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第23話 夢の世界での鍛練②
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「えっと、イデアさん? これは……」
『うん? このゲームをやるのは初めてかい?』
ノアの目の前には、オーガの面を被ったブルーノが立っている。
そして、イデアもオーガの面を被っている。
(一体、これからなにが始まるのだろうか?)
そんなことを考えていると、ノアの心を読んだイデアが口を開く。
『ふえっ、ふえっ、ふえっ……これから行うのは「オーガごっこ」という子供の遊びさ。ノアは初めてやるようだからね、簡単にルールを説明するよ』
そう言うと、イデアは簡単にルールを説明する。
『「オーガごっこ」のルールはとても簡単さ。制限時間内にオーガ役の私たちがノアのことを捕まえたら私たちの勝ち、逃げきれたらノアの勝ちさね。これから、ノアには三十分、私たちから逃げ切ってもらうよ。それがクリアの条件さ』
(――三十分か……それ位ならなんとか……)
『――それ位ならなんとか逃げられると思っている顔だねぇ? 私たち二人を前にして随分と余裕じゃないか……それなら、一つペナルティを設けようかねぇ……?』
「えっ、罰を……?」
その瞬間、余計なことを言ったと後悔するノア。
ノアを見て、イデアは笑みを浮かべる。
『私たちに捕まる度、ノアの魔力徴収率を一割上げさせてもらうよ』
「えっ? 魔力徴収率を一割??」
意味がわからずそう呟くと、イデアは衝撃的な事実を告げた。
『――ああ、そうさ……気付かなかったかい? この夢の世界は、私とノアの魔力によって構成されているのさ。夢の世界を維持するには大量の魔力が必要となる』
(――言われて見れば……いつの間に……)
集中して見ると気付かない位、ほんの少しずつ魔力が失われていくのがわかる。
『ふえっ、ふえっ、ふえっ……少しずつ魔力が削られていくことを理解したようだね。それでは、「オーガごっこ」を始めようか。逃走範囲はこの森林全体。三十分間、逃げ切ればノアの勝ちだ。十秒数えたら追いかけるからね』
「は、はい!」
そう言うと、ノアは森の中を駆け出した。
『それじゃあ、行くよ。い~ち、に~い、さ~ん――』
オーガ役は二人のようだ。
イデアとブルーノが十数え終えたら追ってくる。
(……三十分逃げ切れば勝ちなんだ。どこかに身を潜めてイデアさんとブルーノさんをやり過ごす)
森を駆けていると、大きな大樹の根に人一人が入りそうな穴が開いていることに気付いた。急ブレーキをかけ立ち止まると、穴の中に入り身を潜める。
『――は~ち、きゅ~う、じゅう……ふえっ、ふえっ、ふえっ。それじゃあ、行くよ。ノアが逃げたのはあっちの方向かねぇ?』
イデアはそう言うと、杖を天にかざし、ただ一言呟いた。
『「隕石」』
その瞬間、上空から複数の炎を纏った巨大な隕石が降ってくる。
「えっ?」
急に空が真っ赤に染まったことに異変を感じたノアが木の穴から顔を出すと、強い閃光を放ち、煙の尾を曳きながら落下してくる隕石の存在に気付いた。
「え、ええっ?? えええええええええええええええっ――!!!? なに、なになになにないなになになになになにあれぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」
とりあえず、危険な物であることだけはよくわかる。
ノアは『リセット』と『付与』を繰り返し、隠れた木にステータス値を隕石が落ちてくる限界まで付与すると、隕石が大地に音を立てて近付き――
――フオゥーン――ズドォオオオオオオオンッ‼
――という音と共にその場に合ったすべてを吹き飛ばした。
隕石は大地にクレーターを作り、大地とぶつかった際の衝撃波がノアを襲う。
