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第12話 俺がやらねば誰がやる!警察署と労働基準監督署に内部告発!
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――午前九時
高校生達の執拗な暴行によりボロボロとなった服を身に纏い、交番の中に入ると、警察官の奇異的な視線が突き刺さる。
何故、俺がこんな姿で交番に来ているのか――。
それは俺を暴行し、三千万円のスクラッチくじと財布をカツアゲした高校生達に天誅を加える為だ。決して、不審者として警察官にしょっ引かれた訳ではない。
「すいません。被害届を提出したいんですけど……」
ネット検索による事前情報によれば、被害届は最寄りの警察署(刑事課)もしくは交番で出すことができるようだ。
警察署や交番に出向く際は、身分を証明できる物(運転免許証など)、印鑑、被害事実を証明する証拠を持っていくといいとも書いてあった。
始めは警察署に行こうと思っていたが、この姿で大多数の目に触れるのは精神的にキツイものがある。
それにネット検索をしている際、平成三十一年三月二十五日、警察庁の刑事局長が全国の警察署並び交番に「迅速・確実な被害の届出の受理について」という文章通達を出している事をネットで知った。
その為、これなら大丈夫だろうと思い、交番に被害届の提出をしに来た訳だ。
「はい。被害届ですね。それでは、こちらの席にお座り下さい」
言われた通り椅子に座ると、警察官が話しかけてくる。
「それでは、まずどの様な被害に遭われたのか教えて頂けますか?」
「はい。まずはこの動画を見て下さい」
そう言ってスマートフォンを取り出すと、昨日、ネットに流した動画を警察官の前で流した。
動画の内容は、昨日、俺の家に事情聴取にやってきた警察官の前で流したものと同じものだ。そこには、高校生五人が俺を暴行し、スクラッチくじと財布をカツアゲする姿が映っていた。
警察官は苦い表情を浮かべると、目に手を当てる。
「この事件の被害者の方でしたか……」
「えっ? ご存じなんですか?」
「ええ、ニュースやSNSで話題となっていますからね……」
「そうなんですか?」
「ええ、今、警察署や交番に情報提供が殺到していますよ」
それは知らなかった。
しかし、それなら話が早い。
「それでは被害届を作成しますので、身分証と被害に遭った日時、被害に遭った場所や被害金品を教えて下さい」
「わかりました。それでは……」
リュックサックから免許証を取り出すと、警察官に提示する。
一緒に取り出した印鑑は手元に置いた。
「昨日、夕方にイオン近くの宝くじ売り場で三千万円のスクラッチくじと、パチンコホール『楽園』で勝った三十万円を財布ごと高校生五人にカツアゲされました。高校生にカツアゲされた三千万円のスクラッチくじに関しては、一度、宝くじ売り場の女性に見せているので、存在を証明する事ができると思います。『楽園』で換金した三十万円についても同様です」
何なら追加で動画を提出する事もできる。
絶対に報いを受けて貰うからな!
今に見てろクソガキ共!
「はい。ご苦労様でした。それでは内容の確認をお願いします。よろしければ、こちらとこちらに認印をお願いします」
事情聴取を終え、後ろで書類を作成していた警察官が被害届をプリントすると、これで間違いないか確認を促してきた。
被害届の内容を確認し、認印を押すと連絡票という用紙を渡される。
どうやらこの連絡票、問い合わせの際に必要になる書類らしい。
何の事だか全然よくわからないが、取り敢えず、貰っておいた。
ただ、三千万円のスクラッチくじに関しては、証言だけでは被害金品として認められるか難しいと言われた。動画も残っているし、嘘ではないのは理解できるがこればかりは仕方がない事らしい。
正直、スクラッチくじに関しては難しいだろうなと思っていた。
財布には入っていた三十万円についても同様だ。
しかし、俺は警察官を責めるような真似はしない。
何故なら、既に三千万円のスクラッチくじは回収済だからである。
俺としては、あいつ等に天罰が下るならそれでいい。
「ご対応頂きありがとうございました。最後に相手は高校生ですが、被害届は絶対に取り下げる気はありません。強盗傷害は立派な犯罪です。警察官さん達があの犯罪者を刑務所送りにしてくれる事を切に願っています。その為に、協力できる事は何でもする気でいますので、その際には、ぜひ連絡して下さい!」
