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隣の国
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戦うスキルを持たない俺に護衛も付けず帝国へ向かえと言うのは無茶だと抗議したのだけれど、弓も魔法も届かない高さを移動して街の高級宿で寝泊まりすれば良いだろと言われた。
聞いた上で断れるとはなんだったのか。
それにしても必要経費として貰った金額が多過ぎる、余っても返さなくて良いとか言われたし。
こんなに安く帝国に貸しを作れるなんて最高だ、外務大臣10年分の働きはするぞお前! と、王様がニコニコしてた。
王様の付き人?にも、騎士団にグリフォンを護衛させながら帝国まで輸送するのに掛かる費用の1割にも満たないので貰っておけと言われてるので気にしないでおく。
…ガルーダを教会の聖地まで連れて行く依頼は無いと思いたい。
*
帝国は王国を中心にした場合、俺の生まれた国の反対側にある。
帝国まで行くのに2つの国を通るのだが、帝国と接している国はうちとあまり仲が良く無いので目的や身分を明かすなと言われている。
隣の国なら揉めるのわかるのだけれど、1つ国を挟んで仲が悪いのはよくわからないな。
その辺りの歴史をそのうち学校で習うのだろうか?
今日のところは最初の国の首都に泊まる予定。
水の精霊に出して貰った水のワイバーンは疲れることがないのでその気になれば何日も飛んでいられるのだが、俺がもたないので適度に降りている。
話し相手に水の精霊も連れてきたので退屈はしていないのだが。
「魔力を外に出す感覚が全然わからないな」
「生まれてから一度も自分の意思で魔力を使ってないから難しいのかも知れないわね。昔の人は子供の頃から訓練してたわ」
「大人になってから魔法を覚えるのは無理なのかな」
「あら、貴方の父親はもう少しで火の魔法を使えると思うわよ」
「そうなのか。う~ん、身体強化で魔法の使い方に慣れてるからなのか?」
水のワイバーンの上で水の魔法を使う訓練をしてるのだけど、まだまだだ。
*
目に付いた魔物を収納しつつ隣国の首都の近くに降りる。
直接行くと色々詮索されるしな。
こう言う時は冒険者ギルドの登録証が有って良かったと思う。名前もアベルだけなので気楽だし。
それにしても、首都だと言うのに入場門に誰も並んでないのは夕方だからだろうか?
うちの国だと夜中でも対応してるよな。
「武器も持たずに歩いて来たのか?」
凄く怪しまれてる…。
実際怪しいけど、言われるまで気が付かなかった。
竜騎士さんに乗せてもらって移動してたから入場門を通ること少なかったからなぁ。
今回も空飛んでたので普通の冒険者装備とか考えてなかった、反省。
「ワイバーンが森に降りたと言う連絡が来たが何か知っているか?」
疑われてるなこれ…。
しら切れないかな、無理かな。
「さあ、知らないな」
「本当か? 隠してないだろうな?」
仕方がないか。
「これを」
王国が俺の身分を保証すると言う証の硬貨だ。
この人たちは知らなくてもこの門の責任者ならわかるだろう。
「なんだこれは? 賄賂か?」
「違うから、そんな高そうなもの渡すわけないから。王国が俺の身元を保証すると言う証拠」
「お前みたいな子供を? 王子とかじゃないんだろ?」
「違うけど。でも、それを見せたのに無視されたら問題になるから上の人に取り合ってくれない?」
その後硬貨は返して貰えないし、入場料は取られた。冒険者登録証見せれば無料になるはずなのに…。
拘束されず普通に入れたのに王様から貰った硬貨は返されないってのがよくわからない。
冒険者ギルドの登録証も意味無いし、なんだこの国これで大丈夫か?
あの硬貨はまだ2枚有るから良いけど、王国の保証を無視したのはこの国的に大丈夫なの?
王様はともかくお付きの人は怒りそうに思うけど。
兵士に聞く気にもならなかったので冒険者ギルドを探して宿の話を聞く。
その際、入場する時に登録証を見せても意味が無かった話をしたら、王様が病で倒れてから色々おかしくなったと聞く。
うちの国にその辺りのことが伝わってたら出発前に注意されてると思うので最近のことなんだろうか。あの硬貨を見せたのは失敗か?
