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深淵の森での一週間生活 大海原のダンジョン編 ②
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『すっげー順調じゃね?』
『魔物が襲ってこない……!?』
僕の目の前で鼻歌を歌うくらいご機嫌な力也さんと、ちょっと物足りなさそうな楓さんの様子に、当然のように返答するアクア様。
『我がいるからな。この湖の奴らは向かってはこない。つまらんだろうが、洞窟までの辛抱だ』
アクア様はつまらないというけど、僕は魔物も出ないし、珍しい湖の中を探索出来るしで、楽しくてたまらない。それに……
『ジュド!海藻みたいなものがあるよ!これ食べれる?』
『ふむ……ヒーリング草ですか。コレは採取しておきましょう』
『え?じゃコレは?』
『魔草ですね。魔力ポーションの最高品質の原料です』
『……やっぱり昆布の代わりはないのかぁ……』
ジュドと共に採取に寄り道している僕らの様子を見て、雅也さんが呆れて空我さんと話していたらしい。
『ヒーリング草も魔草も滅多に手に入らない物なのに、淘汰は昆布の方がいいのか……』
『淘汰らしいといえば、淘汰らしいんじゃね。てか、俺らも採って行かねえ?』
『おそらく、ジュドが亜空間ワールドで更に効能がある薬草にするだろうからな。俺らは今、淘汰達が離れすぎないように見守っているだけでいいさ』
そう、僕らは空我さんと雅也さんのおかげで迷わなくて済んでいるんだ。もっともこの湖の中では、どこにいてもアクア様が感知出来るからっていう安心感もあるけどね。
それにしても、この湖の中って賑やかなんだよ。様々な植物は生えているし、自然な姿の魔魚や魔貝、魔生物(デカいナマズの魔物?)とか魔エビが沢山泳いでいて面白いんだ。
因みに、僕だって鑑定使えば全部の魔生物の名前ぐらいわかるけど、面倒だから全部魔生物くくりにしている。あ!ジュド、ナマズ取り込んだ。あれ食べれたのかな?
ついつい寄り道しがちな僕らを、痺れを切らした雅也さんと空我さんが迎えに来て先頭の3人と合流し、更にしばらく奥へと進むと……見えてきた目的地の洞窟!
『うわぁ!光ってる……!』
本来光のない筈の湖底で光を発する洞窟は、アクア様と同調しているおかげで柔らかい陽の光のように見えたんだ。
そこに慣れたように入って行くアクア様の後について、全員が洞窟の中に入ると……
ザ……ザザン……ザザ……ザザン……と浜辺に波が押し寄せている光景が広がっている。
いつのまにか【同調】魔法は消えていて、僕らは普通に息をしている事に気がついたんだ。
「へえー!本当に空気がある!」
「あ、でも入り口の向こう側は湖だってわかるな!」
「久しぶりの海……!」
「俺達みんな前世ぶりだからなぁ」
やっぱり空気があると息がしやすいのか、思いっきり空気を吸い込む力也さんに、気になったのか後ろを確認する空我さん。
楓さん、雅也さんは海からの風を気持ちよさそうに浴びているし、僕も久しぶりの海という事で、思わず波打ち際まで呑気に歩いて来たんだ。
「淘汰!来るぞ!」
波に気を取られていた僕に瞬時に雅也さんが叫んで教えてくれたおかげで、目の前に迫った鋭い歯からなんとか身をかわす事ができたんだ。それをきっかけに次々と迫って来る魚の魔物を、シュンっとぼくの前に来たジュドが一気に雷撃で撃ち落としてくれた。
……あ、危なかった……!!
「マスター、気を抜いたらダメですよ?ここはもうダンジョンです」
グイグイジュドに押されてみんなの元に戻った僕は、メンバー全員に「無謀」「浮かれ過ぎ」「緊張感もてよー」「気をつけて」とバシバシ背中を叩かれて注意をもらった。
「淘汰、ここはもうダンジョンなのだぞ?我の威圧にも臆せずかかってくる魔物の巣窟だ。油断はいかん」
アクア様にも注意されて反省する僕。
うん、みんないるから油断してたよ。しっかりしないと!
