ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

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第24話 やられたらやり返す! 倍返しだ!①

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 冷蔵庫組のトップ、リフリ・ジレイターに嵌められた俺はDWをログアウトしてすぐ、腹とお尻を抑えながらカンデオホテルのトイレに駆け込んだ。

「はあっ、はあっ、はあっ……。あ、危なかった……」

 間一髪、ログアウトボタンの事を思い出し、トイレに駆け込む事で人間としての尊厳を保つ事ができた。
 危機的な状況に置かれるとかなり視野が狭まる。
 今度から気を付けよう。

 波が収まった所で、アイテムストレージから『状態異常回復薬』を取り出すと、一気に飲み干していく。

「ふう……」

 状態異常回復薬を口にした瞬間から体調が良くなっていくのが実感できる。
 それにしてもリフリ・ジレイターめ……。
 バナナに下剤を盛るなんて卑劣な事を……。バナナ農家の方に失礼だと思わないのか。
 それにリフリ・ジレイターが浮かべた俺を嘲笑うかのようなあの表情。
 絶対に許せない!

 奴も同じ目に遭わせてやる!

 トイレから出た俺はベッドの上で横になると「――コネクト『Different World』」と呟き、DWの世界へと再びログインする。

 すると、そこには唖然とした表情を浮かべるリフリ・ジレイターがいた。

「よう。どうした? そんな馬鹿顔を浮かべてよ」
「あなた……。急に消えたかと思えばいつの間に……。まあいいわ。どの道あなたは檻の中。それよりも私の盛った超強力下剤入りバナナの味はいかがだったかしら?」
「ああ、トイレに駆け込む事ができた時は天国の味がしたよ。それまで、地獄の味だったけどな……」
「そう。それは良かった……。それじゃあ、行きましょうか。ビーツさん。クレソンさん」

 リフリ・ジレイターが手を叩くと、ナルシスト風の優男とパンチの利いた醜悪な男が俺が入っている箱罠を押し、そのまま宿の外へと運んでいく。

「えっ? い、いや、ちょっと、どこに連れて行く気?」

 そう叫び声を上げるとリフリ・ジレイターが笑みを浮かべながら呟く。

「そんな事決まっているでしょう? 市中引き回しの上、冷蔵庫組の本部へと運ぶのですよ。私に逆らってタダで済むと思っていたのですか?」
「な、何っ!? 市中引き回しっ!」

 市中引き回しとは、死刑囚を馬に乗せ、罪状を書いた捨札等と共に刑場まで公開で連行する制度の事だ。
 って事は何? 俺は死刑って事?
 私刑で死刑ってどういう事!?

「ええ、あなたは冷蔵庫組が資産管理を任せていた『地上げ屋本舗』から資産を巻き上げましたからね。市中引き回しで冷蔵庫組の本部に運んだ後、死刑にしてやりますよ。勿論、巻き上げた資産はあなたの資産ごと全て回収した上でね……」
「な、なん……だと……」

 まだ諦めていなかったのか……。
 っていうか、状況わかってる?
 俺、トイレに行って全快してるんだよ??
 状態異常回復薬を飲んだから、全く腹が痛くないんだよ?
 しかも、態々、宿の外まで運んで貰っちゃって、いまなら暴れ放題なんだよ??

「さあ、ビーツさんにクレソンさん。このお馬鹿さんを馬車の荷台に乗せなさい。冷蔵庫組に舐めた真似をしたらどうなるか皆に思い知らせてやるのです!」

 リフリ・ジレイターがそう言うと、俺が入った箱罠が馬車の荷台にセットされる。

「さて、それでは参りましょうか、お馬鹿さん。ビーツさん。クレソンさん。後の事は頼みましたよ……」
「はい。リフリ・ジレイター様!!」

 リフリ・ジレイターは、もう一台の馬車に乗り込むと先に行ってしまった。

「ふふふ、それにしても馬鹿な野郎だ。よりにもよって、冷蔵庫組に手を出すなんてな。お前もこれでお終いだよ。おいビーツ! お前は馬車の運転をしていろ! 俺はコイツと話し合いがあるからよぉ!」
「はいはい。わかったよ。クレソン。でも遣り過ぎるなよ。こいつを殺すのは、リフリ・ジレイター様の資産を取り戻した後だ……」
「ふん! わかっているよ」

