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第八章 フェロー王国動乱編

第230話 評議員トゥルクのカジノ②

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「す、凄いです! 凄いです悠斗様!」

「う、うん。そうだね」

 現在、ブラックジャックで8連勝中。
 白金貨10枚(約100万円)から始めた賭け金も8回のMAXベットで白金貨15,259枚(約15億2,590万円)迄膨れ上がってきた。
 カジノディーラーさんの表情を見てみると、笑顔ながらもかなり引き攣った表情をしている。

 しかし、俺は全く悪くない。
 何しろカードはカジノディーラーさんが配っているのだから……。
 寧ろこんなに勝つと後が怖そうだから敢えて途中で勝負を止めず、全額ベットして回収して貰おうとしている。にも拘らず、こんなにも賭け金が膨れ上がってしまった。

 これには俺も困惑の表情を浮かべてしまう。
 もしかして、いま俺は接待プレイでも受けているのだろうか?

 チラリとカジノディーラーに視線を向けると、顔を引き攣らせながらも満面の笑みを向けてくる。

 えっ? 本当に接待プレイ?
 だとしたらやり過ぎだよ?
 そろそろ止めないと大変な事になっちゃうよ?

 そんな事を考えていると、カジノディーラーさんが「プレイスユアベット(賭けて下さい)」と言ってくる。
 今度も同じく今まで賭けていた賭け金の合計。白金貨15,259枚(約15億2,590万円)を取り出し、オリジナルベットに全額を賭けるとカジノディーラーさんがニヤリと笑い「ノーモアベット(締切です)」と呟いた。

 そして2枚のカードを配っては、カジノディーラーさんが「な、なぜっ……」と引き攣った笑顔を浮かべる。

「凄い! 凄い! 悠斗様またブラックジャックですよ!」

 最後にディーラーがカードを捲るとディーラーのカードの合計はまたもや18点。
 これで9連勝。賭け金も白金貨38,147枚(約38億1,470万円)となった。

 これには流石のカジノディーラーも焦った様な表情を浮かべる。

「お、お客様。もう一勝負如何ですかな?」

「そ、そうですね。もう一回やろうかな……」

 もう後には引けないのだろう。
 俺はさり気なく最初の賭け金、白金貨10枚(約100万円)を賭け金総額から抜くと、それをそのままオリジナルベットに賭ける。

 もしまた勝ってしまえば、賭け金総額は白金貨95,117枚(95億1,170万円)。
 カジノディーラーさんが額に汗を流しながら1枚目のカードを配っていく。

 俺に配られたカードは10点札……。
 もしA札がきたらまたもやブラックジャックとなってしまう。

 チラッとカジノディーラーさんを見ると、ちょっと目が涙目になっている。

 そして、2枚目のカードが配られると同時に、カジノディーラーさんが崩れ落ちた。
 一瞬何事かと思って配られたカードを見てみると、A札が配られている。

 本日22回目のブラックジャック。
 まだカジノに来てから1時間も経っていない内に、白金貨95,117枚(95億1,170万円)を勝ち取ってしまった。

 目の前に白金貨95,117枚(95億1,170万円)相当のチップを積み上げられると、相手をしてくれたカジノディーラーさんがカジノの従業員さんに連れられバックヤードへと消えていく。

 俺が言えた義理じゃないけど強く生きて欲しい。

 バックヤードからほんの少しだけ怒鳴り声が聞こえる。多分、あのカジノディーラーさんが怒られているのだろう。

 俺は獲得したチップを全額換金すると、収納指輪に収め一緒に来た従業員達を探す。
 すると、俺と同じくブラックジャックで高くチップを積み上げている女性の姿が目に留まる。

「悠斗様~! あれ見て下さい! すごいですね!」

「うわー! 凄いね!」

 確かに凄い。
 ぱっと見、白金貨1,000枚分位のチップが台に積み上げられている。

 俺は多分、LUK(幸運)が働いてくれたからなんだろうけど、あの女性は一体……。

「プレイスユアベット(賭けて下さい)」

 カジノディーラーさんがそう呟くと、その女性は白金貨10枚をオリジナルベットに賭ける。
 そして「ノーモアベット(締切です)」の言葉と共にカードを配ると、女性は賭け金の半分を放棄し、「サレンダー」と呟いた。

 サレンダーとは、初めに2枚カードが配られた時点で自信がない時、賭け金の半分を放棄する事で勝負を降りる事を指す。配られたカードが2点、3点の札だった為、危険は冒さずチップ半分を捨てる事で勝負を降りたのだろう。

 多分あれがブラックジャックのちゃんとした攻略法なのかなと思う。

 そして次の回、女性がトランプを入れる箱の様な物、シューターに視線を向けると、「プレイスユアベット(賭けて下さい)」の合図と共に白金貨100枚をオリジナルベットに賭けた。

 そして「ノーモアベット(締切です)」の言葉と共にカジノディーラーがカードを配ると、思いきり顔を引き攣らせる。

 ここにきてブラックジャック。

 しかもあの賭け方。まるでブラックジャックが来る事が分かっていたかの様な賭け方だ。

「あー、あれ鑑定スキルを使っていますね」

「鑑定スキル?」

 いや、それなら俺も持っているけど……。どう使えばああなるのかよく分からない。

「はい。いいですか悠斗様。あそこに置かれたトランプに鑑定スキルを使って見て下さい。」

 促されるままテーブルに置かれたトランプに鑑定スキルを発動させる。

 --------------------------------------
 トランプ
 効果:なし
 説明:ハートの10と描かれたトランプ。
 --------------------------------------

 するとハートの10と表示された。

「ハートの10と表示されましたね? では次に、一枚一枚のカードを鑑定するつもりでシューターに鑑定スキルを使って見て下さい」

 --------------------------------------
 シューターに入っているトランプ
 効果:なし
 説明:ハートの11、ダイヤの12、スペードの1……と描かれたトランプ。
 --------------------------------------

 言われた通りに鑑定スキルを発動させるとシューターに入っているカードの一枚一枚が視界に表示される。

 なるほど、これならカードを配られる順番にだけ気を付けていれば何とかなりそうだ。

「でも鑑定スキル使ってゲームをしてもいいの?」

「勿論です。これは個人の持つ力、イカサマとは違いますから」

「そうなんだ……」

 しかし不思議だ。
 鑑定スキルが有効なら真っ先に対策を練られそうなものだけど……。

 まあいいか。
 LUK(幸運)がMAXな俺にそれを言う資格はない。
 俺が悟り切った表情を浮かべながらブラックジャックを観戦していると背後から声が掛かった。
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