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第352話 工事現場内での抗議活動は自己責任①
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「――はぁ? 建設中の建物の土地に無断で入り込み座り込みを行ってる馬鹿がいる……だと……?」
建設中の建物の土地とは、港区の元区議会委員、更屋敷太一が所有していた土地を俺が合法的に格安で買い取った土地だ。
最近、工事の為、建設業者が立ち入るようになった為、エレメンタルを警備に付けていなかった。
しかし、座り込みを行っている馬鹿共は、軽犯罪法、立入禁止場所等侵入の罪を知らんのか……。
態々、立て看板を付けなくても分かるだろうに。一体、どういう脳内構造をしていれば、人の土地に勝手に入り込み、座り込みなんてできるんだ?
ただ違法性を指摘されて逮捕されるだけだというのに、意味がわからん。もしかして、自分達が正当だと思い込んでやっている批判なら何をしても許されるとでも考えているのか? そんな訳ねーだろ。頭イカれてんのか。
エレメンタルに撮影して貰ったビデオカメラに視線を向けると、建設現場の入り口付近に記者やマスコミと思わしき者の姿を見つけた。
「うん? これは……」
ズームして見て見ると、建設現場の入り口付近にいるのは、俺が社外役員を勤める会社の記者やマスコミの様だ。
どうやらマスコミまでグルらしい。
「おかしいな……。こういった馬鹿な事をやらない様に締め付けを強化したはずなんだが……」
マスコミだからといって無法を働けば、どうなるか実例は示した。締め付けが足りなかったか?
それとも、小学校低学年から倫理観と道徳を学び直すように指導しなかったのがいけなかったのか?
折角、内部の風通しを良くしたというのに愚かな連中だ。
しかし、気になるな……。
思い違いかも知れないが、目に付くマスコミは俺が社外役員を勤める会社ばかり……。
一応、マスコミ各社の動向も掴んでおくか。元いた職場の西木元社長がクーデターに遭い、社長職から失職した例もある。
社長職であってもクーデターにより失職に追い込まれるんだ。社外役員だからこそ油断はできない。
「エレメンタル……」
そう呟くと、俺はエレメンタル達をマスコミ各社の動向を探る為、解き放つ。
対象は俺が社外役員を勤める会社の役員。
俺が社外役員になってから相当ストレスを溜めているだろうからな。すぐにボロを出すだろ。
「頼んだぞ……」
そう呟くと、俺は110番しながら、建設中の土地へと歩き出す。
「け、警察ですか!? 建設中の土地に沢山の知らない人達が侵入してきました! 早く、早く来て下さい! 住所は港区新橋〇〇にある元区議会議員の更屋敷邸跡地です!」
これで必要事項は伝わっただろうか。
電話口の警察官から近くの交番から人を向かわせますと、言質を取った俺は急いで現場へと向かう。
果たして、交番から何人の警察官が来るだろうか。下手をしたら一人だけしか警察官が来ないかも知れない。だがそれでもいないよりかは遥かにマシというもの。
まだ疑惑段階にも関わらず、ご苦労な事だ。勿論、苦労をかけさせられるのは俺の方だが、自分達の事を正義と盲信し、犯罪を躊躇わず行う自称市民活動家というのは本当にやっかいだ。
冤罪でこれだけの行動を起こされるのだから、草津冤罪で貶められた当時の市長には頭が下がる。
まあでも、先に犯罪行為に手を染めてきたのはそっちだし、いい加減、思考回路のぶっ飛んだアウトローの相手をするのは、うんざりだ。
人の敷地に勝手に侵入し、大勢で座り込むなんて、共謀罪が適用されてもおかしくない愚行である。
逮捕される事はないとたかを括っているのだろうが、敵を見誤ったな……。組織的犯罪集団さん達よぉ……。
