「はい。迷宮核を任意の場所に置き魔力を込める事でその場所を迷宮にする事が可能な事は屋敷神様も知っておいででしょうか?」
「はい。存じております」
グレナ・ディーン学園長は満足そうに頷くと話を続けた。
「それでしたら話は早い。検証を重ねた結果、迷宮核には、その迷宮核に込められている魔力以上の魔力を注ぐ事で、迷宮の支配権を乗っ取る事ができるという事が分かりました」
「ほう。それは素晴らしい研究成果ですね」
もし迷宮核にその様な機能があるのであれば、迷宮核を取らずにして、迷宮を支配下に置く事ができる。しかし、その様な実験いつの間に……。
「学園長一人でその実験を行ったのですか?」
「も、勿論です! お預かりした迷宮核に他の者の魔力を込める為、生徒に目隠しをして迷宮内に誘き寄せ迷宮核に魔力を注いで貰うだなんて事、一切しておりません」
「…………」
これは、自白でしょうか?
全くこれだから人間というのは……。
しかし、この研究成果は悠斗様の為にも、ユートピア商会を大きくする事にも役立ちそうです。
それに丁度、国王陛下からヴォーアル迷宮の攻略許可を貰ったばかり、これは王都を完全に手中に収めるチャンスですね。
「分かりました。ご報告頂きありがとうございます。グレナ・ディーン学園長も根を詰め過ぎない様に、研究は程々にお願いします」
「は、はい!」
「ああ、あと今後は部外者を迷宮内に入れない様お願い致します」
「は、はい……も、勿論です……」
私がそう言うと、グレナ・ディーン学園長は視線を逸らした。
この人は本当に分かっているのでしょうか?
全くもって心配です。
しかし、まあいいでしょう……。
私はグレナ・ディーン学園長の研究報告を受けると、邸宅へと戻る事にした。
◇◆◇
翌朝、目を覚ました俺は窓の外に視線を向けると、大きな建物が建っている事に気付く。
「ショッピングモールだ……ショッピングモールが建ってる……」
着替えを済ませ、急いで外に向かおうとすると、屋敷神が声をかけてきた。
「悠斗様、おはようございます」
「うん。おはよう! 屋敷神見てよ! あれが俺の元いた世界にある大規模な商業施設、ショッピングモールだよ!」
俺がテンションを上げながらそう言うと、屋敷神が笑顔を浮かべる。
「そうでしたか。しかし、悠斗様。まずは落ち着いて、朝食でもいかがですかな?」
屋敷神がそう言うと、タイミング良くお腹が鳴き声をあげる。
言われてみると、なんだかお腹が空いてきた。
「そうだね。まずは朝食を食べてから向かおうかな」
「はい。既に朝食の準備は整っております。ダイニングにお越しください」
「うん。分かった」
俺はそう返事をすると、ダイニングへ向かう。
するとテーブルには屋敷神お手製の朝食が用意されていた。
「それじゃあ、頂きます」
手を合わせながら、そう呟くと、フォークを片手にサラダをつつき口に入れていく。
相変わらず、屋敷神の料理は美味しい。
朝食を食べ終えたタイミングで屋敷神が報告をしてくる。
「悠斗様、グレナ・ディーン学園長より迷宮核について報告がございます」
「うん? 迷宮核について?」
「はい。迷宮核を研究した結果、迷宮核には、迷宮核に蓄積された魔力以上の魔力を注ぐ事で、その迷宮そのものの支配権を獲得する事ができるとの報告が上がってきました」
「えっ? そうなの!?」
もしその話通りだとすれば、ヴォーアル迷宮のラストフロアに赴き、そこにある迷宮核に魔力を注げばヴォーアル迷宮の支配権を楽に手にする事ができるという事になる。
それに迷宮内にある迷宮核に魔力を注ぎ込むなんて考えもしなかった。
「それじゃあ、一度、ショッピングモールを視察してからカマエルさん達と共にヴォーアル迷宮の攻略に行って来ようかな?」
「それはいいですね。カマエル様もお喜びになられます」
俺は屋敷神の淹れてくれたハーブティーを口にすると、一息つく。
「カマエルさん達に迷宮攻略を手伝って貰うのは後にして、まずはショッピングモールの視察に向かおうか」
「はい、お供致します」
昨日はショッピングモールを作る為、迷宮核に魔力を注ぎ込み過ぎてしまい体調を崩してしまった。
イメージ通りに出来ているか不安があるけど、視察するのが楽しみだ。
俺はティーカップをテーブルに置き立ち上がると、ショッピングモールへ向かう事にした。
ショッピングモールに向かうと、モール内が何やらおかしい。
普段、迷宮内にいる筈の人形達がモール内に機材を運び入れている。
「屋敷神……これは?」
「はい、僭越ながら悠斗様がお休みの間に、モール内の整備をさせて頂いております。しかし……些か作業が滞っているみたいですね。悠斗様が目覚める前に作業を終わらせるよう指示をしたのですが、申し訳ございません。人形達には作業が終わり次第、罰を……」
屋敷神が冷めた視線を人形達に向けている。
「い、いや、そんな事しなくて大丈夫だから、モール内を人形達が走り回っている事に驚いただけだから」
「そうですか?」
建てたばかりの建物の視察をしようと思ったら、既に機材の搬入作業がほぼ終わっていた。
屋敷神が指示して人形達を動かしているんだろうけど、俺が目覚める前に作業を終わらせるなんて、なんて無茶な命令を……。
流石に人形達が可哀想過ぎる。
一応、フォローしておこう。
「広いショッピングモール内に機材を搬入してくれているんだから仕方ないよ。人形達にお礼を言っておいてくれないかな?」
「畏まりました。悠斗様からお礼の言葉を賜った事で、人形達も更なるやる気を見せてくれる事でしょう。この作業が終わり次第、早速、迷宮内作業に走らせます」
あ、あれ?
思っていた展開とは違う。
人形達には逆に申し訳ない結果となってしまった。
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