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第71話 うーん。いい気分だ
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「うーん。良い朝だ」
ここはカンデオホテルの十一階にあるレストラン。
窓の外を見ながら珈琲を軽く一口含む。
外は快晴。清々しいほど、晴れやかな青空が広がっている。
今頃、クソ兄貴こと高橋陽一は真人間街道を驀進しているはず。
クソ兄貴の嫁も同様に、クソ兄貴との結婚に向けて走り出している事だろう。
課金アイテム『契約書』を使い、クソ兄貴に科した罰則は四つ。
一つ。誰にも迷惑をかける事無く真面目な生活を送る事。
二つ。年利二十五パーセントの利子を付け借金を返済する事。
三つ。借金返済後、無理のない範囲で仕送り。両親の世話を行う事。
四つ。親族の言う事には絶対に逆らわない事。
どの罰則も無期限だ。
これまで迷惑をかけられた分、かなり重い罰則を設けてしまったが自業自得だと思って諦めてほしい。
そして、福井ミキに科した罰則も四つ。
一つ。誰にも迷惑をかける事無く真面目な生活を送る事。
二つ。高橋陽一と結婚し、七十歳まで円満な結婚生活を送る事。
三つ。高橋陽一と協力し、借金を完済する事。
四つ。親族の言う事には絶対に逆らわない事。
ご祝儀を持ち逃げしようとして罰則が科せられた事から、クソ兄貴に恋愛感情はなかったらしい。
考えようによっては、俺がクソ兄貴とクソ女をくっつけた愛のキューピット役になるのかな?
うえっ、気持ちが悪い。
愛のキューピット役とか柄にもない事をしてしまった。
まあ、でもクズを放し飼いにしても害にしかならないし、一元管理した方がいいよね?
クソ兄貴の様なクズはある種、人類にとって災害の様な存在だし……。
まあ、何はともあれ両親の老後の暮らしは安泰。俺も扶養義務に悩まされる心配はなくなった。
HAHAHAHA!
もの凄く良い気分だ。
ずーっと、思い続けてきた悩みから解放された様なそんな感じ。
爽快感と開放感が半端ない。
心の中で高笑いを上げていると、『ピコン』とスマートフォンが鳴る。
画面を確認すると母さんの様だ。
なんでも、クソ兄貴が面接を受けに行ったらしい。
流石は課金アイテム。素晴らしい。
神棚に祀って崇め倒したい位だ。
いっその事、会社でも立ち上げちゃおうかな?
世の中には自分の子供がモンスター化して困っている人や毒親に困っている人もいるだろうし需要はある筈だ。契約書も冒険者協会から手に入る。
……まあ、思っただけで今はやらないけどね。
だって、お金を稼ごうと思ったら簡単だし……。
俺の場合、宝くじを買うだけで大金が手に入る。
しかも税金の課税対象じゃないから、所得税も住民税もかからない。
まあ、国税当局から睨まれそうだけど……。
いや、でもなー。
将来の事を考えると、手に職がないというのも……。
うーん。難しいな……。
でも、課金アイテム『契約書』を使って稼ぐというのも色々秘密がバレそうだし、余計な悩みを抱えるのも嫌だし……。
――と、そこで名案を思い付く。
そうだ。よくよく考えてみれば、そんな悩む必要はなかった。
俺の立ち上げた会社で働く人を、課金アイテム『契約書』で縛っちゃえばいいんだ。
秘密保持契約書的な感じの物を用意して秘密を守らせる。
ついでに汚職ができない様に縛れば、後は勝手に社員が会社を回してくれる。
俺は社長の席に踏ん反り返り、毎月決まった日に『契約書』を届ければいい。
よし。それでいこう。
契約書は冒険者協会から上級回復薬一本で交換できる。
上級回復薬は、ダンジョン攻略の過程で手に入るし、アイテムストレージ内にはまだまだ沢山の上級回復薬がある。
つまり、契約書は実質無料。
合法的に大金を手に入れる事ができる訳だ。
まあ、宝くじ収入に比べたら微々たるものだけどね。
ただ、毎月毎週宝くじを購入し、そのすべてに当選しているとなれば、みずほ銀行の人も不審に思うはずだ。毎回、一等を手にしていたらその内、購入制限とかかけられてしまうかも知れない。
まあ、それは考え過ぎかも知れないけど、方針と構想だけは固まった。
とりあえず、カツアゲ高校生の刑が決まり元職場の件が片付いたら実行に移すとしよう。
会社を立ち上げた瞬間、カツアゲ高校生の両親に乗り込んでこられても、悪戯電話されても困るのだ。できる限り、悪い芽は摘んでおきたい。