俺の敷地に座り込んで何をしようとしているかは知らないし、知りたくもないが、大方、抗議活動を嵩にきた暴力活動でも行う気なのだろう。
何せ、こいつらもピンハネの奴が送り込んできた自称市民活動家。
ならば、やる事は一つだけだ。
目には目を、歯には歯を……。暴力活動には暴力活動を……。
どうやら足りなかったみたいだからな。
教えてやろう。誰を敵に回してしまったのか。身をもって後悔しろ。敵に回してしまった事の愚かさを、存分にその身で味わえ。
何、悪い様にはしない。死ぬ事もないだろうさ。ただ、抗議活動をするにも、口だけでない、それ相応の覚悟が必要である事を強く認識させるだけだ。
冤罪なのにカジュアルな気分で抗議活動という名のストレス発散に付き合わされたら堪んねーよ。
そっちがその気ならこっちのストレス発散にも付き合って貰おうじゃないか。
そこまで考え俺は足を止める。
視線の先には、人の土地に勝手に入り込み抗議活動という名の迷惑行為を行う愚者共がプラカード片手にパイプ椅子に座っている。
用意のいい事だ。パイプ椅子を用意して座り込みという名の迷惑行為を行うとは……。
まずは前座だ。警察が来る前に、少しだけ痛い目に遭って貰おう。
「エレメンタル……」
そう呟くと、エレメンタル達はパイプ椅子の足を一斉に圧し折って回る。
製造不良といわれては、パイプ椅子を製造した会社が可哀想だ。なので、人為的に破壊したと誤認する程度の痕跡を残し、パイプ椅子を破壊していく。
「わっ! げふっ!?」
「あわわわわっ!!」
「あ、危な……がっ!?」
「痛たたたっ……」
些細な嫌がらせではあるが、人の敷地に勝手に入り込んでの座り込み抗議活動という名の違法行為を行う犯罪集団には意外と効果があったようだ。
地味に痛いもんね。パイプ椅子が突然壊れ、尻餅つくのは……。
警察官が自転車に乗りながらやってくるのを確認した俺は、クスリと笑いながら、敢えて、彼等の前に姿を現す。
すると、工事現場の外で抗議活動を行なっていた老人が俺の事を指差した。
「高橋翔だ! 高橋翔が現れたぞー!」
「宝くじ御殿の建設を許すなー!」
「「許すなー!」」
「不正に手にした当選金を返還しろー!」
「「返還しろー!」」
どうやら馬鹿の一つ覚えみたいな言葉しか吐けないらしい。
――バチンッ!
雷の精霊・ヴォルトが、抗議活動という名の違法行為を行う犯罪者の拡声器を破壊すると、犯罪者集団のトーンが途端に弱くなる。
「この犯罪しゃ――あ、えっ?? 壊れた? そ、そんな……昨日までは問題なかったのに……」
「おい。どうするんだ!」
「誰か、音頭を取れよ!」
終いには仲間割れまで起こし始めた。
まあ常に何かに対して怒りをぶつけているイカレ集団だ。
テンポが狂えばこうなってもおかしくはない。
馬鹿共が喧嘩している内に、俺は、現着した警察官に手を振る。
「警察官さーん! こっちです! あの人達が勝手に工事現場に侵入し、座り込みという名の犯罪行為を犯しているんですが、早い所、逮捕して貰えませんか?」
「あ、あの人達をですか……」
どうやら悪戯電話と勘違いされたらしい。
建設中の土地に沢山の知らない人達が侵入してきたと通報したにもかかわらず、自転車に乗って一人で来たようだ。
「はい。早くして下さい! 工事現場の仮囲いに梯子を掛け、勝手に中に入った挙句、ゲートを開けて、人の所有地で座り込んでいるんです!」
警察官は困った表情を浮かべると、トランシーバーを介して応援要請を行う。最初から数人で来てくれれば早かったものを……。
とはいえ、警察官の姿を認識しても、犯罪者集団が逃げる様子はない。
流石は、犯罪者集団といった所だろうか。実に手慣れている。
あいつ等が考えていそうな落とし所としては、警察官を介して、抗議目標である俺に抗議し、その様子をニュース報道させるといった所だろうか?
