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そんな日々
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それから更に西へ向かい、魔車被害の本拠地とも言える国に来る。
確か災害で食べ物が無くなり魔車を植えたとのことだったが、どの村が魔車を植えたのかわからない。
魔車の通った後らしきところを通って来たのだが途中からそれらしき傷跡は消えていた。
港街まで来たが建物の破壊跡などはない。
穀物類が無くなったとしても港街なら魚を食べれば良いから誰か居ると思ったのだけれど、何故誰も居ない?
ここに来る途中の村や町にも誰も居なかったし、死体も見当たらなかった。
食い散らかされた跡もないので魔物の被害というわけでもない。
どこかへ連れて行かれた?
火の精霊に入られる前に聞いた話となにか違っている。
陛下はこれを見せたかったのだとして、何故?
もしかして俺がこの国の人たちを収納したと疑っているのか?
疑われていたとしても火の精霊が入った時に収納庫の中身をばら撒いたことで疑いは晴れたと思う……何処かへ移動させたと考える可能性もあるか。
他には何かあるか?
俺と同じく収納庫スキルを持った奴がいると考えている?
精霊たちは過去にも居たと言っていたし、同時代に2人以上居てもおかしくはない。
色々と考えることが出来たが、向こうからやってこないならこちらからは行くこともないか。
まぁ、向こうと呼べる人間が居るかどうかもわからないけど。
*
街の様子と他国に土地を買ったことを陛下に伝える。
私も土地を買ってみるかと笑いながら本気か冗談かわからないことを言う。
それと、何故か瓦礫を欲しがられたので出した。
あの国はこの国とは建物の作り方が異なるらしく、その辺りを調べるのに使えるらしい。
そう言えば透明な板が窓に嵌め込まれていたのを見たな。それ目当てだろうか?
今度あの街へ行く時は教えろと言われたので、もしかしたら何人か連れて行かされるかも知れない。
人の居なくなった国については同じことが出来るかと訊かれたので出来るとだけ答えた。
俺がやったとは思ってはなさそうだ。
あと、やはりあそこに誰も居ないのを知っていたな。
起きた時に聞かされなかったのは先入観無く見せる為か?
「そう言えばあの船に乗った者たちが全員死んだぞ」
「殺したのですか?」
「いや、医師たちが言うには空気が合わなかったらしい」
「空気が合わない?」
「奴らを解剖したら胸に魔臓が無かったそうだ」
「魔臓が無い?」
「ああ。そのせいで吸った魔力を上手く処理出来なかったらしいな」
この世界に生きる動物なら持っているものじゃなかったのか?
空気中の魔力を血に乗せて身体中に行き渡るようにする臓器だと聞いていたが。
「魔臓を持ってない人間ですか」
「肺に魔力の固まった石のような物が有ったらしい、それが原因で呼吸が困難になったそうだ」
奴らは捕まえた冒険者たちに魔法について聞いていたな、確か。
魔法が使えないだけでなく、魔力が無い大陸が有るのか?
「仮にですが、私が彼らの大陸へ行った時も時間が経ったら死ぬのでしょうか?」
「わからんな。魔力は当たり前にある物だ、無いとどうなるかなど誰も考えたことがないだろうし試したこともあるまい」
「そうですか」
「行くなよ、これは命令だ」
「行きませんよ」
*
休暇が長引いてしまった分、街づくり1日分の作業量を増やすも3日でやる事なくなってしまった。
俺にしか出来ない完成された家の移築は既に済み、用意された素材を運ぶのも一度で終わる。
素材置き場から作業箇所への移動はその為に雇われた人が居るので俺がやってはその人がお金を貰えなくなるので手伝ったりしない。
仕事が出来たら連絡すると言われ、しばらくは家でのんびりしてる感じだ。
「こちらの池の方が大きいんですね」
「元は商人の家で池のある場所には大きな倉庫が何個もあったんだよ。それを全部取り除いて池にしたからね」
「それでこんなに大きいんですね。池だけで王都の家よりも広そう」
この池を作った時は排水のことか考えずに出来るだけ多くの水を溜めようと考えてたからな。
その後使用人が排水の許可を取ってきてくれたから池を小さくしても良かったのだけれど、その時はそんなこと思わなかったからな。
倉庫が残っていたら収納庫の中身を出したくて竜騎士さんのところに行くこともなかっただろうな。
そう言えば起きてから1度も行ってないし、海の魚の保存食や預かって貰った素材とかそのままだった。
素材の方は必要な物は使って良いとは言ってあるものの、領主の倉庫にずっと個人の物が置きっぱなしと言うのは不味いよな。
俺は使わないので売ってもらっても良かったよだけれど、その辺りを話すことなく俺が眠ってしまったから。
近いうちに行くか。
あとは皇帝にも会いに行かないとまずいのかな。うちの陛下が俺が寝込んでいることを伝えてはいるらしいのだが、起きたことまで伝えたかはわからないしな。
クラーケンもまだまだ有るしお土産として置いてこよう。
*
領主様から頼まれて作業場や石切場の往復したり、久しぶりに会ったカチュアさん達とリリーナを連れて領都のダンジョンに入ってみたりした。
予感スキルはダンジョン向けなのかも知れない。
角の向こうに敵がいるのがなんとなくわかるし、罠の有りそうな場所に近づくとなんとなく不安になったりする。
あまり使えないスキルと言われていたが、それは日常でと言う話なのかも知れない。
このまま鍛えたら斥候役が十分に務まる気がする。
まぁ、俺は今更冒険者として活動することはほぼないし、リリーナも乗り気ではなさそうだけども。
彼女が将来何になるか聞いていないが、今のところ闘う人にはなりそうにないな。
計算が楽しいと言っていたので商人向きなのだろうか?
領都の学校に通ってみるのも良いかも知れない。後で相談してみようと思う。
確か災害で食べ物が無くなり魔車を植えたとのことだったが、どの村が魔車を植えたのかわからない。
魔車の通った後らしきところを通って来たのだが途中からそれらしき傷跡は消えていた。
港街まで来たが建物の破壊跡などはない。
穀物類が無くなったとしても港街なら魚を食べれば良いから誰か居ると思ったのだけれど、何故誰も居ない?
ここに来る途中の村や町にも誰も居なかったし、死体も見当たらなかった。
食い散らかされた跡もないので魔物の被害というわけでもない。
どこかへ連れて行かれた?
火の精霊に入られる前に聞いた話となにか違っている。
陛下はこれを見せたかったのだとして、何故?
もしかして俺がこの国の人たちを収納したと疑っているのか?
疑われていたとしても火の精霊が入った時に収納庫の中身をばら撒いたことで疑いは晴れたと思う……何処かへ移動させたと考える可能性もあるか。
他には何かあるか?
俺と同じく収納庫スキルを持った奴がいると考えている?
精霊たちは過去にも居たと言っていたし、同時代に2人以上居てもおかしくはない。
色々と考えることが出来たが、向こうからやってこないならこちらからは行くこともないか。
まぁ、向こうと呼べる人間が居るかどうかもわからないけど。
*
街の様子と他国に土地を買ったことを陛下に伝える。
私も土地を買ってみるかと笑いながら本気か冗談かわからないことを言う。
それと、何故か瓦礫を欲しがられたので出した。
あの国はこの国とは建物の作り方が異なるらしく、その辺りを調べるのに使えるらしい。
そう言えば透明な板が窓に嵌め込まれていたのを見たな。それ目当てだろうか?
今度あの街へ行く時は教えろと言われたので、もしかしたら何人か連れて行かされるかも知れない。
人の居なくなった国については同じことが出来るかと訊かれたので出来るとだけ答えた。
俺がやったとは思ってはなさそうだ。
あと、やはりあそこに誰も居ないのを知っていたな。
起きた時に聞かされなかったのは先入観無く見せる為か?
「そう言えばあの船に乗った者たちが全員死んだぞ」
「殺したのですか?」
「いや、医師たちが言うには空気が合わなかったらしい」
「空気が合わない?」
「奴らを解剖したら胸に魔臓が無かったそうだ」
「魔臓が無い?」
「ああ。そのせいで吸った魔力を上手く処理出来なかったらしいな」
この世界に生きる動物なら持っているものじゃなかったのか?
空気中の魔力を血に乗せて身体中に行き渡るようにする臓器だと聞いていたが。
「魔臓を持ってない人間ですか」
「肺に魔力の固まった石のような物が有ったらしい、それが原因で呼吸が困難になったそうだ」
奴らは捕まえた冒険者たちに魔法について聞いていたな、確か。
魔法が使えないだけでなく、魔力が無い大陸が有るのか?
「仮にですが、私が彼らの大陸へ行った時も時間が経ったら死ぬのでしょうか?」
「わからんな。魔力は当たり前にある物だ、無いとどうなるかなど誰も考えたことがないだろうし試したこともあるまい」
「そうですか」
「行くなよ、これは命令だ」
「行きませんよ」
*
休暇が長引いてしまった分、街づくり1日分の作業量を増やすも3日でやる事なくなってしまった。
俺にしか出来ない完成された家の移築は既に済み、用意された素材を運ぶのも一度で終わる。
素材置き場から作業箇所への移動はその為に雇われた人が居るので俺がやってはその人がお金を貰えなくなるので手伝ったりしない。
仕事が出来たら連絡すると言われ、しばらくは家でのんびりしてる感じだ。
「こちらの池の方が大きいんですね」
「元は商人の家で池のある場所には大きな倉庫が何個もあったんだよ。それを全部取り除いて池にしたからね」
「それでこんなに大きいんですね。池だけで王都の家よりも広そう」
この池を作った時は排水のことか考えずに出来るだけ多くの水を溜めようと考えてたからな。
その後使用人が排水の許可を取ってきてくれたから池を小さくしても良かったのだけれど、その時はそんなこと思わなかったからな。
倉庫が残っていたら収納庫の中身を出したくて竜騎士さんのところに行くこともなかっただろうな。
そう言えば起きてから1度も行ってないし、海の魚の保存食や預かって貰った素材とかそのままだった。
素材の方は必要な物は使って良いとは言ってあるものの、領主の倉庫にずっと個人の物が置きっぱなしと言うのは不味いよな。
俺は使わないので売ってもらっても良かったよだけれど、その辺りを話すことなく俺が眠ってしまったから。
近いうちに行くか。
あとは皇帝にも会いに行かないとまずいのかな。うちの陛下が俺が寝込んでいることを伝えてはいるらしいのだが、起きたことまで伝えたかはわからないしな。
クラーケンもまだまだ有るしお土産として置いてこよう。
*
領主様から頼まれて作業場や石切場の往復したり、久しぶりに会ったカチュアさん達とリリーナを連れて領都のダンジョンに入ってみたりした。
予感スキルはダンジョン向けなのかも知れない。
角の向こうに敵がいるのがなんとなくわかるし、罠の有りそうな場所に近づくとなんとなく不安になったりする。
あまり使えないスキルと言われていたが、それは日常でと言う話なのかも知れない。
このまま鍛えたら斥候役が十分に務まる気がする。
まぁ、俺は今更冒険者として活動することはほぼないし、リリーナも乗り気ではなさそうだけども。
彼女が将来何になるか聞いていないが、今のところ闘う人にはなりそうにないな。
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