空いた食器をトレイに乗せ、トレイ返却口に置くとレストランを後にする。
部屋に入りベッドに座ると、『ピコン!』という電子音が頭の中に鳴り響く。
「うん? なんだ……?」
メニューバーを開きメール機能を立ち上げると、『ああああ』から一通のメールが届いていた。メールを開くと、簡潔に『ひと狩り行こうぜ』と書いてある。
「う~ん……」
あいつとダンジョンに潜るのか……。
なんか嫌だな……。
最後に『ああああ』見たのは『ふははははっ! 無駄無駄無駄無駄ぁ! そんな攻撃、俺には効かん!』と叫びながら、モブ・ウータンにボコボコにされる事を喜ぶマゾ姿。あいつと一緒に行動すると『ああああ』と同じマゾ属性ホルダーだと思われかねない。
とりあえず『他を当たって下さい』と返信すると、「――コネクト『Different World』」と呟き、DWの世界へとログインする。
「さてと、どうするかな……」
転移組の副リーダー、ルートは言っていた。
セントラル王国の上級ダンジョン『デザートクレードル』、リージョン帝国の上級ダンジョン『ドラゴンクレイ』、ミズガルズ聖国の上級ダンジョン『アイスアビス』。この三つの上級ダンジョンを攻略すると現れる特別ダンジョン『ユミル』を攻略する事で、転移門『ユグドラシル』に新しい世界『スヴァルトアールヴヘイム』への道が開かれる、と……。
この世界が現実となった時、すべてのプレイヤーのステータスは初期化されてしまった。それはリージョン帝国やミズガルズ聖国側のプレイヤー達も同じ筈。
上級ダンジョンの推奨レベルはおおよそ百五十レベル。
そのレベルに辿り着いているのは、現状、課金アイテムを潤沢に使う事のできる俺くらいだろうと思われる。
この世界が現実となった今、レベルを上げるのは並大抵のことではない。
現に冒険者協会に併設されている酒場では、『オーディンのいる世界に行き元の世界に帰還する』ことを諦めているプレイヤー達が数多く存在する。
ステータスを初期化されてしまったことで、やる気を失ってしまった者。
今更、最低ランクの依頼を受ける気がしないと感じている者。
ホームシックを罹っている者やモンスターと戦う事を恐れる者、様々だ。
その点、俺は最強のエレメンタルが護衛に就いてくれているし、パワーレベリングし放題。この世界が俺だけゲーム仕様の為か痛覚も感じない。
まあ、料理の味は感じるので、そこら辺は意味がわからないけど、基本的に他のプレイヤー達が恐れ感じている殆どの事柄が適用対象外だ。
課金アイテムによるレベリングによりステータス初期化をカバーし、Sランク冒険者という地位を維持。現実世界に戻れるため、ホームシックに罹ることはなく。痛みを感じない為、モンスターと戦う事に恐れを感じない。
そう考えると、俺だけもの凄く優遇されているなと感じる。
まるでアニメや小説等の異世界転生・転移ものにある主人公にでもなったかの様な気分だ。これが俗にいう『なろう系』という奴だろうか?
まあ、どうでもいいか。
今、俺にとって問題なのは、各国にある三つの上級ダンジョンが攻略されるまで、特別ダンジョン『ユミル』が出現せず、新しい世界への道が開かれない点だ。
これは由々しき問題である。
他プレイヤーの現状を考えると、俺だけこの世界の事をゲーム気分で語るのは倫理的、道徳的にどうなのかと思われるかもしれないが、元々、そういった事をあまり気にしない俺としては割とどうでもいい。
そもそも、俺だけそんな特別な状況にある事が知られれば身に危険が及ぶ可能性がある。
それに俺は自分の命と生活をいの一番に考えている。
自分の命や生活に害を及ぼすと判断した場合、クソ兄貴の様に『契約書』でその人の自由を縛る位には……。
だからこそ、自分が元の世界に帰還することができる事や、大量の課金アイテムを持っている事は誰にも言わない。
その上で、三つの上級ダンジョンを攻略し、特別ダンジョン『ユミル』を出現させるためにはどうしたらいいかを考える。
理想は、俺が現実世界やこっちの世界でグータラしている内に勝手に世界が解放される事。しかし、今は情勢が難しい
特別ダンジョン『ユミル』を出現させるには、他国の上級ダンジョンも攻略しなくてはならない。加えて、他国にいるプレイヤーのステータスが初期化されているのも問題だ。これではいつまで経っても新しい世界が解放されない。
さて、どうする……。
いっその事、課金アイテムを冒険者協会に流すか?