 そう言うと、ビーツと呼ばれたナルシスト風の優男は馬車の御者台に、パンチの利いた醜悪な男ことクレソンは箱罠の中へと入ってくる。
 チャンス到来である。
 全く。自分達から箱罠の鍵を開けてくれるなんて、良い奴等なんだ。

「さあて、身体を使った楽しい楽しいお話し合いをしようか。まあ、一方的な話し合いになりそうだがな……」

 箱罠に入ってすぐクレソンが醜悪な表情を浮かべる。
 そして、馬車が走り出したのを確認すると、俺と対峙した。

「……お前、俺に勝てると思っているのか?」

 ちょっとした疑問だ。
 俺のレベルは百。それにレベルMAXのエレメンタル達が護衛についている。
 全然負ける気がしない。

「はあ? 何を言っていやがる。俺様は冷蔵庫組の中でも武闘派。お前如きが敵う訳がないだろう? お前、まさか自分の方が強いとでも思っているのか? いるんだよなぁ。若い奴に限って、自分の方が強いと勘違いしている奴が……。パンピーが組相手に粋がるなよ」
「へえっ……。それで、クレソンさんはなんで、箱罠の中に入ってきたんだ?」
「うん? そんな事は決まっているだろう?」

 クレソンは嗜虐的な笑みを浮かべると、俺に拳を振り上げる。

「……冷凍庫組に喧嘩を売ったお前を痛ぶる為だよ!」
「へえ、そうなんだ……」
「ああ、その通りだ! ぐ、ぐうっ!?」

 俺がクレソンの拳をモブ・フェンリルバズーカで受けると、クレソンは渋面を浮かべ拳を擦る。
 どうやら反撃される事は想定の範囲外だったらしい。
 頭が弱過ぎる。

「ぐっ、まさか下剤を飲んでまだ抵抗する気力が残っていたとはな……。リフリ・ジレイター様の用意した下剤は超強力。脱水症状を起こしてもおかしくない筈なんだが……」
「な、なに!?」

 リフリ・ジレイターの奴、そんなものを俺に……。
 な、なんて野郎だ……。

「……まあいい。お前、死んだぜ! この俺様に逆らったんだからなぁ!」
「……いや、もういいよ。なんていうか、俺にはやる事があるからさ。お前の相手ばかりしていられないのよ。わかる? ドゥーユーアンダースタン?」

 そう言うと、クレソンが青筋を浮かべ繰りかかってきた。
 煽り耐性の無い奴だ。しかし、こういう奴の方がやり易い。

「……ぶっ殺してやる!」

 俺に煽られ憤るクレソン。
 クレソンの拳が俺に当たる直前、エレメンタルが赤く光り、クレソンの股間に熱線を繰り出した。

「ぽ、ぽわっつ!?」

 その瞬間、クレソンは拳を広げ自分の股間を押さえて、青ざめた表情を浮かべる。
 俺はというと、股間が焼かれた臭いにしかめっ面を浮かべた。

「お、お前……。一体何を……」
「いや、俺は何もやってないよ? エレメンタルがお前を迎撃しただけさ」
「なっ……。エレメンタルが、そんなに強い訳ないだろっ……」

 クレソンの奴、息も絶え絶えだ。
 一人の男として気持ちはわかる。
 蹴り上げられただけでも痛いんだ。
 熱線で焼かれたら、それはもう痛いよな……。
 男としての人生終了のお知らせ。心の中で合掌する。

