379 / 381
第379話 国賊も反転するとマトモになる
しおりを挟む
ここは、新橋大学附属病院の特別個室。
影の精霊を介して、都知事選有力候補の情報収集をしていた俺こと高橋翔は、皆に裏切られ孤立した池谷を見て目をパチクリする。
「あらら、反転してマトモになっちゃったよ。あいつ……」
元東京都知事である池谷の置かれた状況は、ハッキリ言って厳しい。
池谷が都税を垂れ流し支援していた市民団体や社団法人を始めとした公益法人、そして、宗教法人に見放され、オールドメディアたるマスゴミには推定無罪の原則を無視され、疑惑だけで叩かれまくっている。
普段、説明責任とか抜かして不祥事を起こした人や企業を散々叩きまくる癖に、いざ自分の会社に不祥事が発生すると動画撮影NGの会見をクローズで行い、会見に失敗してCMのスポンサーに逃げられ仕方がなく二度目の会見を行うような輩に目を付けられてしまったのだ。
そうなるのも仕方がない。
挙げ句の果てには、百条委員会が立ち上がり結論が出ていないにも関わらず、ただ疑惑があるというだけで不信任決議が可決。
民意を問うという形で辞任したが、池谷は実質的に東京都知事の座から追われる事になった。
しかし、ただの疑惑がまるで事実であるかの様に扱われ、まるでイジメのように連日に渡り報道されるこの状況はあまりにおかしい。
数兆円にも上る都税を村井が運営していた一つの公益法人に集め、ピンハネがそれを不正に利用していた件には一切触れず、パワハラやおねだり疑惑を追求するため百条委員会を立ち上げている時点でお察しだ。
感覚がぶっ壊れている。普通の感覚ではない。
百条委員会を立ち上げるなら数兆円にも上る都税をマトモに管理する事のできない公益法人に任せ、回収できなくなった責任を取らせるために百条委員会を立ち上げろよ。
パワハラやおねだりより東京都議会が公益法人に数兆円流し、横領され回収できなくなった事の方がよっぽど問題だろ。
脳内の優先順位バグってんのかアイツら。
都民の代表とは思えない自己保身っぷりに脱帽だよ。脱帽。
だがしかし、折角、反転してくれたのだからこれを利用しない手はない。
チャンス到来。
正直言って、元東京都知事である池谷には何も期待していないが、反転した今、一度に、東京都議会の全議員をその座から追い落とすチャンスがやってきた。
自らが触れたくない不祥事には一切触れず、池谷を追い落とす為に行われたマスゴミの報道と全会一致の不信任決議案。
もしこれが事実と認定されなかったり、都民が池谷を再任されれば、全会一致で池谷を都知事の座から追い落とした東京都議会議員の面目は丸潰れだ。
当然、マスゴミも同じ事。
オールドメディアとして、ただでさえない信頼性がより下がる事は間違いないだろう。
俺も社外取締役として、仲間と共にマスゴミ各社への締め付けを強くしてきたつもりだったが、どうやら締め付けが足りなかったらしい。
ならば、限界を超えて締め付けるまでだ。例え、それで締め殺してしまおうが俺の知った事ではない。
やはり、汚い水には汚い魚しか住み付かないのだなと諦めるだけだ。
そして、俺がそう諦めたら最後、それは放送免許の返納を意味している。
「何というか……もうテレビ局はいらないな」
有料配信ネットサービスがあればもう何もいらない。
リモコンの殆どのボタンが使い物にならなくなるかもしれないが、喧嘩を仕掛けてきたのは向こう側だ。
「やられたらやり返す、倍……いや、一千億万倍返しだ」
こういう輩にはオーバーキル位が丁度いい。
日本から公益放送局以外のテレビ局が消えてしまうのは残念だが仕方がない。
だって、手を出してきたのはあっちだもの。
何回言っても立場を理解しようとしないのだ。最早、存在ごと無くしてしまった方が早い。
テレビなんて普段見ないし、やっぱりテレビ局が必要となれば、誰かしら作るだろう。
