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第八章 フェロー王国動乱編
第207話 エストゥロイ領
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「おお! これがエストゥロイ領か!」
フェロー王国の中でも、王都に次ぎ2番目に大きい領地で、外れに畜産迷宮として有名なケァルソイ迷宮があるエストゥロイ領は、資源に恵まれ、王都に向かう為の交通拠点の一つとしてだけではなく、避暑地として観光客に人気がある。
そんなエストゥロイ領に、傘下の商会を含む従業員全員と共に慰安旅行にマスカット会頭が手配してくれた馬車で訪れていた。
「おお、悠斗よ。待っていたぞ」
エストゥロイ領にある〔私の宿屋〕に到着すると、マスカットさんが出迎えてくれた。
「マスカットさんお久しぶりです。今回は従業員共々お世話になります」
「いや、礼には及ばない。心行くまでゆっくり楽しんでいくといい。先日は力になれずすまないな。土地が接収されてしまったと聞いたが……」
俺はマスカットさんの耳元へ口を寄せて囁く。
「確かに土地は接収されてしまいましたが、代わりに王都ストレイモイを迷宮の支配権内に置く事ができました。なので全く気にしていません。紙や仮設機材、万能薬についてはこれまで通り納めさせて頂きますので、よろしくお願いします」
俺が迷宮を持っている事を知っているマスカットさんは、顔をヒク付かせながら呟く。
「そ、そうか……それはフェロー王国もとんでもない相手に喧嘩を吹っ掛けてしまった様だな」
マスカットさんはコホンと咳をつくと、今回泊まる予定の〔私の宿屋〕について話始める。
「エストゥロイ領には、〔私の宿屋〕を10店舗展開している。今回はその内、4店舗を押さえておいた。宿泊にはこちらの施設を使ってほしい。またここに居る全員に期間限定の〔特別会員カード〕を配っておく。これを〔私の宿屋〕に提示すれば、この4店舗以外の施設も無料で利用する事ができるのでこちらについてもぜひ利用してほしい」
〔私の宿屋〕の方が、ユートピア商会の従業員達に〔特別会員カード〕を配っていく。
「マスカットさん、ありがとうございます。」
「土地接収の時、何もする事ができなったからな。これ位はさせてくれ。ところで悠斗よ。エストゥロイ領で商売を始める気はないか? 数ヶ月間も働かないとなると勘が鈍るだろう。なんなら私が土地を見繕っておくが……」
折角、エストゥロイ領に来たし、ここで商売を始めるのもいいかもしれない。
そんな事を思っていると、土地神が俺に耳打ちしてきた。
因みに屋敷神は迷宮で、国の動向に探りを入れてくれている。
「悠斗様。良い案かと……。こちらにも迷宮核を設置すれば、王都にある悠斗様の迷宮と同期する事が可能となります。また同期する事により王都とエストゥロイ領の往来も楽にする事ができますので、ぜひご検討を……」
土地神によると、同一人物が複数の迷宮核に魔力を注ぐ場合、迷宮同士を繋げる事ができるらしい。土地さえあればここでユートピア商会を再開する事もできる。
「わかった。ありがとう」
土地神にそう呟くと、マスカットさんに視線を向ける。
「ぜひよろしくお願いします。」
「そうか! まあ詳しい話は後にしよう。まずは〔私の宿屋〕で宿泊手続きを頼む。」
「はい。これから数ヶ月間お世話になります。土地購入の話は後ほど……」
それだけ呟くと、従業員全員分の宿泊手続きを済ませていく。
「それでは皆さん。ここで一旦解散とします。夜は皆で一緒に食事をとりましょう! 今から皆さんには数ヶ月分のお小遣いを配りたいと思います。あっ、お金はちゃんと収納指輪に入れて管理する様にして下さいね。あとお酒はいつ呑んで頂いても構いませんがハメは外し過ぎないようにして下さい」
俺は収納指輪から金貨100枚が入った袋を取り出すと、従業員一人一人に渡していく。
従業員達はこれまでよく働いてくれたし、ちょっとした臨時ボーナスだと思って受け取ってほしい。
「悠斗様。ありがとうございます」
トリアさんとラオスさんの自慢の息子にしてユートピア商会の従業員であるカイロ君がお礼の言葉を呟いた。
俺はカイロ君の頭を軽く撫でる。
「カイロ君達が一生懸命に働いてくれているお蔭で今の生活があるんだ。お礼を言うのは俺の方かな。ユートピア商会に来てくれてありがとう。これからもよろしくね。今は精一杯楽しんでくるんだよ」
「うん!」
素直な子だ。
カイロ君を見ていると、ティンドホルマー魔法学園に通っているフェイ達に会いたくなってきた。
ユートピア商会を一時的に閉店する事は伝えてあるけど、心配しているだろうな……。
カイロ君の両親、トリアさんやラオスさんも嬉しそうな顔をしている。
ユートピア商会の会頭として、この笑顔は守らなきゃな……。
両親の元に駆けていくカイロ君に手を振ると、他の従業員達にもお小遣いを手渡していく。
お小遣いを配り終わると夜まで自由時間とし、一時解散とした。
みんな楽しそうにエストゥロイ領の観光名所が書かれた地図を手にしている。
一部の従業員達はエストゥロイ領にある畜産迷宮ケァルソイ迷宮にチャレンジする様だ。
俺はというと、そんな従業員達を尻目にマスカットさんと共に商業ギルドへと向かう事にした。
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『大魔王に「世界を半分差し出そう」と言われたので、本当に世界の半分を貰った勇者の話』という異世界ファンタジー(コメディ)の作品を書いてみました。一応、現在9話までストックがあり、10話目からは2日毎の更新で話を進めていきたいと思っています。興味のある方は是非読んで下さるとありがたいです!