「え、ええ……ご協力、ありがとうございます」
何だか警察官が引いていたような気がしたが、きっと気のせいだろう。
俺は早速、複数のSNSに交番に被害届を提出したと配信する。
――これで良し。
警察官が言っていた通り、ネットニュースのトップ記事に今回の事件が上がっていたし、話題性も抜群。被害届を提出した事をSNSに流してしまえば、警察も捜査せず放置するなんて事はしない筈だ。
警察官の中には、被害者の悲痛の叫びである被害届を蔑ろにする輩もいるが、俺は警察官の良心を信じたい。
「さて、次は労働基準監督署だな……」
俺の敵はあの五人の高校生だけではない。
アメイジング・コーポレーション株式会社の石田管理本部長。
あいつも俺の敵だ。
交番を出たその足で、労働基準監督署に向かう。
労働基準監督署。そこは、まるで役所のような所だった。
アイテムストレージから、業務日報五年分・メールデータを収めたUSB、就業規則、辞める前からダウンロードしていた時間外労働・休日労働に関する協定届、実際に働いていた時間の証拠となるタイムカードと、残業代が支払われていない事を証明する給与明細、そして、推定の残業代を算出した計算表を取り出すと、総合労働相談窓口に向かう。
すると専門の相談員さんがすぐに対応してくれた。
「すいません。労務相談をしたいのですけど……」
「はい。個室での相談もできますが、いかが致しますか?」
どうやら個室での相談も受け付けてくれるらしい。
「いえ、ここで大丈夫です」
「そうですか、それではご相談内容を伺わせて頂いてよろしいでしょうか?」
「はい。実は……」
俺はそこで、アメイジング・コーポレーション株式会社がいかにブラックな会社なのかを力説した。
時間外労働の強要、解雇のやり口、懲戒解雇を理由とした退職金の支払い拒否、そして残業代の未払い。
「……酷い会社ですね」
「そうなんです。酷い会社なんですよ」
「しかし、これだけの証拠があり経緯が明確であれば何とかなるかもしれません」
相談して初めてわかった事だが、どうやら労働基準監督署では、違法行為があった場合の指導勧告や刑事的な処分として送検したりすることはできるものの、残業代や退職金の支払トラブルを解決する権限は持ち合わせていないらしい。
例えば、残業代が支払われていない場合、支払うように勧告してくれるが、裁判所の様に支払いを命じる判決を出すことはできないということになる。
初めて知った。労働基準監督署に頼っても、会社に残業代を確実に請求したいなら、弁護士を頼るしか方法がないのか……。
まあ労働基準監督署に内部告発できただけ良しとしよう。
未払残業代と退職金については、別途、弁護士事務所に相談すれば済む話だ。
こっちには、労働基準監督署お墨付きの証拠が一杯揃っているからな。
待ってろ石田管理本部長!
ついでに、西木社長!
毎日毎日、会議費交際費で美味しいものを食べに行きやがって!
羨まし……じゃなくて。仮にも上場企業だろ!
会社は株主のものだ。お前の食い物じゃないんだぞ!
思い出したら何だかイライラしてきた。
弁護士に相談した後、ついでに国税庁のホームページ欄にある『課税・徴収漏れに関する情報の提供』の状況提供フォームで、ここの社長が私用に会議費交際費を使い、毎日飲み食いしてますよと密告してやる。
経理部員舐めんなよ!
こっちは全部知ってるんだからな!
絶対正義の名の下に、これも告発しておこう。
「……それでは、よろしくお願いします」
そう言うと、俺は労働基準監督署を後にした。
今の時間は、午前十一時。
とはいえ、これから弁護士事務所に行くのも疲れるな。
弁護士事務所に行くのは取り敢えず明日以降にするか。
「さて、ネットカフェに戻るか……ん?」
一旦、ネットカフェに戻るかと、蹴伸びをしながら振り向くと、前方にみずほ銀行の店舗が見えた。
「おっ、そういえば忘れていたな」
アイテムストレージの中には、一億八千万円相当のスクラッチくじがある。
折角だ。すぐに換金しに行こう。
自動ドアを潜り、みずほ銀行に入ると、銀行員に呼び止められる。
「お客様、来店予約はお済みでしょうか?」
「えっ? 来店予約?」
なにそれ、どういう事?