俺も馬鹿な真似をしない限り、率先して潰しに掛かるような真似はしない。
ただし、堪忍袋の尾は既に切れている。
何百億円かけて放送局を作った所で、馬鹿な真似を一度でもすればその時点でジ・エンド。
跡形も残さず綺麗に消してやる。
「ふふふ……」
なぜかは分からないが、笑えてきた。
今の俺なら比較的簡単にそれができてしまう。その事が恐ろしい。
自分の事ながら既に何でもできると増長しているが、マスゴミの様に本当の意味で社会のゴミにならないよう気を付けよう。
「とりあえず、方針は決まったな……」
正直、公益法人とズブズブだった元東京都知事、池谷の力になってやるのは癪だが、契約書とエレメンタルの力があれば制御可能。
この際なので徹底的にやらせて貰おう。
東京都が変われば日本中の公益法人制度が変わる。
個人的に一番変えたいのは監督省庁もなく行政から監督、指導を受けることもない一般社団法人制度。
少なくとも俺に噛みついてきた奴等の殆どが血税を食い散らかす活動家や反社、天下りだった。
活動家や反社に税金を食い荒らされるなんて冗談じゃない。
そんでもって財源がないとか馬鹿な事を行っているのだからお笑い種だ。
財源がないなら無駄を省くという当たり前のことすらできないのが今の政治家。
借金癖がつき借りれるだけ借金して散財するクソ野郎と何も変わらない。
折角やってきた千載一遇のチャンス。
東京都からとはいえ少しずつ意識を変えていこう。
その為に何百、何千の活動家と反社が路頭に迷おうが知ったことではない。むしろ路頭に迷え。ちゃんとした公益法人は国からの委託や補助金がなくなったからといって潰れたりしない。
補助金ありきで活動したり、訳のわからない委託費名目で補助金受け取る団体が異常なのだ。
勿論、補助金があれば嬉しいだろうが、基本的には寄付された金額や収入の範囲内でできる活動をするものだ。
そもそも、委託を受けたり補助を受ける際には、一定の活動実績が必要な訳で、それまで活動できていたのに、委託がなくなり、補助金が出なくなった瞬間、活動が行き詰まるというのはおかしい。
単に、自分の力以上の事に手を出して身を滅ぼす経営者と何も変わらない。その代表に経営者としてのセンスがないだけだ。
経営に失敗し破滅するのは大企業も中小企業も変わらない。
今回の都知事選はその意識を変革する絶好の機会。
「さて、どうアプローチしたものか……」
そう呟くと、俺は課金アイテムである契約書を取り出し、池谷に飲ませたい条項を書き留めた。
◆◆◆
「ど、どういう事……?」
ポストに投函されていた封筒。
その送り先を見て、元東京都知事の池谷は絶句する。
「高橋翔……何故、あの男が私に……」
公設ポストの場所は公開されている。
しかし、何故、高橋翔が私に封筒を送ってきたのか理解できない。
唖然とした表情を浮かべ封筒を開けると、そこには私を支援したい旨、記載された紙が入っていた。
動員する事ができる人数は千人を超え、全ての人が個人事業主らしく協力内容を見ても公職選挙法にも違反しない。
「一体、何が目的なの……?」
一応、最もらしい事は書いてあるが、高橋翔の目的が見えない。私を応援するメリットも見当たらない。
高橋翔の要望はただ一つ。東京都の浄化。
無駄な歳出を減らし、補助金や委託費の拠出には企業並みに厳格な対応を求める事だけだ。
私の事を裏切った奴等に対して甘い汁を吸わせる事は金輪際ない。
清濁合わせ持つのではなく汚い部分は完全に切り捨てる。
今回の都知事選はそのつもりで挑む気でいた。
勿論、そんな事は絵空事。非現実的である事は理解している。
何せ、それを実現するには、私だけではない都議会議員の賛同が不可欠なのだ。
到底不可能と言っても過言ではない。
だからこそ分からない。彼は一体、何をしようというのだろうか……。
――プルルルルルッ。プルルルルッ!