※ドラ○エ、ド○ゴンボールネタ多めです。
フェロー王国の中でも、王都に次ぎ2番目に大きい領地で、外れに畜産迷宮として有名なケァルソイ迷宮があるエストゥロイ領は、資源に恵まれ、王都に向かう為の交通拠点の一つとしてだけではなく、避暑地として観光客に人気がある。
そんなエストゥロイ領に、傘下の商会を含む従業員全員と共に慰安旅行にマスカット会頭が手配してくれた馬車で訪れていた。
「おお、悠斗よ。待っていたぞ」
エストゥロイ領にある〔私の宿屋〕に到着すると、マスカットさんが出迎えてくれた。
「マスカットさんお久しぶりです。今回は従業員共々お世話になります」
「いや、礼には及ばない。心行くまでゆっくり楽しんでいくといい。先日は力になれずすまないな。土地が接収されてしまったと聞いたが……」
俺はマスカットさんの耳元へ口を寄せて囁く。
「確かに土地は接収されてしまいましたが、代わりに王都ストレイモイを迷宮の支配権内に置く事ができました。なので全く気にしていません。紙や仮設機材、万能薬についてはこれまで通り納めさせて頂きますので、よろしくお願いします」
俺が迷宮を持っている事を知っているマスカットさんは、顔をヒク付かせながら呟く。
「そ、そうか……それはフェロー王国もとんでもない相手に喧嘩を吹っ掛けてしまった様だな」
マスカットさんはコホンと咳をつくと、今回泊まる予定の〔私の宿屋〕について話始める。
「エストゥロイ領には、〔私の宿屋〕を10店舗展開している。今回はその内、4店舗を押さえておいた。宿泊にはこちらの施設を使ってほしい。またここに居る全員に期間限定の〔特別会員カード〕を配っておく。これを〔私の宿屋〕に提示すれば、この4店舗以外の施設も無料で利用する事ができるのでこちらについてもぜひ利用してほしい」
〔私の宿屋〕の方が、ユートピア商会の従業員達に〔特別会員カード〕を配っていく。
「マスカットさん、ありがとうございます。」
「土地接収の時、何もする事ができなったからな。これ位はさせてくれ。ところで悠斗よ。エストゥロイ領で商売を始める気はないか? 数ヶ月間も働かないとなると勘が鈍るだろう。なんなら私が土地を見繕っておくが……」
折角、エストゥロイ領に来たし、ここで商売を始めるのもいいかもしれない。
そんな事を思っていると、土地神が俺に耳打ちしてきた。
因みに屋敷神は迷宮で、国の動向に探りを入れてくれている。
「悠斗様。良い案かと……。こちらにも迷宮核を設置すれば、王都にある悠斗様の迷宮と同期する事が可能となります。また同期する事により王都とエストゥロイ領の往来も楽にする事ができますので、ぜひご検討を……」
土地神によると、同一人物が複数の迷宮核に魔力を注ぐ場合、迷宮同士を繋げる事ができるらしい。土地さえあればここでユートピア商会を再開する事もできる。
「わかった。ありがとう」
土地神にそう呟くと、マスカットさんに視線を向ける。
「ぜひよろしくお願いします。」
「そうか! まあ詳しい話は後にしよう。まずは〔私の宿屋〕で宿泊手続きを頼む。」
「はい。これから数ヶ月間お世話になります。土地購入の話は後ほど……」
それだけ呟くと、従業員全員分の宿泊手続きを済ませていく。
「それでは皆さん。ここで一旦解散とします。夜は皆で一緒に食事をとりましょう! 今から皆さんには数ヶ月分のお小遣いを配りたいと思います。あっ、お金はちゃんと収納指輪に入れて管理する様にして下さいね。あとお酒はいつ呑んで頂いても構いませんがハメは外し過ぎないようにして下さい」
俺は収納指輪から金貨100枚が入った袋を取り出すと、従業員一人一人に渡していく。
従業員達はこれまでよく働いてくれたし、ちょっとした臨時ボーナスだと思って受け取ってほしい。
「悠斗様。ありがとうございます」
トリアさんとラオスさんの自慢の息子にしてユートピア商会の従業員であるカイロ君がお礼の言葉を呟いた。
俺はカイロ君の頭を軽く撫でる。
「カイロ君達が一生懸命に働いてくれているお蔭で今の生活があるんだ。お礼を言うのは俺の方かな。ユートピア商会に来てくれてありがとう。これからもよろしくね。今は精一杯楽しんでくるんだよ」
「うん!」
素直な子だ。
カイロ君を見ていると、ティンドホルマー魔法学園に通っているフェイ達に会いたくなってきた。
ユートピア商会を一時的に閉店する事は伝えてあるけど、心配しているだろうな……。
カイロ君の両親、トリアさんやラオスさんも嬉しそうな顔をしている。
ユートピア商会の会頭として、この笑顔は守らなきゃな……。
両親の元に駆けていくカイロ君に手を振ると、他の従業員達にもお小遣いを手渡していく。
お小遣いを配り終わると夜まで自由時間とし、一時解散とした。
みんな楽しそうにエストゥロイ領の観光名所が書かれた地図を手にしている。
一部の従業員達はエストゥロイ領にある畜産迷宮ケァルソイ迷宮にチャレンジする様だ。
俺はというと、そんな従業員達を尻目にマスカットさんと共に商業ギルドへと向かう事にした。
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『大魔王に「世界を半分差し出そう」と言われたので、本当に世界の半分を貰った勇者の話』という異世界ファンタジー(コメディ)の作品を書いてみました。一応、現在9話までストックがあり、10話目からは2日毎の更新で話を進めていきたいと思っています。興味のある方は是非読んで下さるとありがたいです!
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