『モンスターリスポーン』と『獲得経験値+500%(二十四時間)』辺りを流してやれば、後は勝手にレベル上げしてくれそうだな……。
しかし、それを流したとして、この世界に閉じ込められた事を喜ぶ気狂い集団且つ、この世界からの解放活動を盾に金品を強奪しようとする犯罪集団『転移組』にそれが渡りレベルを上げ、厄介な力を持たれても困る。
……となれば、先にやっておくべきは自分のレベリングか?
レベルを上げればステータスも上がる。
よし。まずはレベルを上げ、折を見て冒険者協会に課金アイテムを流そう。
お金も手に入るし、勝手に攻略もしてくれる(はず)。万々歳だ。
部屋を出ると俺が経営する『微睡の宿』を出て、転移門『ユグドラシル』に向かった。
「よし。行くか」
準備は万端。エレメンタル達もやる気に満ちている。
転移門『ユグドラシル』に辿り着いた俺は、メニューバーを開き、行きたいダンジョンを選択する。
「転移。デザートクレードル」
転移門の前でそう呟くと、俺の身体に蒼い光が宿り、広大な砂漠ダンジョン『デザートクレードル』へと転移した。
転移すると先程までいた街の喧騒は消え去り、代わりにまるで砂が歌っているかの様な低い音やモンスターの声が聞こえてくる。
「さて、それじゃあ、やりますか……」
アイテムストレージから『モンスターリスポーン』と『獲得経験値+500%』そして『レアドロップ倍率+500%』を取り出そうとすると、どこからか声が聞こえてくる。
ここはカンデオホテルの十一階にあるレストラン。
窓の外を見ながら珈琲を軽く一口含む。
外は快晴。清々しいほど、晴れやかな青空が広がっている。
今頃、クソ兄貴こと高橋陽一は真人間街道を驀進しているはず。
クソ兄貴の嫁も同様に、クソ兄貴との結婚に向けて走り出している事だろう。
課金アイテム『契約書』を使い、クソ兄貴に科した罰則は四つ。
一つ。誰にも迷惑をかける事無く真面目な生活を送る事。
二つ。年利二十五パーセントの利子を付け借金を返済する事。
三つ。借金返済後、無理のない範囲で仕送り。両親の世話を行う事。
四つ。親族の言う事には絶対に逆らわない事。
どの罰則も無期限だ。
これまで迷惑をかけられた分、かなり重い罰則を設けてしまったが自業自得だと思って諦めてほしい。
そして、福井ミキに科した罰則も四つ。
一つ。誰にも迷惑をかける事無く真面目な生活を送る事。
二つ。高橋陽一と結婚し、七十歳まで円満な結婚生活を送る事。
三つ。高橋陽一と協力し、借金を完済する事。
四つ。親族の言う事には絶対に逆らわない事。
ご祝儀を持ち逃げしようとして罰則が科せられた事から、クソ兄貴に恋愛感情はなかったらしい。
考えようによっては、俺がクソ兄貴とクソ女をくっつけた愛のキューピット役になるのかな?
うえっ、気持ちが悪い。
愛のキューピット役とか柄にもない事をしてしまった。
まあ、でもクズを放し飼いにしても害にしかならないし、一元管理した方がいいよね?
クソ兄貴の様なクズはある種、人類にとって災害の様な存在だし……。
まあ、何はともあれ両親の老後の暮らしは安泰。俺も扶養義務に悩まされる心配はなくなった。
HAHAHAHA!
もの凄く良い気分だ。
ずーっと、思い続けてきた悩みから解放された様なそんな感じ。
爽快感と開放感が半端ない。
心の中で高笑いを上げていると、『ピコン』とスマートフォンが鳴る。
画面を確認すると母さんの様だ。
なんでも、クソ兄貴が面接を受けに行ったらしい。
流石は課金アイテム。素晴らしい。
神棚に祀って崇め倒したい位だ。
いっその事、会社でも立ち上げちゃおうかな?
