ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ@転移世界のアウトサイダー発売中

文字の大きさ
上 下
24 / 381

第24話 やられたらやり返す! 倍返しだ!①

しおりを挟む
 冷蔵庫組のトップ、リフリ・ジレイターに嵌められた俺はDWをログアウトしてすぐ、腹とお尻を抑えながらカンデオホテルのトイレに駆け込んだ。

「はあっ、はあっ、はあっ……。あ、危なかった……」

 間一髪、ログアウトボタンの事を思い出し、トイレに駆け込む事で人間としての尊厳を保つ事ができた。
 危機的な状況に置かれるとかなり視野が狭まる。
 今度から気を付けよう。

 波が収まった所で、アイテムストレージから『状態異常回復薬』を取り出すと、一気に飲み干していく。

「ふう……」

 状態異常回復薬を口にした瞬間から体調が良くなっていくのが実感できる。
 それにしてもリフリ・ジレイターめ……。
 バナナに下剤を盛るなんて卑劣な事を……。バナナ農家の方に失礼だと思わないのか。
 それにリフリ・ジレイターが浮かべた俺を嘲笑うかのようなあの表情。
 絶対に許せない!

 奴も同じ目に遭わせてやる!

 トイレから出た俺はベッドの上で横になると「――コネクト『Different World』」と呟き、DWの世界へと再びログインする。

 すると、そこには唖然とした表情を浮かべるリフリ・ジレイターがいた。

「よう。どうした? そんな馬鹿顔を浮かべてよ」
「あなた……。急に消えたかと思えばいつの間に……。まあいいわ。どの道あなたは檻の中。それよりも私の盛った超強力下剤入りバナナの味はいかがだったかしら?」
「ああ、トイレに駆け込む事ができた時は天国の味がしたよ。それまで、地獄の味だったけどな……」
「そう。それは良かった……。それじゃあ、行きましょうか。ビーツさん。クレソンさん」

 リフリ・ジレイターが手を叩くと、ナルシスト風の優男とパンチの利いた醜悪な男が俺が入っている箱罠を押し、そのまま宿の外へと運んでいく。

「えっ? い、いや、ちょっと、どこに連れて行く気?」

 そう叫び声を上げるとリフリ・ジレイターが笑みを浮かべながら呟く。

「そんな事決まっているでしょう? 市中引き回しの上、冷蔵庫組の本部へと運ぶのですよ。私に逆らってタダで済むと思っていたのですか?」
「な、何っ!? 市中引き回しっ!」

 市中引き回しとは、死刑囚を馬に乗せ、罪状を書いた捨札等と共に刑場まで公開で連行する制度の事だ。
 って事は何? 俺は死刑って事?
 私刑で死刑ってどういう事!?

「ええ、あなたは冷蔵庫組が資産管理を任せていた『地上げ屋本舗』から資産を巻き上げましたからね。市中引き回しで冷蔵庫組の本部に運んだ後、死刑にしてやりますよ。勿論、巻き上げた資産はあなたの資産ごと全て回収した上でね……」
「な、なん……だと……」

 まだ諦めていなかったのか……。
 っていうか、状況わかってる?
 俺、トイレに行って全快してるんだよ??
 状態異常回復薬を飲んだから、全く腹が痛くないんだよ?
 しかも、態々、宿の外まで運んで貰っちゃって、いまなら暴れ放題なんだよ??

「さあ、ビーツさんにクレソンさん。このお馬鹿さんを馬車の荷台に乗せなさい。冷蔵庫組に舐めた真似をしたらどうなるか皆に思い知らせてやるのです!」

 リフリ・ジレイターがそう言うと、俺が入った箱罠が馬車の荷台にセットされる。

「さて、それでは参りましょうか、お馬鹿さん。ビーツさん。クレソンさん。後の事は頼みましたよ……」
「はい。リフリ・ジレイター様!!」

 リフリ・ジレイターは、もう一台の馬車に乗り込むと先に行ってしまった。

「ふふふ、それにしても馬鹿な野郎だ。よりにもよって、冷蔵庫組に手を出すなんてな。お前もこれでお終いだよ。おいビーツ! お前は馬車の運転をしていろ! 俺はコイツと話し合いがあるからよぉ!」
「はいはい。わかったよ。クレソン。でも遣り過ぎるなよ。こいつを殺すのは、リフリ・ジレイター様の資産を取り戻した後だ……」
「ふん! わかっているよ」

 そう言うと、ビーツと呼ばれたナルシスト風の優男は馬車の御者台に、パンチの利いた醜悪な男ことクレソンは箱罠の中へと入ってくる。
 チャンス到来である。
 全く。自分達から箱罠の鍵を開けてくれるなんて、良い奴等なんだ。

