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記憶に残ること
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裕福ではないけどそこそこの収入を得ながら楽しい人生を送っていた。
子供にも恵めれて、孫たちに囲まれて死ぬという悪くない人生だった。
*
「以上で終わりです」
「?!」
「お忘れになりました?」
「…ああ、いや、覚えているよ」
今まで見ていた幸せな人生が彼女に頼んで見せてもらったものだということを。
「異世界へ行く為にひとつ願いを叶えるとは言いましたが、まさか彼女と話したら有りえた未来を体験させて欲しいとは…」
「今見たのは貴女が作ったものなのか?」
「いえ、有り得た未来を見せただけで私は何も操作していませんよ」
「そうか…」
あの日、俺が少しでも気にしていればあんな未来が待っていたのか。
「後悔してるのですか?」
「当然だよ」
地元の駅で定期を買う時に今日の日付を尋ねただけの女学生。
その彼女にとっては普通に会話することが出来た大切な思い出だとかわかるわけがないよ。
定期代を払ってる後ろで彼女が何か言ってたのはわかってたけどそれが俺ともう一度話したいからだなんて夢にも思わず、駅から出た。
それからも改札口付近で毎日待ってたなんて知らなかったよ。
あの日だってたまたま前日に定期券が切れたから夕方に地元で買っただけで何時もは会社近くの駅で買っていたんだし。
「俺が話しかけてれば彼女は自殺しなかったのか」
「そちらの方が気になりますか」
「当然だ。あの時の彼女はどんな状況だったんだ」
「学校に心許せる人は誰も居なく、学校であったことを話せる家族は居なかったようですね」
「そうか」
「そんな時に普通に話しかけてきて、自分でも緊張することなく普通に答えることが出来た大人の男性に何かを見たのでしょうね」
「彼女は俺と再び会ったとして何をしたかったんだ?」
「わかりません」
「そうか」
死後に異世界へ行くこととなった彼女の望みが「俺ともう一度話したかった」ということらしく、その望みを叶える為にこの天使? だか女神は今俺の前にいる。
俺自身何故か覚えていた一度話しただけの女学生。二十年くらい前のことなのにな。
あの時、何かを言ってる彼女に振り返って少し話をしていただけでそれなりの人生を送れていたと今更知った、本当に今更だ。
女学生に興味を持たれていたなんて、そんなの思いもしないよ。
「貴方には彼女に会ってもらうため、新しい世界へ行ってもらいます」
「彼女の願いを叶える為にですね」
「ええ」
「その世界へ行ったとして、その彼女は俺だとわかるものなのですか?」
「さあ?」
「…どうしろと」
「そこまでは」
「こういうのってお膳立てしてくれるものなんじゃ…」
「想いが2人を合わせてくれます!」
「…何言ってんだ」
もしかして結構ダメな人?なんじゃないのか?
「はぁ…じゃあ、自力で探しますので何かそれっぽい能力とか貰えたりしません?」
「願いを2つも叶えるのは無理ですよ」
「? 一つ目ですよね?」
「先程、話しかけていた時に歩んだ人生を見せましたでしょう?」
「あれも願い扱いだったの?!」
そして転生した俺。
ステータスとか言っても何にも表示されないよ…。
俺の読んだ異世界と違うよ…。
目が開くようになってから、家族の顔を見られるようになった。
そして、姉らしき人物が彼女に似てるんだけど?
実際には定期買う時だけだったけど、有り得たかもしれない人生では六十年くらい連れ添った相手だ見忘れるわけがない。
あの可能性の人生はダイジェスト形式じゃなかったから、むしろあの幸せな人生こそが本当の前世なんじゃないかと思ってしまうくらい心地良いものだった。
実際の俺は、会社の帰りに寄ったコンビニで車に潰されて死んだんだよな。
アクセルとブレーキを間違えた老人が突っ込んで来たとかならともかく、アクセルを踏み続けてコンビニの壁に挟まれ続けるなんてのは俺を確実に殺す気だったとしか思えない死に方だった。
助けてくれようとした人が運転席をバンバン叩いてたのが最後の記憶だな。
そんなの死に方するような悪いことはしてないはずだけどな、当たり障りのない人生だったとも言えるが。
「ずっと貴方と話してみたかった」
「?!」
いきなり願いがなってません?
女神?天使?さん?
「この世界では私の方が年上ですが、よろしくお願いしますね隆彦さん」
「?」
なんで名前を知っている?
「私も貴方と一緒に可能性の未来を体験させてもらいましたので。私も必要だと女神様に呼ばれて。やっぱり私たちは魂で繋がっているのですねぇ」
そうなのか…、いやいや、それは、どうなの?
いや、と言うか、この状況がどうなの?
来世で結ばれる為に心中した2人が出会ったとか言う綺麗な話じゃないよねこれ。
ストーカー? いや、後から来たのは俺だから俺がストーカー? いや違うか、違わない? どう? よくわからん。
それから彼女によるこの世界で頂点を目指す特訓が始まった。
言語理解的なスキルとか無いのでこちらの言葉の勉強、魔力の増やし方と魔力操作のやり方など。
幼い頃からやればそれだけ能力が開発されるとのことなので超頑張っている。
私を守ってくださいねって、普通に強いでしょ姉!
チート能力とかは貰ってないが、姉で将来の妻予定者な前世で1度会話しただけの彼女のスパルタ教育により、俺は波乱万丈な人生を送りそうだ。
まぁ、退屈しなそうだからそれでも良いかな。
「次はこの岩を拳で砕いて下さいね、隆彦さん」
「いや、無理だし。あと、何時迄も前世の名前で呼ばないでよ姉さん…」
チート能力とかは貰えなかったけど、姉がスパルタチートお姉さんだったので世界最強にはなれそうです?