気合いを入れ直す僕の横では、ジュドとアクア様を交えて雅也さんと空我さんが予定を立てていた。僕は周囲を警戒する力也さんと楓さんに合流しながら聞き耳を立てる。
「アクア様、水上と水中とどちらで動きますか?僕が調べたところによると、水上にも島々があり、そこを通過してもダンジョンボスに辿りつけるようですが……?」
「ふむ、雅也も調べておるな。おそらく初回は島々経由がいいだろう。何よりプリマスランドレッド(鶏の魔物)の生け取りが今回の目的であるからな」
アクア様の中で今回の目的が決まっちゃっていたのが決め手で、今回は海上の島々探索という事になったんだけど、島までの移動手段をどうするのかという話題になった時、ジュドが声を上げたんだ。
「のんびり行くのであれば、『回船』を出しましょうか?」
「ほう、船とはまた面白い。ゆったり揺られて行くのもまた良いの」
因みに、ジュドとアクア様が乗り気になった『回船』について説明するとね。
ジュドによれば、江戸時代に荷物を積んで海を走る船を『回船』といったらしく、全国にはさまざまな航路があり、特定の荷物を専門的に運ぶ回船もあったんだって。
船のイメージは千石船。これは、米を1千石積むことができる大きさという意味なんだって。
で、ここで直に出してしまうと、さっき僕が襲われた魔魚(バイクカラシン/ワニの様な口と鋭い牙を持つ肉食魔魚。群れで獲物を襲いかかる為、危険ランクはB。弱点は雷。味は淡白)に船を壊されるって事で、また亜空間ワールドのアクア様の湖に戻る事になったんだけど……
「へええ!帆船かあ!」
「え?これで11人用なん?大きくね?」
「トイレは?」
「ふむ……我が乗ってもまあまあだの」
亜空間ワールドに戻ると、湖に浮いていた木造の帆船。ジュド曰く異世界仕様になっているみたい。
早速、乗り込む力也さんと空我さん。続いて乗り込んだ女子の意見が優先の楓さんと、既に船室を覗きこむアクア様。
一方で、僕と雅也さんは姿を見た時から興奮中!
「雅也さん!あれって北○船ですよね!」
「淘汰君もわかるかい!?あの文化を運んだと言われる商業船を!関西に北海道から昆布文化を運んできてくれた船さ!」
「ん?雅也さん、前世関西出身ですか?」
「まあね。俺、船の模型作りも好きだったもんでね。一時期ハマってたんだよ。それにしても淘汰君もなんで知っているんだい?」
「あ、実家が青森なんですよ」
「成る程ねぇ」
なんてマニアックな会話をする中、ジュドも乗船した事から僕らも乗ってみる事に。乗船した途端、雅也さんはテンションMAX。細部まで覗きこんで感動してたっけ。
僕は僕で、ジュドとアクア様から頼まれて、結界を船全体に施したんだ。ついでに魔魚対策に、痺れるくらいの雷魔法も付与しといたよ。
で、楓さんのトイレ問題はというと……
「楓、トイレは亜空間ワールドの入り口を船内に開けておきますから」
「ジュドぉ……!」
楓さん感動してジュドに抱きついているけど、実際のところ僕らも助かる。綺麗好きの元日本人だからね。
更に船内に空間拡張をかけて、ファブリックを揃え、船内を快適に整えた僕らは、そのままアクア様の湖から亜空間ワールド経由で、湖底のダンジョンの大海原に乗り出したんだーーー
ーーーそして、航海中はどこまでも続く様な青い空に青い海。
ドンッドドンッドカッドンッドン……と音を立てて、次々と船の結界にぶつかっては弾かれる魔魚達。
船の走った後をプカプカ浮かぶ魔魚を狙って、更なる魔魚が押し寄せ、大物が現れたりと海は結構忙しない。
一方で甲板では……
「お?淘汰。アレは美味いぞ?」
「アクア様どれですか……?って、ぎゃああああああ!」
僕が船の後部を見ると、大型船のように黒くてデカい魔魚が船に迫っていたんだ。そんな僕の叫び声に、バタバタと甲板を移動してきた空我さん達。
「何々?わお!キングブルーフィンテュナじゃん!」
空我さんがピュウッと口笛を吹くと、それを聞いた楓さんと力也さんがすかさず動く。
「力也兄!喉の奥!」
「任せろ!【風切竜巻(ジャッジメントストーム)!】
バッと船の後部甲板に移動してきた楓さんが、口を閉じさせないように大型無重力気泡を放ち、力也さんが続けて剣から竜巻を発生させて大型魔魚の口へと発動させたんだ!