「さあて、身体を使った楽しい楽しいお話し合いをしようか。まあ、一方的な話し合いになりそうだがな……」

 箱罠に入ってすぐクレソンが醜悪な表情を浮かべる。
 そして、馬車が走り出したのを確認すると、俺と対峙した。

「……お前、俺に勝てると思っているのか?」

 ちょっとした疑問だ。
 俺のレベルは百。それにレベルMAXのエレメンタル達が護衛についている。
 全然負ける気がしない。

「はあ? 何を言っていやがる。俺様は冷蔵庫組の中でも武闘派。お前如きが敵う訳がないだろう? お前、まさか自分の方が強いとでも思っているのか? いるんだよなぁ。若い奴に限って、自分の方が強いと勘違いしている奴が……。パンピーが組相手に粋がるなよ」
「へえっ……。それで、クレソンさんはなんで、箱罠の中に入ってきたんだ?」
「うん? そんな事は決まっているだろう?」

 クレソンは嗜虐的な笑みを浮かべると、俺に拳を振り上げる。

「……冷凍庫組に喧嘩を売ったお前を痛ぶる為だよ!」
「へえ、そうなんだ……」
「ああ、その通りだ! ぐ、ぐうっ!?」

 俺がクレソンの拳をモブ・フェンリルバズーカで受けると、クレソンは渋面を浮かべ拳を擦る。
 どうやら反撃される事は想定の範囲外だったらしい。
 頭が弱過ぎる。

「ぐっ、まさか下剤を飲んでまだ抵抗する気力が残っていたとはな……。リフリ・ジレイター様の用意した下剤は超強力。脱水症状を起こしてもおかしくない筈なんだが……」
「な、なに!?」

 リフリ・ジレイターの奴、そんなものを俺に……。
 な、なんて野郎だ……。

「……まあいい。お前、死んだぜ! この俺様に逆らったんだからなぁ!」
「……いや、もういいよ。なんていうか、俺にはやる事があるからさ。お前の相手ばかりしていられないのよ。わかる? ドゥーユーアンダースタン?」

 そう言うと、クレソンが青筋を浮かべ繰りかかってきた。
 煽り耐性の無い奴だ。しかし、こういう奴の方がやり易い。

「……ぶっ殺してやる!」

 俺に煽られ憤るクレソン。
 クレソンの拳が俺に当たる直前、エレメンタルが赤く光り、クレソンの股間に熱線を繰り出した。

「ぽ、ぽわっつ!?」

 その瞬間、クレソンは拳を広げ自分の股間を押さえて、青ざめた表情を浮かべる。
 俺はというと、股間が焼かれた臭いにしかめっ面を浮かべた。

「お、お前……。一体何を……」
「いや、俺は何もやってないよ? エレメンタルがお前を迎撃しただけさ」
「なっ……。エレメンタルが、そんなに強い訳ないだろっ……」

 クレソンの奴、息も絶え絶えだ。
 一人の男として気持ちはわかる。
 蹴り上げられただけでも痛いんだ。
 熱線で焼かれたら、それはもう痛いよな……。
 男としての人生終了のお知らせ。心の中で合掌する。

 まあ、それもこれも、俺に喧嘩を吹っ掛けてきたコイツが悪いんだけど……。

「……まあ、そんな事、どうでもいいじゃない。さてと、それより君には生贄になって貰おうかなぁ?」

 ニヤリと口を歪めると、クレソンが怯えた表情を浮かべる。

「い、生贄だとっ? 一体、何をしようというんだ……」
「何をって……。簡単な事だよ。クレソン君。君はこれを持ち『リフリ・ジレイター』と言いながら握り潰してくれるだけでいい」

 俺はバズーカをアイテムストレージにしまうと、代わりにスタンガンを持ち、筒状の課金アイテムをクレソンに握らせると、股間に足のつま先を向けてそう呟く。
 股間に足のつま先を向けたのは、この課金アイテム『スワップ・プレイス』を握り潰さなかった場合、お前の股間を蹴り上げるぞというポーズの為だ。

「な、何をする気だ……」
「知る必要のない事だよ。君は俺に言われた通り『リフリ・ジレイター』と言いながら、これを握り潰してくれるだけでいい。そうすれば、リフリ・ジレイターがお前の事を助けに来てくれるかもしれないぞ?」

 俺はクレソンの股間の近くで足踏みをしながらそう呟く。

 すると、クレソンは悔し涙を浮かべながら『リフリ・ジレイター』と呟き『スワップ・プレイス』を握り潰した。
 その瞬間、目の前にリフリ・ジレイターが現れた。

「はっ??」

『スワップ・プレイス』は、対象プレイヤーと位置を入れ替える課金アイテム。
 クレソンと急に位置を入れ替えられたリフリ・ジレイターは何が起こっているのかわかっていない様子だ。
 リフリ・ジレイターの首筋にスタンガンを当てると、スイッチを押して電気を流し込む。