子供にも恵めれて、孫たちに囲まれて死ぬという悪くない人生だった。
*
「以上で終わりです」
「?!」
「お忘れになりました?」
「…ああ、いや、覚えているよ」
今まで見ていた幸せな人生が彼女に頼んで見せてもらったものだということを。
「異世界へ行く為にひとつ願いを叶えるとは言いましたが、まさか彼女と話したら有りえた未来を体験させて欲しいとは…」
「今見たのは貴女が作ったものなのか?」
「いえ、有り得た未来を見せただけで私は何も操作していませんよ」
「そうか…」
あの日、俺が少しでも気にしていればあんな未来が待っていたのか。
「後悔してるのですか?」
「当然だよ」
地元の駅で定期を買う時に今日の日付を尋ねただけの女学生。
その彼女にとっては普通に会話することが出来た大切な思い出だとかわかるわけがないよ。
定期代を払ってる後ろで彼女が何か言ってたのはわかってたけどそれが俺ともう一度話したいからだなんて夢にも思わず、駅から出た。
それからも改札口付近で毎日待ってたなんて知らなかったよ。
あの日だってたまたま前日に定期券が切れたから夕方に地元で買っただけで何時もは会社近くの駅で買っていたんだし。
「俺が話しかけてれば彼女は自殺しなかったのか」
「そちらの方が気になりますか」
「当然だ。あの時の彼女はどんな状況だったんだ」
「学校に心許せる人は誰も居なく、学校であったことを話せる家族は居なかったようですね」
「そうか」
「そんな時に普通に話しかけてきて、自分でも緊張することなく普通に答えることが出来た大人の男性に何かを見たのでしょうね」
「彼女は俺と再び会ったとして何をしたかったんだ?」
「わかりません」
「そうか」
死後に異世界へ行くこととなった彼女の望みが「俺ともう一度話したかった」ということらしく、その望みを叶える為にこの天使? だか女神は今俺の前にいる。
俺自身何故か覚えていた一度話しただけの女学生。二十年くらい前のことなのにな。
あの時、何かを言ってる彼女に振り返って少し話をしていただけでそれなりの人生を送れていたと今更知った、本当に今更だ。
女学生に興味を持たれていたなんて、そんなの思いもしないよ。
「貴方には彼女に会ってもらうため、新しい世界へ行ってもらいます」
「彼女の願いを叶える為にですね」
「ええ」
「その世界へ行ったとして、その彼女は俺だとわかるものなのですか?」
「さあ?」
「…どうしろと」
「そこまでは」
「こういうのってお膳立てしてくれるものなんじゃ…」
「想いが2人を合わせてくれます!」
「…何言ってんだ」
もしかして結構ダメな人?なんじゃないのか?
「はぁ…じゃあ、自力で探しますので何かそれっぽい能力とか貰えたりしません?」
「願いを2つも叶えるのは無理ですよ」
「? 一つ目ですよね?」
「先程、話しかけていた時に歩んだ人生を見せましたでしょう?」
「あれも願い扱いだったの?!」
そして転生した俺。
ステータスとか言っても何にも表示されないよ…。
俺の読んだ異世界と違うよ…。
目が開くようになってから、家族の顔を見られるようになった。
そして、姉らしき人物が彼女に似てるんだけど?
実際には定期買う時だけだったけど、有り得たかもしれない人生では六十年くらい連れ添った相手だ見忘れるわけがない。
あの可能性の人生はダイジェスト形式じゃなかったから、むしろあの幸せな人生こそが本当の前世なんじゃないかと思ってしまうくらい心地良いものだった。
実際の俺は、会社の帰りに寄ったコンビニで車に潰されて死んだんだよな。
アクセルとブレーキを間違えた老人が突っ込んで来たとかならともかく、アクセルを踏み続けてコンビニの壁に挟まれ続けるなんてのは俺を確実に殺す気だったとしか思えない死に方だった。
助けてくれようとした人が運転席をバンバン叩いてたのが最後の記憶だな。
そんなの死に方するような悪いことはしてないはずだけどな、当たり障りのない人生だったとも言えるが。
「ずっと貴方と話してみたかった」
「?!」
いきなり願いがなってません?
女神?天使?さん?
「この世界では私の方が年上ですが、よろしくお願いしますね隆彦さん」
「?」
なんで名前を知っている?
「私も貴方と一緒に可能性の未来を体験させてもらいましたので。私も必要だと女神様に呼ばれて。やっぱり私たちは魂で繋がっているのですねぇ」
そうなのか…、いやいや、それは、どうなの?
いや、と言うか、この状況がどうなの?
来世で結ばれる為に心中した2人が出会ったとか言う綺麗な話じゃないよねこれ。
ストーカー? いや、後から来たのは俺だから俺がストーカー? いや違うか、違わない? どう? よくわからん。
それから彼女によるこの世界で頂点を目指す特訓が始まった。
言語理解的なスキルとか無いのでこちらの言葉の勉強、魔力の増やし方と魔力操作のやり方など。
幼い頃からやればそれだけ能力が開発されるとのことなので超頑張っている。
私を守ってくださいねって、普通に強いでしょ姉!
チート能力とかは貰ってないが、姉で将来の妻予定者な前世で1度会話しただけの彼女のスパルタ教育により、俺は波乱万丈な人生を送りそうだ。
まぁ、退屈しなそうだからそれでも良いかな。
「次はこの岩を拳で砕いて下さいね、隆彦さん」
「いや、無理だし。あと、何時迄も前世の名前で呼ばないでよ姉さん…」
チート能力とかは貰えなかったけど、姉がスパルタチートお姉さんだったので世界最強にはなれそうです?
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