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第八章 フェロー王国動乱編
第226話 盗賊団捕縛
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「さて今日はBランク冒険者昇格条件を達成する為、盗賊団の退治に向かおうと思います」
従業員達と共に冒険者ギルドに着いた俺は、捕縛依頼の出ている盗賊団の依頼表を手に取るとそう呟いた。
「し、しかし悠斗様。盗賊団の捕縛依頼は難易度が高くありませんか?」
確かに言われてみればその通りだ。
盗賊団は生死を問わずといった依頼が多い。
しかし、この領の冒険者ギルドでは、ほぼ全ての盗賊関連の依頼が捕縛依頼となっている。
しかも、支払われる依頼料が極端に少ない。
これならまだ迷宮でモンスターを狩っていた方がましだ。
とはいえ今は研修中。行ける所まで冒険者ランクを上げておきたい。王都ユートピア商会の従業員はほぼ全員がBランク冒険者以上だし、研修が終わってから俺の目の届かない所で危険な目には合って貰いたくない。
その点、これだけ従業員が揃っていれば、相手が盗賊団だとしても遅れをとる事はないだろう。
「まあ盗賊を倒しちゃったとしてもギルドから報酬が貰えなくなるだけだし、ギリギリ生きていてくれさえすれば万能薬で治す事もできる。盗賊団捕縛の事は忘れて無理せず依頼に当たろう」
「「「は、はい」」」
従業員達は初めての盗賊団捕縛に緊張気味の様だ。
しかし安心してほしい。従業員一人一人に影精霊を3体ボディーガード代わりに付けている。
相手が天使クラスの力を持っていない限り、守ってくれる事だろう。
「じゃあ、盗賊団の捕縛頑張ろー!」
「「「おー!」」」
画して俺達はエストゥロイ領近郊を拠点とする盗賊団捕縛に向かった。
エストゥロイ領近郊を根城とする盗賊団は12と滅茶苦茶多い。報酬が低く、捕縛の依頼しか出ていないのか不思議でしょうがない。とはいえ、それが冒険者ギルドの意向というのであれば仕方がない事だ。
報酬は割りに合わないが今回の目的はBランカ冒険者へのランクアップ。塩漬けになっている依頼っぽいしこの機会に片付けてあげるとしよう。
それにしても……。
「冒険者ギルドの情報が正しければこの辺りの筈なんだけど……」
〔影探知〕で周囲を探しても全く反応がない。
一体どうなっているんだろう?
「冒険者をも襲う盗賊団と聞いていましたが……この辺りにはいない様ですね」
こうなれば仕方がない。
俺は収納指輪からこの世界ウェークのすべての知識が集約されている〔叡智の書〕を取り出すと、エストゥロイ領付近にいる盗賊団の居場所について検索していく。
すると、ここから少し離れた場所に数拠点、盗賊団のいる場所が表示された。
「いま調べてみたけど、この辺に盗賊団の拠点はないみたい。少し離れた場所にある様だからそっちに行ってみよう」
〔叡智の書〕に従って一つ目の盗賊団の拠点に移動すると〔影探知〕が人の影を捉えた。
〔影探知〕で捉えた盗賊の人数は4人。俺は手を翳し従業員達を引き留める。
「ちょっと待って。見張りがいるみたい」
木の陰から覗いてみると4人の盗賊の内、一人がこちらに視線を向けてくる。
どうやら感づかれてしまったらしい。
「やばい。見張りの一人がこっちを見てる。みんな戦闘準備!」
俺が号令をかけると、従業員達は臨戦態勢に入る。
そして木々に隠れながら盗賊達を囲い込むと、影魔法で盗賊達の口を塞ぎ、従業員達が音もなく盗賊達を捕らえていく。
「悠斗様。この盗賊はどうしましょう?」
従業員の一人が気絶した盗賊を指差すと、そう呟いた。
「捕縛した盗賊はこっちで引き受けるよ」
俺は捕縛した盗賊達に影を這わせると〔影収納〕に盗賊達を収めていく。
「悠斗様。あそこに盗賊団の拠点と思わしき木造の建物があります」
見張りの盗賊達を〔影収納〕に収めた俺は、従業員達と共に盗賊団の拠点と思わしき木造の建物の前に陣取ると〔影探知〕で周囲と建物の中を探知する。
