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第41話 傭兵団VS『使役』②
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首を落としたにも拘らず、攻勢に転じてきたガリアを見て、ブルーノは目を丸くする。
「――ほう。首を落とされてなお死なぬか……」
つまりそれは、この中に蘇生系のスキル保持者がいるということ。
胴体に首を繋げたガリアを見て、ブルーノは軽く舌打ちをする。
(……厄介じゃのぅ)
回復系のスキル保持者や魔法を使う者はそれなりにいる。しかし、蘇生系のスキルを持つ者は少ない。いや、希少とも言える。
中でも、致命傷を負い生きながらえることのできるスキル保持者は更に希少だ。
そして、大抵の場合、そのスキル保持者を倒さぬことには、戦闘を終わらすことができない。倒した所ですぐに蘇生させられてしまうからだ。
人には体力的な限界がある。
到達者といえど、人である限り戦い続けることは不可能に近い。
『グルゥ?』
どうしたものか……そう頭を悩ませていると、『はやく殺らないの?』と言わんばかりに白虎が擦り寄ってくる。
「ふむ。そうじゃな……」
状況から見て、あのミギーと呼ばれた男が蘇生系のスキル保持者である可能性が非常に高い。
ブルーノは白虎の頭を撫でると、ミギーに視線を向け、戦斧を振り上げた。
(――あの男を殺れば、蘇生系のスキルは使えぬはず……まずはあの男を殺る!)
ブルーノは振り上げた戦斧を思い切り握ると、勢いを付けてそのままミギーに向かいぶん投げる。そして、ストレージから二本、戦斧を取り出すと、確実にミギーを仕留めるため駆け出した。
そんな、ブルーノを見て、ミギーは笑みを浮かべ声を上げる。
「いいねぇ、そう来なくっちゃ! そこの団員っ! こちらへ来いっ!」
「――えっ!?」
すると、近くにいたリーフが引っ張られるようにして、ミギーとブルーノの間に立った。
「ミギー団長っ! なにをっ!?」
ミギー突然の行動にガリアは驚愕の表情を浮かべそう叫ぶ。
そんなガリアに向かって、ミギーはさも当然のように言った。
「――なにって、決まっているだろう? 盾だよ、盾。ガリア君。君が彼を俺の護衛に就けてくれたんじゃあないか。見てみろよ。『使役』の奴が俺の下に向かってきているんだぜ? なら、護衛としての本懐を果たさなきゃいけない。そう思うだろう。そう思うよなぁ⁉︎ なぜなら、俺はその対価を既に支払っているのだからっ!」
「ち、ちょっと、待っ――ぐぽっ……!?」
そう言った瞬間、リーフの腹に戦斧が突き刺さり、数秒置いて縦真っ二つに身を引き裂かれる。
「リ、リーフゥゥゥゥ!」
ガリアの叫びとリーフの血飛沫が舞う中、ブルーノは苦い表情を浮かべる。
「――仲間を盾にするとは、酷いことをするのぅ……」
「君に言われたくないなぁ……『使役』のドワーフ。それと、油断しちゃあ駄目だよ。彼は……リーフはまだ死んでない――」
ミギーが『ライフ』を供給する限り、リーフが死ぬことは決してない。
ライフを消費し、蘇ったリーフは苦い表情を浮かべ、ブルーノに視線を向ける。
「……なっ⁉︎」
リーフが蘇ったことに驚くブルーノ。
そんなブルーノを見て、ミギーは愉快そうに笑う。
「――俺の盾は不死身の肉盾でね。さあ、リーフ君。新しい『ライフ』を受け取りたまえ」
そう言うと、ミギーは手のひらに『ライフ』を浮かべ、出したライフすべてをリーフに強制的に付与していく。
「ぐっ――ああっ!?」
複数の『ライフ』を与えられたリーフは、体が修復される時の激痛に身を捩りながらもミギーに向かって文句を言う。
「――こ、殺す気ですかっ!?」
「殺す気ですかって失礼だな。最初から殺す気なら態々『ライフ』なんて与えないよ。そんなことはいいから、さっさと『使役』を捕えろ。仮にもダグラス傭兵団に三人しかいない準到達者なんだろ?」
「うっ、なんでそれを……」
「別に驚くようなことじゃあないだろう? それとも、この俺に操られながら戦いたいかい?」
ミギーのスキル『リライフ』には、仮初の魂を付与する力の他、『ライフ』を受け取った者を操る力がある。
「し、仕方がないなぁ……! やればいいんでしょ!」
一度惨殺され蘇る過程で、そのことに気付いたリーフは歯軋りしながらもブルーノの前に立つ。
惨殺された時に流した血で着ている服を真っ赤に染めたリーフ。
そんなリーフの姿を見てブルーノはため息を吐いた。
「……やれやれじゃな。お嬢ちゃん。折角、助かった命を無駄にするものではないぞ?」
その言葉を挑発と受け取ったリーフは怒りの表情を浮かべると周囲に魔法陣を展開する。
「――カッチーン……お嬢ちゃん? もしかして、ボクのことを言っているのかな? まさか、ボクに言っている訳じゃあないよね?」
ガン付けながらそう言うと、ブルーノはただ一言。「……お主の他に誰がいるんじゃ?」と、言った。
プッつん通り越して笑顔になったリーフは、片手を握り親指を下にすると共に展開していた魔法陣をブルーノを上下左右囲むように配置する。そして……
「……とりあえず、百遍死んで出直してきなよ。糞爺」
そう呟くと、リーフはブルーノを魔の森の上空へと転移させた。
「――ほう。首を落とされてなお死なぬか……」
つまりそれは、この中に蘇生系のスキル保持者がいるということ。
胴体に首を繋げたガリアを見て、ブルーノは軽く舌打ちをする。
(……厄介じゃのぅ)
回復系のスキル保持者や魔法を使う者はそれなりにいる。しかし、蘇生系のスキルを持つ者は少ない。いや、希少とも言える。
中でも、致命傷を負い生きながらえることのできるスキル保持者は更に希少だ。
そして、大抵の場合、そのスキル保持者を倒さぬことには、戦闘を終わらすことができない。倒した所ですぐに蘇生させられてしまうからだ。
人には体力的な限界がある。
到達者といえど、人である限り戦い続けることは不可能に近い。
『グルゥ?』
どうしたものか……そう頭を悩ませていると、『はやく殺らないの?』と言わんばかりに白虎が擦り寄ってくる。
「ふむ。そうじゃな……」
状況から見て、あのミギーと呼ばれた男が蘇生系のスキル保持者である可能性が非常に高い。
ブルーノは白虎の頭を撫でると、ミギーに視線を向け、戦斧を振り上げた。
(――あの男を殺れば、蘇生系のスキルは使えぬはず……まずはあの男を殺る!)