高橋翔の考えが読めず苦悩していると、突然、電話が鳴る。
誰だろうか。
いつもであれば秘書が電話応対してくれる。しかし、今の私にはその秘書すら付いていない。
電話番号を見れば、知らない番号からの電話だ。
「――はい……」
そう言って電話を取ると、電話口から思わぬ人物の声が聞こえてきた。
『高橋翔と申します。元東京都知事の池谷さんの電話でお間違いないでしょうか?』
「――あ、あなた……!?」
よもやよもやの事態に私は思わず顔を強張らせる。
一体、どうやってこの番号を……そもそも、電話を直接かけて来るなんてどういう了見だろうか。
高橋翔の考えが読めず私の思考がフリーズする。
しかし、俺には関係ないと言わんばかりに、高橋翔は話を進めていく。
『……まあ、色々あって知らない中ではありませんし、話を進めましょう。それで、俺の提案はいかがですか? もし協力頂けるのであれば、選挙に協力させて頂きますが?』
「…………」
私が郵便物を受け取り内容を確認した事を知っての電話か……。
キョロキョロ首を動かし、周囲の様子を探る。
しかし、自分の様子を確認する者は見当たらない。
「……どういうつもり? 私に協力してあなたにどんなメリットがあると言うの?」
そう尋ねると、高橋翔はさも当然のように言う。
『――うん? もしかして、わからないんですか?』
その回答を聞き、一瞬、キレそうになった。
わからないから聞いている。わかっていたら、そんな質問誰がするものか。
私は怒りを押し殺し、唇を震わせながら言う。
「……ええ、わからないわ。だから、教えてくれないかしら。例え、今、私が窮地に陥っていようとも狙いがわからない事にはどう返答したらいいか判断が付かないわ」
政治の世界は魑魅魍魎が跋扈する世界。
狙いを聞き出さない事には話にもならない。
すると高橋翔はため息を吐く。
『……契約書を同封してあるだろ。それ以上の事は求めない。それ以上の見返りは不要だよ。お前が普段から相手にしている声がデカいだけの活動家や委託金や補助金頼りに運営している公益法人、自分の事しか考えていない国賊議員と一緒にするな』
私は目を瞬かせる。
「……本当に金銭的な見返りを求めないの?」
『ああ、何度も同じ事を言わせるな。確かにあんたとは敵対関係にあったが、そんなものは求めない。俺が欲しいのは国賊共の首だけだ。例えば、仁海とかな。それ以外いらねーよ』
その言葉を聞き、私は思わず絶句した。
影の精霊を介して、都知事選有力候補の情報収集をしていた俺こと高橋翔は、皆に裏切られ孤立した池谷を見て目をパチクリする。
「あらら、反転してマトモになっちゃったよ。あいつ……」
元東京都知事である池谷の置かれた状況は、ハッキリ言って厳しい。
池谷が都税を垂れ流し支援していた市民団体や社団法人を始めとした公益法人、そして、宗教法人に見放され、オールドメディアたるマスゴミには推定無罪の原則を無視され、疑惑だけで叩かれまくっている。
普段、説明責任とか抜かして不祥事を起こした人や企業を散々叩きまくる癖に、いざ自分の会社に不祥事が発生すると動画撮影NGの会見をクローズで行い、会見に失敗してCMのスポンサーに逃げられ仕方がなく二度目の会見を行うような輩に目を付けられてしまったのだ。
そうなるのも仕方がない。
挙げ句の果てには、百条委員会が立ち上がり結論が出ていないにも関わらず、ただ疑惑があるというだけで不信任決議が可決。
民意を問うという形で辞任したが、池谷は実質的に東京都知事の座から追われる事になった。
しかし、ただの疑惑がまるで事実であるかの様に扱われ、まるでイジメのように連日に渡り報道されるこの状況はあまりにおかしい。
数兆円にも上る都税を村井が運営していた一つの公益法人に集め、ピンハネがそれを不正に利用していた件には一切触れず、パワハラやおねだり疑惑を追求するため百条委員会を立ち上げている時点でお察しだ。
感覚がぶっ壊れている。普通の感覚ではない。
百条委員会を立ち上げるなら数兆円にも上る都税をマトモに管理する事のできない公益法人に任せ、回収できなくなった責任を取らせるために百条委員会を立ち上げろよ。
パワハラやおねだりより東京都議会が公益法人に数兆円流し、横領され回収できなくなった事の方がよっぽど問題だろ。