すると建物の中に複数の人を探知した。
〔叡智の書〕の示した場所とも符合する。
「周囲には俺達以外、誰もいないみたい。逃げられない様に囲んでから突入しよう」
「「「はい」」」
小声でそう呟き、従業員達に〔影纏〕を施すと、盗賊達が逃げられない様に木造の建物を取り囲み突入準備を整える。
そして……。
「じゃあ、今から建物の中を暗くさせるよ。さあ、突入!」
俺は建物全体を影で覆うと、従業員達を突入させる。
〔影探知〕を発動させながら、木造の建物に視線を向けると、暫くして一人の従業員が合図を送ってきた。
盗賊の数は26人。従業員達は無事、盗賊団を捕らえる事に成功したらしい。
建物を覆う影を取り除くと、従業員達が縛り上げた盗賊達と共に出てくる。
「悠斗様! 盗賊26人を捕えました。我々に怪我人はおりません!」
盗賊達の殆どは気絶している様だ。
「……て、手前ら! 俺達にこんな事をして無事で済むと思っているのか!」
この盗賊団の頭らしき人がそう呟くと、従業員の一人が即座に顎に一撃を入れ昏倒させる。
「申し訳ございません悠斗様。改めまして、無事、盗賊を捕える事ができました。悠斗様のお力でこいつ等を引き受けて頂けますか?」
「う、うん。そうだね。盗賊団を一つ潰す事ができたし、その盗賊達はこちらで引き取るよ」
まだ実技研修を受けてから二日しか経っていないのに、何だか頼もしく感じる。
彼等に一体何があったのだろうか……。
まあそれは置いておこう。
一先ずこれで、Bランク冒険者に成るための条件はクリアした。
後はみんなと共に冒険者ギルドに赴き、盗賊共を引き渡すだけだ。
俺は盗賊達を〔影収納〕に収納すると、従業員達に向かって声を上げる。
「さあ、盗賊団を一つ潰す事ができたし、エストゥロイ領に帰ろう!」
「「「はい!」」」
この日、エストゥロイ領の冒険者ギルドに23人のBランク冒険者が生まれた。
従業員達と共に冒険者ギルドに着いた俺は、捕縛依頼の出ている盗賊団の依頼表を手に取るとそう呟いた。
「し、しかし悠斗様。盗賊団の捕縛依頼は難易度が高くありませんか?」
確かに言われてみればその通りだ。
盗賊団は生死を問わずといった依頼が多い。
しかし、この領の冒険者ギルドでは、ほぼ全ての盗賊関連の依頼が捕縛依頼となっている。
しかも、支払われる依頼料が極端に少ない。
これならまだ迷宮でモンスターを狩っていた方がましだ。
とはいえ今は研修中。行ける所まで冒険者ランクを上げておきたい。王都ユートピア商会の従業員はほぼ全員がBランク冒険者以上だし、研修が終わってから俺の目の届かない所で危険な目には合って貰いたくない。
その点、これだけ従業員が揃っていれば、相手が盗賊団だとしても遅れをとる事はないだろう。
「まあ盗賊を倒しちゃったとしてもギルドから報酬が貰えなくなるだけだし、ギリギリ生きていてくれさえすれば万能薬で治す事もできる。盗賊団捕縛の事は忘れて無理せず依頼に当たろう」
「「「は、はい」」」
従業員達は初めての盗賊団捕縛に緊張気味の様だ。
しかし安心してほしい。従業員一人一人に影精霊を3体ボディーガード代わりに付けている。
相手が天使クラスの力を持っていない限り、守ってくれる事だろう。
「じゃあ、盗賊団の捕縛頑張ろー!」
「「「おー!」」」
画して俺達はエストゥロイ領近郊を拠点とする盗賊団捕縛に向かった。
エストゥロイ領近郊を根城とする盗賊団は12と滅茶苦茶多い。報酬が低く、捕縛の依頼しか出ていないのか不思議でしょうがない。とはいえ、それが冒険者ギルドの意向というのであれば仕方がない事だ。
報酬は割りに合わないが今回の目的はBランカ冒険者へのランクアップ。塩漬けになっている依頼っぽいしこの機会に片付けてあげるとしよう。
それにしても……。
「冒険者ギルドの情報が正しければこの辺りの筈なんだけど……」
〔影探知〕で周囲を探しても全く反応がない。
一体どうなっているんだろう?