世の中には自分の子供がモンスター化して困っている人や毒親に困っている人もいるだろうし需要はある筈だ。契約書も冒険者協会から手に入る。
……まあ、思っただけで今はやらないけどね。
だって、お金を稼ごうと思ったら簡単だし……。
俺の場合、宝くじを買うだけで大金が手に入る。
しかも税金の課税対象じゃないから、所得税も住民税もかからない。
まあ、国税当局から睨まれそうだけど……。
いや、でもなー。
将来の事を考えると、手に職がないというのも……。
うーん。難しいな……。
でも、課金アイテム『契約書』を使って稼ぐというのも色々秘密がバレそうだし、余計な悩みを抱えるのも嫌だし……。
――と、そこで名案を思い付く。
そうだ。よくよく考えてみれば、そんな悩む必要はなかった。
俺の立ち上げた会社で働く人を、課金アイテム『契約書』で縛っちゃえばいいんだ。
秘密保持契約書的な感じの物を用意して秘密を守らせる。
ついでに汚職ができない様に縛れば、後は勝手に社員が会社を回してくれる。
俺は社長の席に踏ん反り返り、毎月決まった日に『契約書』を届ければいい。
よし。それでいこう。
契約書は冒険者協会から上級回復薬一本で交換できる。
上級回復薬は、ダンジョン攻略の過程で手に入るし、アイテムストレージ内にはまだまだ沢山の上級回復薬がある。
つまり、契約書は実質無料。
合法的に大金を手に入れる事ができる訳だ。
まあ、宝くじ収入に比べたら微々たるものだけどね。
ただ、毎月毎週宝くじを購入し、そのすべてに当選しているとなれば、みずほ銀行の人も不審に思うはずだ。毎回、一等を手にしていたらその内、購入制限とかかけられてしまうかも知れない。
まあ、それは考え過ぎかも知れないけど、方針と構想だけは固まった。
とりあえず、カツアゲ高校生の刑が決まり元職場の件が片付いたら実行に移すとしよう。
会社を立ち上げた瞬間、カツアゲ高校生の両親に乗り込んでこられても、悪戯電話されても困るのだ。できる限り、悪い芽は摘んでおきたい。
空いた食器をトレイに乗せ、トレイ返却口に置くとレストランを後にする。
部屋に入りベッドに座ると、『ピコン!』という電子音が頭の中に鳴り響く。
「うん? なんだ……?」
メニューバーを開きメール機能を立ち上げると、『ああああ』から一通のメールが届いていた。メールを開くと、簡潔に『ひと狩り行こうぜ』と書いてある。
「う~ん……」
あいつとダンジョンに潜るのか……。
なんか嫌だな……。
最後に『ああああ』見たのは『ふははははっ! 無駄無駄無駄無駄ぁ! そんな攻撃、俺には効かん!』と叫びながら、モブ・ウータンにボコボコにされる事を喜ぶマゾ姿。あいつと一緒に行動すると『ああああ』と同じマゾ属性ホルダーだと思われかねない。
とりあえず『他を当たって下さい』と返信すると、「――コネクト『Different World』」と呟き、DWの世界へとログインする。
「さてと、どうするかな……」
転移組の副リーダー、ルートは言っていた。
セントラル王国の上級ダンジョン『デザートクレードル』、リージョン帝国の上級ダンジョン『ドラゴンクレイ』、ミズガルズ聖国の上級ダンジョン『アイスアビス』。この三つの上級ダンジョンを攻略すると現れる特別ダンジョン『ユミル』を攻略する事で、転移門『ユグドラシル』に新しい世界『スヴァルトアールヴヘイム』への道が開かれる、と……。
この世界が現実となった時、すべてのプレイヤーのステータスは初期化されてしまった。それはリージョン帝国やミズガルズ聖国側のプレイヤー達も同じ筈。
上級ダンジョンの推奨レベルはおおよそ百五十レベル。
そのレベルに辿り着いているのは、現状、課金アイテムを潤沢に使う事のできる俺くらいだろうと思われる。
この世界が現実となった今、レベルを上げるのは並大抵のことではない。
現に冒険者協会に併設されている酒場では、『オーディンのいる世界に行き元の世界に帰還する』ことを諦めているプレイヤー達が数多く存在する。
ステータスを初期化されてしまったことで、やる気を失ってしまった者。
今更、最低ランクの依頼を受ける気がしないと感じている者。
ホームシックを罹っている者やモンスターと戦う事を恐れる者、様々だ。
その点、俺は最強のエレメンタルが護衛に就いてくれているし、パワーレベリングし放題。この世界が俺だけゲーム仕様の為か痛覚も感じない。
まあ、料理の味は感じるので、そこら辺は意味がわからないけど、基本的に他のプレイヤー達が恐れ感じている殆どの事柄が適用対象外だ。
課金アイテムによるレベリングによりステータス初期化をカバーし、Sランク冒険者という地位を維持。現実世界に戻れるため、ホームシックに罹ることはなく。痛みを感じない為、モンスターと戦う事に恐れを感じない。
そう考えると、俺だけもの凄く優遇されているなと感じる。
まるでアニメや小説等の異世界転生・転移ものにある主人公にでもなったかの様な気分だ。これが俗にいう『なろう系』という奴だろうか?