「ぎゃああああっ――!!!?」
樹木ごと吹き飛ばされ、悲鳴を上げるノア。
樹木にステータス値を限界まで付与したお蔭で、樹木自体は折れることなく隕石の衝撃波からノアを守っている。
「――ああああっ……ぐえっ!?」
そして、吹き飛んだ樹木が天辺から地面に突き刺さると、その衝撃でノアは潰れたパープル・トードのような声を上げた。
「痛たたたっ……」
頭に手のひらを当てながら樹木の中から這い出ると、軽く肩を叩かれる。
反射的に振り向くと、そこにはオーガの面を付けたイデアがいた。
『ふえっ、ふえっ、ふえっ……捕まえたよ。私の勝ちだね』
「――えっ?」
『ペナルティとして、魔力徴収率を一割上げさせてもらうよ』
イデアがそう呟いた瞬間、今までとは尋常ではない位の魔力が体の外に流れ出ていく。
「イ、イデアさんっ‼ これはっ!?」
慌ててイデアに声をかけるノア。
そんなノアを見て、イデアは不敵な笑みを浮かべる。
『ふえっ、ふえっ、ふえっ……言っただろう? 私たちに捕まる度、ノアの魔力徴収率を一割上げさせてもらうって……?』
「で、でもこれ、一割ってレベルじゃない気がするんですけどっ!?」
体感で三割弱魔力を持っていかれているように感じる。
どう考えても一割なんてものではない。
『それは、私が隕石の魔法で夢の世界を破壊したからだね。修復には多大な魔力がかかる。夢の世界が壊れたその分、ノアの魔力徴収率が上がっているんだろうよ……ふえっ、ふえっ、ふえっ……』
「そ、そんなの聞いてないよー!」
『そりゃあ、言ってないからねぇ?』
イデアは悪びれずに、そう言うとノアにオーガの面を被せた。
『ふえっ、ふえっ、ふえっ……それじゃあ、次はノアが私を捕まえる番だよ。もし三十分以内に私を捕まえることができたら、魔力徴収率を元の率に戻してやるさね。さあ、十秒数えな……』
「ううっ……」
今度はノアがイデアを追い掛ける番になったようだった。
イデアの後ろに構えるブルーノに視線を向けると、ノアはゆっくり十秒数えることにした。
『うん? このゲームをやるのは初めてかい?』
ノアの目の前には、オーガの面を被ったブルーノが立っている。
そして、イデアもオーガの面を被っている。
(一体、これからなにが始まるのだろうか?)
そんなことを考えていると、ノアの心を読んだイデアが口を開く。
『ふえっ、ふえっ、ふえっ……これから行うのは「オーガごっこ」という子供の遊びさ。ノアは初めてやるようだからね、簡単にルールを説明するよ』
そう言うと、イデアは簡単にルールを説明する。
『「オーガごっこ」のルールはとても簡単さ。制限時間内にオーガ役の私たちがノアのことを捕まえたら私たちの勝ち、逃げきれたらノアの勝ちさね。これから、ノアには三十分、私たちから逃げ切ってもらうよ。それがクリアの条件さ』
(――三十分か……それ位ならなんとか……)
『――それ位ならなんとか逃げられると思っている顔だねぇ? 私たち二人を前にして随分と余裕じゃないか……それなら、一つペナルティを設けようかねぇ……?』
「えっ、罰を……?」
その瞬間、余計なことを言ったと後悔するノア。
ノアを見て、イデアは笑みを浮かべる。
『私たちに捕まる度、ノアの魔力徴収率を一割上げさせてもらうよ』
「えっ? 魔力徴収率を一割??」
意味がわからずそう呟くと、イデアは衝撃的な事実を告げた。
『――ああ、そうさ……気付かなかったかい? この夢の世界は、私とノアの魔力によって構成されているのさ。夢の世界を維持するには大量の魔力が必要となる』
(――言われて見れば……いつの間に……)
集中して見ると気付かない位、ほんの少しずつ魔力が失われていくのがわかる。
『ふえっ、ふえっ、ふえっ……少しずつ魔力が削られていくことを理解したようだね。それでは、「オーガごっこ」を始めようか。逃走範囲はこの森林全体。三十分間、逃げ切ればノアの勝ちだ。十秒数えたら追いかけるからね』