病に倒れた王様に代わって国を動かしてる人からしたら他国に知られたくないなんてこともあったりするだろうし。
「このままここに居るとめんどうなことに巻き込まれるかも知れない」
「それは面白そうね」
「いや、あのね…」
「貴方ならなんとでも出来るでしょ」
まぁ、そうだけどさ。
*
宿屋に泊まる手続きをした後に繁華街へ戻り、適当な武器と防具、それと背負い袋などを買う。冒険者ギルドの登録証で街に入る時怪しまれないようにする為だ。
こんなことなら野宿する用の住居とか入れておけば良かった。
「こいつか?」
「手配書通りだな」
兵士が前に立ち俺の顔を手元の紙と見比べている。
「一緒に来てもらおうか」
「嫌だけど?」
「力付くでも構わないと言われているが」
話が通じないので収納した。
それから何人もの兵士や騎士が近づいて来たけど全員収納した。
負い目はないし、王様にしてもこの国の奴よりは俺の話を信じてくれるだろうから責任とか取らされることもないだろ、多分。
宿屋に入り念のため部屋の前に色々と積んでおく。
眠ってる時に入られても困るし。
一応高級宿なので兵士と言えど泊まり客が望まない相手は断るんじゃないかと期待している…すぐに裏切られたが。
「主人、一応確認するけど、私は王国から国王の命によりとある国へ移動中だと話したよね」
「はい」
「前金も払ったよね?」
「はい」
「それでこの仕打ちなのか?」
「はい」
「言い訳とかは?」
「する理由が有りません」
「そう。なら仕方がないね」
宿を中に居る人間ごと収納した後に、客と主人と従業員を出した。
建物が無くなった土地を見た宿屋の主人がなんか騒いでるが知ったことではない。
今まで試したことなかったけれど、なんだかやれそうな気がしたんだ。
何かそれらしいスキルを騎士か兵士が持っていたのかも知れない。
その後城に移動して城を収納してやった。こんな大きな物まで収納出来るとは…。
身分を保証してくれる硬貨が増えていたので城の中に話が届いていたようだな、それでもあの対応なのか。
城と一緒に収納した人と街で収納した騎士や兵士を城跡に出す。水の精霊が何かに使えるかも知れないから武器を取り上げようと言うので再収納した後に裸で出した。悲鳴を聞いた感じ女性も居たようだ、服を数着出したので着てください…。
騒ぎに紛れて都市から出る。
一睡も出来なかったのでどこかで寝たい。
聞いた上で断れるとはなんだったのか。
それにしても必要経費として貰った金額が多過ぎる、余っても返さなくて良いとか言われたし。
こんなに安く帝国に貸しを作れるなんて最高だ、外務大臣10年分の働きはするぞお前! と、王様がニコニコしてた。
王様の付き人?にも、騎士団にグリフォンを護衛させながら帝国まで輸送するのに掛かる費用の1割にも満たないので貰っておけと言われてるので気にしないでおく。
…ガルーダを教会の聖地まで連れて行く依頼は無いと思いたい。
*
帝国は王国を中心にした場合、俺の生まれた国の反対側にある。
帝国まで行くのに2つの国を通るのだが、帝国と接している国はうちとあまり仲が良く無いので目的や身分を明かすなと言われている。
隣の国なら揉めるのわかるのだけれど、1つ国を挟んで仲が悪いのはよくわからないな。
その辺りの歴史をそのうち学校で習うのだろうか?
今日のところは最初の国の首都に泊まる予定。
水の精霊に出して貰った水のワイバーンは疲れることがないのでその気になれば何日も飛んでいられるのだが、俺がもたないので適度に降りている。
話し相手に水の精霊も連れてきたので退屈はしていないのだが。
「魔力を外に出す感覚が全然わからないな」
「生まれてから一度も自分の意思で魔力を使ってないから難しいのかも知れないわね。昔の人は子供の頃から訓練してたわ」
「大人になってから魔法を覚えるのは無理なのかな」
「あら、貴方の父親はもう少しで火の魔法を使えると思うわよ」
「そうなのか。う~ん、身体強化で魔法の使い方に慣れてるからなのか?」
水のワイバーンの上で水の魔法を使う訓練をしてるのだけど、まだまだだ。
*
目に付いた魔物を収納しつつ隣国の首都の近くに降りる。
直接行くと色々詮索されるしな。
こう言う時は冒険者ギルドの登録証が有って良かったと思う。名前もアベルだけなので気楽だし。
それにしても、首都だと言うのに入場門に誰も並んでないのは夕方だからだろうか?