脳内の優先順位バグってんのかアイツら。
都民の代表とは思えない自己保身っぷりに脱帽だよ。脱帽。
だがしかし、折角、反転してくれたのだからこれを利用しない手はない。
チャンス到来。
正直言って、元東京都知事である池谷には何も期待していないが、反転した今、一度に、東京都議会の全議員をその座から追い落とすチャンスがやってきた。
自らが触れたくない不祥事には一切触れず、池谷を追い落とす為に行われたマスゴミの報道と全会一致の不信任決議案。
もしこれが事実と認定されなかったり、都民が池谷を再任されれば、全会一致で池谷を都知事の座から追い落とした東京都議会議員の面目は丸潰れだ。
当然、マスゴミも同じ事。
オールドメディアとして、ただでさえない信頼性がより下がる事は間違いないだろう。
俺も社外取締役として、仲間と共にマスゴミ各社への締め付けを強くしてきたつもりだったが、どうやら締め付けが足りなかったらしい。
ならば、限界を超えて締め付けるまでだ。例え、それで締め殺してしまおうが俺の知った事ではない。
やはり、汚い水には汚い魚しか住み付かないのだなと諦めるだけだ。
そして、俺がそう諦めたら最後、それは放送免許の返納を意味している。
「何というか……もうテレビ局はいらないな」
有料配信ネットサービスがあればもう何もいらない。
リモコンの殆どのボタンが使い物にならなくなるかもしれないが、喧嘩を仕掛けてきたのは向こう側だ。
「やられたらやり返す、倍……いや、一千億万倍返しだ」
こういう輩にはオーバーキル位が丁度いい。
日本から公益放送局以外のテレビ局が消えてしまうのは残念だが仕方がない。
だって、手を出してきたのはあっちだもの。
何回言っても立場を理解しようとしないのだ。最早、存在ごと無くしてしまった方が早い。
テレビなんて普段見ないし、やっぱりテレビ局が必要となれば、誰かしら作るだろう。
俺も馬鹿な真似をしない限り、率先して潰しに掛かるような真似はしない。
ただし、堪忍袋の尾は既に切れている。
何百億円かけて放送局を作った所で、馬鹿な真似を一度でもすればその時点でジ・エンド。
跡形も残さず綺麗に消してやる。
「ふふふ……」
なぜかは分からないが、笑えてきた。
今の俺なら比較的簡単にそれができてしまう。その事が恐ろしい。
自分の事ながら既に何でもできると増長しているが、マスゴミの様に本当の意味で社会のゴミにならないよう気を付けよう。
「とりあえず、方針は決まったな……」
正直、公益法人とズブズブだった元東京都知事、池谷の力になってやるのは癪だが、契約書とエレメンタルの力があれば制御可能。
この際なので徹底的にやらせて貰おう。
東京都が変われば日本中の公益法人制度が変わる。
個人的に一番変えたいのは監督省庁もなく行政から監督、指導を受けることもない一般社団法人制度。
少なくとも俺に噛みついてきた奴等の殆どが血税を食い散らかす活動家や反社、天下りだった。
活動家や反社に税金を食い荒らされるなんて冗談じゃない。
そんでもって財源がないとか馬鹿な事を行っているのだからお笑い種だ。
財源がないなら無駄を省くという当たり前のことすらできないのが今の政治家。
借金癖がつき借りれるだけ借金して散財するクソ野郎と何も変わらない。
折角やってきた千載一遇のチャンス。
東京都からとはいえ少しずつ意識を変えていこう。
その為に何百、何千の活動家と反社が路頭に迷おうが知ったことではない。むしろ路頭に迷え。ちゃんとした公益法人は国からの委託や補助金がなくなったからといって潰れたりしない。
補助金ありきで活動したり、訳のわからない委託費名目で補助金受け取る団体が異常なのだ。
勿論、補助金があれば嬉しいだろうが、基本的には寄付された金額や収入の範囲内でできる活動をするものだ。
そもそも、委託を受けたり補助を受ける際には、一定の活動実績が必要な訳で、それまで活動できていたのに、委託がなくなり、補助金が出なくなった瞬間、活動が行き詰まるというのはおかしい。
単に、自分の力以上の事に手を出して身を滅ぼす経営者と何も変わらない。その代表に経営者としてのセンスがないだけだ。
経営に失敗し破滅するのは大企業も中小企業も変わらない。