大型魔魚の弱点の核は喉の奥にあったらしいけど……
「ギャオオオオオ……!!」
力也さんの魔法の威力が強すぎたのか、大型魔魚の喉元から頭部が貫通して大きな穴が開いちゃったんだ。
「ああああ!!力也兄の馬鹿!身が削げた!」
「んな事言っても加減できっかよ」
一撃で倒したにも関わらず、兄妹喧嘩勃発。どうやら楓さんは、大型魔魚の脳天が食べたかったらしい……
海に倒れる前にちゃっかり亜空間ワールドに取り込んだジュドによると、マグロのように身のしまった赤身の魔魚らしい。
え?アレってでっかいマグロの魔物だったの?
「ふむ、脳天も残ってますね。中トロ、大トロ、カマトロに赤身に当たる部位は無事ですよ?おや、テール部分もいい感じで残ってます」
ジュドが亜空間ワールドにマグロの部位全部乗っけ丼を用意したと話すと、ピタッと喧嘩が終わり船内へと駆け込む二人。
空我さんとアクア様まで食べに行くという、大食漢メンバーに僕と雅也さんは苦笑い。
そんな、相変わらずのんびりとした船内から、うっすらと最初の島が見えた時は、思わずみんなを呼びに行ったけどマグロ丼に負けた……!
仕方ないからジュドと雅也さんと二人と一匹で、最初の島を迎える事になったんだ。
流石に到着すると、みんな出てきてくれるよね……?
『魔物が襲ってこない……!?』
僕の目の前で鼻歌を歌うくらいご機嫌な力也さんと、ちょっと物足りなさそうな楓さんの様子に、当然のように返答するアクア様。
『我がいるからな。この湖の奴らは向かってはこない。つまらんだろうが、洞窟までの辛抱だ』
アクア様はつまらないというけど、僕は魔物も出ないし、珍しい湖の中を探索出来るしで、楽しくてたまらない。それに……
『ジュド!海藻みたいなものがあるよ!これ食べれる?』
『ふむ……ヒーリング草ですか。コレは採取しておきましょう』
『え?じゃコレは?』
『魔草ですね。魔力ポーションの最高品質の原料です』
『……やっぱり昆布の代わりはないのかぁ……』
ジュドと共に採取に寄り道している僕らの様子を見て、雅也さんが呆れて空我さんと話していたらしい。
『ヒーリング草も魔草も滅多に手に入らない物なのに、淘汰は昆布の方がいいのか……』
『淘汰らしいといえば、淘汰らしいんじゃね。てか、俺らも採って行かねえ?』
『おそらく、ジュドが亜空間ワールドで更に効能がある薬草にするだろうからな。俺らは今、淘汰達が離れすぎないように見守っているだけでいいさ』
そう、僕らは空我さんと雅也さんのおかげで迷わなくて済んでいるんだ。もっともこの湖の中では、どこにいてもアクア様が感知出来るからっていう安心感もあるけどね。
それにしても、この湖の中って賑やかなんだよ。様々な植物は生えているし、自然な姿の魔魚や魔貝、魔生物(デカいナマズの魔物?)とか魔エビが沢山泳いでいて面白いんだ。
因みに、僕だって鑑定使えば全部の魔生物の名前ぐらいわかるけど、面倒だから全部魔生物くくりにしている。あ!ジュド、ナマズ取り込んだ。あれ食べれたのかな?