「あばっ!?」

『バチンッ!』と音を鳴らすと、リフリ・ジレイターが身体を痙攣させて倒れ込んだ。

 くくくっ、計画通り……。
 今頃、クレソン君はこいつのいた馬車の中で悶絶している頃だろう。
 緊張感から解放されると、より痛みを感じるだろうしね。いいざまだ。

 それにしても、御者の男。これだけ音を立てて騒いでいるのに全然、気付かないな……。
 まあ、こちらとしては好都合なんだけど。

 俺はリフリ・ジレイターを縛り上げると、アイテムストレージからモンスター用の下剤を取り出し、口の中に放り込む。
 そして、口に水を流し込むと「ゲホッ! ゲホッ!?」と咳き込み、リフリ・ジレイターが目を覚ました。

「……き、貴様はっ!?」
「おはよう。リフリ・ジレイター君。また会う事ができて嬉しいよ。さっきはよくもやってくれたね?」

 俺がそう言うと、リフリ・ジレイターは渋面を浮かべる。
 縛られている事にも気付いた様だ。

「……この私を捕らえて何をしようと言うのです? どの道、この馬車は冷蔵庫組の本部に向かっています。どうにもなりませんよ?」
「うん? 何を言っているんだ?」

 箱罠の鍵は開いている。
 そのまま出て行けば、どうにでもなる。そんな事もわからないのだろうか?
 まあいい。
 コイツの言う事も一理ある。
 このままコイツを帰せば、また報復しに来るに違いない。
 かといって、現状、冷蔵庫組を壊滅できるほどの力を持っている訳でもない。

 それならば、もう二度と俺に関わりたくないと思う位の事をしてやるだけだ。

「一体どうしたのです? 急に黙り込んで……。う、うぐっ!?」

 すると急にリフリ・ジレイターが苦しみ出した。

「ようやく効き出した様だな。モンスター用下剤の味はどうだい?」
「な、何ですって!?」

 くくくっ……。
 流石はサスペンションのない中世ナーロッパ仕様の馬車だ。
 さぞかし馬車の振動が腹と肛門括約筋をダイレクトに刺激する事だろう。

 俺はアイテムストレージからオマルを取り出すと、リフリ・ジレイターの対角線上に置いた。

 すると、リフリ・ジレイターが俺に怒りの籠った視線を向けてくる。
しおりを挟む
最強呪符使い転生―故郷を追い出され、奴隷として売られました。国が大変な事になったからお前を買い戻したい?すいませんが他を当たって下さい―」を公開しました。皆様、是非、ブックマークよろしくお願い致します!!!!ブックマークして頂けると、更新頻度が上がるという恩恵が……あ、なんでもないです……。
感想 537

あなたにおすすめの小説

最強美少女達に愛されている無能サポーター 〜周りの人から馬鹿にされ続けてもう嫌なのパーティメンバーの天才たちが離してくれない〜

妄想屋さん
ファンタジー
 最強の美少女パーティメンバーに囲まれた無能、アルフ。  彼は周囲の人の陰口に心を病み、パーティメンバー達に、 「このパーティを抜けたい」  と、申し出る。  しかし、アルフを溺愛し、心の拠り所にしていた彼女達はその申し出を聞いて泣き崩れていまう。  なんとかアルフと一緒にいたい少女達と、どうしてもパーティを抜けたい主人公の話。

『自重』を忘れた者は色々な異世界で無双するそうです。

もみクロ
ファンタジー
主人公はチートです!イケメンです! そんなイケメンの主人公が竜神王になって7帝竜と呼ばれる竜達や、 精霊に妖精と楽しくしたり、テンプレ入れたりと色々です! 更新は不定期(笑)です!戦闘シーンは苦手ですが頑張ります! 主人公の種族が変わったもしります。 他の方の作品をパクったり真似したり等はしていないので そういう事に関する批判は感想に書かないで下さい。 面白さや文章の良さに等について気になる方は 第3幕『世界軍事教育高等学校』から読んでください。

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。

下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。 豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。 小説家になろう様でも投稿しています。

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません 

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。 まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。 だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥ たまにやりたくなる短編。 ちょっと連載作品 「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。

聖女業に飽きて喫茶店開いたんだけど、追放を言い渡されたので辺境に移り住みます!【完結】

青緑
ファンタジー
 聖女が喫茶店を開くけど、追放されて辺境に移り住んだ物語と、聖女のいない王都。 ——————————————— 物語内のノーラとデイジーは同一人物です。 王都の小話は追記予定。 修正を入れることがあるかもしれませんが、作品・物語自体は完結です。

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

処理中です...