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1.不思議なリング
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その店は、商店街の一角に不思議な雰囲気を醸し佇んでいた。
家から徒歩十五分ほどの商店街。ここにはよく来るけれど、初めて見るお店だと思った。
いつからあったのだろう。気が付かなかっただけで、かなり前からあったのだろうか。
光沢のある赤い屋根。クリーム色がかった壁は斑なく綺麗に塗られている。品のある外装は、新築にも見えるし、リフォームしたようにも見える。
「じゃ、入るよ」
翔が白い木の扉を押し開く。亜樹も後に続いた。
――カラン、コロン……
「いらっしゃいませ」
軽やかに鳴るドアベルとともに、若い女性店員が出迎えてくれる。
「これを見て、来たんですが……」
翔が、手にしていたチラシを差し出す。大きく書かれた「マリッジリング特集!」の文字に、亜樹は恥ずかしくなって、思わず翔の後ろへと半歩下がっていた。
「ご結婚指輪をお探しなんですね 」
「はい、そうです」
いつもは控えめな翔が意外にも堂々と受け応えしている。そんな彼が頼もしく見えて、亜樹は嬉しさでいっぱいになる。
「それでは、サイズを測りましょう」
いくつもの重なりあった輪の束を渡される。大きさが少しずつ異なっているそれらをひとつずつ指に嵌めてみることで、自分の指のサイズを確認できるらしい。
「デザインもいろいろあるんですよ。じっくりご覧くださいね」
どれもこれも、全てがキラキラ輝いている。まるで世界中の宝石をかき集めてきたみたいだ。
亜樹の心は、この上ない幸せな気持ちで満ち溢れていた。
「どれも魅力的で迷うでしょう」
ふいにカウンターの奥から店主と思しき初老の男性が姿を現した。
「こちらなどは、如何ですか。特別な機能が付いているんですがね」
初めて会った筈なのに どこか親しみを感じる優しい眼差しで、店主が語りかけてくる。
「人生の やり直しが出来るのですよ」
家から徒歩十五分ほどの商店街。ここにはよく来るけれど、初めて見るお店だと思った。
いつからあったのだろう。気が付かなかっただけで、かなり前からあったのだろうか。
光沢のある赤い屋根。クリーム色がかった壁は斑なく綺麗に塗られている。品のある外装は、新築にも見えるし、リフォームしたようにも見える。
「じゃ、入るよ」
翔が白い木の扉を押し開く。亜樹も後に続いた。
――カラン、コロン……
「いらっしゃいませ」
軽やかに鳴るドアベルとともに、若い女性店員が出迎えてくれる。
「これを見て、来たんですが……」
翔が、手にしていたチラシを差し出す。大きく書かれた「マリッジリング特集!」の文字に、亜樹は恥ずかしくなって、思わず翔の後ろへと半歩下がっていた。
「ご結婚指輪をお探しなんですね 」
「はい、そうです」
いつもは控えめな翔が意外にも堂々と受け応えしている。そんな彼が頼もしく見えて、亜樹は嬉しさでいっぱいになる。
「それでは、サイズを測りましょう」
いくつもの重なりあった輪の束を渡される。大きさが少しずつ異なっているそれらをひとつずつ指に嵌めてみることで、自分の指のサイズを確認できるらしい。
「デザインもいろいろあるんですよ。じっくりご覧くださいね」
どれもこれも、全てがキラキラ輝いている。まるで世界中の宝石をかき集めてきたみたいだ。
亜樹の心は、この上ない幸せな気持ちで満ち溢れていた。
「どれも魅力的で迷うでしょう」
ふいにカウンターの奥から店主と思しき初老の男性が姿を現した。
「こちらなどは、如何ですか。特別な機能が付いているんですがね」
初めて会った筈なのに どこか親しみを感じる優しい眼差しで、店主が語りかけてくる。
「人生の やり直しが出来るのですよ」
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