ついつい寄り道しがちな僕らを、痺れを切らした雅也さんと空我さんが迎えに来て先頭の3人と合流し、更にしばらく奥へと進むと……見えてきた目的地の洞窟!
『うわぁ!光ってる……!』
本来光のない筈の湖底で光を発する洞窟は、アクア様と同調しているおかげで柔らかい陽の光のように見えたんだ。
そこに慣れたように入って行くアクア様の後について、全員が洞窟の中に入ると……
ザ……ザザン……ザザ……ザザン……と浜辺に波が押し寄せている光景が広がっている。
いつのまにか【同調】魔法は消えていて、僕らは普通に息をしている事に気がついたんだ。
「へえー!本当に空気がある!」
「あ、でも入り口の向こう側は湖だってわかるな!」
「久しぶりの海……!」
「俺達みんな前世ぶりだからなぁ」
やっぱり空気があると息がしやすいのか、思いっきり空気を吸い込む力也さんに、気になったのか後ろを確認する空我さん。
楓さん、雅也さんは海からの風を気持ちよさそうに浴びているし、僕も久しぶりの海という事で、思わず波打ち際まで呑気に歩いて来たんだ。
「淘汰!来るぞ!」
波に気を取られていた僕に瞬時に雅也さんが叫んで教えてくれたおかげで、目の前に迫った鋭い歯からなんとか身をかわす事ができたんだ。それをきっかけに次々と迫って来る魚の魔物を、シュンっとぼくの前に来たジュドが一気に雷撃で撃ち落としてくれた。
……あ、危なかった……!!
「マスター、気を抜いたらダメですよ?ここはもうダンジョンです」
グイグイジュドに押されてみんなの元に戻った僕は、メンバー全員に「無謀」「浮かれ過ぎ」「緊張感もてよー」「気をつけて」とバシバシ背中を叩かれて注意をもらった。
「淘汰、ここはもうダンジョンなのだぞ?我の威圧にも臆せずかかってくる魔物の巣窟だ。油断はいかん」
アクア様にも注意されて反省する僕。
うん、みんないるから油断してたよ。しっかりしないと!
気合いを入れ直す僕の横では、ジュドとアクア様を交えて雅也さんと空我さんが予定を立てていた。僕は周囲を警戒する力也さんと楓さんに合流しながら聞き耳を立てる。
「アクア様、水上と水中とどちらで動きますか?僕が調べたところによると、水上にも島々があり、そこを通過してもダンジョンボスに辿りつけるようですが……?」
「ふむ、雅也も調べておるな。おそらく初回は島々経由がいいだろう。何よりプリマスランドレッド(鶏の魔物)の生け取りが今回の目的であるからな」
アクア様の中で今回の目的が決まっちゃっていたのが決め手で、今回は海上の島々探索という事になったんだけど、島までの移動手段をどうするのかという話題になった時、ジュドが声を上げたんだ。
「のんびり行くのであれば、『回船』を出しましょうか?」
「ほう、船とはまた面白い。ゆったり揺られて行くのもまた良いの」
因みに、ジュドとアクア様が乗り気になった『回船』について説明するとね。
ジュドによれば、江戸時代に荷物を積んで海を走る船を『回船』といったらしく、全国にはさまざまな航路があり、特定の荷物を専門的に運ぶ回船もあったんだって。
船のイメージは千石船。これは、米を1千石積むことができる大きさという意味なんだって。
で、ここで直に出してしまうと、さっき僕が襲われた魔魚(バイクカラシン/ワニの様な口と鋭い牙を持つ肉食魔魚。群れで獲物を襲いかかる為、危険ランクはB。弱点は雷。味は淡白)に船を壊されるって事で、また亜空間ワールドのアクア様の湖に戻る事になったんだけど……
「へええ!帆船かあ!」
「え?これで11人用なん?大きくね?」
「トイレは?」
「ふむ……我が乗ってもまあまあだの」
亜空間ワールドに戻ると、湖に浮いていた木造の帆船。ジュド曰く異世界仕様になっているみたい。
早速、乗り込む力也さんと空我さん。続いて乗り込んだ女子の意見が優先の楓さんと、既に船室を覗きこむアクア様。
一方で、僕と雅也さんは姿を見た時から興奮中!