 まあ、それもこれも、俺に喧嘩を吹っ掛けてきたコイツが悪いんだけど……。

「……まあ、そんな事、どうでもいいじゃない。さてと、それより君には生贄になって貰おうかなぁ?」

 ニヤリと口を歪めると、クレソンが怯えた表情を浮かべる。

「い、生贄だとっ? 一体、何をしようというんだ……」
「何をって……。簡単な事だよ。クレソン君。君はこれを持ち『リフリ・ジレイター』と言いながら握り潰してくれるだけでいい」

 俺はバズーカをアイテムストレージにしまうと、代わりにスタンガンを持ち、筒状の課金アイテムをクレソンに握らせると、股間に足のつま先を向けてそう呟く。
 股間に足のつま先を向けたのは、この課金アイテム『スワップ・プレイス』を握り潰さなかった場合、お前の股間を蹴り上げるぞというポーズの為だ。

「な、何をする気だ……」
「知る必要のない事だよ。君は俺に言われた通り『リフリ・ジレイター』と言いながら、これを握り潰してくれるだけでいい。そうすれば、リフリ・ジレイターがお前の事を助けに来てくれるかもしれないぞ?」

 俺はクレソンの股間の近くで足踏みをしながらそう呟く。

 すると、クレソンは悔し涙を浮かべながら『リフリ・ジレイター』と呟き『スワップ・プレイス』を握り潰した。
 その瞬間、目の前にリフリ・ジレイターが現れた。

「はっ??」

『スワップ・プレイス』は、対象プレイヤーと位置を入れ替える課金アイテム。
 クレソンと急に位置を入れ替えられたリフリ・ジレイターは何が起こっているのかわかっていない様子だ。
 リフリ・ジレイターの首筋にスタンガンを当てると、スイッチを押して電気を流し込む。

「あばっ!?」

『バチンッ!』と音を鳴らすと、リフリ・ジレイターが身体を痙攣させて倒れ込んだ。

 くくくっ、計画通り……。
 今頃、クレソン君はこいつのいた馬車の中で悶絶している頃だろう。
 緊張感から解放されると、より痛みを感じるだろうしね。いいざまだ。

 それにしても、御者の男。これだけ音を立てて騒いでいるのに全然、気付かないな……。
 まあ、こちらとしては好都合なんだけど。

 俺はリフリ・ジレイターを縛り上げると、アイテムストレージからモンスター用の下剤を取り出し、口の中に放り込む。
 そして、口に水を流し込むと「ゲホッ! ゲホッ!?」と咳き込み、リフリ・ジレイターが目を覚ました。

「……き、貴様はっ!?」
「おはよう。リフリ・ジレイター君。また会う事ができて嬉しいよ。さっきはよくもやってくれたね?」

 俺がそう言うと、リフリ・ジレイターは渋面を浮かべる。
 縛られている事にも気付いた様だ。

「……この私を捕らえて何をしようと言うのです? どの道、この馬車は冷蔵庫組の本部に向かっています。どうにもなりませんよ?」
「うん? 何を言っているんだ?」

 箱罠の鍵は開いている。
 そのまま出て行けば、どうにでもなる。そんな事もわからないのだろうか?
 まあいい。
 コイツの言う事も一理ある。
 このままコイツを帰せば、また報復しに来るに違いない。
 かといって、現状、冷蔵庫組を壊滅できるほどの力を持っている訳でもない。

 それならば、もう二度と俺に関わりたくないと思う位の事をしてやるだけだ。

「一体どうしたのです? 急に黙り込んで……。う、うぐっ!?」

 すると急にリフリ・ジレイターが苦しみ出した。

「ようやく効き出した様だな。モンスター用下剤の味はどうだい?」
「な、何ですって!?」

 くくくっ……。
 流石はサスペンションのない中世ナーロッパ仕様の馬車だ。
 さぞかし馬車の振動が腹と肛門括約筋をダイレクトに刺激する事だろう。

 俺はアイテムストレージからオマルを取り出すと、リフリ・ジレイターの対角線上に置いた。

 すると、リフリ・ジレイターが俺に怒りの籠った視線を向けてくる。
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