今回の都知事選はその意識を変革する絶好の機会。
「さて、どうアプローチしたものか……」
そう呟くと、俺は課金アイテムである契約書を取り出し、池谷に飲ませたい条項を書き留めた。
◆◆◆
「ど、どういう事……?」
ポストに投函されていた封筒。
その送り先を見て、元東京都知事の池谷は絶句する。
「高橋翔……何故、あの男が私に……」
公設ポストの場所は公開されている。
しかし、何故、高橋翔が私に封筒を送ってきたのか理解できない。
唖然とした表情を浮かべ封筒を開けると、そこには私を支援したい旨、記載された紙が入っていた。
動員する事ができる人数は千人を超え、全ての人が個人事業主らしく協力内容を見ても公職選挙法にも違反しない。
「一体、何が目的なの……?」
一応、最もらしい事は書いてあるが、高橋翔の目的が見えない。私を応援するメリットも見当たらない。
高橋翔の要望はただ一つ。東京都の浄化。
無駄な歳出を減らし、補助金や委託費の拠出には企業並みに厳格な対応を求める事だけだ。
私の事を裏切った奴等に対して甘い汁を吸わせる事は金輪際ない。
清濁合わせ持つのではなく汚い部分は完全に切り捨てる。
今回の都知事選はそのつもりで挑む気でいた。
勿論、そんな事は絵空事。非現実的である事は理解している。
何せ、それを実現するには、私だけではない都議会議員の賛同が不可欠なのだ。
到底不可能と言っても過言ではない。
だからこそ分からない。彼は一体、何をしようというのだろうか……。
――プルルルルルッ。プルルルルッ!
高橋翔の考えが読めず苦悩していると、突然、電話が鳴る。
誰だろうか。
いつもであれば秘書が電話応対してくれる。しかし、今の私にはその秘書すら付いていない。
電話番号を見れば、知らない番号からの電話だ。
「――はい……」
そう言って電話を取ると、電話口から思わぬ人物の声が聞こえてきた。
『高橋翔と申します。元東京都知事の池谷さんの電話でお間違いないでしょうか?』
「――あ、あなた……!?」
よもやよもやの事態に私は思わず顔を強張らせる。
一体、どうやってこの番号を……そもそも、電話を直接かけて来るなんてどういう了見だろうか。
高橋翔の考えが読めず私の思考がフリーズする。
しかし、俺には関係ないと言わんばかりに、高橋翔は話を進めていく。
『……まあ、色々あって知らない中ではありませんし、話を進めましょう。それで、俺の提案はいかがですか? もし協力頂けるのであれば、選挙に協力させて頂きますが?』
「…………」
私が郵便物を受け取り内容を確認した事を知っての電話か……。
キョロキョロ首を動かし、周囲の様子を探る。
しかし、自分の様子を確認する者は見当たらない。
「……どういうつもり? 私に協力してあなたにどんなメリットがあると言うの?」
そう尋ねると、高橋翔はさも当然のように言う。
『――うん? もしかして、わからないんですか?』
その回答を聞き、一瞬、キレそうになった。
わからないから聞いている。わかっていたら、そんな質問誰がするものか。
私は怒りを押し殺し、唇を震わせながら言う。
「……ええ、わからないわ。だから、教えてくれないかしら。例え、今、私が窮地に陥っていようとも狙いがわからない事にはどう返答したらいいか判断が付かないわ」
政治の世界は魑魅魍魎が跋扈する世界。
狙いを聞き出さない事には話にもならない。
すると高橋翔はため息を吐く。
『……契約書を同封してあるだろ。それ以上の事は求めない。それ以上の見返りは不要だよ。お前が普段から相手にしている声がデカいだけの活動家や委託金や補助金頼りに運営している公益法人、自分の事しか考えていない国賊議員と一緒にするな』
私は目を瞬かせる。
「……本当に金銭的な見返りを求めないの?」
『ああ、何度も同じ事を言わせるな。確かにあんたとは敵対関係にあったが、そんなものは求めない。俺が欲しいのは国賊共の首だけだ。例えば、仁海とかな。それ以外いらねーよ』
その言葉を聞き、私は思わず絶句した。
77
「最強呪符使い転生―故郷を追い出され、奴隷として売られました。国が大変な事になったからお前を買い戻したい?すいませんが他を当たって下さい―」を公開しました。皆様、是非、ブックマークよろしくお願い致します!!!!ブックマークして頂けると、更新頻度が上がるという恩恵が……あ、なんでもないです……。
