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その後と配達と
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隣の国を魔車被害から救ったことに対する報償として現在砂漠の国の住人が居座っている地域とそこに繋がる道や森などを譲られることになった、と言うかこちらから提案したら通ったそうだ。
長らく保留してたらしいのだが…。
そして俺が土地を買ったあの街は何処の国にも所属しておらず、わざわざそのことを現地の大使に命じて元の国に確かめたそうだ。
その時に、貴国のものにするのであればご自由にみたいなことを言われたそうで、早速管理してるセラー家へ行って話をしたそうだ。
早過ぎるような…。
「他国の貴族が土地を買えるなら他国の王族は街を買うのは当然だろ」
と、笑いながら陛下は言うが何が当然なのかわからない…。
「これからしばらくやってもらう事があるが、下準備にある程度の時間が必要だからな。それまでは買った土地に家でも建てると良い」
「私のやる事が何か訊いても?」
「幾つか有るが、最初は街の制圧だな」
「…戦争するのですか?」
「ただの害虫駆除だな」
隣の国の街を乗っ取った元砂漠の国の人たちを収容する施設が用意出来たら街にいる人間を収納して運ぶことになる。
今新しく兵舎を作っているので、それが出来て兵の引っ越しが終わったら古い兵舎に一時住まわせて処理をした後に幾つかの街へやるそうだ……処理ってなんだ? 知らない方が良いか。
人数は老若男女合わせて6000人前後、魔車の森に比べたらたいしたことない量だな。
「その後は?」
「森の木を撤去して砂の川を作ってもらう」
「砂の川?」
「砂の上を走る船があるだろ? あれをこの国中に走らせる」
領主様から聞いた水路輸送について何も言わないから不思議に思っていたけれど、砂漠の船を使うつもりだったのか…。
昔から考えてたのか?
それとも魔車の被害が出た辺りから?
俺が土地を買った報告してからそんなに経ってないのに色々と決まっていることを考えると、あの街が何処の国にも所属してないのは俺が行く前から知っていた可能性は高いな。
さっきのお付きの人からの質問も予め用意していたような感じだったし、このやりとりもどこまで予定通りなんだか。
やっぱり怖いなこの人。
*
砂漠を越えてセラー家へ。
途中砂漠の民が占領してる街を見たが結構荒れているな。
ここを砂漠の船の製造や修理を行う街に作り変えると言っていたな。
製造に関わってた職人達は既に確保済みで必要の設備も建設済みなのでこの街を手に入れた後に移築してくれとも言われている。
王とか貴族とか言われる立場の人は何手、あるいは何年後かを見て行動するものらしい……それを俺が出来るかわからない。
子供の頃から王や当主になる教育をされてきた人たちと同じことが出来るようになろうとするのがそもそも間違いなのではないかという気がしてしまう。
今は俺に出来ることをする、それしかないと思う。
「思ったより早くしたな」
「うちの陛下の用事で、セラーさんは家に居ますかね?」
「今日は見てないから居るんじゃないのか。何か重要な話か?」
「秘密です」
「悪い話ではなさそうだな」
「わかりますか?」
「悪い話だったらお前もっと暗いだろ」
買った土地に降りたら近くにいた人から話しかけられた。
数日しか居なかったのに何故わかるのか…。
*
「こんにちは、当主様は居ますか?」
「居るぞ。と言うか身分的にはそっちのが上だから普通に話して良いんじゃないのか?」
「そうなんですけどね、なんとなく歳上にはこうなってしまいますね」
「早く慣れたほうが良いぞ、お前より歳上の下位貴族なんて幾らでも居るんだからな」
「それを言ったらそっちも話し方変えないと」
「その辺りは友人特権だな」
「なんですかそれ」
セラー家へ婿養子として入る予定の元この地の領主の末の息子で有るキリが門番してたので軽く話しつつ、用事があるので会う約束をしてもらう。
キリが言うように何処の国にも所属してない長は扱い的には平民なので俺の態度は色々と問題あるのだけれど、親の年齢よりも上の人に対して上から接する気にはなれないしどうしたら良いのかもわからないので仕方がない…いや、仕方がないじゃないダメなのか。その辺りもこの地で慣れていかなければならないが、やはり街の人に身分差を出して交流するのは難しい。
ただ、そんな意味では最適な場所とも言えるんだ。
親しくなった人たちに対して貴族として振る舞えるようになるなら、他のところへ行っても同じことが出来ると思う。
もしかしたらこの街の人に嫌われるかも知れない。
それは悲しいが、嫌われたくないからと言って前と同じままでは何時迄も大人に身分に相応しい大人にはなれない。
話し方だけ変えてやることは同じなら良いのだろうか?
*****
2021年5月17日 少し間が開きますごめんなさい。
長らく保留してたらしいのだが…。
そして俺が土地を買ったあの街は何処の国にも所属しておらず、わざわざそのことを現地の大使に命じて元の国に確かめたそうだ。
その時に、貴国のものにするのであればご自由にみたいなことを言われたそうで、早速管理してるセラー家へ行って話をしたそうだ。
早過ぎるような…。
「他国の貴族が土地を買えるなら他国の王族は街を買うのは当然だろ」
と、笑いながら陛下は言うが何が当然なのかわからない…。
「これからしばらくやってもらう事があるが、下準備にある程度の時間が必要だからな。それまでは買った土地に家でも建てると良い」
「私のやる事が何か訊いても?」
「幾つか有るが、最初は街の制圧だな」
「…戦争するのですか?」
「ただの害虫駆除だな」
隣の国の街を乗っ取った元砂漠の国の人たちを収容する施設が用意出来たら街にいる人間を収納して運ぶことになる。
今新しく兵舎を作っているので、それが出来て兵の引っ越しが終わったら古い兵舎に一時住まわせて処理をした後に幾つかの街へやるそうだ……処理ってなんだ? 知らない方が良いか。
人数は老若男女合わせて6000人前後、魔車の森に比べたらたいしたことない量だな。
「その後は?」
「森の木を撤去して砂の川を作ってもらう」
「砂の川?」
「砂の上を走る船があるだろ? あれをこの国中に走らせる」
領主様から聞いた水路輸送について何も言わないから不思議に思っていたけれど、砂漠の船を使うつもりだったのか…。
昔から考えてたのか?
それとも魔車の被害が出た辺りから?
俺が土地を買った報告してからそんなに経ってないのに色々と決まっていることを考えると、あの街が何処の国にも所属してないのは俺が行く前から知っていた可能性は高いな。
さっきのお付きの人からの質問も予め用意していたような感じだったし、このやりとりもどこまで予定通りなんだか。
やっぱり怖いなこの人。
*
砂漠を越えてセラー家へ。
途中砂漠の民が占領してる街を見たが結構荒れているな。
ここを砂漠の船の製造や修理を行う街に作り変えると言っていたな。
製造に関わってた職人達は既に確保済みで必要の設備も建設済みなのでこの街を手に入れた後に移築してくれとも言われている。
王とか貴族とか言われる立場の人は何手、あるいは何年後かを見て行動するものらしい……それを俺が出来るかわからない。
子供の頃から王や当主になる教育をされてきた人たちと同じことが出来るようになろうとするのがそもそも間違いなのではないかという気がしてしまう。
今は俺に出来ることをする、それしかないと思う。
「思ったより早くしたな」
「うちの陛下の用事で、セラーさんは家に居ますかね?」
「今日は見てないから居るんじゃないのか。何か重要な話か?」
「秘密です」
「悪い話ではなさそうだな」
「わかりますか?」
「悪い話だったらお前もっと暗いだろ」
買った土地に降りたら近くにいた人から話しかけられた。
数日しか居なかったのに何故わかるのか…。
*
「こんにちは、当主様は居ますか?」
「居るぞ。と言うか身分的にはそっちのが上だから普通に話して良いんじゃないのか?」
「そうなんですけどね、なんとなく歳上にはこうなってしまいますね」
「早く慣れたほうが良いぞ、お前より歳上の下位貴族なんて幾らでも居るんだからな」
「それを言ったらそっちも話し方変えないと」
「その辺りは友人特権だな」
「なんですかそれ」
セラー家へ婿養子として入る予定の元この地の領主の末の息子で有るキリが門番してたので軽く話しつつ、用事があるので会う約束をしてもらう。
キリが言うように何処の国にも所属してない長は扱い的には平民なので俺の態度は色々と問題あるのだけれど、親の年齢よりも上の人に対して上から接する気にはなれないしどうしたら良いのかもわからないので仕方がない…いや、仕方がないじゃないダメなのか。その辺りもこの地で慣れていかなければならないが、やはり街の人に身分差を出して交流するのは難しい。
ただ、そんな意味では最適な場所とも言えるんだ。
親しくなった人たちに対して貴族として振る舞えるようになるなら、他のところへ行っても同じことが出来ると思う。
もしかしたらこの街の人に嫌われるかも知れない。
それは悲しいが、嫌われたくないからと言って前と同じままでは何時迄も大人に身分に相応しい大人にはなれない。
話し方だけ変えてやることは同じなら良いのだろうか?
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2021年5月17日 少し間が開きますごめんなさい。
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