うちの国だと夜中でも対応してるよな。
「武器も持たずに歩いて来たのか?」
凄く怪しまれてる…。
実際怪しいけど、言われるまで気が付かなかった。
竜騎士さんに乗せてもらって移動してたから入場門を通ること少なかったからなぁ。
今回も空飛んでたので普通の冒険者装備とか考えてなかった、反省。
「ワイバーンが森に降りたと言う連絡が来たが何か知っているか?」
疑われてるなこれ…。
しら切れないかな、無理かな。
「さあ、知らないな」
「本当か? 隠してないだろうな?」
仕方がないか。
「これを」
王国が俺の身分を保証すると言う証の硬貨だ。
この人たちは知らなくてもこの門の責任者ならわかるだろう。
「なんだこれは? 賄賂か?」
「違うから、そんな高そうなもの渡すわけないから。王国が俺の身元を保証すると言う証拠」
「お前みたいな子供を? 王子とかじゃないんだろ?」
「違うけど。でも、それを見せたのに無視されたら問題になるから上の人に取り合ってくれない?」
その後硬貨は返して貰えないし、入場料は取られた。冒険者登録証見せれば無料になるはずなのに…。
拘束されず普通に入れたのに王様から貰った硬貨は返されないってのがよくわからない。
冒険者ギルドの登録証も意味無いし、なんだこの国これで大丈夫か?
あの硬貨はまだ2枚有るから良いけど、王国の保証を無視したのはこの国的に大丈夫なの?
王様はともかくお付きの人は怒りそうに思うけど。
兵士に聞く気にもならなかったので冒険者ギルドを探して宿の話を聞く。
その際、入場する時に登録証を見せても意味が無かった話をしたら、王様が病で倒れてから色々おかしくなったと聞く。
うちの国にその辺りのことが伝わってたら出発前に注意されてると思うので最近のことなんだろうか。あの硬貨を見せたのは失敗か?
病に倒れた王様に代わって国を動かしてる人からしたら他国に知られたくないなんてこともあったりするだろうし。
「このままここに居るとめんどうなことに巻き込まれるかも知れない」
「それは面白そうね」
「いや、あのね…」
「貴方ならなんとでも出来るでしょ」
まぁ、そうだけどさ。
*
宿屋に泊まる手続きをした後に繁華街へ戻り、適当な武器と防具、それと背負い袋などを買う。冒険者ギルドの登録証で街に入る時怪しまれないようにする為だ。
こんなことなら野宿する用の住居とか入れておけば良かった。
「こいつか?」
「手配書通りだな」
兵士が前に立ち俺の顔を手元の紙と見比べている。
「一緒に来てもらおうか」
「嫌だけど?」
「力付くでも構わないと言われているが」
話が通じないので収納した。
それから何人もの兵士や騎士が近づいて来たけど全員収納した。
負い目はないし、王様にしてもこの国の奴よりは俺の話を信じてくれるだろうから責任とか取らされることもないだろ、多分。
宿屋に入り念のため部屋の前に色々と積んでおく。
眠ってる時に入られても困るし。
一応高級宿なので兵士と言えど泊まり客が望まない相手は断るんじゃないかと期待している…すぐに裏切られたが。
「主人、一応確認するけど、私は王国から国王の命によりとある国へ移動中だと話したよね」
「はい」
「前金も払ったよね?」
「はい」
「それでこの仕打ちなのか?」
「はい」
「言い訳とかは?」
「する理由が有りません」
「そう。なら仕方がないね」
宿を中に居る人間ごと収納した後に、客と主人と従業員を出した。
建物が無くなった土地を見た宿屋の主人がなんか騒いでるが知ったことではない。
今まで試したことなかったけれど、なんだかやれそうな気がしたんだ。
何かそれらしいスキルを騎士か兵士が持っていたのかも知れない。
その後城に移動して城を収納してやった。こんな大きな物まで収納出来るとは…。
身分を保証してくれる硬貨が増えていたので城の中に話が届いていたようだな、それでもあの対応なのか。
城と一緒に収納した人と街で収納した騎士や兵士を城跡に出す。水の精霊が何かに使えるかも知れないから武器を取り上げようと言うので再収納した後に裸で出した。悲鳴を聞いた感じ女性も居たようだ、服を数着出したので着てください…。
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