つまり、取れ高を取ったら解散する。そんな所だろう。でも残念。俺が相手である以上、落とし所など存在しない。
あるのは破滅か、破滅の二択のみ。
え? 実質、一択じゃないかって? そうだよ。最初からそう言っているだろ。
見て見ろ。人の敷地で勝手に座り込み抗議活動という名の犯罪行為を平然とした顔で行なう、碌でなし共の顔を……。
今まで厳しい処分を受ける事なくここまで来たから、あそこまで増長したんだ。
冤罪だと知らないとはいえ、犯罪者相手なら何をしてもいいと本気で思っているからあんな犯罪行為に走れる。
そうでなければ、犯罪行為を行って平然とした顔をしていられる筈がない。
ついでに言えば、場所も悪い。
建設現場に入り込んだ人間がいたとして、そこで万が一、ケガを負おうものなら、その責任は工事現場の管理者が負う事となる。
勿論、悪いのは相手の方なのですべての責任を負わされる事はないが、過失相殺が認められた所で、2割程度はこちらの負担となるだろう。
つまり、奴等は、そこまで考えた上で計画的に犯罪行為を行っている訳である。
敵がそこまで考えた上で行動に移してきた以上、こちらとしてもやる事はただ一つ。
警察の応援が到着する前に、合法的な報復を行う。
ならなぜ、警察官を呼んだのかって?
決まっているだろ。警察官に、この報復はあいつ等の自業自得であると認識させる為だよ。一片の余地もなく、お前等が悪いと認定して貰う為に通報したのだ。それ以上でもそれ以下でもない。
と、いう事で、早速、実行に移すか。
「やり方は任せる。建設中の建物に被害が出ないように……。あいつ等が仮囲いの中から逃げ出せないよう閉じ込め、痛い目に遭わせてやってくれ……」
エレメンタルは自然の猛威を体現した存在。
そうお願いすると、エレメンタル達は嬉々として犯罪者共を囲い込む。
ああ、そうだった。ゲーム世界に行った事のある人しかエレメンタルの存在を認知する事ができないんだったかな。
あれほどのエレメンタルに囲まれている事を認識する事ができないなんて実に可哀想だ。
俺だったら逃げてるね。
台風が目の前に迫っているのを知っていながら、外に出る馬鹿はそういないだろ?
今、お前達が置かれている状況はそういう事だよ。
配置したのは風の上位精霊・ジンと音の精霊・ハルモニウムを十体。
こいつ等に対して痛い目を見せるのに最適なエレメンタルだ。
拡声器が壊れて尚、抗議活動を続ける為か、警察官を視認した犯罪者共は、工事現場の内側からゲートを閉じ、威勢よく声を上げる。
「そこにいるのは犯罪者だぞー!」
「警察は我々ではなく宝くじの収益金を不正に取得した高橋翔を逮捕するべきだー!」
「「そうだ、そうだー!」」
自らゲートを閉めるとは愚かな連中である。
「エレメンタル、犯罪者共に罰を……。二度と抗議活動なんかしたくないと思える程の厳罰を彼等に課してやってくれ」
犯罪者共の戯言は聞くに堪えない。
そう言うと、突如として風が吹き抜ける。
「な、なんだ!? 急に風が……」
犯罪者の一人がそう呟くと共に、風が猛威を振い警報級の突風が工事現場内に吹き荒れた。
建設中の建物の土地とは、港区の元区議会委員、更屋敷太一が所有していた土地を俺が合法的に格安で買い取った土地だ。
最近、工事の為、建設業者が立ち入るようになった為、エレメンタルを警備に付けていなかった。
しかし、座り込みを行っている馬鹿共は、軽犯罪法、立入禁止場所等侵入の罪を知らんのか……。
態々、立て看板を付けなくても分かるだろうに。一体、どういう脳内構造をしていれば、人の土地に勝手に入り込み、座り込みなんてできるんだ?
ただ違法性を指摘されて逮捕されるだけだというのに、意味がわからん。もしかして、自分達が正当だと思い込んでやっている批判なら何をしても許されるとでも考えているのか? そんな訳ねーだろ。頭イカれてんのか。
エレメンタルに撮影して貰ったビデオカメラに視線を向けると、建設現場の入り口付近に記者やマスコミと思わしき者の姿を見つけた。
「うん? これは……」
ズームして見て見ると、建設現場の入り口付近にいるのは、俺が社外役員を勤める会社の記者やマスコミの様だ。
どうやらマスコミまでグルらしい。
「おかしいな……。こういった馬鹿な事をやらない様に締め付けを強化したはずなんだが……」
マスコミだからといって無法を働けば、どうなるか実例は示した。締め付けが足りなかったか?