ブルーノは振り上げた戦斧を思い切り握ると、勢いを付けてそのままミギーに向かいぶん投げる。そして、ストレージから二本、戦斧を取り出すと、確実にミギーを仕留めるため駆け出した。
そんな、ブルーノを見て、ミギーは笑みを浮かべ声を上げる。
「いいねぇ、そう来なくっちゃ! そこの団員っ! こちらへ来いっ!」
「――えっ!?」
すると、近くにいたリーフが引っ張られるようにして、ミギーとブルーノの間に立った。
「ミギー団長っ! なにをっ!?」
ミギー突然の行動にガリアは驚愕の表情を浮かべそう叫ぶ。
そんなガリアに向かって、ミギーはさも当然のように言った。
「――なにって、決まっているだろう? 盾だよ、盾。ガリア君。君が彼を俺の護衛に就けてくれたんじゃあないか。見てみろよ。『使役』の奴が俺の下に向かってきているんだぜ? なら、護衛としての本懐を果たさなきゃいけない。そう思うだろう。そう思うよなぁ⁉︎ なぜなら、俺はその対価を既に支払っているのだからっ!」
「ち、ちょっと、待っ――ぐぽっ……!?」
そう言った瞬間、リーフの腹に戦斧が突き刺さり、数秒置いて縦真っ二つに身を引き裂かれる。
「リ、リーフゥゥゥゥ!」
ガリアの叫びとリーフの血飛沫が舞う中、ブルーノは苦い表情を浮かべる。
「――仲間を盾にするとは、酷いことをするのぅ……」
「君に言われたくないなぁ……『使役』のドワーフ。それと、油断しちゃあ駄目だよ。彼は……リーフはまだ死んでない――」
ミギーが『ライフ』を供給する限り、リーフが死ぬことは決してない。
ライフを消費し、蘇ったリーフは苦い表情を浮かべ、ブルーノに視線を向ける。
「……なっ⁉︎」
リーフが蘇ったことに驚くブルーノ。
そんなブルーノを見て、ミギーは愉快そうに笑う。
「――俺の盾は不死身の肉盾でね。さあ、リーフ君。新しい『ライフ』を受け取りたまえ」
そう言うと、ミギーは手のひらに『ライフ』を浮かべ、出したライフすべてをリーフに強制的に付与していく。
「ぐっ――ああっ!?」
複数の『ライフ』を与えられたリーフは、体が修復される時の激痛に身を捩りながらもミギーに向かって文句を言う。
「――こ、殺す気ですかっ!?」
「殺す気ですかって失礼だな。最初から殺す気なら態々『ライフ』なんて与えないよ。そんなことはいいから、さっさと『使役』を捕えろ。仮にもダグラス傭兵団に三人しかいない準到達者なんだろ?」
「うっ、なんでそれを……」
「別に驚くようなことじゃあないだろう? それとも、この俺に操られながら戦いたいかい?」
ミギーのスキル『リライフ』には、仮初の魂を付与する力の他、『ライフ』を受け取った者を操る力がある。
「し、仕方がないなぁ……! やればいいんでしょ!」
一度惨殺され蘇る過程で、そのことに気付いたリーフは歯軋りしながらもブルーノの前に立つ。
惨殺された時に流した血で着ている服を真っ赤に染めたリーフ。
そんなリーフの姿を見てブルーノはため息を吐いた。
「……やれやれじゃな。お嬢ちゃん。折角、助かった命を無駄にするものではないぞ?」
その言葉を挑発と受け取ったリーフは怒りの表情を浮かべると周囲に魔法陣を展開する。
「――カッチーン……お嬢ちゃん? もしかして、ボクのことを言っているのかな? まさか、ボクに言っている訳じゃあないよね?」
ガン付けながらそう言うと、ブルーノはただ一言。「……お主の他に誰がいるんじゃ?」と、言った。
プッつん通り越して笑顔になったリーフは、片手を握り親指を下にすると共に展開していた魔法陣をブルーノを上下左右囲むように配置する。そして……
「……とりあえず、百遍死んで出直してきなよ。糞爺」
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