手で触れた液体をお酒にする変な能力を手に入れだけどわりとなんとかなりそうです

水野忍舞

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お誘い

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この世界の龍は何種類か居るらしい。
彼女が乗ってきたのは所謂西洋型で羽根の生えたトカゲの親分みたいなものだ、火も吐くらしい。
他には東洋型の長いタイプの龍とかも居るらしいがこちらは人前に出ることはあまりない。
人に化けることが出来るらしく、もしかしたらその辺を歩いてるかも知れないらしいが見分けることは出来ないので自己紹介してくれないとわからない。



龍に乗ってやってきたのは叔父の娘なのだそうな。
お供も連れずにお姫様が来るのは如何なものかと思うのだが、龍に乗って旦那を探し回った人の娘だと思い出したら問題ない気もした。
そんなドラゴン娘が何をしにきたのかと言うと、俺を迎えに来た。

「姉上の結婚式に貴方のお酒を振る舞いたいの!」

と言うことらしい。

進路を決めなければいけない大事な時期に親戚とは言え他国に行くのはなぁ…。

「龍王国を見てみるのも良いかも知れないわね」

何故か母が乗り気だ。

「でも、まだ成人前の子を1人で他国に行かせるのは…」

父は反対のよう。
龍には2人しか乗れないそうで、ドラゴン娘が1人で来たのは俺を乗せて帰る予定だかららしい。
だから俺が行くなら1人だけになる。

「守ってくれるのでしょう?」
「当然よ」

姉上も反対しない様子。
決まりかな、うちは俺も含めて男が弱い。
年下の姉上にアウアウしてる兄上を見ることも有るくらいだし。

「わかりました、行くことにします」
「やった!」
「ただし、誰からも何からも守ってください」
「何からも?」
「闘いを挑んでくるような馬鹿とか酒が気に入ったからこの国にいろと要求してくるアホとか、それが貴女の親でもです」

ありそうだもんな、その手の話。
力を見せてみろとか言ってくる従兄弟とかさ、居るか知らないけど。
温度変化はまだうまく扱えないし、酒化したら殺しちゃうので今のところは戦いを回避するしかないんだよね。

「それは、善処してみるわ」

善処じゃダメなんだよなぁ。

「必ずこの家に帰すと約束しないなら行きません」
「わかった、約束する」
「絶対ですよ」
「私の龍に誓うわ!」
「?」

なんか椅子から立ち上がりキリッとした顔で変なポーズ取ったけど、龍に誓う意味がわからないのでここに居る全員がよくわかってない顔をしている。
もちろん俺も。
周りを見て恥ずかしそうに椅子に座り直すドラゴン娘をみんなで見守る。
代表して兄上が質問してくれるようだ。

「龍王国では龍に誓うことに重要な意味があるのかい?」
「あのね、龍王国の王族が龍に誓うって言うのは、何があっても約束を守るってことなの」
「なるほど。それには何か由来とかあるのかな?」
「龍王国の初代王が龍を国に迎え入れるときに龍に誓ったのが始まりと言われているの」
「そうなんだ、それと同じことを弟を守る為にしてくれるんだね」
「はい」
「そうか、それなら安心だね」

なんか、ドラゴン娘が兄上をキラキラした目で見ている気がする…。

「あの、貴方は御結婚していらっしゃるのですか?」
「恥ずかしながらこの歳でも婚約者も居なくてね」
「そうですか!」

お決まりですか。

「私もまだ決まっていません! 私はどうですか!」

両親が乗り気で兄も満更でもなかったらしく婚約が決まった。
龍王国の王族では本人が良ければ両親の反対とかはないそうだ。
強い男が必ずしも好きだと言うことでもないとも聞いた。

「お姉ちゃんに任せて! 必ず帰してみせるわ!」

王家が圧力をかけて邪魔していると言われていた兄上の婚約はこうしてあっさり決まった。
龍王国と繋がりを作る為に兄上が狙われていたみたいなんだよね。
王族で兄上の妻を作ろうと励んでいたそうなんだけど男ばかり何人も産まれて跡目争いが大変らしいと仲の良い騎士に聞いた。父に後ろ盾になって欲しいと何人かから誘われたが森の警備を疎かに出来ないと断った事もあるのだとか。
うちが森に蓋してるから魔物被害が少ないのは事実だからね、王子もその辺はわかってるのだろう。

なんにしても適齢期入ってた兄上に相手が出来て良かった良かった。

*****
☆龍王国
龍王国は王族の力が強過ぎて国内貴族や隣国王室と婚姻し家同士の繋がりを強化するといった考えがない。

城で働く人の中には連れてこられる男が哀れな生贄にすら見え、みんな優しく接するのだとか。
彼らの多くは代々の女王に付き合わされて戦う男たちを見ているから。
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