「冒険者をも襲う盗賊団と聞いていましたが……この辺りにはいない様ですね」
こうなれば仕方がない。
俺は収納指輪からこの世界ウェークのすべての知識が集約されている〔叡智の書〕を取り出すと、エストゥロイ領付近にいる盗賊団の居場所について検索していく。
すると、ここから少し離れた場所に数拠点、盗賊団のいる場所が表示された。
「いま調べてみたけど、この辺に盗賊団の拠点はないみたい。少し離れた場所にある様だからそっちに行ってみよう」
〔叡智の書〕に従って一つ目の盗賊団の拠点に移動すると〔影探知〕が人の影を捉えた。
〔影探知〕で捉えた盗賊の人数は4人。俺は手を翳し従業員達を引き留める。
「ちょっと待って。見張りがいるみたい」
木の陰から覗いてみると4人の盗賊の内、一人がこちらに視線を向けてくる。
どうやら感づかれてしまったらしい。
「やばい。見張りの一人がこっちを見てる。みんな戦闘準備!」
俺が号令をかけると、従業員達は臨戦態勢に入る。
そして木々に隠れながら盗賊達を囲い込むと、影魔法で盗賊達の口を塞ぎ、従業員達が音もなく盗賊達を捕らえていく。
「悠斗様。この盗賊はどうしましょう?」
従業員の一人が気絶した盗賊を指差すと、そう呟いた。
「捕縛した盗賊はこっちで引き受けるよ」
俺は捕縛した盗賊達に影を這わせると〔影収納〕に盗賊達を収めていく。
「悠斗様。あそこに盗賊団の拠点と思わしき木造の建物があります」
見張りの盗賊達を〔影収納〕に収めた俺は、従業員達と共に盗賊団の拠点と思わしき木造の建物の前に陣取ると〔影探知〕で周囲と建物の中を探知する。
すると建物の中に複数の人を探知した。
〔叡智の書〕の示した場所とも符合する。
「周囲には俺達以外、誰もいないみたい。逃げられない様に囲んでから突入しよう」
「「「はい」」」
小声でそう呟き、従業員達に〔影纏〕を施すと、盗賊達が逃げられない様に木造の建物を取り囲み突入準備を整える。
そして……。
「じゃあ、今から建物の中を暗くさせるよ。さあ、突入!」
俺は建物全体を影で覆うと、従業員達を突入させる。
〔影探知〕を発動させながら、木造の建物に視線を向けると、暫くして一人の従業員が合図を送ってきた。
盗賊の数は26人。従業員達は無事、盗賊団を捕らえる事に成功したらしい。
建物を覆う影を取り除くと、従業員達が縛り上げた盗賊達と共に出てくる。
「悠斗様! 盗賊26人を捕えました。我々に怪我人はおりません!」
盗賊達の殆どは気絶している様だ。
「……て、手前ら! 俺達にこんな事をして無事で済むと思っているのか!」
この盗賊団の頭らしき人がそう呟くと、従業員の一人が即座に顎に一撃を入れ昏倒させる。
「申し訳ございません悠斗様。改めまして、無事、盗賊を捕える事ができました。悠斗様のお力でこいつ等を引き受けて頂けますか?」
「う、うん。そうだね。盗賊団を一つ潰す事ができたし、その盗賊達はこちらで引き取るよ」
まだ実技研修を受けてから二日しか経っていないのに、何だか頼もしく感じる。
彼等に一体何があったのだろうか……。
まあそれは置いておこう。
一先ずこれで、Bランク冒険者に成るための条件はクリアした。
後はみんなと共に冒険者ギルドに赴き、盗賊共を引き渡すだけだ。
俺は盗賊達を〔影収納〕に収納すると、従業員達に向かって声を上げる。
「さあ、盗賊団を一つ潰す事ができたし、エストゥロイ領に帰ろう!」
「「「はい!」」」
この日、エストゥロイ領の冒険者ギルドに23人のBランク冒険者が生まれた。
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