理想とは違うけど魔法の収納庫は稼げるから良しとします

水野忍舞

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クラーケンおかわり

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陛下から港町へ手紙と穀物類運びをお願いされた。本当に何者なのかあの御婦人…。

陛下と会ったときに、魔王が実は精霊だった話をしたら凄く驚いて居た。いつ会っても余裕たっぷりな表情を崩さないのでなんだか得した気分だ。



「すぐに来るとは思ってなかったなぁ」

港街が見える。
この前はここから少し行った先で湖の水を取った。
あの時は食事や買い物をすることもなくすぐに湖まで行ったんだよなぁ。

連絡はしてあると言うので街への入場門を使わず管理している屋敷の前に水のワイバーンで降りる。
そして槍を突きつけられている。

「お、おとなしくしろ!」
「俺が来るって連絡来てないですか? あとこれを」
「なんだそれは!」

国内でその反応は初めてだ。
他国の街ではともかく国内でしかも代官の屋敷なら問題なく通じると思ってた。
他国でも城の住人じゃないと軽く扱われてたし、あんまり効果ない気がしてきたよ…。

「これは陛下から私に渡されたもので、身分を保障するものであると」
「へ、陛下から?」
「ええ、それとアベル・ドゥーンハルトが来ると本当に連絡有りませんか?」
「え、貴方が?!」

どうやら聞いて居たらしい。
その後謝罪され、1人が中へ走って行った。
話を聞く俺の噂や功績の大きさと実際に見た俺との違いに同じ人物と思えなかったそうだ。
魔車の森の侵攻を1人で止めた英雄で実はこの街に出たクラーケンを倒したのも彼だと聞き、屈強な男を想像していたら子供だったと…そりゃ何者か疑いたくなるか。
それなりに鍛えてるけど騎士に比べたら筋肉は付いてないし、鎧を身に付けて武器を持っているわけでもないから余計にね。

「わかりやすい姿をしたほうが良いのでしょうか?」
「近衛騎士の鎧を着けてみては如何でしょう」
「なるほど、それなら警戒はされても話を聞いてもらえそうですね」

近衛騎士に似た鎧を作ってもらおうかな、1人でも着られて軽い奴を。



この都市を管理している子爵から改めて謝罪、それと足りない穀物類を持ってきてもらえたことに感謝をされる。
穀物を運んでくる船が予定の日を大幅に過ぎても港にやって来ず在庫が減り続けるだけで近いうちに無くなるところだったらしい。
近くの街から融通をしてもらっているようだが、経費が嵩んで困っていたのだとか。
時間に余裕が有るなら見てきて欲しいと言われたので、半イカ魚を取るついでに近くを見るくらいなら良いかと了承、その船の航路を教えてもらいその上を飛んでいく。

「ああ、これか…」

船の残骸と思われる木を発見し、その先へ進むとクラーケンが居た。
以前捕まえたものより2回りくらい小さいが3匹。

「この辺りに巣があるのか?」

そいつらと船の残骸を収納した後、半イカ魚を探しつつ周辺を探索。半イカ魚の群れを水中に見つけたので氷の器ですくって半分くらい収納し不要な水を捨てる。海水から水と塩を分けることが確かに出来た。あと一緒に魚も増えたがこれどうしようか、前のも残ってるしなぁ。
それからしばらく探してたら近くの海岸に生き残りが数人いたので回収して港街に戻る。

「またクラーケンですか、海に何かが起きているのでしょうか?」

詳しくないのでなんとも言えないです。

子爵に港を管理してる人たちを紹介してもらい、人が食べても良い魚と駄目な魚を分けて貰った。
報酬は要らないクラーケン退治してくれただけで十分だと言われだか、人を働かせて何も出さないのは気持ちが落ち着かないのでクラーケン1匹渡すことにした。
選別作業を見ていたことで魚に対する知識が増えたのか、作業の途中で収納庫の所持一覧に魚の名前や毒の有無などが載るようになった。それからは名前がわからない魚を出すだけで済むようになったので2日で終わった。最初は少なくとも7日と言われていたので助かった。

「生きたクラーケンを怪我せずに倒せる人って居ますかね?」
「居ないと思いますよ」

収納庫の中に入ってるクラーケンは生きているのでそのまま出すわけにもいかず、港街に倒せる人居ないかなと訊いてみたらいないと言う。
やはり穴に入れて様子見か。

見たいと言う人と護衛の冒険者を連れて近くの森へ行き木を収納して深い穴を掘りクラーケンを落とす。

「これなら確実に倒せるが、なんだか可哀想な気もしてくるな…」
「かと言って戦う気にもなれないしなぁ」

穴の底にいるクラーケンを見てそんなことを言う冒険者たち。

「そのうち慣れますよ」
「そんなもんかね」

それに、檻水槽よりむごさはマシです。

「これ首長竜にも使えますかね?」
「どうでしょうか、あいつらは普段から海面に顔出してますし」
「飢えて死ぬ可能性なら有るかもな、あいつらよく食べるしよ」

飢えて死ぬ、成る程そんな手も使えるか。
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