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これから
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「ぼーっとしてますね」
「これからどうしようかと考えてるんだけど、何も思いつかなくてね」
ロイルさんの義理の妹で離れで同居しているリリーナがお茶と菓子を持ってきてくれた。
俺が目覚めたことで彼女たちは家を出て行くと言った話もあったのだが、俺が領都の屋敷に行くことにしたのでこのまま彼女たちは住むことになる………のかどうかはまだわからない。
ロイルさんたちはそのまま住み続けるのだがリリーナは俺に付いてくると言っていて、少しだけ姉妹の仲がこじれている。
いずれこの家から出て行くとしても15歳まで待ち成人してからでも遅くないとお姉さんは反対してるのだが、この家に来てから俺の世話をするのが日課だったリリーナは離れるのが嫌だと言う。
寝たきりで世話をされていた俺はリリーナに対する思い入れとかは無いので特に味方もしてないのだが、世話をされていたと思うと来るなと言う気持ち起きないので姉妹間での話し合い次第と言ったところ。
ロイルさん曰く、喧嘩する女たちに男が出来るのは見守ることだけだと言うのでそれに従ってるのもある。
俺が寝ている間にロイルさんは魔法の訓練法を作った功績でこの国の爵位を手に入れた。
今では陞爵し子爵となっている。
だからといって子爵の妻の妹が一代限りとは言え侯爵家待遇の俺の妻になれるかと言うとそれは無理だと思う。
そもそも本人にその気があるのかもわからないけれども。
どう言った理由で俺について行くと言っているのかハッキリしないので今のところ何もないままである。
見た目について言えば好みではあるし、娼館が大事に育てたお姉さんと血の繋がる姉妹だけあって貴族の女性の中に居ても埋もれないと思う、黙って立っていればだけども。
「これからですか?」
「やりたいことが思い付かなくて困っている」
子供の頃は英雄を夢見たりしていたのだが、あれは世の中を知らなかったからそんなことを考えていたのだろう。
英雄に必要なのは強い力だけでなく有名な敵や巨大な悪と言った倒す相手、それから救われたことを自覚し話を広める人も居る。
今の世の中に争い事や揉め事は有るがそれは領主や王と言われる人が対応することであり、英雄と呼ばれるような個人がどうこうすることではない。
子供の頃に聞いた英雄の物語のように倒すべき魔王は居ないのだ。
世の中をそれなりに知った今、改めて自分がどうなりたいかを考えた時に何も思い付かなかった。
お金も有るし精霊から手に入れた力も有るから色んなことが出来るのだが何をしたいのかがさっぱりわからない。
ドゥーンハルト領で街を作る手伝いをした後のことが決まっていない。
「それじゃあ、やりたいことを見つける為に色々なところへ行ってみるのはどうでしょう?」
「色々な場所へ行くか」
それも良いか。
家であれこれ考えたところで何かが変わるわけでもないしな。
新しいものを見て食べて知れば何か見つかるかも知れない。
「わたし、お兄ちゃんが生まれた国を見てみたいです」
「ロイルさんの国か…」
別な大陸か、確かに興味はあるな。
それにあの島のような魔物がどうしているかも気になる。
「いつか連れて行ってください」
「わかった」
「やった」
その日、リリーナを連れて行くことをロイルさん夫婦に言った。
*
リリーナと水の精霊を連れて領都へ行く。
水精霊はともかくリリーナを収納するか迷ったのだが、水の精霊が言うには水のワイバーンでの移動にリリーナは耐えられないそうなので収納した。そうしたらリリーナのものと思われる予感と言うスキルが増えた。
予感、ぼんやりと未来がわかるみたいな能力だったと思う。
未来がハッキリ見えるわけではないが進む方向だけでもわかるなら、立ち止まることが無くて良いなと思う。
ロイルさんが生まれた大陸へ行きたいと言うのもこのスキルが関係しているのだろうか?
「これからどうしようかと考えてるんだけど、何も思いつかなくてね」
ロイルさんの義理の妹で離れで同居しているリリーナがお茶と菓子を持ってきてくれた。
俺が目覚めたことで彼女たちは家を出て行くと言った話もあったのだが、俺が領都の屋敷に行くことにしたのでこのまま彼女たちは住むことになる………のかどうかはまだわからない。
ロイルさんたちはそのまま住み続けるのだがリリーナは俺に付いてくると言っていて、少しだけ姉妹の仲がこじれている。
いずれこの家から出て行くとしても15歳まで待ち成人してからでも遅くないとお姉さんは反対してるのだが、この家に来てから俺の世話をするのが日課だったリリーナは離れるのが嫌だと言う。
寝たきりで世話をされていた俺はリリーナに対する思い入れとかは無いので特に味方もしてないのだが、世話をされていたと思うと来るなと言う気持ち起きないので姉妹間での話し合い次第と言ったところ。
ロイルさん曰く、喧嘩する女たちに男が出来るのは見守ることだけだと言うのでそれに従ってるのもある。
俺が寝ている間にロイルさんは魔法の訓練法を作った功績でこの国の爵位を手に入れた。
今では陞爵し子爵となっている。
だからといって子爵の妻の妹が一代限りとは言え侯爵家待遇の俺の妻になれるかと言うとそれは無理だと思う。
そもそも本人にその気があるのかもわからないけれども。
どう言った理由で俺について行くと言っているのかハッキリしないので今のところ何もないままである。
見た目について言えば好みではあるし、娼館が大事に育てたお姉さんと血の繋がる姉妹だけあって貴族の女性の中に居ても埋もれないと思う、黙って立っていればだけども。
「これからですか?」
「やりたいことが思い付かなくて困っている」
子供の頃は英雄を夢見たりしていたのだが、あれは世の中を知らなかったからそんなことを考えていたのだろう。
英雄に必要なのは強い力だけでなく有名な敵や巨大な悪と言った倒す相手、それから救われたことを自覚し話を広める人も居る。
今の世の中に争い事や揉め事は有るがそれは領主や王と言われる人が対応することであり、英雄と呼ばれるような個人がどうこうすることではない。
子供の頃に聞いた英雄の物語のように倒すべき魔王は居ないのだ。
世の中をそれなりに知った今、改めて自分がどうなりたいかを考えた時に何も思い付かなかった。
お金も有るし精霊から手に入れた力も有るから色んなことが出来るのだが何をしたいのかがさっぱりわからない。
ドゥーンハルト領で街を作る手伝いをした後のことが決まっていない。
「それじゃあ、やりたいことを見つける為に色々なところへ行ってみるのはどうでしょう?」
「色々な場所へ行くか」
それも良いか。
家であれこれ考えたところで何かが変わるわけでもないしな。
新しいものを見て食べて知れば何か見つかるかも知れない。
「わたし、お兄ちゃんが生まれた国を見てみたいです」
「ロイルさんの国か…」
別な大陸か、確かに興味はあるな。
それにあの島のような魔物がどうしているかも気になる。
「いつか連れて行ってください」
「わかった」
「やった」
その日、リリーナを連れて行くことをロイルさん夫婦に言った。
*
リリーナと水の精霊を連れて領都へ行く。
水精霊はともかくリリーナを収納するか迷ったのだが、水の精霊が言うには水のワイバーンでの移動にリリーナは耐えられないそうなので収納した。そうしたらリリーナのものと思われる予感と言うスキルが増えた。
予感、ぼんやりと未来がわかるみたいな能力だったと思う。
未来がハッキリ見えるわけではないが進む方向だけでもわかるなら、立ち止まることが無くて良いなと思う。
ロイルさんが生まれた大陸へ行きたいと言うのもこのスキルが関係しているのだろうか?
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