「雅也さん!あれって北○船ですよね!」
「淘汰君もわかるかい!?あの文化を運んだと言われる商業船を!関西に北海道から昆布文化を運んできてくれた船さ!」
「ん?雅也さん、前世関西出身ですか?」
「まあね。俺、船の模型作りも好きだったもんでね。一時期ハマってたんだよ。それにしても淘汰君もなんで知っているんだい?」
「あ、実家が青森なんですよ」
「成る程ねぇ」
なんてマニアックな会話をする中、ジュドも乗船した事から僕らも乗ってみる事に。乗船した途端、雅也さんはテンションMAX。細部まで覗きこんで感動してたっけ。
僕は僕で、ジュドとアクア様から頼まれて、結界を船全体に施したんだ。ついでに魔魚対策に、痺れるくらいの雷魔法も付与しといたよ。
で、楓さんのトイレ問題はというと……
「楓、トイレは亜空間ワールドの入り口を船内に開けておきますから」
「ジュドぉ……!」
楓さん感動してジュドに抱きついているけど、実際のところ僕らも助かる。綺麗好きの元日本人だからね。
更に船内に空間拡張をかけて、ファブリックを揃え、船内を快適に整えた僕らは、そのままアクア様の湖から亜空間ワールド経由で、湖底のダンジョンの大海原に乗り出したんだーーー
ーーーそして、航海中はどこまでも続く様な青い空に青い海。
ドンッドドンッドカッドンッドン……と音を立てて、次々と船の結界にぶつかっては弾かれる魔魚達。
船の走った後をプカプカ浮かぶ魔魚を狙って、更なる魔魚が押し寄せ、大物が現れたりと海は結構忙しない。
一方で甲板では……
「お?淘汰。アレは美味いぞ?」
「アクア様どれですか……?って、ぎゃああああああ!」
僕が船の後部を見ると、大型船のように黒くてデカい魔魚が船に迫っていたんだ。そんな僕の叫び声に、バタバタと甲板を移動してきた空我さん達。
「何々?わお!キングブルーフィンテュナじゃん!」
空我さんがピュウッと口笛を吹くと、それを聞いた楓さんと力也さんがすかさず動く。
「力也兄!喉の奥!」
「任せろ!【風切竜巻(ジャッジメントストーム)!】
バッと船の後部甲板に移動してきた楓さんが、口を閉じさせないように大型無重力気泡を放ち、力也さんが続けて剣から竜巻を発生させて大型魔魚の口へと発動させたんだ!
大型魔魚の弱点の核は喉の奥にあったらしいけど……
「ギャオオオオオ……!!」
力也さんの魔法の威力が強すぎたのか、大型魔魚の喉元から頭部が貫通して大きな穴が開いちゃったんだ。
「ああああ!!力也兄の馬鹿!身が削げた!」
「んな事言っても加減できっかよ」
一撃で倒したにも関わらず、兄妹喧嘩勃発。どうやら楓さんは、大型魔魚の脳天が食べたかったらしい……
海に倒れる前にちゃっかり亜空間ワールドに取り込んだジュドによると、マグロのように身のしまった赤身の魔魚らしい。
え?アレってでっかいマグロの魔物だったの?
「ふむ、脳天も残ってますね。中トロ、大トロ、カマトロに赤身に当たる部位は無事ですよ?おや、テール部分もいい感じで残ってます」
ジュドが亜空間ワールドにマグロの部位全部乗っけ丼を用意したと話すと、ピタッと喧嘩が終わり船内へと駆け込む二人。
空我さんとアクア様まで食べに行くという、大食漢メンバーに僕と雅也さんは苦笑い。
そんな、相変わらずのんびりとした船内から、うっすらと最初の島が見えた時は、思わずみんなを呼びに行ったけどマグロ丼に負けた……!
仕方ないからジュドと雅也さんと二人と一匹で、最初の島を迎える事になったんだ。
流石に到着すると、みんな出てきてくれるよね……?
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