それとも、小学校低学年から倫理観と道徳を学び直すように指導しなかったのがいけなかったのか?
折角、内部の風通しを良くしたというのに愚かな連中だ。
しかし、気になるな……。
思い違いかも知れないが、目に付くマスコミは俺が社外役員を勤める会社ばかり……。
一応、マスコミ各社の動向も掴んでおくか。元いた職場の西木元社長がクーデターに遭い、社長職から失職した例もある。
社長職であってもクーデターにより失職に追い込まれるんだ。社外役員だからこそ油断はできない。
「エレメンタル……」
そう呟くと、俺はエレメンタル達をマスコミ各社の動向を探る為、解き放つ。
対象は俺が社外役員を勤める会社の役員。
俺が社外役員になってから相当ストレスを溜めているだろうからな。すぐにボロを出すだろ。
「頼んだぞ……」
そう呟くと、俺は110番しながら、建設中の土地へと歩き出す。
「け、警察ですか!? 建設中の土地に沢山の知らない人達が侵入してきました! 早く、早く来て下さい! 住所は港区新橋〇〇にある元区議会議員の更屋敷邸跡地です!」
これで必要事項は伝わっただろうか。
電話口の警察官から近くの交番から人を向かわせますと、言質を取った俺は急いで現場へと向かう。
果たして、交番から何人の警察官が来るだろうか。下手をしたら一人だけしか警察官が来ないかも知れない。だがそれでもいないよりかは遥かにマシというもの。
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どうやら足りなかったみたいだからな。
教えてやろう。誰を敵に回してしまったのか。身をもって後悔しろ。敵に回してしまった事の愚かさを、存分にその身で味わえ。
何、悪い様にはしない。死ぬ事もないだろうさ。ただ、抗議活動をするにも、口だけでない、それ相応の覚悟が必要である事を強く認識させるだけだ。
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そっちがその気ならこっちのストレス発散にも付き合って貰おうじゃないか。
そこまで考え俺は足を止める。
視線の先には、人の土地に勝手に入り込み抗議活動という名の迷惑行為を行う愚者共がプラカード片手にパイプ椅子に座っている。
用意のいい事だ。パイプ椅子を用意して座り込みという名の迷惑行為を行うとは……。
まずは前座だ。警察が来る前に、少しだけ痛い目に遭って貰おう。
「エレメンタル……」
そう呟くと、エレメンタル達はパイプ椅子の足を一斉に圧し折って回る。
製造不良といわれては、パイプ椅子を製造した会社が可哀想だ。なので、人為的に破壊したと誤認する程度の痕跡を残し、パイプ椅子を破壊していく。
「わっ! げふっ!?」
「あわわわわっ!!」
「あ、危な……がっ!?」
「痛たたたっ……」
些細な嫌がらせではあるが、人の敷地に勝手に入り込んでの座り込み抗議活動という名の違法行為を行う犯罪集団には意外と効果があったようだ。
地味に痛いもんね。パイプ椅子が突然壊れ、尻餅つくのは……。
警察官が自転車に乗りながらやってくるのを確認した俺は、クスリと笑いながら、敢えて、彼等の前に姿を現す。
すると、工事現場の外で抗議活動を行なっていた老人が俺の事を指差した。
「高橋翔だ! 高橋翔が現れたぞー!」
「宝くじ御殿の建設を許すなー!」
「「許すなー!」」
「不正に手にした当選金を返還しろー!」
「「返還しろー!」」
どうやら馬鹿の一つ覚えみたいな言葉しか吐けないらしい。
――バチンッ!
