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不思議なリング
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「ご結婚指輪をお探しですか? 」
店員がにこやかに話しかけてくる。
亜樹は恥ずかしくなって、おもわず翔の後ろへと半歩下がっていた。
「はい、そうです」
いつもは控えめな翔が意外にも堂々と受け応えしている。
亜樹は、とても嬉しい気持ちだった。
「サイズを測りましょう」
いくつもの輪が重なりあっている中から、ひとつずつ指に嵌めてみる。
「デザインもいろいろあるんですよ。じっくりご覧くださいね」
どれもこれも、全てがキラキラ輝いている。まるで世界中の宝石をかき集めてきたみたいだ。
亜樹の心は、この上ない幸せな気持ちで満ち溢れている。
「これは、特別な機能が付いていましてね」
店員の目の奥がキラリと光る。
「人生のやり直しが出来るのですよ」
亜樹は翔と顔を見合わせた。
「マリッジリングだというのに、冗談にしても縁起が良くないんじゃないですか。僕は一生、亜樹以外の女性なんて考えられない」
ムッとした翔だが、店員は営業スマイルを崩さない。
「やり直しと言っても、あなたがたが結ばれるより以前に戻れるわけではないのです。例えば、この先、いろいろあって別れようかという話にでもなった時……ああ、今はラブラブで、そんなこと想像も出来ないでしょうけど、どんな夫婦にもよくある話なので……そんな時、初心に戻って二人でやり直すことが出来る、心強い味方というわけでして」
「はあ……」
俄かには信じ難い話。相槌をうつのがやっとな二人に、店員は尚も続ける。
「ただし、ひとつの指輪につき一回きりしか使えないですけどね。まあ、ペアなので実質二回もチャンスがあるわけです。とっても魅力的でしょう? 」
その話が本当かどうかは兎も角、指輪の素敵なデザインに惹かれたのは確かだった。
翔は亜樹とのマリッジリングに、不思議な力が宿るというそれを選んでくれた。
店員がにこやかに話しかけてくる。
亜樹は恥ずかしくなって、おもわず翔の後ろへと半歩下がっていた。
「はい、そうです」
いつもは控えめな翔が意外にも堂々と受け応えしている。
亜樹は、とても嬉しい気持ちだった。
「サイズを測りましょう」
いくつもの輪が重なりあっている中から、ひとつずつ指に嵌めてみる。
「デザインもいろいろあるんですよ。じっくりご覧くださいね」
どれもこれも、全てがキラキラ輝いている。まるで世界中の宝石をかき集めてきたみたいだ。
亜樹の心は、この上ない幸せな気持ちで満ち溢れている。
「これは、特別な機能が付いていましてね」
店員の目の奥がキラリと光る。
「人生のやり直しが出来るのですよ」
亜樹は翔と顔を見合わせた。
「マリッジリングだというのに、冗談にしても縁起が良くないんじゃないですか。僕は一生、亜樹以外の女性なんて考えられない」
ムッとした翔だが、店員は営業スマイルを崩さない。
「やり直しと言っても、あなたがたが結ばれるより以前に戻れるわけではないのです。例えば、この先、いろいろあって別れようかという話にでもなった時……ああ、今はラブラブで、そんなこと想像も出来ないでしょうけど、どんな夫婦にもよくある話なので……そんな時、初心に戻って二人でやり直すことが出来る、心強い味方というわけでして」
「はあ……」
俄かには信じ難い話。相槌をうつのがやっとな二人に、店員は尚も続ける。
「ただし、ひとつの指輪につき一回きりしか使えないですけどね。まあ、ペアなので実質二回もチャンスがあるわけです。とっても魅力的でしょう? 」
その話が本当かどうかは兎も角、指輪の素敵なデザインに惹かれたのは確かだった。
翔は亜樹とのマリッジリングに、不思議な力が宿るというそれを選んでくれた。
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