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第八章 フェロー王国動乱編
第209話 従業員確保
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「鎮守神。これは……」
地面から迫上がってきた建物を凝視すると鎮守神に声をかける。
「悠斗様の記憶を読ませて頂き、王都にある邸宅とユートピア商会、そして従業員用の宿舎を再現いたしました」
凄い。いつの間に記憶を……。
てっきり頭を撫でたいだけなのかと思っていた。
周りを見渡すと、塀もユートピア商会仕様となっている。
これなら直ぐにでも商売を始める事ができそうだ。
「それでは悠斗様。建物の案内をさせて頂きたいと思います。こちらへそうぞ。足元にお気を付け下さい」
鎮守神に連れられ、邸宅に入ると思わず感嘆の声を上げる。
「ふあぁ……。すごいね。まるで王都(今は迷宮内)にある邸宅そのものだ」
「流石、鎮守神様ですね……」
そして、元の邸宅にあった地下室を降っていくと、そこには迷宮核が安置されていた。
迷宮核の横には、地下へと続く階段が見える。
「ご安心下さい。悠斗様。迷宮核の安置してあるこの地下室に入れる者は我々をおいて他にはございません。もし万が一、敵が侵入した場合であっても、私目が速やかに排除して見せましょう」
頼もしい。頼もしすぎる。
何故、お爺ちゃんキャラはこんなにも頼もしく見えるのだろうか。
「うん。期待しているよ」
鎮守神はニコリと笑顔を見せると、迷宮の第1階層へと続く階段を降りていく。
第1階層に辿り着くと、そこには王都ストレイモイを出発する際、迷宮の階層に移した商会の建物が等間隔に並んでいる。
商会の建物を通り過ぎると、そこには悠斗邸が建っていた。
「いかがでしょうか。この通り、第1階層部分を王都にある迷宮と繋ぎました。これで好きな時に、王都に戻る事ができます。屋敷神もこちらにいる様ですね」
鎮守神がそう呟くと、目の前に屋敷神が顕現する。
「これはこれは悠斗様。鎮守神様もようこそおいで下さいました」
「屋敷神、王都に変わった事はない?」
「変わった事ですか……。そうですね。悠斗様が旅行に旅立たれてまだ数日も経っておりませんが、既に食料品や日用品の値段が高騰しております」
商業ギルドと対立した事を機会に、ユートピア商会が王都に出店している商会を悉く傘下に入れてしまった。そんな彼らと共に旅行に出かけている為、それを売る商会がいなくなり値段が高騰しているのだろう。そうなってくると、フェイ達のいるティンドホルマー魔法学園やルチアさんのいる教会が心配になってくる。
「食料品に日用品の高騰か……。フェイ達やルチアさんは大丈夫かな?」
「魔法学園と教会には、優先して食料や日用品を回しておりますので問題ございません。むしろ心配なのは、王都に住んでいるユートピア商会のお客様方ではないでしょうか。ユートピア商会の貼り紙を見たお客様方が連日、王城へと抗議に向かっております」
お客さん達には本当に申し訳ない気分で一杯だ。
しかし、王命でユートピア商会の土地を取り上げられてはこちらとしては何もできない。
王命でユートピア商会の土地を接収するからには、ちゃんと後始末を付けてくれるかと思っていたがそんな事はなかったようだ。
「屋敷神、お客さん方がケガをしない様、さり気なくサポートをして上げてくれないかな? できれば、食料を手に入れる事ができない人や生活に困窮する人がいたら迷宮で作った食べ物を気付かれない様差し入れてくれると嬉しいかも……」
屋敷神はニコリと笑みを浮かべると「畏まりました」とだけ呟いた。
「さて、悠斗様。用事は済みましたかな? それではこれから商会の為に働いてくれる従業員を探しにいきましょう」
鎮守神はそう口にすると、自身のスキルで数体のゴーレムを創り土地と建物に警護を付ける。
「えっ? 鎮守神が従業員を探すの?」
「はい。長年この辺りの土地を見ておりましたので従業員になってくれそうな人物に心当たりがあります」
鎮守神は自信満々にそう呟くと、俺達を連れ、土地を後にすると何故か裏路地に入っていく。
裏路地に入ってから十数分、人相の悪いおじさん達が俺達を取り囲んだ。
「へっへっへ、何故こんな所に爺さんと餓鬼がいるかはわからねぇが丁度いい。つい最近、新しい剣が手に入ったんだ。お前らの身体で試し斬りをさせて貰うぜ」
「おいおい、そこにいる女は傷付けず捕らえろよ。上玉だ。久しぶりに楽しむ事ができそうだぜ」
俺は鎮守神のに視線を向ける。
「えーっと、鎮守神はユートピア商会で働いてくれる従業員を探す為、路地裏に入ったんだよね?」
「ええ、その通りでございます。彼らが商会で働いてくれる従業員です」
鎮守神は人相の悪いおじさん達に向き合うと、満面の笑顔で応える。
「悠斗様。彼等ほどの適任は存在致しません。何せ、死んでも悲しむ者はおらず、この国の兵士や騎士に捕まっても殺されてしまう程の極悪人。永遠に働いて貰うにはピッタリの人材でしょう」
鎮守神はそう呟くと、人相の悪いおじさん達を気絶させると〔人形化〕のスキルで一人一人人形へと変えていく。
「ご安心下さい。悠斗様。人形と化した彼等に自我はございません。命令した事を忠実にこなす従業員へと生まれ変わりました。さあ次に参りましょう」
鎮守神は、人形を俺の護衛代わりに後ろに就けると、裏路地に潜む犯罪者を次々と人形に変えていく。
因みに俺はというと鎮守神の突然の凶行に引いている。引きまくっている。まさかこんな事になるとは思いもしなかった。
てっきり従業員を探しに行くと言うから、スラム街の住民をスカウトしに行くものかと思っていた。
俺は顔を引き攣らせながら、鎮守神に視線を向ける。
「鎮守神。も、もう十分じゃないかな?」
鎮守神は、人形達に視線を向けると、ニコリと笑い呟いた。
「そうですな。これだけ人形が集まれば問題ないでしょう」
この日、裏路地に潜む犯罪者、総勢50名が謎の失踪を遂げる事となった。
地面から迫上がってきた建物を凝視すると鎮守神に声をかける。
「悠斗様の記憶を読ませて頂き、王都にある邸宅とユートピア商会、そして従業員用の宿舎を再現いたしました」
凄い。いつの間に記憶を……。
てっきり頭を撫でたいだけなのかと思っていた。
周りを見渡すと、塀もユートピア商会仕様となっている。
これなら直ぐにでも商売を始める事ができそうだ。
「それでは悠斗様。建物の案内をさせて頂きたいと思います。こちらへそうぞ。足元にお気を付け下さい」
鎮守神に連れられ、邸宅に入ると思わず感嘆の声を上げる。
「ふあぁ……。すごいね。まるで王都(今は迷宮内)にある邸宅そのものだ」
「流石、鎮守神様ですね……」
そして、元の邸宅にあった地下室を降っていくと、そこには迷宮核が安置されていた。
迷宮核の横には、地下へと続く階段が見える。
「ご安心下さい。悠斗様。迷宮核の安置してあるこの地下室に入れる者は我々をおいて他にはございません。もし万が一、敵が侵入した場合であっても、私目が速やかに排除して見せましょう」
頼もしい。頼もしすぎる。
何故、お爺ちゃんキャラはこんなにも頼もしく見えるのだろうか。
「うん。期待しているよ」
鎮守神はニコリと笑顔を見せると、迷宮の第1階層へと続く階段を降りていく。
第1階層に辿り着くと、そこには王都ストレイモイを出発する際、迷宮の階層に移した商会の建物が等間隔に並んでいる。
商会の建物を通り過ぎると、そこには悠斗邸が建っていた。
「いかがでしょうか。この通り、第1階層部分を王都にある迷宮と繋ぎました。これで好きな時に、王都に戻る事ができます。屋敷神もこちらにいる様ですね」
鎮守神がそう呟くと、目の前に屋敷神が顕現する。
「これはこれは悠斗様。鎮守神様もようこそおいで下さいました」
「屋敷神、王都に変わった事はない?」
「変わった事ですか……。そうですね。悠斗様が旅行に旅立たれてまだ数日も経っておりませんが、既に食料品や日用品の値段が高騰しております」
商業ギルドと対立した事を機会に、ユートピア商会が王都に出店している商会を悉く傘下に入れてしまった。そんな彼らと共に旅行に出かけている為、それを売る商会がいなくなり値段が高騰しているのだろう。そうなってくると、フェイ達のいるティンドホルマー魔法学園やルチアさんのいる教会が心配になってくる。
「食料品に日用品の高騰か……。フェイ達やルチアさんは大丈夫かな?」
「魔法学園と教会には、優先して食料や日用品を回しておりますので問題ございません。むしろ心配なのは、王都に住んでいるユートピア商会のお客様方ではないでしょうか。ユートピア商会の貼り紙を見たお客様方が連日、王城へと抗議に向かっております」
お客さん達には本当に申し訳ない気分で一杯だ。
しかし、王命でユートピア商会の土地を取り上げられてはこちらとしては何もできない。
王命でユートピア商会の土地を接収するからには、ちゃんと後始末を付けてくれるかと思っていたがそんな事はなかったようだ。
「屋敷神、お客さん方がケガをしない様、さり気なくサポートをして上げてくれないかな? できれば、食料を手に入れる事ができない人や生活に困窮する人がいたら迷宮で作った食べ物を気付かれない様差し入れてくれると嬉しいかも……」
屋敷神はニコリと笑みを浮かべると「畏まりました」とだけ呟いた。
「さて、悠斗様。用事は済みましたかな? それではこれから商会の為に働いてくれる従業員を探しにいきましょう」
鎮守神はそう口にすると、自身のスキルで数体のゴーレムを創り土地と建物に警護を付ける。
「えっ? 鎮守神が従業員を探すの?」
「はい。長年この辺りの土地を見ておりましたので従業員になってくれそうな人物に心当たりがあります」
鎮守神は自信満々にそう呟くと、俺達を連れ、土地を後にすると何故か裏路地に入っていく。
裏路地に入ってから十数分、人相の悪いおじさん達が俺達を取り囲んだ。
「へっへっへ、何故こんな所に爺さんと餓鬼がいるかはわからねぇが丁度いい。つい最近、新しい剣が手に入ったんだ。お前らの身体で試し斬りをさせて貰うぜ」
「おいおい、そこにいる女は傷付けず捕らえろよ。上玉だ。久しぶりに楽しむ事ができそうだぜ」
俺は鎮守神のに視線を向ける。
「えーっと、鎮守神はユートピア商会で働いてくれる従業員を探す為、路地裏に入ったんだよね?」
「ええ、その通りでございます。彼らが商会で働いてくれる従業員です」
鎮守神は人相の悪いおじさん達に向き合うと、満面の笑顔で応える。
「悠斗様。彼等ほどの適任は存在致しません。何せ、死んでも悲しむ者はおらず、この国の兵士や騎士に捕まっても殺されてしまう程の極悪人。永遠に働いて貰うにはピッタリの人材でしょう」
鎮守神はそう呟くと、人相の悪いおじさん達を気絶させると〔人形化〕のスキルで一人一人人形へと変えていく。
「ご安心下さい。悠斗様。人形と化した彼等に自我はございません。命令した事を忠実にこなす従業員へと生まれ変わりました。さあ次に参りましょう」
鎮守神は、人形を俺の護衛代わりに後ろに就けると、裏路地に潜む犯罪者を次々と人形に変えていく。
因みに俺はというと鎮守神の突然の凶行に引いている。引きまくっている。まさかこんな事になるとは思いもしなかった。
てっきり従業員を探しに行くと言うから、スラム街の住民をスカウトしに行くものかと思っていた。
俺は顔を引き攣らせながら、鎮守神に視線を向ける。
「鎮守神。も、もう十分じゃないかな?」
鎮守神は、人形達に視線を向けると、ニコリと笑い呟いた。
「そうですな。これだけ人形が集まれば問題ないでしょう」
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