雷の精霊・ヴォルトが、抗議活動という名の違法行為を行う犯罪者の拡声器を破壊すると、犯罪者集団のトーンが途端に弱くなる。
「この犯罪しゃ――あ、えっ?? 壊れた? そ、そんな……昨日までは問題なかったのに……」
「おい。どうするんだ!」
「誰か、音頭を取れよ!」
終いには仲間割れまで起こし始めた。
まあ常に何かに対して怒りをぶつけているイカレ集団だ。
テンポが狂えばこうなってもおかしくはない。
馬鹿共が喧嘩している内に、俺は、現着した警察官に手を振る。
「警察官さーん! こっちです! あの人達が勝手に工事現場に侵入し、座り込みという名の犯罪行為を犯しているんですが、早い所、逮捕して貰えませんか?」
「あ、あの人達をですか……」
どうやら悪戯電話と勘違いされたらしい。
建設中の土地に沢山の知らない人達が侵入してきたと通報したにもかかわらず、自転車に乗って一人で来たようだ。
「はい。早くして下さい! 工事現場の仮囲いに梯子を掛け、勝手に中に入った挙句、ゲートを開けて、人の所有地で座り込んでいるんです!」
警察官は困った表情を浮かべると、トランシーバーを介して応援要請を行う。最初から数人で来てくれれば早かったものを……。
とはいえ、警察官の姿を認識しても、犯罪者集団が逃げる様子はない。
流石は、犯罪者集団といった所だろうか。実に手慣れている。
あいつ等が考えていそうな落とし所としては、警察官を介して、抗議目標である俺に抗議し、その様子をニュース報道させるといった所だろうか?
つまり、取れ高を取ったら解散する。そんな所だろう。でも残念。俺が相手である以上、落とし所など存在しない。
あるのは破滅か、破滅の二択のみ。
え? 実質、一択じゃないかって? そうだよ。最初からそう言っているだろ。
見て見ろ。人の敷地で勝手に座り込み抗議活動という名の犯罪行為を平然とした顔で行なう、碌でなし共の顔を……。
今まで厳しい処分を受ける事なくここまで来たから、あそこまで増長したんだ。
冤罪だと知らないとはいえ、犯罪者相手なら何をしてもいいと本気で思っているからあんな犯罪行為に走れる。
そうでなければ、犯罪行為を行って平然とした顔をしていられる筈がない。
ついでに言えば、場所も悪い。
建設現場に入り込んだ人間がいたとして、そこで万が一、ケガを負おうものなら、その責任は工事現場の管理者が負う事となる。
勿論、悪いのは相手の方なのですべての責任を負わされる事はないが、過失相殺が認められた所で、2割程度はこちらの負担となるだろう。
つまり、奴等は、そこまで考えた上で計画的に犯罪行為を行っている訳である。
敵がそこまで考えた上で行動に移してきた以上、こちらとしてもやる事はただ一つ。
警察の応援が到着する前に、合法的な報復を行う。
ならなぜ、警察官を呼んだのかって?
決まっているだろ。警察官に、この報復はあいつ等の自業自得であると認識させる為だよ。一片の余地もなく、お前等が悪いと認定して貰う為に通報したのだ。それ以上でもそれ以下でもない。
と、いう事で、早速、実行に移すか。
「やり方は任せる。建設中の建物に被害が出ないように……。あいつ等が仮囲いの中から逃げ出せないよう閉じ込め、痛い目に遭わせてやってくれ……」
エレメンタルは自然の猛威を体現した存在。
そうお願いすると、エレメンタル達は嬉々として犯罪者共を囲い込む。
ああ、そうだった。ゲーム世界に行った事のある人しかエレメンタルの存在を認知する事ができないんだったかな。
あれほどのエレメンタルに囲まれている事を認識する事ができないなんて実に可哀想だ。
俺だったら逃げてるね。
台風が目の前に迫っているのを知っていながら、外に出る馬鹿はそういないだろ?
今、お前達が置かれている状況はそういう事だよ。
配置したのは風の上位精霊・ジンと音の精霊・ハルモニウムを十体。
こいつ等に対して痛い目を見せるのに最適なエレメンタルだ。
拡声器が壊れて尚、抗議活動を続ける為か、警察官を視認した犯罪者共は、工事現場の内側からゲートを閉じ、威勢よく声を上げる。
「そこにいるのは犯罪者だぞー!」
「警察は我々ではなく宝くじの収益金を不正に取得した高橋翔を逮捕するべきだー!」
「「そうだ、そうだー!」」
自らゲートを閉めるとは愚かな連中である。
「エレメンタル、犯罪者共に罰を……。二度と抗議活動なんかしたくないと思える程の厳罰を彼等に課してやってくれ」
犯罪者共の戯言は聞くに堪えない。
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