お気に入りに追加
1,129
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
最強美少女達に愛されている無能サポーター 〜周りの人から馬鹿にされ続けてもう嫌なのパーティメンバーの天才たちが離してくれない〜
妄想屋さん
ファンタジー
最強の美少女パーティメンバーに囲まれた無能、アルフ。
彼は周囲の人の陰口に心を病み、パーティメンバー達に、
「このパーティを抜けたい」
と、申し出る。
しかし、アルフを溺愛し、心の拠り所にしていた彼女達はその申し出を聞いて泣き崩れていまう。
なんとかアルフと一緒にいたい少女達と、どうしてもパーティを抜けたい主人公の話。
『自重』を忘れた者は色々な異世界で無双するそうです。
もみクロ
ファンタジー
主人公はチートです!イケメンです!
そんなイケメンの主人公が竜神王になって7帝竜と呼ばれる竜達や、
精霊に妖精と楽しくしたり、テンプレ入れたりと色々です!
更新は不定期(笑)です!戦闘シーンは苦手ですが頑張ります!
主人公の種族が変わったもしります。
他の方の作品をパクったり真似したり等はしていないので
そういう事に関する批判は感想に書かないで下さい。
面白さや文章の良さに等について気になる方は
第3幕『世界軍事教育高等学校』から読んでください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
追放された薬師でしたが、特に気にもしていません
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。
まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。
だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥
たまにやりたくなる短編。
ちょっと連載作品
「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。
下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。
豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。
小説家になろう様でも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
聖女業に飽きて喫茶店開いたんだけど、追放を言い渡されたので辺境に移り住みます!【完結】
青緑
ファンタジー
聖女が喫茶店を開くけど、追放されて辺境に移り住んだ物語と、聖女のいない王都。
———————————————
物語内のノーラとデイジーは同一人物です。
王都の小話は追記予定。
修正を入れることがあるかもしれませんが、作品・物語自体は完結です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
パーティのお荷物と言われて追放されたけど、豪運持ちの俺がいなくなって大丈夫?今更やり直そうと言われても、もふもふ系パーティを作ったから無理!
蒼衣翼
ファンタジー
今年十九歳になった冒険者ラキは、十四歳から既に五年、冒険者として活動している。
ところが、Sランクパーティとなった途端、さほど目立った活躍をしていないお荷物と言われて追放されてしまう。
しかしパーティがSランクに昇格出来たのは、ラキの豪運スキルのおかげだった。
強力なスキルの代償として、口外出来ないというマイナス効果があり、そのせいで、自己弁護の出来ないラキは、裏切られたショックで人間嫌いになってしまう。
そんな彼が出会ったのが、ケモノ族と蔑まれる、狼族の少女ユメだった。
一方、ラキの抜けたパーティはこんなはずでは……という出来事の連続で、崩壊して行くのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる