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魔法
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「訓練次第で魔法が使えるようになるか」
「水の精霊が言うには」
義理の両親に話してみる。
義父は今の領主様に当主を譲った後、王都に移住してから騎士団の顧問みたいなことをしているらしい。騎士系統のスキルを持っているらしく、若い頃は騎士団に所属していたこともあるのだとか。
義母は魔法のスキルを持ち若い頃から活躍していたそうだ。
その2人なら訓練方法がわかるかもと思って聞いてみたのだが、知らないようだ。
「魔王との戦争中に訓練法が失われたのかも知れんな。末期になると戦力になりそうな者は子供でも戦場へ行かされたと言うし、訓練をする余裕など無かったのかも知れぬ」
「武器を持って戦うのと違いますからね、何も無いところから始めるのは難しいかと」
「それに魔法を使えるスキルも有る。持っているなら訓練しなくても使えるのだから、訓練次第で使えるようになるとは考えにくい」
魔法が使えるようになるスキルが有るから、持ってないものは使えないと思ってしまうよな。
俺が今ここに居るのもスキルが戦闘向きじゃないことが原因だし。
スキルに関係なく魔法が使えるなら幼馴染に馬鹿にされることもなかった気がする。
「水の精霊が言うには父上は訓練で魔法を身につけていると」
「なに?」
「騎士団の使う身体能力を一時的に引き上げる技術は身体強化魔法の一種なのだそうですよ」
「あれは魔法なのか」
収納庫に入っていた魔物との討伐訓練の時に色々とみた。
身長の倍以上の跳躍に馬車くらいの速度で走る魔物に走って追い付く騎士など、普通に鍛えただけで出来るとも思えない。
一時的に向上すると言うのも魔法らしいと言えば魔法らしい。
魔法に関連するスキルで出来るようになるのが火や水などを飛ばす物なので、身体能力を強化するのが魔法だとは思えないのもわかる。
俺自身、魔法と言われて想像するのはそっちだ。
「私も訓練すれば魔法が使えるようになるのか?」
「訓練方法がわかれば、どこまで出来るかはわかりませんが」
「そうか」
父はその気らしい。
母も何か考えているようだ。
父が魔法の訓練をするなら教えてもらうのは母になるだろうし。
「私が魔法を使えるようになった時、王に話してみようと思うが精霊は反対すると思うか?」
「魔力が有るのに魔法を使わない人を不思議に思っていたようなので、反対はしないと思います」
「そうか」
国を巻き込むことになるのか?
そこに俺は参加したくないのだけれど、偉い人が水の精霊に用事がある時はその場に俺が居た方が良いだろうしな。
精霊は王よりも上の存在であると事前に確認してるので無理なことはしないと思うけど。
父が王に話すまでは水の精霊にも口止めをしておこう。
*
「変われるものなら変わって欲しいね。兄弟で殺し合ってまでこんなもんになりたいとか理解出来ないね」
何故かうちに居た王様に国を維持していくのは大変なのかのなんとなく聞いたらそんな答えが返ってきた。
貴族も商家も上に立つものは大変みたいだし、その上の王様なら当然か。
殺し合ってまでってのは何代か前の王様の話か。
何代か前の王は自分が王になれないのは納得行かないと母の領地から兵を出し、当時の王太子や兄弟を殺害して王様になった。
その2年後に実は生きていた王太子に王様と母親の親族や協力者などまとめて殺されたけど。
この一件からこの国では幼い頃から子供に親の仕事を見せ、親の仕事を理解させ、その仕事の大変さを思い知らせるのが義務となった。偉そうにしている場面しか見せないと子供が勘違いしてしまうぞと。
見事に勘違いして処刑された親戚の叔父さんが居たので納得です。
婿養子だったからなあの人、実際に働いてるところ見てなかったんだろうな親戚の叔父さん。
「貴族なら子爵か男爵、平民なら商人の長男に生まれ直したいね。親の金使って贅沢し、大人になったら家を継がない代わりに決まった金を毎月貰う約束して死ぬまで遊んで暮らすね」
それは良いなぁ…。
大変な仕事をしないだけで決まったお金が貰えるなんて最高だな。
「子供がその気になるからやめろ」
「彼はもう働いてるから関係無いさ」
領主様から頼まれた時に報酬を貰って動くだけなので働いてるうちに入るのかはわからないけども。
色彩鯉関係のお金が毎月入ってくるから、働かずに遊んで暮らす未来もあることはある。
「それで今日は用事を頼みに来た」
「私にですか?」
「ああ、君にしか出来ないことだ」
「城に呼んでくれたらこちらから行きましたのに」
「高等学校に通う学生は働けない規則があるからな、正式な形はとれないんだ」
そう言えばそんなのがあったな。
学費を稼ぎながら通ってた生徒が卒業後に働いていた店を辞めて他の店へ行くことに不満を言う商家が多かったのが理由だとか。
その生徒を雇った側にしたら、学んだ知識や作った人脈を自分の店に生かしてもらおうと思って投資した金が無駄になるわけだしな。
「だから城からの仕事ではなく、報酬が出る頼みだ。断っても問題無い」
「聞いた上で断ることは?」
「出来る」
「水の精霊に関係は?」
「無い」
「なら大丈夫だと思います」
王様からの依頼は帝国にグリフォンを連れて行くことだった、…断りたい。