頭の中に疑問符を浮かべていると、銀行員が話し始める。
「現在、当行では三密の回避の為、お客様には来店予約をして頂いております。大変、恐縮なのですが、インターネットで予約をしてからの来店をお願いできますでしょうか?」
「えっ? そうなんですか?」
某ウイルス感染症の影響がこんな所まで来ているとは……。
銀行は上司が対応していたから知らなかった。
まあ、そういう理由なら仕方がない。
出直すとしよう。
密はヤバいからね!
「わかりました」
そういって銀行を後にすると、「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」と言われる。
銀行を出た俺は、スマートフォンで銀行の来店予約をする事にした。
どうやら最短で一週間後。
それまで、一億八千万円はお預けという事になる。
少し残念な気持ちになりながら、ネットカフェに続く道を歩いていると、高校生五人がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。
あれは……。俺をボコボコにしたクソガキ五人組!?
ここで会ったが百年目!!
そんな事を考えながら、近くにある電柱にそっと隠れる。
これは違うぞ。決して逃げた訳じゃない。
本当だからね。俺が本気を出せばワンパンだから、ワンパンチで一発KOだから。
まあ、冗談はさておき。
俺が隠れたのには、ちゃんと理由がある。
そう。俺にだけ何故か見えている。エレメンタルの存在だ。
あいつらが突然襲い掛かってきた時、このエレメンタル達がどう反応するのかわからない。
っていうか、こっちに戻って来る際、『モブ・フェンリルシリーズ』装備は外れているのに、なんでエレメンタルは装備されたままになっているんだよ!?
まあ、その事は置いておこう。
万が一、あいつらが襲い掛かってきたとして、エレメンタルがあいつらの股間を焼けば、多分、あいつらはショック死する。
漫画の中では笑い話で済む話も現実に置き換えると、途端に厄介な話に早変わりするのだ。
エレメンタルが暴発しないからヒヤヒヤしながら、電柱に隠れ高校生五人をやり過ごすと、そのままネットカフェに向かった。
高校生達の執拗な暴行によりボロボロとなった服を身に纏い、交番の中に入ると、警察官の奇異的な視線が突き刺さる。
何故、俺がこんな姿で交番に来ているのか――。
それは俺を暴行し、三千万円のスクラッチくじと財布をカツアゲした高校生達に天誅を加える為だ。決して、不審者として警察官にしょっ引かれた訳ではない。
「すいません。被害届を提出したいんですけど……」
ネット検索による事前情報によれば、被害届は最寄りの警察署(刑事課)もしくは交番で出すことができるようだ。
警察署や交番に出向く際は、身分を証明できる物(運転免許証など)、印鑑、被害事実を証明する証拠を持っていくといいとも書いてあった。
始めは警察署に行こうと思っていたが、この姿で大多数の目に触れるのは精神的にキツイものがある。
それにネット検索をしている際、平成三十一年三月二十五日、警察庁の刑事局長が全国の警察署並び交番に「迅速・確実な被害の届出の受理について」という文章通達を出している事をネットで知った。
その為、これなら大丈夫だろうと思い、交番に被害届の提出をしに来た訳だ。
「はい。被害届ですね。それでは、こちらの席にお座り下さい」
言われた通り椅子に座ると、警察官が話しかけてくる。
「それでは、まずどの様な被害に遭われたのか教えて頂けますか?」
「はい。まずはこの動画を見て下さい」
そう言ってスマートフォンを取り出すと、昨日、ネットに流した動画を警察官の前で流した。
動画の内容は、昨日、俺の家に事情聴取にやってきた警察官の前で流したものと同じものだ。そこには、高校生五人が俺を暴行し、スクラッチくじと財布をカツアゲする姿が映っていた。
警察官は苦い表情を浮かべると、目に手を当てる。
「この事件の被害者の方でしたか……」
「えっ? ご存じなんですか?」
「ええ、ニュースやSNSで話題となっていますからね……」
「そうなんですか?」
「ええ、今、警察署や交番に情報提供が殺到していますよ」
それは知らなかった。
しかし、それなら話が早い。
「それでは被害届を作成しますので、身分証と被害に遭った日時、被害に遭った場所や被害金品を教えて下さい」
「わかりました。それでは……」
リュックサックから免許証を取り出すと、警察官に提示する。
一緒に取り出した印鑑は手元に置いた。
「昨日、夕方にイオン近くの宝くじ売り場で三千万円のスクラッチくじと、パチンコホール『楽園』で勝った三十万円を財布ごと高校生五人にカツアゲされました。高校生にカツアゲされた三千万円のスクラッチくじに関しては、一度、宝くじ売り場の女性に見せているので、存在を証明する事ができると思います。『楽園』で換金した三十万円についても同様です」
何なら追加で動画を提出する事もできる。
絶対に報いを受けて貰うからな!
