王さまとなぞの手紙

村崎けい子

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 王さまは、少しの間、何か考えているふうでしたが、
「なるほど。」
 と、つぶやき、次の しゅん間、なんと、手紙を やぶりすててしまったのです。

「だ、大じょうぶですか。」
「同じのを書かないと、国が ほろびてしまうのですよね?! 」

 口々に  不安ふあんの声をもらす大臣たちに、王さまは しずかに語りかけました。


「わたしは、どうかしていたのだ。だれからかも分からない、なぞの手紙は しんじたのに、いつも そばで はたらいてくれる おまえたちのことは うたがってしまうなんて。人を ためそうなどという、えらそうな気もちで、 真実しんじつを見ぬくことなど、出来るはずがなかったのだ。」
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