何が大丈夫なんだ、少し前の俺よ…。
「水の精霊が言うには」
義理の両親に話してみる。
義父は今の領主様に当主を譲った後、王都に移住してから騎士団の顧問みたいなことをしているらしい。騎士系統のスキルを持っているらしく、若い頃は騎士団に所属していたこともあるのだとか。
義母は魔法のスキルを持ち若い頃から活躍していたそうだ。
その2人なら訓練方法がわかるかもと思って聞いてみたのだが、知らないようだ。
「魔王との戦争中に訓練法が失われたのかも知れんな。末期になると戦力になりそうな者は子供でも戦場へ行かされたと言うし、訓練をする余裕など無かったのかも知れぬ」
「武器を持って戦うのと違いますからね、何も無いところから始めるのは難しいかと」
「それに魔法を使えるスキルも有る。持っているなら訓練しなくても使えるのだから、訓練次第で使えるようになるとは考えにくい」
魔法が使えるようになるスキルが有るから、持ってないものは使えないと思ってしまうよな。
俺が今ここに居るのもスキルが戦闘向きじゃないことが原因だし。
スキルに関係なく魔法が使えるなら幼馴染に馬鹿にされることもなかった気がする。
「水の精霊が言うには父上は訓練で魔法を身につけていると」
「なに?」
「騎士団の使う身体能力を一時的に引き上げる技術は身体強化魔法の一種なのだそうですよ」
「あれは魔法なのか」
収納庫に入っていた魔物との討伐訓練の時に色々とみた。
身長の倍以上の跳躍に馬車くらいの速度で走る魔物に走って追い付く騎士など、普通に鍛えただけで出来るとも思えない。
一時的に向上すると言うのも魔法らしいと言えば魔法らしい。
魔法に関連するスキルで出来るようになるのが火や水などを飛ばす物なので、身体能力を強化するのが魔法だとは思えないのもわかる。
俺自身、魔法と言われて想像するのはそっちだ。
「私も訓練すれば魔法が使えるようになるのか?」
「訓練方法がわかれば、どこまで出来るかはわかりませんが」
「そうか」
父はその気らしい。
母も何か考えているようだ。
父が魔法の訓練をするなら教えてもらうのは母になるだろうし。
「私が魔法を使えるようになった時、王に話してみようと思うが精霊は反対すると思うか?」
「魔力が有るのに魔法を使わない人を不思議に思っていたようなので、反対はしないと思います」
「そうか」
国を巻き込むことになるのか?
そこに俺は参加したくないのだけれど、偉い人が水の精霊に用事がある時はその場に俺が居た方が良いだろうしな。
精霊は王よりも上の存在であると事前に確認してるので無理なことはしないと思うけど。
父が王に話すまでは水の精霊にも口止めをしておこう。
*
「変われるものなら変わって欲しいね。兄弟で殺し合ってまでこんなもんになりたいとか理解出来ないね」
何故かうちに居た王様に国を維持していくのは大変なのかのなんとなく聞いたらそんな答えが返ってきた。
貴族も商家も上に立つものは大変みたいだし、その上の王様なら当然か。
殺し合ってまでってのは何代か前の王様の話か。
何代か前の王は自分が王になれないのは納得行かないと母の領地から兵を出し、当時の王太子や兄弟を殺害して王様になった。
その2年後に実は生きていた王太子に王様と母親の親族や協力者などまとめて殺されたけど。
この一件からこの国では幼い頃から子供に親の仕事を見せ、親の仕事を理解させ、その仕事の大変さを思い知らせるのが義務となった。偉そうにしている場面しか見せないと子供が勘違いしてしまうぞと。
見事に勘違いして処刑された親戚の叔父さんが居たので納得です。
婿養子だったからなあの人、実際に働いてるところ見てなかったんだろうな親戚の叔父さん。
「貴族なら子爵か男爵、平民なら商人の長男に生まれ直したいね。親の金使って贅沢し、大人になったら家を継がない代わりに決まった金を毎月貰う約束して死ぬまで遊んで暮らすね」
それは良いなぁ…。
大変な仕事をしないだけで決まったお金が貰えるなんて最高だな。
「子供がその気になるからやめろ」
「彼はもう働いてるから関係無いさ」
領主様から頼まれた時に報酬を貰って動くだけなので働いてるうちに入るのかはわからないけども。
色彩鯉関係のお金が毎月入ってくるから、働かずに遊んで暮らす未来もあることはある。
「それで今日は用事を頼みに来た」
「私にですか?」
「ああ、君にしか出来ないことだ」
「城に呼んでくれたらこちらから行きましたのに」
「高等学校に通う学生は働けない規則があるからな、正式な形はとれないんだ」
そう言えばそんなのがあったな。
学費を稼ぎながら通ってた生徒が卒業後に働いていた店を辞めて他の店へ行くことに不満を言う商家が多かったのが理由だとか。
その生徒を雇った側にしたら、学んだ知識や作った人脈を自分の店に生かしてもらおうと思って投資した金が無駄になるわけだしな。
「だから城からの仕事ではなく、報酬が出る頼みだ。断っても問題無い」
「聞いた上で断ることは?」
「出来る」
「水の精霊に関係は?」
「無い」
「なら大丈夫だと思います」
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何が大丈夫なんだ、少し前の俺よ…。
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