まあ、どうでもいいか。
今、俺にとって問題なのは、各国にある三つの上級ダンジョンが攻略されるまで、特別ダンジョン『ユミル』が出現せず、新しい世界への道が開かれない点だ。
これは由々しき問題である。
他プレイヤーの現状を考えると、俺だけこの世界の事をゲーム気分で語るのは倫理的、道徳的にどうなのかと思われるかもしれないが、元々、そういった事をあまり気にしない俺としては割とどうでもいい。
そもそも、俺だけそんな特別な状況にある事が知られれば身に危険が及ぶ可能性がある。
それに俺は自分の命と生活をいの一番に考えている。
自分の命や生活に害を及ぼすと判断した場合、クソ兄貴の様に『契約書』でその人の自由を縛る位には……。
だからこそ、自分が元の世界に帰還することができる事や、大量の課金アイテムを持っている事は誰にも言わない。
その上で、三つの上級ダンジョンを攻略し、特別ダンジョン『ユミル』を出現させるためにはどうしたらいいかを考える。
理想は、俺が現実世界やこっちの世界でグータラしている内に勝手に世界が解放される事。しかし、今は情勢が難しい
特別ダンジョン『ユミル』を出現させるには、他国の上級ダンジョンも攻略しなくてはならない。加えて、他国にいるプレイヤーのステータスが初期化されているのも問題だ。これではいつまで経っても新しい世界が解放されない。
さて、どうする……。
いっその事、課金アイテムを冒険者協会に流すか?
『モンスターリスポーン』と『獲得経験値+500%(二十四時間)』辺りを流してやれば、後は勝手にレベル上げしてくれそうだな……。
しかし、それを流したとして、この世界に閉じ込められた事を喜ぶ気狂い集団且つ、この世界からの解放活動を盾に金品を強奪しようとする犯罪集団『転移組』にそれが渡りレベルを上げ、厄介な力を持たれても困る。
……となれば、先にやっておくべきは自分のレベリングか?
レベルを上げればステータスも上がる。
よし。まずはレベルを上げ、折を見て冒険者協会に課金アイテムを流そう。
お金も手に入るし、勝手に攻略もしてくれる(はず)。万々歳だ。
部屋を出ると俺が経営する『微睡の宿』を出て、転移門『ユグドラシル』に向かった。
「よし。行くか」
準備は万端。エレメンタル達もやる気に満ちている。
転移門『ユグドラシル』に辿り着いた俺は、メニューバーを開き、行きたいダンジョンを選択する。
「転移。デザートクレードル」
転移門の前でそう呟くと、俺の身体に蒼い光が宿り、広大な砂漠ダンジョン『デザートクレードル』へと転移した。
転移すると先程までいた街の喧騒は消え去り、代わりにまるで砂が歌っているかの様な低い音やモンスターの声が聞こえてくる。
「さて、それじゃあ、やりますか……」
アイテムストレージから『モンスターリスポーン』と『獲得経験値+500%』そして『レアドロップ倍率+500%』を取り出そうとすると、どこからか声が聞こえてくる。
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「最強呪符使い転生―故郷を追い出され、奴隷として売られました。国が大変な事になったからお前を買い戻したい?すいませんが他を当たって下さい―」を公開しました。皆様、是非、ブックマークよろしくお願い致します!!!!ブックマークして頂けると、更新頻度が上がるという恩恵が……あ、なんでもないです……。
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