「は、はい!」
そう言うと、ノアは森の中を駆け出した。
『それじゃあ、行くよ。い~ち、に~い、さ~ん――』
オーガ役は二人のようだ。
イデアとブルーノが十数え終えたら追ってくる。
(……三十分逃げ切れば勝ちなんだ。どこかに身を潜めてイデアさんとブルーノさんをやり過ごす)
森を駆けていると、大きな大樹の根に人一人が入りそうな穴が開いていることに気付いた。急ブレーキをかけ立ち止まると、穴の中に入り身を潜める。
『――は~ち、きゅ~う、じゅう……ふえっ、ふえっ、ふえっ。それじゃあ、行くよ。ノアが逃げたのはあっちの方向かねぇ?』
イデアはそう言うと、杖を天にかざし、ただ一言呟いた。
『「隕石」』
その瞬間、上空から複数の炎を纏った巨大な隕石が降ってくる。
「えっ?」
急に空が真っ赤に染まったことに異変を感じたノアが木の穴から顔を出すと、強い閃光を放ち、煙の尾を曳きながら落下してくる隕石の存在に気付いた。
「え、ええっ?? えええええええええええええええっ――!!!? なに、なになになにないなになになになになにあれぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」
とりあえず、危険な物であることだけはよくわかる。
ノアは『リセット』と『付与』を繰り返し、隠れた木にステータス値を隕石が落ちてくる限界まで付与すると、隕石が大地に音を立てて近付き――
――フオゥーン――ズドォオオオオオオオンッ‼
――という音と共にその場に合ったすべてを吹き飛ばした。
隕石は大地にクレーターを作り、大地とぶつかった際の衝撃波がノアを襲う。
「ぎゃああああっ――!!!?」
樹木ごと吹き飛ばされ、悲鳴を上げるノア。
樹木にステータス値を限界まで付与したお蔭で、樹木自体は折れることなく隕石の衝撃波からノアを守っている。
「――ああああっ……ぐえっ!?」
そして、吹き飛んだ樹木が天辺から地面に突き刺さると、その衝撃でノアは潰れたパープル・トードのような声を上げた。
「痛たたたっ……」
頭に手のひらを当てながら樹木の中から這い出ると、軽く肩を叩かれる。
反射的に振り向くと、そこにはオーガの面を付けたイデアがいた。
『ふえっ、ふえっ、ふえっ……捕まえたよ。私の勝ちだね』
「――えっ?」
『ペナルティとして、魔力徴収率を一割上げさせてもらうよ』
イデアがそう呟いた瞬間、今までとは尋常ではない位の魔力が体の外に流れ出ていく。
「イ、イデアさんっ‼ これはっ!?」
慌ててイデアに声をかけるノア。
そんなノアを見て、イデアは不敵な笑みを浮かべる。
『ふえっ、ふえっ、ふえっ……言っただろう? 私たちに捕まる度、ノアの魔力徴収率を一割上げさせてもらうって……?』
「で、でもこれ、一割ってレベルじゃない気がするんですけどっ!?」
体感で三割弱魔力を持っていかれているように感じる。
どう考えても一割なんてものではない。
『それは、私が隕石の魔法で夢の世界を破壊したからだね。修復には多大な魔力がかかる。夢の世界が壊れたその分、ノアの魔力徴収率が上がっているんだろうよ……ふえっ、ふえっ、ふえっ……』
「そ、そんなの聞いてないよー!」
『そりゃあ、言ってないからねぇ?』
イデアは悪びれずに、そう言うとノアにオーガの面を被せた。
『ふえっ、ふえっ、ふえっ……それじゃあ、次はノアが私を捕まえる番だよ。もし三十分以内に私を捕まえることができたら、魔力徴収率を元の率に戻してやるさね。さあ、十秒数えな……』
「ううっ……」
今度はノアがイデアを追い掛ける番になったようだった。
イデアの後ろに構えるブルーノに視線を向けると、ノアはゆっくり十秒数えることにした。
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