今に見てろクソガキ共!
「はい。ご苦労様でした。それでは内容の確認をお願いします。よろしければ、こちらとこちらに認印をお願いします」
事情聴取を終え、後ろで書類を作成していた警察官が被害届をプリントすると、これで間違いないか確認を促してきた。
被害届の内容を確認し、認印を押すと連絡票という用紙を渡される。
どうやらこの連絡票、問い合わせの際に必要になる書類らしい。
何の事だか全然よくわからないが、取り敢えず、貰っておいた。
ただ、三千万円のスクラッチくじに関しては、証言だけでは被害金品として認められるか難しいと言われた。動画も残っているし、嘘ではないのは理解できるがこればかりは仕方がない事らしい。
正直、スクラッチくじに関しては難しいだろうなと思っていた。
財布には入っていた三十万円についても同様だ。
しかし、俺は警察官を責めるような真似はしない。
何故なら、既に三千万円のスクラッチくじは回収済だからである。
俺としては、あいつ等に天罰が下るならそれでいい。
「ご対応頂きありがとうございました。最後に相手は高校生ですが、被害届は絶対に取り下げる気はありません。強盗傷害は立派な犯罪です。警察官さん達があの犯罪者を刑務所送りにしてくれる事を切に願っています。その為に、協力できる事は何でもする気でいますので、その際には、ぜひ連絡して下さい!」
「え、ええ……ご協力、ありがとうございます」
何だか警察官が引いていたような気がしたが、きっと気のせいだろう。
俺は早速、複数のSNSに交番に被害届を提出したと配信する。
――これで良し。
警察官が言っていた通り、ネットニュースのトップ記事に今回の事件が上がっていたし、話題性も抜群。被害届を提出した事をSNSに流してしまえば、警察も捜査せず放置するなんて事はしない筈だ。
警察官の中には、被害者の悲痛の叫びである被害届を蔑ろにする輩もいるが、俺は警察官の良心を信じたい。
「さて、次は労働基準監督署だな……」
俺の敵はあの五人の高校生だけではない。
アメイジング・コーポレーション株式会社の石田管理本部長。
あいつも俺の敵だ。
交番を出たその足で、労働基準監督署に向かう。
労働基準監督署。そこは、まるで役所のような所だった。
アイテムストレージから、業務日報五年分・メールデータを収めたUSB、就業規則、辞める前からダウンロードしていた時間外労働・休日労働に関する協定届、実際に働いていた時間の証拠となるタイムカードと、残業代が支払われていない事を証明する給与明細、そして、推定の残業代を算出した計算表を取り出すと、総合労働相談窓口に向かう。
すると専門の相談員さんがすぐに対応してくれた。
「すいません。労務相談をしたいのですけど……」
「はい。個室での相談もできますが、いかが致しますか?」
どうやら個室での相談も受け付けてくれるらしい。
「いえ、ここで大丈夫です」
「そうですか、それではご相談内容を伺わせて頂いてよろしいでしょうか?」
「はい。実は……」
俺はそこで、アメイジング・コーポレーション株式会社がいかにブラックな会社なのかを力説した。
時間外労働の強要、解雇のやり口、懲戒解雇を理由とした退職金の支払い拒否、そして残業代の未払い。
「……酷い会社ですね」
「そうなんです。酷い会社なんですよ」
「しかし、これだけの証拠があり経緯が明確であれば何とかなるかもしれません」
相談して初めてわかった事だが、どうやら労働基準監督署では、違法行為があった場合の指導勧告や刑事的な処分として送検したりすることはできるものの、残業代や退職金の支払トラブルを解決する権限は持ち合わせていないらしい。
例えば、残業代が支払われていない場合、支払うように勧告してくれるが、裁判所の様に支払いを命じる判決を出すことはできないということになる。
初めて知った。労働基準監督署に頼っても、会社に残業代を確実に請求したいなら、弁護士を頼るしか方法がないのか……。
まあ労働基準監督署に内部告発できただけ良しとしよう。
未払残業代と退職金については、別途、弁護士事務所に相談すれば済む話だ。
こっちには、労働基準監督署お墨付きの証拠が一杯揃っているからな。
待ってろ石田管理本部長!
