理想とは違うけど魔法の収納庫は稼げるから良しとします

水野忍舞

文字の大きさ
上 下
28 / 50

精霊の頼み

しおりを挟む
水の精霊が他の精霊を連れて帰ってきた。
魔車被害の影響が精霊にも出始めているらしく何とかならないかと話し合っていたそうだ。
干上がった湖だけでもどうにかしたいそうなので俺に水を運べないかと訊かれた。
水の精霊は魔力を水に変えることが出来るのだが湖の水を満たすのに時間が掛かり、それでは遅いそうだ。
何故今まで問題にならなかったのだろうかと疑問に思うが、精霊としてはこれでも早い対応らしい。生きる時間が違うからなのかな?

水か、容器に入ってる水なら収納できると思うが水だけって出来るのだろうか? 
それと何処から湖を満たす水を持ってくる? 

「海があるわ」
「海水はしょっぱいだろ?」
「私なら塩を抜くことができるわよ」

流石は水の精霊と言ったところか。
泥水を綺麗に出来るなら海水から塩気を抜くのも出来るのか?

「あなたも出来るわよ」
「…そうなのか?」
「魔車と木を分けたのと同じだわ」

疑うわけではないが、泥水の入った容器を収納し土だけ出せた。容器を見たら水が綺麗になってた、飲む気にはなれなかったけども。
しかし、湖を満たす量の水を大量に入れられる容器か。何往復かするにしても一度に運べる量は多い方が良いしな。



「こんにちは!」
「えと、はい」

水の精霊が連れてきたのは雪の精霊で水を運ぶのを手伝いに来たそうだ。
海水を凍らせて容器を作り水の精霊が水から塩分を抜いた後に俺が収納して運び、湖に出して作業完了の予定なのだとか。
彼女は俺が収納出来る限界までの器を確認するから中に入るねと言って消えた。
水の精霊より明るい感じだけど行動はそんなに変わらないな。

「湖と同じ大きさの器を作っても大丈夫よ」
「そんなに入るのか」

結構大きな湖のように思えたが、王都の4倍以上はありそうに見えたし。
魔車を収納するからと急いで魔獣の処理をする必要はなかったのか?

雪の精霊は水の精霊よりも長くこの世界に居るようで、過去に収納庫を持った人と接触したことがあるそうだ。
見た目は雪の精霊の方が若く、人間だと10歳前後に見え15歳前後の水の精霊よりも歳上?とは思えないな。



国を出ることになるので陛下に確認、今のところ予定はないので一月以内であれば問題ないという。
何かあった時は連絡すると言われたがその手段については言われない。
遠くへ居る者に声を届ける手段があるのだろうなと前から思ってはいたが教えてもらってないからなぁ。
まだ学生だからなのだろうか。



水の精霊と雪の精霊と一緒に海へ向かう途中、花の精霊と会う。
湖の水を戻して欲しいのが花の精霊らしくお願いしますと頭を下げられた。花の精霊なのに少年なんだな。
湖の底や流れ出る川の側面に乾くと暴れる魔物が居るそうで早めに水を戻せないかと今回他の精霊に相談したのだとか。
弱い魔物なのだが数が多く周りに与える影響も大きいそうで眠らせたままにしたいとか。

また、魔車は花の精霊が作ったもので元々は日照りが続いて食べる物がない動物の為に魔力を糧に成長する植物として作ったのだが、魔王に手を加えられて魔獣にされてしまったそうだ。

魔王は精霊が作った物に手を加えられるのかと不思議に思って訊ねたら、魔王と言われているが彼も精霊だから僕より時間は掛かるけど出来ないことはないんだよと。
魔王が精霊だなんて初めて知りましたけど…。
本当は赤の精霊と言うらしく、動物と相性が高い精霊なんだとか。赤って血の色? 赤い血を流す生き物と相性が良いみたいなこと?
あと、赤の精霊は自分で魔王と呼んでって精霊仲間に言ったそうで、なんだか思っていたのと印象が違うな魔王。
精霊に上下関係は無く王は存在しないそうだから、人の影響を受けて魔王と名乗ったんじゃないかと思われるが詳しくは知らないらしい。

精霊は人に近い形をしてるけど人の味方と言うわけではなく、みんな好きなことをしてるだけ。
今回の魔物を眠らせたままにしたいのも気に入ってる場所が有るらしく、そこに影響が出そうだからと言うだけで人の生活とかは考えてない感じだった。

水の精霊も特に人の味方ではないらしいが、あなたの友達よと言われた。
友達と思ってくれてるなら良いか。



氷の器が湖の形に作られているので、合うように重ねておいた後器だけ収納。これで静かに水を満たすことが出来た。
氷の器は紙のように薄く、大量の水を受け止めていたようには見えない。1000年経っても溶けないしそこそこ力を込めないと割れないそうだ。
あげると言われたので収納しておくが使う時が来るとは思えないな。

水だけ出したので海の魚が収納庫の中に大量に入ってるがこれどうするか。
人間が食べたら死ぬ魚も居るよと別れた雪の精霊が言っていたし、水の精霊はどの魚が人にとって毒かわからないらしいからお土産として渡して良いものか。
城の料理人ならわかるのかな?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から「破壊神」と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている

ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

ケモ耳っ娘になったからにはホントはモフられたい~前世はSランク冒険者だったのでこっそり無双します~

都鳥
ファンタジー
~前世の記憶を持つ少女は、再び魔王討伐を目指す~  私には前世の記憶がある。  Sランクの冒険者だった前世の私は、あるダンジョンでうっかり死んでしまい、狼の耳と尾をもつ獣人として転生した。  生まれ変わっても前世のスキルをそのまま受け継いでいた私は、幼い頃からこっそり体を鍛えてきた。  15歳になった私は、前世で暮らしていたこの町で、再び冒険者となる。  そして今度こそ、前世で果たせなかった夢を叶えよう。 ====================  再び冒険者となったリリアンは、前世の知識と縁で手に入れた強さを隠しながら、新しい仲間たちと共にさらに上を目指す。そして前世の仲間との再会し、仲間たちのその後を知る。 リリアンの成長と共に、次第に明らかになっていく彼女の前世と世界の謎。。 その前世ではいったい何があったのか。そして彼女は何を成し遂げようとしているのか……  ケモ耳っ娘リリアンの新しい人生を辿りながら、並行して綴られる前世の物語。そして彼女と仲間たちの成長や少しずつ解かれる世界の真実を追う。そんな物語です。  -------------------  ※若干の残酷描写や性的な事を連想させる表現があります。  ※この作品は「小説家になろう」「ノベルアップ+」「カクヨム」にも掲載しております。 『HJ小説大賞2020後期』一次通過 『HJ小説大賞2021後期』一次通過 『第2回 一二三書房WEB小説大賞』一次通過 『ドリコムメディア大賞』中間予選通過 『マンガBANG×エイベックス・ピクチャーズ 第一回WEB小説大賞』一次通過 『第7回キネティックノベル大賞』一次通過

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

処理中です...