ついでに、西木社長!
毎日毎日、会議費交際費で美味しいものを食べに行きやがって!
羨まし……じゃなくて。仮にも上場企業だろ!
会社は株主のものだ。お前の食い物じゃないんだぞ!
思い出したら何だかイライラしてきた。
弁護士に相談した後、ついでに国税庁のホームページ欄にある『課税・徴収漏れに関する情報の提供』の状況提供フォームで、ここの社長が私用に会議費交際費を使い、毎日飲み食いしてますよと密告してやる。
経理部員舐めんなよ!
こっちは全部知ってるんだからな!
絶対正義の名の下に、これも告発しておこう。
「……それでは、よろしくお願いします」
そう言うと、俺は労働基準監督署を後にした。
今の時間は、午前十一時。
とはいえ、これから弁護士事務所に行くのも疲れるな。
弁護士事務所に行くのは取り敢えず明日以降にするか。
「さて、ネットカフェに戻るか……ん?」
一旦、ネットカフェに戻るかと、蹴伸びをしながら振り向くと、前方にみずほ銀行の店舗が見えた。
「おっ、そういえば忘れていたな」
アイテムストレージの中には、一億八千万円相当のスクラッチくじがある。
折角だ。すぐに換金しに行こう。
自動ドアを潜り、みずほ銀行に入ると、銀行員に呼び止められる。
「お客様、来店予約はお済みでしょうか?」
「えっ? 来店予約?」
なにそれ、どういう事?
頭の中に疑問符を浮かべていると、銀行員が話し始める。
「現在、当行では三密の回避の為、お客様には来店予約をして頂いております。大変、恐縮なのですが、インターネットで予約をしてからの来店をお願いできますでしょうか?」
「えっ? そうなんですか?」
某ウイルス感染症の影響がこんな所まで来ているとは……。
銀行は上司が対応していたから知らなかった。
まあ、そういう理由なら仕方がない。
出直すとしよう。
密はヤバいからね!
「わかりました」
そういって銀行を後にすると、「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」と言われる。
銀行を出た俺は、スマートフォンで銀行の来店予約をする事にした。
どうやら最短で一週間後。
それまで、一億八千万円はお預けという事になる。
少し残念な気持ちになりながら、ネットカフェに続く道を歩いていると、高校生五人がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。
あれは……。俺をボコボコにしたクソガキ五人組!?
ここで会ったが百年目!!
そんな事を考えながら、近くにある電柱にそっと隠れる。
これは違うぞ。決して逃げた訳じゃない。
本当だからね。俺が本気を出せばワンパンだから、ワンパンチで一発KOだから。
まあ、冗談はさておき。
俺が隠れたのには、ちゃんと理由がある。
そう。俺にだけ何故か見えている。エレメンタルの存在だ。
あいつらが突然襲い掛かってきた時、このエレメンタル達がどう反応するのかわからない。
っていうか、こっちに戻って来る際、『モブ・フェンリルシリーズ』装備は外れているのに、なんでエレメンタルは装備されたままになっているんだよ!?
まあ、その事は置いておこう。
万が一、あいつらが襲い掛かってきたとして、エレメンタルがあいつらの股間を焼けば、多分、あいつらはショック死する。
漫画の中では笑い話で済む話も現実に置き換えると、途端に厄介な話に早変わりするのだ。
エレメンタルが暴発しないからヒヤヒヤしながら、電柱に隠れ高校生五人をやり過ごすと、そのままネットカフェに向かった。
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「最強呪符使い転生―故郷を追い出され、奴隷として売られました。国が大変な事になったからお前を買い戻したい?すいませんが他を当たって下さい―」を公開しました。皆様、是非、ブックマークよろしくお願い致します!!!!ブックマークして頂けると、更新頻度が上がるという恩恵が……あ、なんでもないです……。
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